私が受験した、和洋九段女子の「楽しい」入試のことを知ってほしい。
和洋九段女子のPBL入試が始まったのは2019年入試から。2015年からPBL型授業(問題解決型学習:Problem Based Learning)を導入し生徒の成長を実感していたことが、新しい入試実施を後押ししました。体験会や学校説明会でも話を聞くこともできますが、語りきれない“何か”があるのではないか? そこで、2020年 PBL型入試から入学した中1生と入試を振り返りました。
体験会と本番は、どう違いましたか?
2020年のPBL型入試の流れは、動画を観る→動画を振り返り課題と解決方法を考える→グループ内で意見を発表→トリガークエスチョンの提示→自分の意見をまとめ、グループ内で発表→グループの意見を一つに絞る→グループ内で意見をブラッシュアップ→グループの代表者が発表(途中休憩あり)というものでした。
入試前に体験会を経験した皆さんは、「本番の方が緊張した」「テーマが難しかった」と言います。「本番は先生の表情も体験会とは違って、場の空気も重くて・・・」という本音に、入試で進行役を務めた教頭の新井誠司先生も、「今度は気をつけよう」と苦笑。
入試当日、緊張するのはごく自然なことですが、体験会で顔見知りになった子がいる、在校生が学校生活のことなど話してくれた、といったことが、その緊張を和らげてくれたようです。休憩時間を挟んで、一気に緊張はほどけていったことは、ファシリテーターの先生方もグループの話し合いの雰囲気からにも感じられたことでしょう。
Sさんの保護者は、「体験会が楽しみになっていたようだ」と、その頃を思い出してくださいました。
(なお本文中の保護者コメントはご家庭で聞いてきてもらいました)
「給食の時、PBL入試を受験することを知ったクラスメイトが心配してくれて、『一緒にやってみよう』と、PBLをやってみました」(Bさん)「体験会の後に、家族で同じようなお題を出して家族で意見を言い合う練習をしました」(Mさん)という体験談もありました。体験会で流れを掴んだら、ご家族やお友達と一つのテーマで話しあう時間を持って慣れておくと良いかもしれません。
体験会未経験、本番一発勝負となったとしても安心してください。体験会未経験で当日いきなり本番だったKさんは、こう言います。「初めての空間で知らない人と話せることも大切だと思います」
そしてもう一つアドバイス。「私は出会って最初は緊張してなかなか話せない性格ですが、慣れてきたら話せるようになるタチなので、PBL型入試は話し合いがあるので、いろいろな人と話せるようになることは大切だと思いました」
試験終了後、ご家族とどんなお話をしましたか?
「入試が終わってご家族と合流した時、どんな話をしましたか?」と聞くと、「どうだった?」「どういうことをしたの?」とお母様に色々聞かれて、試験のことを詳しくお話ししたというMさんのように、「どんなテーマだったの?」、「こんな風に自分は意見を言った」、そんな会話がご家庭の数だけあったようです。
「とにかく楽しかった、と何度も言いました」(Kさん)という気持ちは、みんなに共通。保護者の方々も、試験会場から出てきたときの我が子の「笑顔」を印象深く覚えていらっしゃいました。
「入試で扱ったテーマについて、その日の夕食の時に家族で話し合いました」(Gさん)という回答は、「お家の人とシェアしてくださいね」という入試当日の新井先生の挨拶がなくても、きっと実現していたのでは。
「入試なのに入試らしくない入試」を標榜するPBL型入試。当日の運営だけでなく、受験前後とも、日常生活とも繋がっていることもあるのではと思います。PBL型入試を知って体験会に参加する中で、ニュースを見たり、新聞を読んだりするようになった、グループの話し合いをリードするようになったり、気になるニュースを調べてノートにまとめることも習慣になったりしたとGさんのご家庭では、その成長ぶりを認めてくれているようです。
PBL型入試受験を勧めてくれたのは、どなたでしたか?
