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今春2022年入試では146校が「英語(選択)入試」を実施!

今春2022年の首都圏中学入試では、計146校(昨年143校)が「英語(選択)入試」を実施しました。

2年続きのコロナ禍のもとで行われた今年の首都圏中学入試も一段落しましたが、今春2022年の首都圏中学入試で行われた「英語(選択)入試」の実施校数は、前年の143校から3校増えて、計146校《うち私立中142校・国立中1校》となりました。

さらに増加した「英語(選択)入試」導入校!

首都圏の中学入試では、2014年から2021年にかけての7年間に、一般入試で(帰国生入試以外で)「英語(選択)入試」を実施した私立・国立中学校は、15校→33校→64校→95校→112校→125校→141校→143校(うち私立中学は142校)に増えてきました。

そして今春2022年の首都圏中学入試で行われた「英語(選択)入試」の実施校数を首都圏模試センターが調べたところ、前年の143校から3校増えて、計146校《うち私立中145校・国立中1校》に上ることが判明しました。

この「英語(選択)入試」の志願者数と実受験者数を正確に集計することは難しいのですが、2月17日現在ではまだ推定値を含む集計の途中です。

【お詫びと訂正】2022年6月6日 追記
上記資料に一部誤りがありましたので、訂正いたします。
日本大学中学校の備考欄に、「英検2級以上の取得者は、英語試験の免除可」の記載がありましたが、免除対象の入試は、Aー2入試ではなく、帰国生入試でした。
お詫びして訂正いたします。誠に申し訳ございませんでした。

今春2022年入試は、実質的な「英語入試解禁」元年!

前年の143校から146校と、3校の増加にとどまっていますが、実際には「英語(選択)入試」を新設した学校数と、逆にそれまで実施していた「英語(選択)入試」を取りやめるケースとが相殺された分があります。いずれのしても、微増ではありますが、「英語(選択)入試」導入校が引き続き増加に向かっていることは確かです。

また、小学校の新『学習指導要領』が2020年度から全面実施され、英語が小5から教科科されたなかで英語の学習に親しんできた新小6の子どもたちが中学入試にチャレンジしたのが、今春2022年入試です。その意味では、実質的な「英語入試解禁元年」を迎えたことも意識しておきたいところです。

たとえば茨城県で人気の私立中高一貫校(小・中・高一貫校)である江戸川学園取手中学校では、今春2022年入試から全回の教科型の中学入試を「英語を含む5教科で実施」しました。おそらく日本初の同校の入試改革が、今後の全国の中学入試に与える影響は少なくないと思われます。

新たに導入した英語の試験は、約20分間の英語の放送を聞いて、問いに記号で答えるという基礎的なレベルで、今後「小学校での英語学習も大切にしてほしい」という学校側のメッセージでもあります。配点は国・算各100点、社・理・英各50点の計350点満点で実施されています。詳細は同校の今後の説明会やWebサイトで公表される内容をご確認ください。


また、小学校でも英語に力を入れている同学園だけに、すでに現在の中学入試では、上記の「国・算・社・理・英」の5教科入試の導入以前から、英語の得意な受験生のための、ハイレベルの英語力を試す英語入試も実施されています。

「2020年大学入試改革」に向けた英語教育と入試の変化

現在の小学生が直面する「2020年大学入試改革」に向けては、従来の日本の英語教育の課題とされてきた「英語の4技能」を総合的に評価するために、英検やGTEC-CBT、IELTS、TEAP、TOEFL-iBT、TOEICなどの民間の資格・検定が導入されるという方向性が示され、その動きは、すでに私立大学や一部の国立大学の入試でも具体化しつつあります。

これまでの「大学入試センター試験」に代わって2021年1月から新たに実施された「大学入学共通テスト」への英語民間検定の導入は先送りになりましたが、現在の小学生が大学入試に挑む2025年度以降には、大きく変わることが予想されます。

