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「楽しかった!」と声が出た聖セシリア女子中の英語表現入試

2024年2月3日(土)amに行われた同校のB方式「英語表現入試」の様子を取材させていただきました。

今春2024年の首都圏中学入試で、何らかの形で英語を選択できる「英語入試」を実施した学校は141校。そのなかでも、身体を使って英語で表現する聖セシリア女子中のB方式「英語表現入試」は、最もユニークな英語入試と言えるでしょう。2月3日(土)amに行われた同校のB方式「英語表現入試」の様子を取材させていただきました。〈取材・撮影・文/北 一成〉

数ある英語入試のなかでもユニークな「英語表現入試」

今春2024年の首都圏中学入試で、何らかの形で英語を選択できる「英語入試」を実施した学校は141校。そのなかでも、身体を使って英語で表現する聖セシリア女子中のB方式「英語表現入試」は、最もユニークな英語入試と言えるでしょう。2月3日(土)amに行われた同校のB方式「英語表現入試」の様子を取材させていただきました。

この聖セシリア女子中のB方式「英語表現入試」は2022年から導入されて3年目の始まったばかりの入試です。

聖セシリア女子中学校では、かなり以前から、この「英語表現入試」とは別に、筆記型のB方式「英語入試」を行ってきました。同校の本格的な英語教育に共感した受験生の多くが2日の「英語入試」や、1次、2次の「2科・4科入試」も併願受験します。

この日は、2月1日~2日の入試ですでに合格した場合来る必要はありません。しかし、この日は「英語表現入試」のみ受ける受験生も含めて昨年以上の「30名」の志願者が集まり、そのうち9名の受験生が参集しました。

同校の授業「イングリッシュ エクスプレス」の入学前体験!

今年の「英語表現入試」を行うのは、聖セシリア女子中の授業「イングリッシュ エクスプレス」を開講している、都内で英語芸術学校MARBLESを主宰する演出家で英語劇スペシャリストの小口 真澄(こぐち ますみ)先生。

聖セシリア女子中の中1と中2で週1時間ある「イングリッシュ エクスプレス」という講座は、「英語で自分を表現する」ことを目標に英語の歌を歌い、英語の台詞を覚え、ダンスも加えて、仲間とともに年2回、英語でのミュージカル発表を行います。語学とともに、表現力や協調性を育むプログラムです。

つまり、聖セシリア女子中学校に入学できたときには授業で受けられる「イングリッシュ エクスプレス」の講座を、入学前に入試で体験できるという、貴重でユニークな受験機会なのです。

英語面接と身体表現で合わせて100点満点

この聖セシリア女子中の2024年「生徒募集要項」のなかの「B方式について」欄の「英語表現入試について」には、「英語面接時に、英語による自己紹介(1分程度)と英文暗唱(歌詞、名文、著名人スピーチ、絵本、自作話など1分程度)ができるようにしてください」と記載されています。

2024年入試では2月3日(土)amに実施された「英語表現入試」の受験生集合時刻は9時30分。英語面接と身体表現(ジェスチャー・ダンス)で合わせて100点満点で評価される試験の開始は9時45分からです。

「英語表現入試イメージ動画」と「身体表現イメージ動画」は、同校公式Webサイトの「受験生の方へ」→「生徒募集要項」のコーナーで紹介されていますので、関心のある方はそちらを参照していただくと良いでしょう。

受験生と保護者の控え室となっていた講堂から、試験の待機室へと移動した9名の受験生は、自分の英語面接の順番が来るまでそこで待機して、呼ばれると一人ずつ廊下を挟んだ向かい側の多目的ルームに面接を受けに入っていきます。

面接は若い友達との出会いを楽しむかのような雰囲気!

