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受験情報ブログ

多様な受験生を迎え入れて人気増の日駒「プレゼンテーション型入試」

日本工業大学駒場中学校で2月2日午後に行われた「プレゼンテーション型入試」の様子をお伝えします。

日本工業大学駒場中学校〈東京・目黒区。共学校〉は、今春2024年入試でも人気が目立って高まった私立中のひとつです。その理由のひとつに、受験生の得意な科目や、得意な事についての力を生かせる多様な入試を導入して、幅広い受験生に門戸を開いてきたことが挙げられます。その多様な入試のひとつ、2月2日午後に行われた「プレゼンテーション型入試」を取材させていただきました。〈取材・撮影・文/北 一成〉

“あなたはどの入試タイプでチャレンジしますか”

日本工業大学駒場中学校〈東京・目黒区。共学校〉は、今春2024年入試でも人気が目立って高まった私立中のひとつです。その理由のひとつに、入試要項の表紙にも“あなたはどの入試タイプでチャレンジしますか”と謳い、受験生の得意な科目や、得意な事についての力を生かせる多様な入試を導入して、幅広い受験生に門戸を開いてきたことが挙げられます。その多様な入試のひとつ、2月2日午後に行われた「プレゼンテーション型入試」を取材させていただきました。

同校(以下、日本工業大学駒場中高の愛称「日駒」と表記させていただきます)の2024(令和6)年度の中学入試要項の表紙には、こう謳われています。

○入試タイプ

1.得意科目を選べる得意2科選択(国算、国社、国理、算社、算理)入試
 国語、算数、社会、理科の4科目のうち国語か算数のいずれかを選び、残りの3科目の中から1科目を選ぶ入試です。
 ※2月1日(木)第1回・第2回の得意2科選択は、英語も含みます。上記に加えて、国英、算英が加わります。

2.従来型の4科(国語、算数、社会、理科)入試

3.従来型入試では測れない潜在能力(表現力を中心)を見るプレゼンテーション型入試

4.公立中高一貫校と同じ形式の適性検査型入試

○今年度の主な変更点
◇今年度は特別選抜入試を含む全6回で実施します。
◇昨年度まで実施していた自己アピール型入試を廃止し、プレゼンテーション型入試のプレゼンテーションテーマの一部に、自己アピールができるテーマを設定しました。

試験は、「朗読への感想」と「プレゼンテーション」で実施

今春2024年入試では、2月5日(月)の特別選抜を含め「計6回」実施する中学入試の日程のなかで、2月1日午後の第2回入試のなかで行われる「プレゼンテーション型入試」と、翌2月2日(金)午後の第4回入試の「プレゼンテーション型入試」の2回が、今回ご紹介する「プレゼンテーション型入試」の受験機会です。

このうち2月2日(金)午後の第4回入試の「プレゼンテーション型入試」を、試験の邪魔にならないよう、「朗読」会場の後ろと、「プレゼンテーション」教室の廊下から、撮影取材をさせていただきました。

試験内容は、①「朗読への感想」(400字~600字。45分間の試験時間内に5分ほどの朗読を聞いて感想を書く。100点満点)と、②「プレゼンテーション」(発表5分、質疑応答5分。100点満点)で行われます。

最初の「朗読への感想」の試験は、まだ真新しい図書館で行われます。

15時から図書館で「朗読への感想」試験が開始

「朗読への感想」は、図書館の机に一人ずつ受験生が着席し、詩・小説・随筆・論説文などの作品の朗読を5分ほど聞いてから、受験生自身の「心に浮かんだ思いを自由に書く」というものです。

試験開始の15時の数分前には着席して開始を待つ、男子9名(志願者は11名)、女子2名(志願者は3名)の受験生は、少し緊張もあるのか、図書館内は静かに張り詰めた空気でした。

試験開始と同時に、朗読を聞く形になりますが、ヘッドホンから流れてくる音声にやや不具合が生じたのか、すぐさまCD音源に切り替えて朗読を聞き、その感想を書く形になりました。

試験官の先生方の間でも万が一の場合のシミュレーションができていたからか、受験生も慌てることなく、あらためて朗読を聞くことと、感想を書くことに集中できたようです。

プレゼンのための資料はA4サイズ以上の用紙に手書きで作成

45分間の「朗読への感想」試験が終わると、15分間の休憩を挟んで、16時から、計4教室設けられたプレゼンテーション会場に、受験生が一人ずつ案内されてきます。

この2月2日(金)午後に参集した受験生は計11名でしたので、ひと教室あたり2~3名が順にプレゼンテーションを披露します。

発表に5分、質疑応答に5分と定められたプレゼンテーションは、「朗読への感想」と同じく100点満点で採点されます。

プレゼンテーションのための資料はA4サイズ以上の用紙を使用した手書きのものと指定されていますが、枚数は問われません。

各自それぞれに工夫を凝らして、大小様々な資料を使ってのプレゼンテーションを披露していました。

今年のテーマは、得意なこと、好きな教科、名前の由来、家族につ...