試験終了後の楽しそうな姿に「素の我が子の姿を見てもらえた!」という喜びの声は、一つではありませんでした。PBL型入試の受験生個々の長所、個性を見抜いて受験を勧めてくれた人たちの存在が大きいものだと分かります。
PBL型入試を勧めてくれたのはお母様だったり、塾の先生だったり、身近な方々だったそうです。
「明るい性格」「積極的なところ」「人とすぐ仲良くなれるところ」「塾で笑いながら楽しそうに話している姿」「人の意見を聞けること」「辛抱強い性格」「自分で決めたことをやり遂げる力」「チャレンジする力」「笑顔」。これらは、「入試を教えてくれた人が、あなたのどのような性格や長所を見つけてくれていましたか?」という質問への答えに出てきたものです。
実は皆さん、PBL型入試を勧められた時、「そういう入試があることを知らなかった」「何だか分からない」と思ったけれども、入試の内容を聞いて体験会に参加するうちに「楽しそう」「自分に向いているかも」と思うようになったそうです。やはり、飾らない自分を知っている家族や塾の先生の目は確かです。受験生自身も、人とは違う自分の良さを意識し、またそれを伸ばそうと思えたのも、入試を通しての収穫でしょうか。
「今までは自分の意見を一方的に発言してしまうところがあったのですが、PBL型入試の受験がきっかけで、友達の意見に耳を傾けるようになりました」(Bさん)と実感したようです。
「いろいろな可能性に目を向けて子どもたちを見守ってくださる学校の姿勢も分かった」(Kさんの保護者)、「粘り強い探究心、好奇心旺盛なところ、心根の優しさ、自分の意見を持てるところ、モラル、適切な自己主張など、教科の試験では測りきれない良さがPBL型入試なら全てわかる。だからあなたの良さを分かってくれる中学校に進学して欲しかった」(Rさんの通っていた塾の先生)という言葉は、受験勉強に悩んだり、受験校や受験科目に迷ったりしている皆様にお届けしたいと思います。
2021年の受験生へ
「PBL型入試が終わって、こうすればよかったと悔しく思ったことはありますか?」と聞いて見ました。
「ありません。最善を尽くせました」。きっぱり言い切ったのはSさん。体験会に何度か参加するうちに、PBLが楽しみになっていたそうですから、納得の答えです。
他の皆さんは、「もっと積極的に話しかけて、最初からみんなで話せるような空間を作りたかったです」(Kさん)、「自分だけグループのなかで意見が違って、焦って不安になってしまい、自分の意見を言えなくなった。人の意見も聞きたいけれど、もっと自分から発言すればよかったです」(Bさん)、「たくさん意見は言ったけれど、グループの人に明るく接することができず、悔しさが残りました」(Gさん)、「きちんとメモを取ればよかったです」(Mさん)と振り返ってくれました。
また「体験会で知っている人が多くて調子に乗ってしまった。減点されてないかなと心配した」という反省点をあげた人もいますが、それだけ意見を言いやすいと感じることができていたのでしょう。「話しすぎだからとか、間違っているからというような減点はありません、加点法だから」と新井先生が再確認してくださったことを付記しておきます。
夏休みに頑張ったこと
入試を振り返った後で、この夏休みに頑張ったことを聞きました。
「日本以外の国について調べるという社会の宿題」を頑張ったというのはSさん。和洋九段の海外研修先であるオーストラリアについて、森林火災などの現状も調べたそうです。
「運動! 祖母の家に行きたかったので、宿題は夏休みに入った週に終わらせました!」のはRさん。
Kさんは「海や川で、全力で遊んだ。波の強いところもわかったし、勉強よりいろいろ体験した夏休み」を過ごしたそうです。
Bさんは社会の宿題とスポーツ。特に体育の宿題だった体を動かすことは、友達とバレーボールするなどアクティブに過ごしたと元気一杯。
Gさんは、Zoomで行われたユニセフの活動や和洋九段女子の姉妹校との交流会に積極的に参加したそうです。「貧困層の子供達が今どのような生活をしているのか、自分がどのようなことをすれば良いのか、たくさん考えました」
Mさんは理科の宿題、マスクカバー作りを頑張ったと、その作品を見せてくれました。理科的な視点のあるマスクを作る、というもので、立体マスク「シロナガスクジラ」が完成。これには全員が自分の作品も持ち寄り大盛り上がり。マスクに仕立てた題材や工夫が、実に個性豊かで、「マスク」という概念をぶち壊してくれました。
コロナ禍で遅れていた部活動が始まるのが本当に楽しみで、「○○部にしよう!」「こことここは活動日が重なるから兼部できないし」「どうしよう」と話す屈託のなさは、学校生活の充実ぶりを何よりも物語ります。検温、マスクや消毒などの対策を取り、適切な距離を確保しながらの取材なのに、「希望」とハグしたような明るい時間でした。
今年の体験会
秋になり学校が会場となるリアルと、オンラインのハイブリッドな説明会開催が増えてきました。和洋九段女子でも、10月以降の受験生対象イベントを予定しています。PBL型入試は、11月17日に予定されている、入試対策勉強会で体験できます。国語、算数、社会、理科、新思考力入試対象の体験イベントはじめ、個別相談会、校舎見学会、説明会も今後、開催がありますので、学校ホームページでの発表をお待ちください。
予定はこちら。
2021年入試でも、2月1日午前にPBL型入試が行われます。
2科、4科、英語・英語スピーキング、新思考力、到達度テスト(国算)など日程毎に多様な科目設定がありますので、こちらからご確認ください。
《参考》2020年入試レポート
和洋九段女子、従来の枠組にとらわれない「PBL型入試」