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受験情報ブログ

2月2日PM、日本大学豊山女子中学校「思考力(プレゼン)型入試①」が行われました。

日本大学豊山女子中学校「思考力(プレゼン)型入試」は2日PMと11日AM。2日の模様をレポートします...

2020年2月2日(日)午後15時30分。日本大学付属唯一の女子校、日本大学豊山女子中学校で今年度で4年目となる「思考力(プレゼン)型入試」が実施されました。2日PMと11日AMの2回行われ、今回は2日の1回目の入試にお邪魔してきました。募集人員5名のところ、受験者数は11名集まりました。(取材・撮影・文/北岡優希)

2020年2月2日(日)午後15時30分。日本大学付属唯一の女子校、日本大学豊山女子中学校で今年度で4年目となる「思考力(プレゼン)型入試」が実施されました。2日PMと11日AMの2回行われ、今回は2日の1回目の入試にお邪魔してきました。募集人員5名のところ、受験者数11名集まりました。

思考力型などの新タイプ入試を導入した私立中学校は年々増加しています。しかしその中には、ペーパーテストも実施して基礎力を測り、それに思考力を加点するといった形にしている学校もまだ少なくないと言えます。日本大学豊山女子中学校は、ペーパーテストなしの、純粋にこのプレゼンテーションのみで合否を判断する先進的な学校であると言えます。

柳澤校長先生の改革

それもそのはず、日大豊山女子は、2016年4月に現在の校長である柳澤一恵先生が校長に着任以来、次々と学内改革・入試改革を実現し、今急速に進化しつつある大学付属の女子校として注目を高めているのです。「私は女子にしばられない。」をフレーズに、ずんずんと突き進みワクワクすることを実践している、非常にかっこいい方です。

入試後お話のお時間をいただいたのですが、1時間以上も取ってくださり、教育に対する理念、生き方などをお話しくださいました。単純な私はそれだけでファンになり、別件で授業見学をさせていただく約束も取り付けました。

集合時間の15時30分、受験生はラーニングコモンズという、普段自習室として使っている広い部屋に通されます。ラーニングコモンズとは、もともと学生の学習支援を意図して大学図書館に設けられた場所のことを指します。情報通信環境が整い、自習・グループ学習の設備が用意され、相談係がいる開放的な学習空間のことを言います。もちろん、柳澤校長の発案です。

ラーニングコモンズには、BGMがかかっており、さながらカフェのような雰囲気です。受験生11人に対し、先生は常に5~6人はいて、受験生1人1人に声掛けをしています。受験生の方もそのおかげで緊張がほぐれ、笑顔を見せるようになりました。

15時30分が過ぎ、説明が始まりました。周りの先生が、見えづらそうな受験生の椅子の位置を調整したり、席を移動させたりします。まとめ作業は15時40分から17時10分までの90分間で、60分が過ぎた時点で準備ができた人から下の階に移動してプレゼンを始め、終わり次第帰宅、といった流れになります。

楽しい授業中のようなリラックスした雰囲気

受験生には、発表カード、テーマ一覧が書かれた問題用紙、調べたテーマをまとめるB4サイズの紙が渡されます。テーマをインターネットで調べる際に使うタブレットPCが1人1台使えます。自分のスマートフォンなどを使うこと、外部との連絡を取ることは禁止ですが、それ以外はほとんど自由です。

別場所に色鉛筆やカラーペン、などの文房具、またテーマに関する書籍が準備してあり、それをいつでも取りに行ったり、トイレに行ったりもできます。受験生同士が話をすることも可能だそうです。ネットで見つけた画像を印刷したい場合は、先生に頼んでやってもらいます。満足する書籍がなければ、先生と一緒に下の図書室に行き、2冊まで本を借りることもできます。はさみは左利き用のものまで用意している徹底ぶりです。

15時40分になり、それぞれが作業を始めていきます。

始まる前に先生方が話しかけて緊張をほぐしていたので、受験生たちは自然に先生に質問したり、移動したりができています。先生の方から積極的に話しかけ、普通に笑い合っている場面もあって、まるで授業中の一風景を見ているような錯覚になります。

さりげない適度な介入を積極的に行うことで、生徒たちは自発的に課題を発見し、改善、解決していくことができます。これが普段の授業でも行われているというのならば、現代の教育の最前線をいってるものだと思います。

受験生たちは、渡されたテーマ一覧の中から好きなものを1つ選び、それに関してまとめていきます。

テーマは9個あり、世界の文化、日本の世界遺産、税金、アレルギー、日本の色彩、東京2020オリンピック、環境保護、黄金比、好きな動物または昆虫、です。世界遺産、環境保護、アレルギーを選ぶ人が多かった印象でした。

発表カードには、選んだテーマとその理由、調べた資料、発表の組み立てなどを記入するその他メモの欄があり、これをベースにしてプレゼンの流れを自分で考えていきます。

65分後、最初のプレゼン挑戦者が出ました。先生に連れられて下の階の教室に移動します。教室には2人先生がおり、まとめたB4サイズの紙を黒板に貼り、調べた内容に関してプレゼンを開始します。最初の生徒は日本の世界遺産についてでした。色遣いや、見出し文の色、大きさ、写真の配置など非常によく考えられた資料で、話の内容も起承転結が整った素晴らしいものでした。

プレゼン開始!生徒の本質を引き出す質問

5~10分のプレゼンの後、先生方からの発問が始まります。

このテーマを選んだ理由、工夫した点、一番できた点はどこか、などの一般的な質問から、内容に関しての質問もしていきます。例えば世界遺産であれば「複合遺産」とは何か、他に日本の世界遺産知ってるか、など質問が多めにありました。ただ質問の仕方も柔らかく、落ち着いて意見や考えを述べることのできる雰囲気づくりを意識してされている印象を持ちました。

そのやり取りがもう5分ほど続き、終了となります。筆者が最後に見た受験生は手が震えていたのですが、その手を別の手でぎゅっとつかみ、しっかりと先生の目を見て質問に受け答えをしていて、頑張れ!と応援しながらシャッターを切りました。

試験終了後は、保護者控室に戻り合流、同時に行われていた算国2科入試の受験生たちと一緒に解散となります。スクールバスが用意されているので、それを利用して帰路につく親子、歩いて三田線志村三丁目駅に向かう親子など様々。ここでも先生方は声をかけて感想などを聞いていきます。これだけ親身に寄り添ってくれる先生がいるならば、入学後も安心して任せられるでしょう。

近年、生徒の自主性を尊重した新しい教育法が注目されていますが、その「自主性の尊重」の意味をはき違えて、ただ放置して何もかも全て生徒に任せる、といったところも正直あります。いきなり大海原にポンと放り出し、さあ生きろと言われてもすぐに溺れるだけです。こうするためにはこういう方法がこれだけある、といったことをしっかりと伝えて、それから本人に判断させるといったことが最初は必要だと思います。学校という場所ならば特にそうです。日大豊山女子は、本人が安心して判断をすることができる「環境」をしっかり整える、そういった学校なのだなと、この日の先生方の動き、お話を視聴して感じました。

2月11日にも、「思考力(プレゼン)型入試」は受けられます

日本大学豊山女子の「思考力(プレゼン)型入試」は、2回実施。今回の2月2日PMのほか、2月11日(火・祝)AMには②を実施予定です。

2月11日(火・祝)当日の朝7時までWEBで出願受付。2月9日(日)には都立中高一貫校の合格発表が行われますが、その結果を確認してからでも出願、受験が可能です。