共立女子中がC日程「記述型入試」サンプル問題を公表!
共立女子中学校は、2016年入試から、2/4のC日程入試の試験科目を「記述型入試」と面接に変更することを先に公表し、その入試改革のコンセプトや出題方針が注目されている。
「2020年大学入試改革」の対応
同校は、これからの中学受験生が直面する「2020年大学入試改革」への対応も含め、日本の教育の大きな変化を見据え、その節目に、今後の社会で求められる力を育てていくための、同校の教育理念や学習内容を反映したひとつのメッセージとして、あえて中学入試にもこの新たな「記述型入試」を導入したといいます。
その共立女子中学校が、先の9月8日(火)に、初めての「塾の先生方対象 学校説明会」を実施し、一連の学校説明と入試に関する説明のなかで、来春2016年から導入される2月4日C日程に導入する「記述型入試」について、「合教科論述テスト」と(記述ありの)算数について、サンプル問題およびサンプル問題の解説を配布して、詳しく丁寧に説明してくれました。
以下、その解説の一部を抜粋すると、まず「合科型論述テスト」、「算数」それぞれ以下のように説明されています。
【合科型論述テスト(60分・100点)】
1. 設問の構成:
問題数は、比較的小さな問題数問と、長めの論述1問で構成されます。小問が合計50点、最後の論述が50点です。小さな問題は、いくつかのポイントと、論理的なつながりの正しさによって採点します。長めの論述は、問題の意図に沿った解答かどうかを第一とします。……〈以下省略〉……。
2. 問題の読み方について:
はじめに先生と2人の生徒との会話文が提示されます。その会話文のあとに、会話の内容を題材として、設問があります。会話文中には、問題を解く上でポイントとなる情報と、補助的な情報あるいはヒントとなる情報が含まれています。……〈以下省略〉……。
【合科型論述テスト(60分・100点)】(続き)
3. 問1(4点):
化学分野の問題。単語で解答する問題を出題することもあります。……〈以下省略〉……。
4. 問2(8点):
気象の問題。季節と気団を指摘できれば部分点、雨の降り方が説明できてさらに加点されて完答となります。……〈以下省略〉……。
5. 問3(8点):
歴史的知識を問う問題。「松平定信」が指摘できて部分点です。さらに題意を読み取り、ききんへの対応を解答します。……〈以下省略〉……。
6. 問4(10点):
特徴は流量の変化が大きいことです。グラフを読み取る力をみます。……〈以下省略〉……。
7. 問5(10点):
堆積作用による土砂の堆積が指摘できて部分点。さらに、堆積作用が「強まる」または運搬作用が「弱まる」点が指摘されていれば完答です。……〈以下省略〉……。
8. 問6(10点):
「堆積物の粒が大きい」「水はけがよい」「果樹園に利用」に言及できて、それぞれに部部分点が与えられます。……〈以下省略〉……。
9. 問7(50点):
長めの論述問題。題意を読み取って、柔軟な発想で論を展開してもらいます。論理的な思考力、表現力をみます。
文の内容としては、設問で求められた要件を満たしているか、論旨に破綻がないか、説得力のある例を出せるかなどをみていきます。……〈以下省略〉……。
【算数(60分・100点)】
1. 設問の構成:
前半に従来型の問題を出題します。配点は50点です。後半で、問題を解く途中での考え方や表現力をみる問題を出題します。毎年すべて同じパターン(出題形式)になるとは限りませんが、いろいろな形式の問題を取り混ぜて出題する予定です。
2. [1]~[3](合計50点):
従来型の小問および作図問題です。基礎的な計算力や算数の考え方ができるかをみる問題です。最終解答のみを採点します。……〈以下省略〉……。
3. [4](20点):
① 文章の意味を理解する力をみる穴埋め式の問題です。
② 計算方法を理解し、説明する力をみる問題です。
……〈以下省略〉……。
4. [5](15点)
① 典型的な穴埋め式の問題です。
② 考える力をみるための「問題づくり問題」です。
算数の問題を解くときに、その計算で何が求まるかを普段から考えるようにすることが大切です。……〈以下省略〉……。
5. [6](15点):
問題を解くだけでなく、解く過程の途中式や説明が書けるかをみる問題。最終的な答えが出なくても、答えを出すために必要な数値を計算することができれば部分点を与えます。……〈以下省略〉……。
以上、二つのサンプル問題(写真参照)には、実際の解答用紙サンプルと、そこに「解答例」が印刷されたものまで配布されるなど、とても親切でありがたい資料でした。
新たなC日程入試の形態
今回実施された同校にとっては初めての「塾の先生方対象 学校説明会」では、冒頭に新校長の児島博之先生からの挨拶があり、続いて教頭の今井利夫先生から「共立の教育」についての説明、最後に教務担当の景山誠先生から「平成28年度C日程入試について」の説明があり、そこでは、新たなC日程入試の形態が「単なる記述というよりも合科型の論述」問題であることが明示されました。
共立女子中学・高等学校という学校が、全国の女子校でも1~2を争う大規模校であり、そこには多様で個性的な生徒集団のなかで居場所を見つけて自己表現できる環境があることと、建学の精神「女性の自立、社会に有為な女性の育成」と、校訓「誠実・勤勉・友愛」に基づき、「時代を超えて“輝き、翔ばたく女性”」(「関わる力」「動く力」「考える力」「解く力」の育成)を育てたい生徒像に掲げる同校の「リベラルアーツ」の重視が強調されました。
同校の教育姿勢と自負のあらわれ
今回(来春2016年入試から)のC日程「記述型入試」の導入は、そういう共立女子のリベラルアーツ重視の理念を反映し、なおかつ「2020年大学入試改革」にも十分に対応可能な力を育てるという同校の教育姿勢と自負を伝えるものに他ならないでしょう。
ひと夏を使って、担当の(それぞれ専門教科の異なる)先生方が総力で出題のコンセプトや内容を検討し、今回のサンプル問題を作成してくれたとのこと。
こうした新形式の入試を導入することで、(急な対策が難しく思われることもあり)受験生数が減少する可能性があることも承知のうえで、あえて今回の“英断”に踏み切った同校の、中学受験生と今後の小学生保護者に向けた“新たなメッセージ”を、ぜひしっかりと受け止めて、多くの受験生にそこにチャレンジしていってほしいと思います。
「記述型入試」挑戦してみてください!
なお、このC日程「記述型入試」のサンプル問題は、9月19日(土)14:00~15:00に行われる同校の第1回学校説明会から参加者に配布されるとのことです。ただし、詳しい解説は、11月7日(土)14:00~15:30の第1回入試問題説明会以降に(A・B日程の入試問題説明後に希望者対象で)行われるとのことです。こうした「記述型入試」に思い切って挑んでみたい受験生は、ふるって参加してみるとよいでしょう。