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受験情報ブログ

宝仙学園「リベラルアーツ入試」のダイナミズム

中学入試の歴史を変えた
夢に近づく希望の入試!

東京・神奈川の中学入試が一斉にスタートした2月1日(水)の午後、宝仙学園共学部理数インター〈東京・中野区。共学校〉が、昨年2016年入試から新設し、今春2017年入試ではこの2月1日にも試験回を増やした「リベラルアーツ入試」の第1回と、今春から新設された「グローバル入試」の第1回が行われました。

自己アピール(プレゼンテーション型)入試

この宝仙学園共学部理数インター(以下、宝仙理数インターと表記)の「リベラルアーツ入試」は、2016年の首都圏中学入試から、(女子校の中村中学校の「ポテンシャル入試」とともに)初めて登場した本格的な「自己アピール(プレゼンテーション型)入試」です。

「リベラルアーツ入試」の受験生は、出願時に願書、調査書コピーとともに、「学習歴報告書」を提出。入試当日は「日本語リスニング(45分)」テストと、一人10分程度の「プレゼンテーション・面接」の受ける(行う)というユニークな入試形式で、いわゆる従来型の2科や4科の筆記試験はありません。

この2月1日、宝仙理数インターでは午前中に。4科目による「2月1日午前入試」と、いわゆる「適性検査型」で行われる「公立一貫対応入試」が実施され、4科目入試には男女で50名、「公立一貫対応入試」には何と男女478名もの志願者が集まり、当日には実際に両方の入試で計498名の実受験生とその保護者が同校を訪れ、朝から大変な賑わいとなりました。おそらく今春2017年の私立中の「適性検査型入試」では、最多の志願者を集めたことになるでしょう。

在校生による誘導

その午前入試が終わり、早朝からの喧噪が収まった午後、今度は、4科目による2月1日午後の「特待選抜入試」と、今回ご紹介する「リベラルアーツ入試」「グローバル入試」が行われました。この「特待選抜入試」には男女で109名(志願者は男子79名、女子54名の計133名)と、「リベラルアーツ入試」7名(志願者も同数)、「グローバル入試」3名(志願者も同数)の受験者が訪れました。

午後の受験生の集合時刻はいずれも14:20~15:00とされていて、受験生の親子が来校する時刻になると、校長の富士先生は自ら講堂の入り口に立って受験生を出迎え、一人ひとりに励ましの声をかけていました。

登校した親子はそのまま保護者控室となる講堂に案内され、中に入ると「特待選抜入試」と「リベラルアーツ入試」・「グローバル入試」にブロック分けされた座席に座って、試験会場への案内を待ちます。そして、ある程度人数がまとまるか、もしくは時間の間隔をとって、お手伝いの在校生が丁寧に試験会場(教室)へ案内してくれます。

このうち「リベラルアーツ入試」・「グローバル入試」を受験する10名は、最初に共通で受ける「日本語リスニング」テストの教室に案内されていきました。

保護者への配慮も

午後の試験(最初の科目)が開始される15時15分になると、講堂では校長の富士晴英先生のお話があります。それまで付き添いの保護者は、学校のサービスで講堂内に用意された暖かい飲み物や、ネイティブの先生が勧めてくれる軽食(パンやドーナツ)で、しばし休息できるよう配慮されていました。

この日、入試の進行を手伝っている係りの在校生は、学年も多岐にわたっていて、なかにはAO入試や推薦で進学する大学の決まっている高校3年生も混ざっています。いずれも自ら手を挙げて参加してくれたボランティアの有志たちだといいます。こうしたところにも「生徒の自主性を大切にする」同校らしさが表れています。

日本語リスニング

そして、最初の「日本語リスニング」テストが開始される15時15分。フロアの廊下からそっと教室を覗かせていただくと、すでに最初の音源(音声)が流されているところでした。今回の計10名(男子3名、女子7名)の受験生は、一斉に集中して、その音声に聞き入っています。

わかりやすく言うと「授業を聞く力」を試したいという狙いで導入された、この「日本語リスニング」テスト。昨年入試からの「リベラルアーツ入試」新設の背景は、同校Webサイトに動画で紹介されていますが、そのなかで、この「日本語リスニング」テストは、「(日本語を)正確に客観的に理解できているか?」と、「(与えられた)複数の情報を組み合わせて、自分なりの問題視覚から展開できるか?」という観点で作問されているという、2つのポイントが紹介されています。

今年の「リスニングテスト」の問題を詳しくご紹介することはここではできませんが、下記の動画のなかには、在校生が体験した「問題サンプル」と、その取り組みの様子が紹介されていますので、そちらを参考にしてみてください。

「宝仙学園リベラルアーツ入試説明ビデオ」

面接(自己アピール=プレゼンテーション)

そして、この「聞く力」を問う「日本語リスニング」テストに続いて行われる「面接(自己アピール=プレゼンテーション)」では、「話す力(伝える力)」が試されます。そのなかで確認したいと考えられているのは、受験生の「学習歴」です。これは、学校や塾での学習に限らず、習い事やスポーツ、芸術、英会話など、自身の好きなこと、打ち込んできたこと、探求してきたことなど、何でも披露してもらいたいと紹介されています。

この「面接(自己アピール=プレゼンテーション)」についての説明や、在校生によって表現されたサンプルも動画で紹介されていますので、こちらもご覧いただきたいと思います。

そして、この「日本語リスニング」テストと、学習歴の「面接(自己アピール=プレゼンテーション)」で行われる「リベラルアーツ入試」は、一般的な入試のように「総合点」だけで合否が決められるものではありません。このどちらかの評価が秀逸で高得点であれば合格できるという、いわば「加点主義」で、受験生の意欲や資質を評価してくれるというものです。

この動画の結びでも「本校は多様な人材がほしいと本気で思っています。ぜひチャレンジしてください!」と校長の富士晴英先生は、受験生に向けて力強いメッセージを発信しています。

プレゼンテーションを英語で!