中学入試における「英語入試」の増加は、そうした日本の大学入試と教育全体の大きな変化と、小学校での「英語の教科化」に先駆けて、従来から「英語教育に力を入れてきた」私立中高一貫校の教育姿勢の反映ともいえるでしょう。

すでに英語を学んできた小学生や、英語が好きで、これから英語の学習をがんばってみたいという多くの小学生に向けて、「本校の中高6年間でさらに英語の力を伸ばしてみませんか?」というメッセージを発信し、そうした小学生が私立中高一貫校に進学できるよう、これまで以上に門戸を広げてくれたことになります。

資格の取得が問われる英語力の目安になり、特待生制度もある!

とくに、この1~2年の間に新設された「英語(選択)入試」で注目すべき点は、ついに「英語の筆記試験」を実施せず、インタビューや対話形式での面接や、グループワークで交わす「英会話」を通して、受験生のリスニングとスピーキングの力(資質)を評価する私立中も現れたことです。

これによって、英検やその他の英語(筆記)試験を受けたことのない、たとえば英会話スクールだけで英語を学んできた小学生も、怖がらずに中学受験にチャレンジしていけることになります。

さらに、2019年入試からは神奈川の人気校、慶應義塾湘南藤沢中等部が、「英語(選択)入試」を実施しました。一方でさいたま市に新設された、首都圏では初めて「IB(国際バカロレア)プログラム」の導入を謳う公立中高一貫校となった大宮国際中等教育学校の「適性検査」には、英語の出題が開校初年度から堂々と出題されています。これらの動きの影響で、中学入試における「英語入試の増加」には、いっそう拍車がかかることが予想されます。

もちろん、英検をはじめとした検定試験で資格を取得している小学生は、多くの「英語(選択)入試」実施校で示している「英検4級以上」、「英検3級程度」など、そこで問われる英語力の目安を知ったうえで受験に挑むことができるので安心です。

なかには、たとえば英検3級~2級以上の資格を取得している受験生には「特待生制度」を適用する私学もあり、思った以上の配慮や特典が加えられる恵まれた状況が出てきました。

「何らかの形で英語の力が生かせる」入試はさらに増加!

あるいは、特別に「英語(選択)入試」は実施していなくても、英検などの資格取得によって得点が加算されるというケースもあります(「英検(日本英語検定)協会のWebサイトの「受験・進学に『効く』英検!入試優遇・単位認定制度 中学校の優遇校を探す」コーナーではすでにこうした情報も紹介されています)。

もちろん、現在の中学入試では、いまでも国語・算数の2科目か、あるいは国・算・社・理の4科目の学力がしっかりと問われる入試形態が主流であることに変わりはありません。

しかし、進学塾で2~3年の間、受験勉強に励んできた小学生も、英会話の学習に励んできた小学生も、それぞれにがんばってきた学習履歴と、そこで身につけた力や資質、活動歴が評価され、それが志望校への合格につながるのであれば、多くの小学生と保護者にとっては歓迎すべきことでしょう。

そういう意味では、こうして「何らかの形で英語の力が生かせる」入試の形態は、「英語の好きな」「英語の力をもっと高めたい」と思っている小学生の皆さんと保護者にとっては朗報ともいえるでしょう。受け入れの門戸がさらに大きく広がった、首都圏中学入試の「英語(選択)入試」に、思い切って挑戦してみませんか?

また、各都県の公立中高一貫校を第1志望にしている受検生(英語の既習者であれば)や、海外から帰国後に数年たってしまったために「帰国生枠」では受験できない帰国生の皆さんも、こうした「英語(選択)入試」を併願校のひとつに検討していただくとよいでしょう。

今春2022年首都圏中学入試での「英語入試」実施校〈首都圏〉は、この記事冒頭の「資料」をクリックして、添付PDFファイルの一覧表をご参照ください。

※2020年7月の江戸川学園取手中「私学の魂」記事はコチラからご覧いただけます。