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コラム

希望の私学【八雲学園中学校・高等学校】(2/2)

徹底した感性教育が八雲生の世界を
広げ深める大きな力になっている

今から19年前に、中学校を再開して以来、八雲学園の理事長・校長近藤彰郎先生は、時代の要請に対応する先進的教育を大胆に進めてきました。

英語教育 言語の総合力

八雲学園の英語教育は、毎年メディアで最も優れているという高い評価を得ています。それは、従来の各種英語検定で高いスコアやレベルを取得できるということだけを意味しているわけではありません。

大学入試改革で話題になっている4技能をきちんと身につける授業と、その「聞く」「話す」「読む」「書く」という技術以上に、臨場感あるコミュニケーションをとるためのイマジネーションやそれを表現する表情や身振り、声質などの演劇的なアウトプットを行事で学べるようになっているのです。

臨場感やイマジネーションは、実は音楽によってもつくられていたし、ダンスで培った身体能力も大いに役立つことに生徒は気づきます。

またストーリーの論理的な理解と感情の理解、世界観は、実際に中3の春休みに渡米するサンタバーバラ研修旅行で開かれたと卒業生は口々に語ります。さらに、帰国後すぐに留学準備にはいる3ヶ月留学制度も、エール大学の学生との交流で、八雲生の留学志向に火がつき、要望が高まりました。

八雲学園のプログラムは、積み上げの中で、生徒自らが必要だと声をあげたとき、すぐに対応するという方法で豊かになってきたのですが、今回はエール大学との交流が刺激になりました。かなりハイレベルの英語に挑戦しなければエール大学の学生のようにはなれないのだというモチベーションが燃え上がったわけです。

この要望があって、数カ月もたたないうちに、3ヶ月留学は立ち上がりました。八雲の先生方の俊敏力という気概とスタミナには頭が下がります。かくして、UCサンタバーバラとテネシー工科大学の2コースの留学が実施されることになったのです。2014年の立ち上がり段階で、すでに16人が参加することになりました。

留学する前の3か月間の準備は、英語のトレーニングだけではなく、米国の歴史や文化も調べなければならなかったし、スカイプやネット環境も準備しなければならなかったと体験を終えた生徒が回想してくれました。

準備期間3ヶ月は、留学前だというのに、ハイレベル英語、リベラルアーツ、ICTの学びのサポートを自ら形成しなければならなかったのです。

留学本番では、生徒たちは、とにかくアウトプット、アウトプットの連続だったようですが、大変だったけれど、日常英会話をはるかに超えて文化や社会問題、国際問題、世界の痛みについて議論する毎日を乗り切った達成感は、世界で生き抜く自信を持ったということです。

帰国後、3ヶ月はフォローアップ研修が続きます。3ヶ月間空白だった数学や国語などの勉強をするわけですが、英語に関してはブラッシュアップ研修となりました。エッセイライティングという英語で小論文を書く相当ハイレベルな英語の授業がオールイングリッシュで行われたのです。


おわりに 本当のアクティブラーニング

2020年に向けて、日本の教育改革は猛然と進んでいますが、その中でアクティブラーニングという新しい学び方が話題になっています。

リサーチやフィールドワークをして、気づいたことについてさらに掘り下げ、チームで協力し、議論して、論文や劇などプレゼンテーションを制作していくという学びです。

八雲学園では、すでにこのようなアクティブラーニングの花は満開に咲き誇っています。文化祭でも英語祭でも訪れてみればすぐにわかります。体育館の舞台では、パフォーマンスが行われています。たとえば、「アナ雪」の英語朗読劇だったり、「魔女の宅急便」の英語劇だったりします。

しかし、それは最終段階です。実際には、そこにいたるまでに調べたり議論したりしていることが山積しているわけです。ですから、各教室では、その調べた内容で埋め尽くされた模造紙が展示され、研究発表という形式になっています。これもまたアウトプット教育の一環です。

ところが、八雲学園のアクティブラーニングは、これで終わらないのです。エール大学の女性コーラスの芸術性の薫り高い演技に遭遇した八雲生は、自分たちも音楽、ダンス、英語を学んできたのだから、できるのではないか、挑戦したいという強い意志を抱いたのです。

そして、ミュージカルのサークル「グリー」を立ち上げました。そして、2年目に訪れたエール大学と同じステージで演じ切り、エール大学生も共鳴し、拍手喝采となったのです。

その情熱と意志の強さと芸術性に感動したのは、エール大学の学生だけではなく、八雲生自身であったのは説明するまでもないでしょう。

サークルは1年を待たずして、部活「グリー部」に昇格。部員は日々増えています。そして、2014年12月英語祭で、高2の部員は、レ・ミゼラブルから"One Day More"を演じ切りました。一日一日、罪を背負いながら生きなければならない人間の運命とそれゆえの愛を歌いあげたのです。その迫力は八雲学園の感性教育の大きさそのものを象徴していました。

エール大学の学生は、初日は、八雲の吹奏楽、コーラス部、フォーク部などと交流したり、日本食をいっしょにつくって食べたり、書道の体験などをしました。それらを通して、八雲生の気概をしっかり感じていました。

2日目は、ホール「パーシモン」という本格的舞台で、≪A Cappella Concert Whim'n Rhythm from Yale University≫が開催されました。コンサートは13時から約3時間。実は、この3時間のために、八雲生とエール大学の学生は、数カ月の準備をしていました。本物のアクティブラーニングが展開していたのです。

そして、エール大学の学生は、次のような言葉を八雲生に贈りました。「世界の共通言語はたしかに英語かもしれません。でも、今、私たちは音楽というクリエイティブな精神こそ通じ合う本物の共通言語だと感じているはずです。八雲のみなさん、この感動をありがとう。」

2014年年末の学校説明会で、高2の生徒が学校説明プレゼンテーションを見事に演じました。八雲学園という事実の説明ではなく、外交官になる夢と世界観を抱いて目標に向かって歩いている自分を通して、八雲学園の感性教育の感動を受験生にプレゼントしたのです。

もちろん、突然クラリネットで"Let it go !"を演奏するサプライズもなかなか粋な演出でした。

「八雲学園では感性がとても育ったと思います。芸術鑑賞でミュージカルなどを頻繁に見に行ったり、部活動ではオーケストラを聞きに行ったりと、芸術に触れる機会が多いこと、エール大学の学生との交流やダライラマ法王のお話を伺うなど貴重な経験をしたことで、さまざまな文化の違いを認めるグローバルな視点が身につきました。

外交官だけではなく、どんな仕事に就くとしても人間性は大事だと思います。英語が話せたり、コミュニケーション能力があったりすることも大事ですが、それだけでは足りません。人と違うことを考え、それを堂々と表現することが重要だと思います。これから、何か一つ私はこれなら負けないと胸を張って言えるものを持っている人になって、夢に近づきたいと思います」と締めくくりました。

受験生が、エール大学の学生のようなグローバル人材の心とぴったり重なり合った八雲生の精神に感動したのは言うまでもありません。

■希望の私学 八雲学園を読み解くキーワード

感性教育、キャシー・デビッドソン氏、2020年東京オリンピック・パラリンピック。近藤彰郎理事長・校長、「英語教育」「芸術鑑賞」「チューター方式」「進路指導」、世界観、不易流行、エール大学、アウトプット教育、有機的結合、コミュニケーション、チームワーク、リーダーシップ、フォロワーシップ、才能を生かす技術、論理と感性の二重らせん構造、運営実行委員会、感動、ウェルカムの精神、身体知、感覚知、エッセイライティング、アクティブラーニング、クリエイティブな精神、ミュージカル、シェア

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