今春2024年のプレゼンテーション型入試で、事前に学校から提示されたテーマは下記の4つです。

① “私の得意なこと”について

② “私の好きな教科”について

③ “私の名前の由来”について

④ “私の家族”について

入試要項には、それぞれの簡単な説明も添えられています。

これらのテーマからひとつを選んで、事前に準備してきた資料を用いて、自分の意見を発表します。

受験生はこれらのテーマをどう受け止めて自分の言葉にしたのか?

果たして上記のテーマから、どれを選んだ受験生が多かったのでしょうか?
それは後日、日駒の先生方から伺ってみたいと思います。

それぞれのテーマについては、このように付記されています。

① “私の得意なこと”について
あなたが今、もっとも得意にしていることは何ですか。得意になったきっかけ、夢中になった理由があれば、それをプレゼンテーションしてください。

② “私の好きな教科”について
あなたは授業のなかで一番好きな教科はなんですか。その教科が得意でなくてもかまいませんが、その教科の好きな理由、その教科の魅力や学習のしかたについて思うことを自由に表現してください。

③ “私の名前の由来”について
世界でただひとりのあなたの名前について、どなたが、どのような思いを込めて名付けてくれたか、知っていますか。また、あなたの名前についてあなた自身はどんな感想をお持ちですか。それを文章で紹介してください。

④ “私の家族”について
もしよろしければ、あなたの家族について文章で紹介してください。お父様のこと、お母様のこと、あるいは兄弟姉妹のこと、おじいさま、おばあさまのこと、家族のなかのどなたについてでも結構です。あるいはあなたの家族全体についてでもかまいません。紹介の仕方はお任せします。

受験生は、果たしてこれらのテーマをどう受け止め、どれを選んで、自分の言葉でどう表現できたのでしょうか?

なかなか厳しいプレゼンテーション型入試の合格状況

この日は初めての入試取材ということもあり、受験生の集中を損なわないよう廊下からの撮影取材となったため、それぞれの受験生のプレゼン内容までを聞き取ることはできませんでしたが、それぞれの受験生は少し緊張した面持ちで試験教室に向かいながらも、気持ちを落ち着けて、しっかりとプレゼンテーションを披露していた様子でした。

ただし、合否の判定はなかなか厳しかった様子で、この日の受験生11名のうち、合格を得られたのは2名の受験生だったことが、後日公表されました。

そうした入試状況からか、この日の合格者の評価は、かなり高いものだったと伺いました。

一方で、この前日2月1日午後におこなわれたプレゼンテーション型入試の合格者は、受験者11名中の2名で、こちらも高水準で合否が判定されたようです。

どれだけ自信をもって、自分の考え、意見を表現できるか?

この一連のプレゼンテーション型入試についての内容説明のペーパーの末尾には、

①「朗読への感想」は文章の構成、表現の工夫についても見ます。

②「プレゼンテーション」は、自分の意見を自信をもって発表してもらうことが一番大切です。プレゼンテーション発表後に教員からの質問に答えていただきますが、自分の意見がしっかり述べられているかを判断します。

と「評価のポイント」が記載されています。

自分の意見に自信を持って発表できると思える受験生は、積極的にチャレンジしてみても良いのではないでしょうか?

教員の熱意と校風の大らかさが日駒(にちこま)の魅力!

この日、同校の入試広報主任の堀口博行先生には入試運営の他の役割があり、詳しくお話を伺うことはできませんでしたが、撮影取材にアテンドしてくれた中学入試広報部の菊地勇樹先生から、合間に少しお話を伺うことができました。

この2024年の中学入試では、前年の模試の志望者数の増加からも、都内の共学校では最も人気の増加が目立ってきた日本工業大学駒場中学校。当初の予想通り志願者数も増加し、実受験者数、入学者数ともに増加した、その日駒(にちこま)の人気の理由はどのようなところにあったのでしょうか?

私たち外部の受験関係者から見ると、①日駒の先生方の熱意、②校長の大塚勝之先生の温かなお人柄からも伝わる日駒の大らかな校風、③先生方と生徒の距離の近さ、④多様な入試を導入して個々の受験生(小学生)の長所や良いところを見てあげようという入試姿勢、などが大きな理由になったのではないかと感じます。

今年の入試での人気増加や、日駒への入学を希望してくれる受験生と保護者の期待や感じ方、それを先生方が手応えとしてどう受け止めているのかも、菊地先生は語ってくれました。こうした温かな日駒の人気が、来年以降も楽しみです!