公立中高一貫校の受検生が、いまからできること
全体には志願者が減少しているとはいえ、相変わらず厳しい公立中高一貫校の入学者選抜。多くの公立中高一貫校の適性検査が実施される2月3日(土)までに、まだ受検生と保護者にはできることがあります。
首都圏の公立中高一貫校の人気増加傾向に歯止めか…?!
一昨日1月16日(火)から昨日17日(水)にかけて、東京都内の公立(都立・区立)中高一貫校が、出願受け付けを締め切りました。現在「集計中」ということで、最終的な志願者数を未公表の学校もありますが、大半は今年の人気動向が出揃ったことになります。
それ以前に出願受け付けを締め切った神奈川・千葉・埼玉の公立中高一貫校の応募状況と、これまでに判明している東京都内の公立中高一貫校の応募状況を見る限り、一時期のピークに比べると「首都圏の公立中高一貫校の人気増加傾向はいったん落ち着きを見せた」といって良いでしょう。
各校の応募状況を前年と比較すると、やや減少しているケースがほとんどです。つまり、ほんのわずかながら、競争率は下がることになります。その意味では、今春20018年の首都圏中学入試における公立中高一貫校は「わずかに合格しやすくなる」と考えることもできます。
公立中高一貫校の入学者選抜(適性検査)の厳しさ
しかし、もともと公立中高一貫校の入学者選抜(適性検査)は、1校あたりの募集定員が(多くの私立中と比べて)少なく、平均して男女で80名から120名。多いところでも男女160名というところへ、一部の学校を除けば男女で600~1,200名もの志願者がチャレンジしてくるわけですから、合格率は非常に低くなり、厳しい入学者選抜になります。
もっとも受検生と保護者も、これを大前提として、それぞれの志望校に挑んでいるわけですから、いまさら驚くことはないでしょう。ただし、そうした観点から見ると、前述のように、多少、前年より応募者が減ったからといって、「合格しやすくなる」ことは決してありません。
少し厳しい表現ではありますが、昨年2017年入試でも、約18,000名の受検生のなかから、3,000名程度しか合格を得ることができないのが、公立中高一貫校の入学者選抜(適性検査)の現状なのです。つまり、14,000名以上が残念ながら不合格になるという事実は否定できません。
しかしながら、誰しも1人が1校しか出願できないのが公立中高一貫校ですから、すでに各校が出願受け付けを締め切ったいま、もうあれこれ迷う必要はないでしょう。強い意志と前向きな気持ちで、各校の適性検査日の実施日まで努力を重ねていくべきです。
しかし、そうした努力のほかにも、東京都内や神奈川の公立中高一貫校の適性検査が実施される2月3日(土)までに、まだ受検生と保護者にはできることがあります。
いまから生かせる、私立中の新タイプ入試
その「まだできること」とは、自分が(わが子が)志望する公立中高一貫校の適性検査に自信を持って挑んでいくことができるように、その学校と併願できる、私立中学校の「適性検査型入試」をはじめとした、公立中高一貫校の志望者にとっても受験しやすい「新タイプ入試」を、入試体験や力試し、さらには直前の課題発見などの機会として、上手に活用するということです。
そういう、総合型入試、記述型入試、思考力入試、PISA型入試、自己アピール(プレゼンテーション型)入試など、様々な「新タイプ入試」をすべて「適性検査型入試」に含めて数えると、今春2018年入試では、何と「136校」もの私立中学校(首都圏の私立中学校の約44%)が、いまではこうした「公立中高一貫校の志望者にも受験しやすい」タイプの入試を実施しているということです。
さらには、今春2018年の首都圏中学入試(帰国生入試を除く一般入試)で「英語(選択)入試」を実施する学校は、計「112校(うち国立大学附属中が1校)」になります。
私立中の「適性検査型入試」にも様々なタイプの違いがある
こうした私立中の「適性検査型入試」にも様々なタイプやコンセプトの違いがあります。
たとえば近隣エリアの公立中高一貫校の適性検査と形式も似た形のものがあり、このタイプの私立中の「適性検査型入試」は、まさに適性検査本番に挑む直前の「力試し」として生かすことができます。そうした私立中の多くは、その入試後や翌日に対策講座やアドバイスの機会を設けていますので、直前の課題発見にも役立てることができます。
公立中高一貫校の志望者のなかには、「小さい頃から英語の学習をしてきた」小学生も多いと思いますので、「英語なら自信がある」、「英語が好き」とか、「中学に入ったら英語力をもっと伸ばしたい」と考えている小学生ならば、こうした「英語(選択)入試」を、各自が志望する公立中高一貫校の併願校として選んでおくことも、適性検査に思い切ってチャレンジしていくための安心材料や気持ちの面での後押しにすることができます。
今春は、目白研心の「英語スピーチ入試」や、東京女子学園の「英語(リスニング・スピーキング)入試」など、従来の筆答試験とは違った、...
