首都圏女子最高峰の難度、桜蔭の頂を目指し529人の受験生が挑んだ
東京都心でも降雪となった前日より空模様は一転、澄み切った青空が広がった2月1日。東京都・神奈川県の中学入試が始まる日であり、多くの受験生にとって正念場となる日です。2019年度入試の桜蔭中学校の出願者数は529人と昨年とほぼ横ばいで、今年も非常に厳しいものとなりました。入試当日の様子をお伝えいたします。(取材・撮影・文/市村幸妙)
通称「桜蔭坂」を力強く上る受験生親子の姿
首都圏女子最難関の桜蔭中学校。最寄り駅はJR総武線もしくは都営地下鉄三田線「水道橋駅」です。いずれも徒歩5分程度ですが、通学路には6年間の通学で桜蔭生を健脚に育て上げる急こう配の忠弥坂、通称「桜䕃坂」があります。
7時15分頃、記者が学校に到着するとすでに開門されています。入試会場である校舎へ向かう階段の上には、すでにたくさんの塾の先生方が左右に花道を作ってスタンバイし、受験生たちが来るのを今か今かと待ち構えています。
7時30分頃までには、入試のサポートをする中3生が続々と西館、東館に分かれて校舎に入っていきます。3年前の自身の入試時を思って、手伝いを申し出るなどした在校生たちです。
桜蔭中学校の受付は8時から。余裕を持って受付時間前に到着した受験生親子は、保護者の控え室でもある講堂へと案内されます。
暖を取り、気持ちをほぐして入試に向かえるよう、室内はしっかりと、しかしほどよく温められています。最終確認のテキストに目を通す受験生や緊張をほぐしているのでしょうか、シートに座りフゥッと息を吐く受験生など様々です。
受験生親子が「桜蔭坂」へ到着する1回目のピークは7時45分頃。電車の到着時間に合わせて、坂道を受験生親子が上っていきます。混雑緩和のためか、7時50分過ぎには受験生の受付が始まりました。そのまま第2のピークである8時10分頃まで、坂道から校内へと続く受験生の長い列が連なっていました。
その坂を粛々と上る受験生たち。坂の中ほどには小学生新聞や塾のチラシ類を配る人々がおり、受験生へ激励の言葉をかけています。
坂を上りきったところで受験生親子を出迎えるのは、新聞各社やテレビクルーなど多くの報道陣です。注目度の高さが伺えますが、なかには試験前の受験生へのインタビューを敢行している様子も見られました。
親子がそれぞれ、いざ入試に挑む
校舎への階段を上りきったら、入試会場へ入れるのは受験生のみ。入口で親子はお別れです。
受験生はこれまで頑張ってきた自分を信じ力強く歩を進めます。その頑張りを見守ってきた保護者は我が子を信じて、明るく送り出しています。
受付最終時間は8時40分ですが、8時50分から受験番号順に行われる保護者面接の集合時間は8時20分です。講堂1階のロビーには保護者面接の開始時間が貼り出されており、各々チェックしています。最初の組は8時19分には保護者面接の受付について案内と連絡事項の放送が入ります。
講堂ロビーに集まり、会場である東館に向けて、整然と階段を上っていく保護者。緊張感がこちらにも伝わってきます。
保護者控室はこの1階の講堂のほか、地下1階にはぐるりと椅子が配置され、保護者が思い思いに過ごしていました。さらに地下2階の会議室も控室となっていて、そこでは飲食も可能です。
なかには居ても立っても居られないのか、近隣のコーヒーショップへ向かう保護者もいたようです。
なお、受験生を送り出してほっとしたせいもあるでしょう。面接前ということもあるのでしょう。特に地下1階の女性用手洗いが大行列していました。それに比べて地下2階は空いていたので、覚えていて損はないと思います。
8時35分頃、欠席なのか、まだ受付が済んでいないと思われる受験番号が呼び出されます。
インフルエンザが猛威を振るうなか、学校へ事前に連絡を入れる受験生がほとんどだと思いますが、入試当日に具合が悪くなってしまったのでしょうか。もしくは当日朝ギリギリまで様子を伺っていたのでしょうか。
もし我が子だったらと思うと胸が張り裂けそうになる保護者もきっといたことでしょう。
8時45分、一帯に予鈴が鳴り響きます。そして9時のチャイムと共に、平成最後の桜蔭の入試がいよいよ始まりました。
それぞれが実力を発揮し、憧れの学校の頂を目指していることを切に願います。