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受験情報ブログ

捜真女学校の、「対話」で受験生の「力」を引き出す入試

2月3日午前、捜真女学校中学部(女子校。横浜市神奈川区)では、「対話学力試験」が行われました。

2024年入試で6回目を迎えた対話学力試験は、考え、ことばにして伝える、「ことばの力」を大切にする捜真女学校中学校ならではの入試。退室する受験生に「楽しい時間でした」と声をかける試験官が受験生に注ぐまなざしも温かく、伸びやかで活動的な学校生活を思わせます。(取材・文/市川理香)

国語・社会分野と算数・理科分野、それぞれ約20分の「対話」

捜真女学校中学部(以下、捜真女学校)の「対話学力試験」とは、入試名称のとおり、「対話」しながら「学力」を問うもので、国語・社会分野と算数・理科分野、それぞれ約20分の「対話」が行われます。試験官の質問に口頭で答えるので、口頭試問と言いたくなりますが、「対話」というところに、学びに向かう姿勢も大切にする学校の思いが込められています。

写真は受験生を迎える準備の整った教室

国語・社会分野では、配布された問題文を、黙読(線を引くのもメモもOK)、音読(一部)、そして対話という流れで進められます。2024年の問題文は『タマゾン川 多摩川でいのちを考える』(NPO法人おさかなポストの会 山崎充啓)から「食物連鎖」についての一節(約1000字)でした。

内容や文中の言葉について、「知っていますか」「他にどんなものがありますか」「それはなぜだか知っていますか」といった質問に、漢字や語句、社会的知識に関する問いも織り交ぜながら進みます。「うんうん」「ほぉ」「へぇ」「おー」といった合いの手はもちろん、「すごいですね」「よく知っていますね」と褒め言葉も随所に散りばめられ、和やかな雰囲気。文中の意見について「あなたはどう思いますか」と、自分の考えを言葉で伝えることも求められます。受験生がどのような回答をするかによって、重ねていく質問も変わるので、まさに対話。

算数・理科分野では、まず暗算。そして文章題が口頭で出題されます。メモを取りながら計算の過程を書いてよいのですが、この試験の真の狙いは正答を求めることではありません。説明しているうちに間違いに気づき、解き直す受験生もいます。大切なのは答えに至るプロセスを言葉にして伝えられるかどうか。計算式だけを説明するのではなく、その式に問題から情報を加えると加点されます。
理科分野では、過去に理科実験器具を使った試技が課された年もありますが、2024年は生き物のカードを用いながら対話が進むというもの。9種の生き物を、「消費者・分解者・生産者」や「肉食・草食」で分類したり、グループの生き物の特徴を考えたりするうちに、食物連鎖につながっていきました。国語・社会分野と同じテーマを軸にすることで対話が弾むことを狙った、6年目で初めての試みでした。

わからないときに、どう説明するか

この試験で大切にされていることの一つは、わからなかった時の行動、コミュニケーションです。問題文や試験官の説明の言葉、質問の意味がわからないときには、「もう一度お願いします」「こういう意味ですか」と聞けるか、答えがわからないときには「ここがわかりません」と言えるか(ある先生は、「自分の状況を説明できること」と言います)、という「対話」ができること。

試験名称にあるもう一つのワード「学力」は、質問できるには小学校で身につける学力及び知識が必要と考えていることを示しています。

大学入試において総合型選抜や指定校推薦での合格に強みを発揮していることからもわかりますが、元々学習も行事もアクティブで、数多くの体験や学びを発信しアクションを起こすことも大切にしている学校。「対話学力試験」は6年目ですが、これまでこの試験を通して入学した生徒が、学習だけでなく、行事や課外活動にも意欲的で、活発に参加しており、今後、さまざまな面での活躍が期待されます。

学力を、対話で引き出す試験

広報委員長の新井昂太先生が、「ペーパーテストでは見ることのできない力を見ることができています」と語るこの試験。入試科目以外の教科の先生も交えて問題を作成し、シミュレーションも行い準備万端の態勢で当日の対話に臨んでいます。それでも、本番で受験生から想定外の答えが出てきたときの応答やヒントの出し方も緊張する、でも試験が楽しかったと感じてほしいと異口同音に語ります。受験生の目線や目力、話すスピード、口調、手元の動きなどにも、受験生の心が現れるのを見逃さないと言い、真剣で濃密な時間だとわかります。

そして、採点会議でのすり合わせで、評価基準がブレることはないと言い切れるのは、「学力を対話で引き出す試験」という試験のコンセプトが、校風に一致しているからでしょう。「その場(試験会場)限りのものではなく、入学後につながっていく力を発見したい」との願いが、この入試の原動力でした。

対話学力試験チームの先生に、この入試に向いている受験生は?と尋ねると、即答でした。

「お話が好き、人が好き、学年に関係なくお友達がいる、よく周りの大人になんでなんでと聞いている、そんな子ですね。そういう子は、捜真に入学してからも伸びていきます」

写真は、毎日通るまるまる坂。数学の授業で傾斜角を測ることも。

高二総合「ポスターセッション」【捜真Vプロジェクト】

捜真女学校高等部の2年生は、総合探究 “捜真Vプロジェクト” の一環として、2月に社会問題ポスターセッションを行っています。自らの興味関心のある社会問題についてプレゼンをし、参加者からの質問を通して、「参加者・学習者相互の問題意識を深めてゆくための学習活動」です。高大連携協定を結んでいる大学の先生からの講評も。 昨年の様子は、こちらからご覧ください。

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