多様な入試タイプから、自分が生かせる入試を探して経験を!
「総合型入試」(たとえば光塩女子学院や聖園女学院、聖ヨゼフ学園など)や「合科型・論述入試」(共立女子など)は、ひとつの身の回りの社会的テーマについて、教科(科目)の壁を越えて、様々な角度から考える練習になりますし、「記述型入試」は、公立中高一貫校の適性検査の記述問題に挑むための直前練習として役立てることもできます。
「思考力入試」(聖学院、かえつ有明、工学院大学附属など)は、仮に中学入試の段階では知識は足りない部分があったとしても、与えられた資料(図やグラフ、地図など)や題材から読み取れることを整理して、その場で「自分のアタマで考える」ことができる(考えることが好きな)小学生にとっては、そういう力が評価されることが大いに自信になることと思いま...
この先の変化する大学入試と社会で求められる力を育てる入試
さらに、「自己アピール(プレゼンテーション型)入試」(中村、宝仙学園共学部理数インター、日本工業大学駒場、武蔵野東、聖和学院など)は、従来の中学入試はもちろん、公立中高一貫校の適性検査と比較してもユニークな形態の入試です。
自分自身がこれまで取り組んできた活動歴(スポーツや芸術、習い事)や学習歴(研究課題や英語学習など)について、それを「中学に入学してからも頑張りたいこと」と結びつけて、意欲や継続力、集中力などを自分で面接官にアピールする経験は、やはり「自分の経験を見直し」、「その場で考え」、「自分の言葉で表現する」貴重な体験となり、適性検査に挑むうえでもきっとプラスになることと思います。
ユニークな「グループワーク型」入試も登場!
そのほかにもユニークなものでは、今春2018年から新設された、聖セシリア女子の「グループワーク型」入試などにも注目したいと思います。神奈川の県立中等教育学校(県立相模原中等教育学校、県立平塚中等教育学校)の適性検査で実施されている「グループ活動」の練習になりますので、きっと大きな自信とヒントが得られることと思います。
こうした多くの私立中学校の「新タイプ入試」や、公立中高一貫校の適性検査の出題にチャレンジすることが、やがては「2020年大学入試改革」以降の新たな大学入試で求められ、その先の社会でも必要になる「思考力、判断力、表現力」はもちろん、各大学の個別選抜で試される「創造性、独創性、芸術性等の評価」にも対応できる力の育成につながるものであることは間違いありません。
同じく私立中の「英語(選択)入試」も、この先の大学入試とグローバル社会で求められる「英語4技能」の力の育成につながるものです。
まだ間に合う、入試直前の私立中説明会
その意味でも、「公立中高一貫校の適性検査に挑戦する」と決めた、この中学入試の時期に、こうした私立中学校の「適性検査型入試」と「英語(選択)入試」を含む、多様な「新タイプ入試」に親子であらためて注目し、その機会をお子さんにとってのプラス材料として役立てていただくことをお勧めします。
すでに1月中旬過ぎではありますが、まだ今後、説明会や体験会を実施する私立中学校も数多くなっています。また、そうした機会ではなくても、それらの新しい入試についての問い合わせや学校見学の要望には、多くの私立中学校が対応してくれることと思います。
先にも当ブログでは、「まだ間に合う、入試直前の私立中説明会」として、そうした機会を紹介しています。ぜひご覧になってください。