豊島岡女子学園中の2/2実施 1回入試レポート
人気女子伝統校・豊島岡女子学園中学校・高等学校では、例年2月2日に第1回入試を実施しています。首都圏トップクラスの女子受験生たちが集う豊島岡女子学園の2025年第1回「4教科入試」の様子と今年度から始まった「算数・英語資格入試」について、さらに同校の教育の近況をレポートします。〈取材・撮影・文/市村幸妙〉
首都圏の女子トップ層が一堂に会する
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1月から雪の予報が出されていた2025年2月2日。東京23区内も積雪の可能性が指摘され、路面の凍結や電車の遅延などが心配されていましたが、せめてもの救いとして当日は朝から雨となりました。
この日に実施された豊島岡女子学園中学校の第1回「4教科入試」の開門予定は7時です。受験生は登校順に試験会場に入室しますが、点呼時間は8時5分、15分、25分と、混雑緩和のため3つのグループに分けられています。
筆者が到着した6時50分頃にはすでに開門されており、何人もの受験生が「蝶の間」と呼ばれる応接コーナーで待機していました。
ただし、保護者が校内の控室に入れるのは8時30分以降なので、まだまだ離れ難いという受験生と保護者は校舎に沿って待機しており、行列ができていました。6時55分頃には入場が開始され、校門前で親子はしばしのお別れです。
この日は日曜日だったこともあり、両親と一緒に来ている受験生や来年度の受験生と見られる親子の姿も多く見られました。
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悪天候に備えたか、受験生たちの登校時間は例年に比べて全体的に前倒しの傾向にあったと感じました。
最初のピークは7時過ぎ頃、7時30分頃には早くも2回目のピークとなり、池袋駅から受験生たちの長い列が続きます。
校内には在校生も使用している、傘のしずく取りと滑り止め用のマットが用意されていました。その赤色のマットは、まるでレッドカーペットのように、受験生たちを歓迎しているように筆者には見えました。
校長の竹鼻志乃先生をはじめとした先生方は、受験生一人ひとりに語りかけるように「おはようございます」と挨拶して出迎えます。
なかには、竹鼻先生に「靴紐が解けているから気をつけて」と声をかけられ、少しそれた場所で結び直して安全に校内へ向かう受験生の姿もありました。
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順路に沿って校内を進み、奥行きのある車両出入り口で上履きに履き替えます。万が一上履きを忘れてしまったとしても、靴カバーがたくさん用意されているので大丈夫。学校は受験生たちが安心して入試を受けられる体制を整えているので、まずは落ち着いて、学校へ向かうようにしましょう。
そのまま廊下を突き進み、講堂の入り口・ホワイエ手前の階段を上がると試験会場になります。
一段一段を力強く階段を踏み締めていく受験生たちの様子に頼もしさも感じました。
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保護者控室として講堂が用意されていますが、入場できるのは8時30分以降。我が子を見送った保護者たちの待機列が、車両出入り口側にできています。
受験生はあらかた試験会場へ入ったことでしょう。こちらも5分ほど早く入場が開始されました。
第1回「算数・英語資格入試」の出願数は106名
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豊島岡女子学園で2025年度入試から新たに始まったのが「算数・英語資格入試」です。募集人員は若干名ながら、2月2日の第1回入試では106名の志願者がいました。
この入試は試験自体は算数のみで、英検の取得級によってみなし得点を加え判定するものです。4教科受験・グループ3の算数と同時刻の9時50分から試験開始なので、9時35分に点呼が行われ、8時40分から校内への入場が可能です。
「算数・英語資格入試」を導入した理由を竹鼻先生に伺いました。
「2023年から編入学入試を行っているのですが、高い英語力を持つ方が多く入学し活躍しています。学校説明会での個別相談の際などにインターナショナルスクールに通われているご家庭の方々からもよくお問い合わせをいただいていたこともあり、需要があるのだと実施に踏み切りました。
今回の募集では4教科入試と併願される方も多いので、受験勉強も英語の学習もしっかりとされているご家庭が多いことを改めて認識できました」
編入学入試を経た在校生たちは、国語や社会の学習では多少遅れを取ることがあっても、先生方や友だちのサポートを受けながら、何よりも楽しそうに学校生活を送っている姿をうれしく思う、と竹鼻先生は話します。
第1〜第3回まですべての入試回で実施されましたが、合計286名の志願者があり、計32名の合格者が出ています。この生徒たちも、校内をより活性化させていく一人ひとりとなるのです。
学校をきれいに磨き、全校で出迎える準備を
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豊島岡女子学園へ足を運んだことのある方ならご存知だと思いますが、同校の校舎は竣工から30年を経ているにも関わらず、非常に美観が保たれています。
これは生徒たちが日々、自分たちが使う場所だからと丁寧に掃除し、愛着を持って大切に学校生活を送っている証。生徒たちで校舎や教室をきれいにするというのは、同校の伝統なのです。
以前はトイレ掃除も生徒たちの手によるものでした。しかし、コロナ禍以降は感染症対策として行われることはなくなり、学校内でトイレ掃除を経験していたのは、高3生のみとなっていました。
そうしたなか、今年2025年度入試では、受験生のためのトイレ掃除を全学年の生徒たちが行いました。
「過去には、トイレがきれいだからと本校を志望した受験生がいたほどです。そんな話を生徒や保護者にしたら、2024年度の文化祭では自分たちできれいに掃除して来校者の皆さんを迎えようということで、生徒によるトイレ掃除が実施されました。その後、学期の区切りで行う大掃除の時には全学年で取り組むようにしました」
特に保護者たちからは大賛成の声が上がり、在校生たちからも異論は出ずに「最近の子たちも嫌がらずにやってくれてホッとしました」と竹鼻先生は笑います。
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今度の3月に予定され、たくさんの生徒たちが楽しみにしているのは、「ハートフルネス」を研究するスタンフォード大学のスティーヴン・マーフィ重松教授による特別プログラムです。竹鼻先生が教えてくれました。
「最初は教員が学びたいと申し出てきて受講したところ、その内容にいたく感動したことをきっかけに、生徒たちへの3日間の特別講座を行っていただけることになりました。とても人気で、結局は抽選になりました」
生徒と共に先生方も一緒に学び、成長していく経験を積んでいる豊島岡女子学園の生活。コツコツと日々努力する堅実さを持ち合わせつつも、年々アップデートされる教育内容に目が離せません。
一度皆さんもぜひ、そのきれいな校舎で学ぶ生徒たちの姿をご覧ください。