受験生が試験会場に入ってくると、小口先生が明るく英語で挨拶の声をかけます。

小口先生が待つテーブルを挟んで1対1の面接ではありますが、その雰囲気は堅苦しいものではなく、まるでホームパーティーに招かれた若い友達を迎え入れるかのよう。

そこで受験生は英語で1分程度の自己紹介をしますが、小口先生は終始笑みを浮かべて、それに聞き入っています。個々の受験生のプロフィールを知って、その後の会話が弾むようにしてくれているかのようです。そして、いくつか小口先生から質問があり、そのやり取りを通して、徐々に受験生の緊張もほぐれていった印象です。

その次には、募集要項にある英文暗唱(歌詞、名文、著名人スピーチ、絵本、自作話など1分程度)です。

テーブルの前に立ち、椅子の横に動けるスペースをつくったうえで、受験生はそれぞれ選んだ英文暗唱を披露します。

撮影取材をしながら見ていたところ、英語の歌詞を歌って披露してくれた受験生が多かったような印象を受けました。

「英語面接」終了時には受験生と握手も!

この「英語面接」について、生徒募集要項には、「『英語面接』は個別に行い、英検3~4級レベルの会話力を必要とします」と付記されています。

ほとんどの受験生は、小口先生が優しく語りかける英語の質問や会話は理解できていた様子です。もっとも、この「英語表現入試」にチャレンジしてみようと思った受験生は、もともと「英語でコミュニケーションしてみたい」という気持ちが強かった小学生であしょうから、入試本番の緊張さえほぐれれば、とくに心配はなかった様子でした。

小口先生は、個々の受験生の面接が終わると、帰ろうとする受験生に駆け寄って、ときに握手や声かけをして、次の「身体表現」に前向きに臨めるよう配慮しいれているようでした。

「英語で自分を表現する」を目標に!

ここでもう一度、聖セシリア女子中の授業「イングリッシュ エクスプレス」について触れておきましょう。

この講座について、同校のWebサイトでは、「英語芸術学校MARBLES(※小口先生が主宰するマーブルズ)との連携により、『英語で自分を表現する』を目標に英語の歌を歌い、英語の台詞を覚え、ダンスも加えて、仲間とともに年2回、英語でのミュージカル発表を行います。語学とともに、表現力や協調性を育むプログラムです」と紹介されています。

この後に行う「身体表現(ダンス・ジェスチャー)」は、まさにそのプログラムの一端なのでしょう。

そういえば、聖セシリア女子中高では、在校生の美術や各教科の作品などが、校内のあちこちの壁面に展示され、「自己を表現する」ことがとても大切にされています。

そうした日常の風景のなかで、「自己を表現」することと同時に、友達や先輩・後輩の作品にも触れて、それを受け止めて“互いに認め合う”ことで、自己肯定感が互いに高まるという話を先生方からお聞きしたことがあります。同校を訪れる度に、在校生の皆さんの姿や表情から感じる「高い幸せ度」は、きっとこうした学校生活のなかで育まれるのでしょう。

「イングリッシュ エクスプレス」の授業もこうした同校のカトリック校らしい教育理念を反映したものではないでしょうか。

「身体表現」は、リラックスするためのアイスブレイクから!

個別に行われた「英語面接」が終わると、数分の休憩を挟んで、「身体表現」の時間です。

この「身体表現」について、生徒募集要項には、「『身体表現』はグループで行い、与えられた英単語や英文に、ジャスチャーやダンスを交えて、自由に表現します」と付記されています。

先ほどの「英語面接」が行われた会場に受験生全員が入室すると、また小口先生がボディーアクションを交えて英語で語りかけます。

そして、全員で手をつないで輪になって、リラックスできるようアイスブレイク的に身体を動かす時間から始まります。小口先生は時に日本語も交えて「ドキドキしちゃった人は?」などと声をかけ、受験生の声と身体の緊張をほぐしていきます。