そして今春2017年から新設された「グローバル入試」は、「リベラルアーツ入試」のコンセプトをそのまま生かし、「面接(自己アピール=プレゼンテーション)」を英語で行うことができるという「英語入試」の要素も加えた形で行われます。

「日本語リスニング」テストが終了すると、続いて14時10分から、3室に分かれた試験教室で「面接(自己アピール=プレゼンテーション)」が実施されます。

試験教室ごとに2~3人の先生が面接官を担当しますが、この先生方は、富士校長をはじめ、受験生が事前に書類(調査書)と「学習歴」をアピールした自己推薦書に基づき、そのプレゼンテーションを受け取るに適した先生方が選任されています。加えて「グローバル入試」の教室には、ネイティブの先生がお一人加わっています。

各受験生からは、やはり事前に「学習歴報告書」と合わせて、「面接申請書」が提出されていますが、そこにはプレゼンテーションにあたって「資料や作品等の持ち込みをする」場合の申告欄も用意されていて、模造紙やパソコン、作品など、普通教室への持参と提示が可能なものは持ち込みが許可されています。

そして各試験教室の準備が整うと、先ほどの「日本語リスニング」テストを受けた教室で待機していた受験生が、順番に試験教室に招かれます。

この「面接(自己アピール=プレゼンテーション)」の様子は、現時点のレポートでは詳しくご紹介できませんが、合格者が入学した後に、本人と保護者の了解が得られれば、その様子を説明会などの機会に動画で紹介してくれる予定もあるということです。

プレゼンテーションは多岐多様!

今回はこのプレゼンテーションの様子を、先ほどと同様にやはり廊下から覗かせていただきましたが、垣間見る先生方の表情は終始にこやかで、教室からは受験生の元気なプレゼンテーションの声が聞こえてきます。

教室に入室してから、各自のプレゼンの道具や資料を用意するまでの間にも、先生方と受験生がにこやかに言葉を交わしている様子も見られ、入試本番という緊張感のなかにも、和気藹々とした空気が流れているように思えました。

そして10名の受験生が披露したプレゼンテーションは様々。なかには空手着に着替えて演武を見せる女子受験生や、タブレットやUSBケーブルなど一式を持ち込み、ICT機器を使ったプレゼンを見せる受験生、ヴァイオリンを持ち込み、その場で演奏を聞かせてくれた受験生など、まさにバラエティーに富んだ「面接(自己アピール=プレゼンテーション)」の一刻でした。

その間、受験生の案内や、終了後の保護者控室(講堂)までのお見送り、プレゼンのための着替えのお手伝いなど、甲斐甲斐しく手伝っていたのは、ここでも在校生の有志の皆さんでした。受験生が固くならずに力を発揮できるよう、優しく丁寧に案内してくれます。

自分の夢に近づく入試

「どうです。面白い入試でしょう! 小学生の能力や可能性は、大人が思っている以上に素晴らしいものですよね。それを知ったことで、本校の先生たちも大きな刺激を受けています」と、ご一緒に廊下から試験の様子を見守っていたある先生が語ってくれました。

そして、このプレゼンテーションを終えた一人の女子受験生にお話を聞くことができましたが、この受験生は、この宝仙学園理数インターの「リベラルアーツ入試」を受験した理由について、「好きなスポーツで頑張りたいと思っていて、それをお母さんに伝えると『こういう入試をしている学校もあるけど、受けてみる?』と勧めてくれました」と聞かせてくれました。


「将来はスポーツドクターになりたい!」と話してくれた、この受験生の夢が、これから中高6年間で育てた力をもとに、きっとかなうと良いですね。

中学入試の歴史を変えた!

こういう、小学生一人ひとりの夢と意欲、自己肯定感をそのままに評価してくれて、私立中高一貫校に迎え入れてくれる入試が、この「リベラルアーツ入試」「グローバル入試」だとすれば、その存在は、多くの小学生と保護者にとっての“希望の入試”でもあると思います。

そういう意味で“中学入試の歴史を変えた”ともいえる、この「自己アピール(プレゼンテーション型)入試」。私学のなかでも、いち早くそれを導入してくれた宝仙学園理数インターへの注目は、今後ますます高まる予感を感じます。

※追記

この2/1(水)PMの入試取材を終え、記事掲載をする前の2/4夜に、宝仙学園共学部理数インターでは、2/10(金)に、午前には「公立一貫対応入試」、午後には「リベラルアーツ入試・グローバル入試」を行う「特別入試」を追加実施することを公表しました。このニュースも別途「しゅともしコラム」記事でお伝えしていますので、関心のある方はそちらもご覧ください。