2月2日(金)、豊島岡女子学園中学校の1回入試をレポート
創立130年超を誇る完全中高一貫の女子伝統校、豊島岡女子学園中学校・高等学校。1回入試は例年、2月2日に実施され、首都圏最高峰の学力を誇る受験生たちが集います。同校の1回入試の様子をお伝えします。〈取材・撮影・文/市村幸妙〉
温かな心配りが見える豊島岡女子学園の入試
春を感じさせるような暖かさだった前日から一変、冷え込みが厳しくなった2月2日。
2024年度1回入試を実施した豊島岡女子学園中学校・高等学校は、JRや東京メトロの各線、西武池袋線や東武東上線などが乗り入れる、東京を代表するターミナル駅の一つ・池袋駅から徒歩約7分の交通至便なところに位置します。
最寄駅は東京メトロ有楽町線東池袋駅で、2番出口からは徒歩2分ほどなので、繁華街を避けたい場合や悪天候などでも安心です。
入試当日の開門時間は7時ですが、6時45分頃に筆者が到着すると門はすでに半分開いており、「蝶の間」と呼ばれる応接コーナーで待機している受験生たちがいました。
冷える季節のこの対応は、同校の受験生への思いを表す温かな一例です。
例年に比べると今年は、ここで会場準備を待つ受験生の数が増えた印象を抱きました。応接コーナーの席数には限りがあるので、ご注意ください。
そうした影響もあったか、今年は予定の時間より少し早く、6時55分頃から開場が始まりました。
同校の集合時間はコロナ禍以降、混雑緩和のために、8時05分、15分、25分の3グループに分かれ、入室順に着席していきます。グループ1の点呼・説明は8時5分〜20分、グループ2は8時15分〜30分、グループ3は8時25分〜40分となっており、終了時間は試験開始時間に伴ってずれていきます。
受験生の退出時間はホームページでわかるので、保護者は安心です。
なお、お手伝いは有志の中3生と高3生たちが担います。今年は約70名の生徒が志願しました。元々、受験生のサポートは大学受験を終えた高3生が行っていましたが、昨年からは中3の生徒たちが参加するようになりました。
生徒たちの声を先生方が受け止める、同校の生徒と教師との信頼関係の深さがよくわかるでしょう。
開門から入場まで
開門後、受験生たちは続々とやってきますが、特に混雑や混乱などは見られません。到着時間のピークは7時30分頃でしょうか。といっても、受験生たちの列は8時を回っても続きます。3グループ制になっているからか、受験生たちは慌てることなく登校してきているように見えます。もちろん受験生たちの実際の気持ちを完全に知ることはできません。そのように見えるのは、適度なリラックス状態で入試に臨んでほしいという、私たちの思いが反映されているだけなのかもしれません。
保護者も余計な緊張感は与えまいとしているのか、「いってらっしゃい!」「いつも通りでね」などと、ごくさらりとした声かけをされている方が多いように見受けられました。
この時間、正門から先へ入れるのは、基本的に受験生のみ。
校長の竹鼻志乃先生をはじめ、先生方の明るい声が受験生一人ひとりにかけられているかのような出迎えで響きます。
発熱し保健室受験を希望する受験生や松葉杖をついている受験生には保護者が付き添っていましたが、多くの受験生は入試会場に向けて力強い足取りで進んでいました。
校内へ入ると正面に、手指消毒用のスプレーが複数あり、使用は自由です。その先にある車両出入口で上履きに履き替えます。
上履きを万が一忘れてしまった場合もシューズカバーがたくさん準備されているので安心です。
受験生たちは順次、廊下を真っ直ぐ突き進み、いざ階上の入試会場へと向かいます。
今年はコロナ禍には取りやめていた、講堂での保護者控室が用意されていました。
ただし、校内へ入場できるのは受験生の点呼がすべて終わった8時30分以降です。
講堂に近い、車両出入口の外側で待っていた保護者から先に入場が始まりました。
その後、正門側で待っていた保護者の入場も行われました。
温かな講堂は、保護者たちのホッとした空気感とピリリとした緊張感がないまぜになったような雰囲気が漂っていました。
講堂の前には、入試の時間割と終了時間の情報を読み込めるQRコードが掲示されています。
伝統校・豊島岡女子のチャレンジングな取り組みとは
豊島岡女子学園のHPを見ると、「伝統を受け継ぎ、新しいチャレンジも」と記されています。
2022年度からオンラインにて、高2は「合同探究」として互いの発表を通じて視野を広げる学びを追求、中1・2は「協働プログラム」として異文化交流をインドの女子校と実施していた同校。
2023年12月、提携校であるウッタムスクールという名門女子校を高1・高2の12人の生徒が訪問しました。
期間は5日間と短いですが、ホームステイと探究学習の発表の他に、研究水準の高さが世界的に知られている、インド工科大学デリー校での講義にも挑みました。
なぜインドの学校との交流だったのでしょうか。竹鼻先生が教えてくれます。
「非英語圏で、アジア圏の学校との交流を希望していました。多言語を使い多民族国家であり、経済成長を続けるインドは多様性の宝庫です。
インド訛りの英語は生徒たちにとって理解しづらく挑戦も多々ありましたが、互いに傾聴する姿勢と伝えたいという思いでコミュニケーションを取れたことに大きな学びがありましたし、生徒自身が自分の成長に気づけた喜びにもつながりました」
生徒たちは本場のヨガやクリケット、インドの伝統的な鬼ごっこのようなスポーツ・コーコーなども楽しんだ一方、環境問題や壮絶な貧富の差なども目の当たりにしてきました。
彼女たちがインドで体験した旅の様子を記したポスターが校内に掲示されています。
ぜひ豊島岡女子学園に足を運び、見て感じていただきたいと思います。あわせて進化を止めない同校の学校生活、そして生徒たちの生き生きとした様子もご覧ください。