受験生は小口先生の動きをマネして、体操したりジャンプしたり、手を大きく上にあげたり、輪になって回転したりしながら、少しずつ「身体表現」に馴染んでいきます。

「赤ずきんちゃん」のミニ英語劇のエクササイズ

小口先生のリードと声かけによって、自然な流れで身体を動かし、声を出すことに慣れてきた受験生。開始5分後くらいからは、徐々に動きも早くリズミカルになって、声も大きくなり、「身体表現」も佳境に入ってきた様子です。

「赤ずきんちゃん」の英語劇を数名ずつ演じる練習でしょうか。小口先生の「エクササイズ!」という掛け声から、先生の歌声と手拍子に合わせて、ダンス的な動きになってきました。

受験生どうしがペアを組んでエクササイズする場面からは、9名で奇数の受験生に一人足りなかったため、周囲でお手伝いをしていた係の(英語の?)先生がグループに加わります。

そして、エクササイズは楽しい雰囲気のなかで続いていき、受験生の表情はますます明るく、笑い声が聞こえるようになってきました。

夢中になって身体を動かし、大きな声で英語の台詞を発声!

その辺りの動きになってからは、もうとても「これが入試?」とは思えない雰囲気になってきました。まさにこれは、聖セシリア女子の「イングリッシュ エクスプレス」の授業そのものなのかもしれません。

しかし、もともと中学入試とは、それぞれの私立学校の独自の理念や教育姿勢が反映した「学校の顔」でもあります。それを各私学の「0時間目の授業」と表現することもあります。

その意味では、この聖セシリア女子のB方式「英語表現入試」は、まさに同校の中高6年間で行われる“英語教育の顔”と言っても良いのでしょう。

9名の受験生は、すでにこの「赤ずきんちゃん」のミニ英語劇のエクササイズに夢中になって、笑顔で様々な「身体表現」に取り組んでいます。

それにしても見事なのは、受験生の反応をその都度キャッチして、すかさず次のアクションに導いていくリズミカルかつ楽しさいっぱいのリードと進行の上手さです。英語芸術学校MARBLES主宰のプロなので当然のことなのかもしれませんが、さすが演出家であり英語劇スペシャリストである小口 真澄(こぐち ますみ)先生だと感心して見入ってしまいました。

受験生全員から「楽しかった」「またやりたい」などの感想が!

およそ30分間にわたる「身体表現」の時間の最後には、3人、3人と、先生お一人を加えた4人のチームで、ほぼ完成した「赤ずきんちゃん」のミニ英語劇を披露します。

1時間に満たない時間のなかで、思い切り身体を動かし、大きな声を出すことに慣れてきた受験生の皆さんは、もうすっかり、小口先生の歌声に合わせて、身体とリズムでその動きと英語の台詞を身に着けたようです。

各チームが演技を披露した後には、小口先生と受験生のみんなからの大きな拍手が!

終了時には、もう一度輪になって手をつないで、この「身体表現」の体験を振り返ります。小口先生の「いま感じたことを、ひと言で!」という質問(振り)に、受験生が一人ずつ答えていきます。

「楽しかった!」、「リラックスしてできました!」、「めちゃ楽しかった!」、「入試でいちばん楽しかった!」、「またやりたくなりました!」、「めちゃめちゃ楽しかったです!」、「もっとやりたかったです!」、「またこういう時間を経験したいです!」などの感想のひとつひとつに、小口先生は「OK!」、「グレイト!」、「イエーイ!」と相槌を打ち、場を最後まで盛り上げていきます。途中から参加してくれた先生も「みんなの笑顔がとても素敵でした!」と感想を伝えてくれました。

プレゼンテーション入試やグループワーク入試などの「新タイプ入試」にチャレンジした受験生からは、やはり終了後に「楽しかった!」という感想を聞くことも多いのですが、受験生全員から、「楽しかった!」という声を聞く入試を取材したのは今回が初めてでした。

「これが新しい入試か!」と、またひとつ衝撃を与えてくれた聖セシリア女子中の「英語表現入試」の楽しさを、一人でも多くの英語好きな受験生に知ってもらえればと思います!