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受験情報ブログ

日本初、藤村女子「ナゾ解き入試」は「ん?」「あ!」「そう!」

2021年2月1日、藤村女子「ナゾ解き入試」が行われました。その“日本初”の現場を取材しました。

2021年2月1日の午前中、日本初、藤村女子の「ナゾ解き」入試、一回めが行われました。実施が公表されたのは昨年8月。謎解き好きの間でも大きな話題を呼んだとはいえ、「入試で?」と不思議に思った人は少なくないでしょう。
それが、できるんです、入試として。その「ナゾ」を取材しました。
<取材・撮影・文 /市川理香>

着想から実施に向け着々と進んできた「ナゾ解き入試」も、受験生の皆さんに広く知らせ、さらに体験してもらうための説明会やイベント等がコロナ禍の影響を受けて中止や制約の波にさらされました。それでも1月23日の直前体験会には11名の参加があり、その日に出願を決めた受験生もいたとのこと。2月1日、6日、11日の3回設定されたナゾ解き入試で、1日に出願したのは9名。全員が試験会場に揃いました。

「謎検型」と「脱出ゲーム型」の2本立て

藤村女子と、謎解きイベントや出版、謎検(謎解き能力検定)などを展開している企業SCRAPとの協力で実現した、この入試。構成は、「謎検」(15分)、場所移しての「脱出ゲーム型」(45分)の2本立てです。

「謎検型」は、普通教室で行われるので、一見すると従来の科目型の入試風景と何も変わりません。ただ、解いているは、国語・算数・社会・理科の内容に即した「謎検型」10問。知っている知識の引き出しから何を取り出すか、そしてそれに全く別の視点からのひらめきや発想がどう加わるのか。「謎検」の問題集やテレビなどで触れる謎解き問題に、4科目の要素が加味されたものと考えると分かりやすいかもしれません。そこに、「ナゾ解き」が入試を変える可能性が隠されているように思えます。

さて、次の「脱出ゲーム型」は一転して、地下の小講堂に場を移しチームで取り組むグループワーク。ひとり机にじっと座って解くものではありません。

「ここは宝島」

「ここは宝島です」。冒頭で進行役の先生が宣言。

今日の「脱出ゲーム型」の設定は、トレジャーハンターの受験生がチーム一丸となって謎を解き、宝物が隠されている場所を見つけ地図を完成させよう、というもの。会場には極力、備品は何も置かないことになっているので、床と、壁と、天井、そして壁に張られた数枚の紙。のっぺりした会場なのに、謎検型で鉛筆を握っていた時とは、受験生の目の輝き方が少し違います。
そうはいっても、初対面のメンバーなので、まずは、名前と無人島に持って行きたいもので自己紹介。ただし、その品物は名前の頭文字から始まるもの。ちょっと宝島めいたヒネリが加わっておりました。

実は各チームに、藤村女子の先生が一人ずつ、トレジャーハンターとして加わっています。受験生とも初対面ですし、入試の流れも知らされず、もちろん謎解きの問題も見ていない「仲間」です。自己紹介の次は、各チームに与えられた言葉から連想する漢字一文字をメンバーがそれぞれ書き、その先生に当ててもらうゲーム。写真で壁に向いて立っているお二人がその先生ですが、「当てられるかしら」「わかるかしら」という不安が、その背中に・・・。

結果は見事的中、おっと残念とに分かれましたが、緊張がほぐれて、チームに親密感が漂い始めたようです。受験生はマスクをして試験に臨むのが“ノーマル”なコロナ禍の中での入試。「脱出ゲーム型」会場では、さらに学校から配られたフェイスシールドを重ねて感染防止を徹底しての協働作業となりました。そんな感染防止グッズを使っていても気持ちを伝え合うにはどう声を出したら良いかも考えながらのスタートでした。

チームの個性も出るナゾ解きタイム

いよいよ45分の宝探し地図作り(ナゾ解き)。

7個のナゾを解くと、洞窟に隠れている妖精からヒントをもらえます。そのヒントをもとに、残りの3つのナゾを解ききると、見事、宝島の地図に財宝への道順が描けます。ヒントカードを渡せば司会の先生からヒントをもらえるチャンスがそれぞれのチームに5回ありました。ただ、それを生かすことや、導き出した答えを地図に書き込むことには、ほんの少しの勇気が必要なようでした。もっと受験生が思い切って書けるようにしてあげればよかったかなという学校としての反省は、2回目以降に生かされるようです。

採点は?

各チームには2人の試験官が付き、評価項目をチェックします。

項目は「行動力」「会話力」「考察力」「洞察力」「発想力」の5つ。それぞれにいくつかのチェック項目が設けられており、ポイント化できるようになっています。また予め用意したポイントに含まれないことがあれば備考欄に加えられるようになっており、受験生の良いところを発見したいという学校の姿勢が現れています。
どんなナゾが出されたのか、どうやってみんながクリアしたのか。それはまだ入試が続いているので(ナゾ解き入試は、6日と11日にも実施)、明かすことはできません。ご容赦を。

受験生から自然に、「ん?」「あっ!」「そうか!」と声が上がります。みんなで机の下に潜り込んでナゾのカケラを探したり、自分だけでなく仲間のひらめきを楽しんだり喜んだりする姿は、役割分担や協働作業、情報の共有、情報の整理という言葉に置き換えられるものかもしれません。「ナゾ解き」という、2科目や4科目という従来型の入試とは違う視点で行われる、「新しい入試」だったとお伝えしたいと思います。

♫♪タリラリタタリラリーツレツレツー

♫♪ターラリタタタタ ラッタラララー タリラリタタリラリーツレツレツー♪
“宝島”には、音楽(インストゥルメンタル)が流れていました。
SCRAPの担当者曰く、「POPなものを選びました」

確かにワクワクするような、会場に流れる明るい音楽が、知らず知らずのうちに、頭と心を柔らかくしてくれたようです。自己紹介やミニゲームでもほぐれなかった最後の小さな塊が、「ナゾ解き」に入ってから瞬く間に消えて、チームのメンバーの親密感がグググググッとアップしていくのが手に取るよう分かります。「親密になってから、すぐに行動に移っているのは、大人との違い」とSCRAP担当者を唸らせました。

各チームの地図は、完成までもう一息というところで45分経過。最後に全員でナゾの答え合わせをして、財宝までの道順を確認しました。終了のコールと共に自然に拍手でお互いの健闘を讃え合うのも、こうした入試ならではの風景でしょう。
ちなみに音楽も、残り時間5分のところでミステリータッチのものに変わっていたのですが、受験生の皆さんは気づいていたかな・・・。それほどナゾ解きに夢中になっていたようです。

ナゾ解き入試から、4月の新しい授業へ

「ナゾ解き入試」導入は、2021年4月からの新しい授業に繋がっています。これまでも吉祥寺を学びの場とした「ふじ活」というフィールドワークを行ってきましたが、新しい授業はこれを進化させ、縦割りのゼミ形式で、わかることを楽しめるものとして構築していくと言います。

受験勉強で積み上げるものも活かせて、自分の発想力やひらめきも試せる入試をしている学校、そんな授業が始まる学校、藤村女子のことを知りたいと思う5年生以下のみなさん、2月27日に「中学体験会」があります。「ふじ活」の授業体験やクラブ活動体験が予定されています。

予約はこちらから。
コロナウイルス感染状況によって、実施内容が変更になる場合があります。ご留意ください。