山脇学園初の入試「探究サイエンス」が、2月2日午後に実施されました。
2月2日午後、山脇学園では「探究サイエンス」入試が行われました。2020年入試で初めて行われたこの入試に臨んだ受験生は32名。終了直後、お迎えのご家族に「おもしろかった」と話す受験生の姿も見受けられた、この「探究サイエンス」。どのような入試だったのでしょうか。(取材・撮影・文 / 市川理香)
提出物が多い
試験は滞りなく進み、定刻通り17:00に終了。1階の控室では5階の試験会場から帰ってくるわが子を迎えるべく、保護者の皆さんが席を立ち階段方向を見守っています。が、なかなか受験生の姿が現れません。
「提出物が多いので時間がかかっています。もうしばらくお待ちください」との説明がありました。
ん、提出物が多い?
さて、どのような入試だったのでしょうか。時間を試験開始にさかのぼって振り返ってみましょう。
ドキドキワクワクが隠せない試験開始前
武家屋敷門を潜り校舎に入れば、誘導役の在校生が迎えてくれます。カフェテリアなどで一息ついて、14:30から入場開始。3号館5階の自学館(図書室)にある「学のエリア」(自習室)が今年の試験会場で、受験生はブースごとに指定された席に着きました。
14:50には当日の諸注意が説明され、その後、写真票での本人確認、壁掛け時計の位置や机上に出せる持ち物の確認も済み、開始の合図を待つばかりですが、心なしか「何が始まるのだろう」「どんな試験なのだろう」という不安と期待の交錯するような表情が浮かんでいるようにも感じられます。
定刻どおり15:15に試験開始。
まず始めの30分は「理科」です。これは他日程の理科の大問1と2に準じる難度で、物理、化学、生物、地学4分野からまんべんなく出題されたものです。日常の学習で得た理科の基礎知識を問うのが狙いで、「探究」のベースに知識は必要という考えに基づきます。
さあ、休憩をはさみ、いよいよ「課題研究」。
試験に必要なものが配付され、16:00、2時間目開始です。
配付物は3点でした。
「サイコロの展開図が3つ印刷された厚紙」「1辺10㎜のプラスチック製立方体3個」「セロハンテープ」「両面テープ」の入った封筒。
「仮説」「実験についての注意点」「結果」「考察」「探究を深めるためには何をするか」の5項目のメモ欄がある問題用紙。
そしてB4サイズの解答用紙(発表ポスター)。
重さのバランスにかたよりのあるサイコロ
問題は、「重さのバランスにかたよりのあるサイコロを作り、出目(一番上の面になる数字)の出やすさが変わるのかどうか、自分なりの仮説を立てて、実際に試してみよう」という内容です。受験生は思い思いの手順で、仮説を検証すべく、“課題研究”に取り掛かります。
「最初に作るサイコロは、小さなおもりを必ずサイコロの『1』の面の内側に1個だけ貼り付けること」という条件が設定されていますが、それ以外は、サイコロを何個作るか、おもりを何個つけるのか、何回サイコロを振るのか、どのように転がすのか、すべて受験生次第。問題を読んでからの手順も、もちろんばらばらで、手早くサイコロを作り繰り返し繰り返し出目のデータを集めている受験生もいれば、まずは仮説を立て、どのようにサイコロを作るかを考えてから取り掛かる受験生もいて、32人がそれぞれ60分のなかで、どう時間配分し、どのようにまとめていくのかと、監督の先生方はポーカーフェイスの下に、初年度の期待と不安を隠しながらの試験だったのではないでしょうか。
解答用紙もサイコロも、すべて提出
試験終了後、サイコロ、切り抜いたあとの厚紙、問題用紙(メモ用紙)、解答用紙(発表用ポスター)、すべて受験番号や氏名を記入したうえで提出します。
「解答用紙に“発表ポスター”としてメモの全項目をのせること」と指示された発表ポスターを採点対象とし、評価は150点満点のルーブリック評価。メモからもポスターに入っていない点があれば考慮する採点態勢でした。今回、ポスターはカラーペンなどを使わず、鉛筆のみ(白黒)での表現でしたが、採点の先生方をうならせる出来のものもあり、「ポイントを押さえながら自分の思考プロセスを表現できていたもの」は高評価につながったといいます。
ルーブリック評価の詳細は非公表ですが、すべての提出物から、条件を満たしているか、仮説を検証できているか、着眼点のユニークさ、問いを正確に理解しているか、時間内で仮説から探究までのプロセスを踏めたかといった点も見られていたようです。
2021年入試にむけて
2021年入試でも探究サイエンス入試は継続されるとのこと。新年度の説明会に参加して山脇学園の教育に触れてみてください。
サイエンスアイランド(SI)を拠点に活動しているSI部は、化学班・物理班・生物班・数学班・天文班に分かれ活動していますが、約100名の部員が所属しているそうです。中学3年生での希望制選択のプログラム「科学研究チャレンジプログラム」での研究活動や、これをさらに発展させた高校での継続研究活動・探究活動など、例年開催されるオープンキャンパスは、サイエンス・アイランドでのSI部員による発表に限らず、日ごろの学習活動や各種コンクールでの活躍がうかがえるチャンスです。また、探究力チャレンジ講座に参加して、科学的・探究的学びのプロセスを経験したり、評価の観点のポイントを知ったりするとその先に、探究サイエンス入試でのチャレンジが見えてくることでしょう。
同日22時の合格発表では、11名が合格。決して易しくはない結果でしたが、この入試で経験した「探究」という学びのスタイルは、どの受験生にとっても中学校生活での宝物になっていくことと思います。
サイエンス・アイランドでの学び
https://www.yamawaki.ed.jp/learning/island/si/
イングリッシュ・アイランドでの学び
https://www.yamawaki.ed.jp/learning/island/ei/
リベラルアーツアイランドでの学び
https://www.yamawaki.ed.jp/learning/island/li/