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コロナ禍にも関わらず、受験者倍増となった和洋九段女子中のPBL型入試(後編)

2019年より始まった和洋九段女子の「PBL型入試」(2/1)には、昨年の倍の受験者が集まりました。

2019年より始まった、和洋九段女子の「PBL型入試」。日本一入試らしくない入試にこだわって、年々志願者数を増やしてきました。しかし、今年度は新型コロナ感染症の影響で、入試体験会を開くことができず、そのため出願は減るのではないかという予想に反して、昨年の倍の受験者が集まりました。〈取材・撮影・文/教育ジャーナリスト マザークエスト 代表 中曽根陽子〉

「コロナ禍にも関わらず、受験者倍増となった和洋九段女子中のPBL型入試(前編)」レポート記事の続きです。

ここまでで試験終了。

全体のファシリテートをしていた水野先生から、「大人でも答えを出すのが難しい問題に、向き合って皆さんよくがんばりました。この時間を通して、お互いに協力し合って、高められたなら良かったと思います。ぜひ、今日体験したことをお家の人に話してくださいね」という言葉が贈られ、グループの人にお礼を言い合って解散です。

受験生からは自然に笑みがこぼれ、中にはハイタッチをしようとする受験生たちも。きっと、この短い時間で、一緒に作り上げた仲間という意識が芽生えたのでしょう。それを見て、「あー気持ちは分かるけれど、ソーシャルディスタンスだから、エアタッチでね」という新井教頭先生の言葉と、先生方のエア花道の中を通って、受験生たちは笑顔で会場を後にしました。

「日本一入試らしくない入試を目指す」PBL入試を振り返って

和洋九段では、5年前から徐々にPBL型のアクティブ・ラーニング(双方向対話型授業)を授業に取り入れるようになり、今では全教科で積極的に行われているそうです。

PBLとは、問題解決型学習のことで、「思考力」「協働性」「プレゼンテーション力」など、これからの時代に不可欠となる力を実践的に身に付けることができると言われていて、教員から投げかけられる「トリガークエスチョン」が、生徒の知的好奇心を刺激する起爆剤となり、テーマについて、自ら調べ、人の意見を聞き、対話をすることで、思考を深めていきます。

さらに、「なぜ?」「どうして?」という問いかけによって、生徒たちの意欲がかき立てられ、受け身ではない主体的な学びの楽しさを実感した生徒たちが中心となって、クラス全体の議論へと発展していくのです。

入試問題は学校からのラブレター

入試問題は学校からのラブレターともいわれますが、和洋九段で行われているPBLとはいったいどのような授業なのか、何を大事にしているのかを伝え、そこに共感してくれる受験生に入学してほしいという学校の思いがこの入試を始めた理由だそうです。実際、PBL入試で入学した生徒たちは、クラスの対話の中心となって、全体にいい影響を与えているそうです。

今回の入試でも、「一緒にいる仲間とPBL入試を思いっきり楽しむこと。」「帰ったら、家族と今日の入試の内容について話すこと」が目標になっていましたが、それは入試を通して、学びの楽しさを体感し、和洋九段の教育を理解してほしいという学校の願いの現れだったのでしょう。

もちろん入試なので、取り組み方や態度などをきちんとした評価軸で点数化はしていきますが、その眼差しは、ダメなところを減点するのではなく、できているところを加点していくというもので、できるだけ一人ひとりの良いところを見つけていきたいという、思いが伝わってくる入試でした。