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新渡戸文化中学校、「好きなこと入試」ライブ型を2月3日午後に実施

2月3日午後、新渡戸文化中学校の「好きなこと入試」が、初のライブ型で行われました。

新渡戸文化中学校(東京都中野区)は、2021年より「好きなこと入試」を行なっています。“好きなこと”が、社会をよくすることにどのように関わっているか、それが、この入試の大切にしている点。2022年入試では、従来の対面型に加え、3日午後にライブ型を追加して行われました。
(取材・撮影・文 / 市川理香)

「好きなこと入試」とは

「好きなこと入試」には対面型とライブ型とがあり、ともに「自分の“好きなもの”や“好きなこと”を表現し、そのことが社会をよくすることにどのように関わっているか」についてアピールする5分のアピールタイムと、その内容などに関する10分程度の口頭試問とで行われます。
対面型は学校の教室が会場。ライブ型は、学校に集合し諸注意を聞いた後、それぞれが好きなことをアピールできる場所に移動してオンラインに接続して行うもので、今年初めて実施されました。
3日午後とあって、それまでの日程で合格しているなどでこぢんまりした規模ですが、受験生の熱量は他日程・他入試に引けを取らないものです。

どこからでも、何でもよし

受験生が何をアピールするか、どこから接続するかなど、事前の申告はなし。当日、集合したところで、移動先でアピールを始められる時刻だけを申告してもらい、一旦解散。受験生が移動する間、学校では2人1組の面接官が、それぞれの会場に移動し、ノートパソコンやタブレットのセッティングをして受験生の接続を待ちます。どの面接官も、どんなことをアピールするのだろうと楽しみにしているのでしょう、ワクワクを隠しません。スタート時間はまちまちなので、モバイルも駆使してグループチャットで各部屋の状況を共有。また担当者以外もZoomに入室して音声や画面表示の操作などをサポートされており、Zoomの操作に慣れていなくても、安心してアピールに臨める安心感がありました。

Wi-Fiが接続できる環境であれば屋外でも屋内でも良いオンラインでのプレゼンテーションですので、バーチャル背景禁止、受験生のみが映るようにし他者の指示やアドバイスが確認されれば不正行為と見なすなど、公平性を担保するのは言うまでもありません。カメラワークなどの補助は認められていましたが、どの受験生も、自分で接続、自分でカメラアングルを変えるなど、各々の力で乗り切っていたようです。

大切なこと

「好きなこと」を自由に、とはいえ、入試の注意点や評価のポイントには、新渡戸文化学園全体で、この3年の間に進めてきた改革のコアである、自律した学習者を育て「幸せのために社会に行動を起こせるHappiness Creator」を目指すこと、統括校長補佐の山本崇雄先生の言葉を借りれば、「誰かを笑顔にするのは大変。そのために勉強が必要」ということが反映されます。よって、この入試では「伝えようとする気持ちがあるか」と同時に、「新渡戸文化学園の教育を理解しているか(マッチしているか)」という点も大切です。

【評価のポイント】
・表現や実演よりも、その後の言葉による説明を重視
・持ち時間の半分以上は言葉で説明する
・自分の好きなことを、困っている人を助けたり、誰かを笑顔にしたりするなど、社会に役立てる観点が入っている
・表現するためのものを十分に活用している
(入試要項より一部編集)

入試で成長する

また、同校の2科目型入試で実施されるグループワークにも通じる(コロナ禍で制限されてしまいますが)、個人のアピールにも対話、他者との関わりを求めていることを抜きに語れないでしょう。通常の教科型の受験勉強への取り組みとは異なり、アピール内容を考え準備する段階で他者と関わり対話が起こることへの期待は、「入試で成長してほしい」という言葉にも現れています。今年、既に合格しながらも、3回設けられた「好きなこと入試」を全回受験して、受験しながら成長したいという受験生もいたそうです。来年は、もっと多彩な場所から多様なアピールを聞きたいと、先生方はすでに次の入試を見据えています。そのための発信も考えたいとのことで、2年目が今からもう楽しみです。
「新渡戸文化学園のことをあまり知らないまま受験したとしても、その受験生が、好きなこと入試によって、地球や社会に向かって行動することに気づき、育ってくれれば、それはそれでいいんです」と山本先生は、中学入試へ一石投じる思いを吐露します。

新渡戸文化中学校の教室の机は、6台を合わせると生徒6人が丸くなるよう計算された特注品です。それは、6人が対話する際に対等であるための形。この教室で行われる授業を想像して、今回取材した入試とのブレない関係がうかがえた気がします。実際に授業を受けてみたいと思いながら、学校を後にしました。