駒込中のプログラミングを使ったSTEM入試
2019年2月2日の午後、駒込中学校では今年新設されたSTEM入試が実施されました。2020年から小学校でプログラミング 教育が必修化になります。「近い将来プログラミングは誰もが使うべきものになる 」という考えのもと、先駆けで導入された駒込中学校のSTEM入試を取材しました。
「プログラミング やモノづくりが大好き!」という受験生のため...
STEM教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の各分野を「相互横断的」に学び、学んだことを「実際の生活に応用」することを目的とした21世紀型の新しい教育です。アメリカではオバマ大統領の就任後に本格導入されており、今ではシンガポールやインドといったアジアの新興国でもSTEM教育が盛んに行われています。
駒込中学校・高等学校(以下、駒込と略式)では、このSTEM教育をいち早く本格導入してきました。例えば、高校理系先進コースの「高校3年間を通したSTEM教育」は、日本有数のSTEM教育専門機関である埼玉大学STEM教育研究センターとの共同授業により、日本初の試みとなっています。また、中学も同センターの特別授業や、ロボットプログラミング 講習などを実施しています。
そして今年、駒込は「モノづくりが好き」「ロボットづくりやプログラミング が大好き!」という受験生に対して、きちんと向き合うためのSTEM入試を新設しました。この入試では、従来の入試では測りきれない受験生の力を問います。その力とは、アルゴリズムを考える力、身の回りにある課題を発見する力、組織や人々と協働しながら解決する力、そして発信する力です。
駒込のSTEM入試は、アルゴリズムと四則計算が中心の「STEMⅠ」と、プログラミング が中心の「STEMⅡ」の二つの試験が行われます。STEMⅠの試験時間は50分、STEMⅡの試験時間は1時間50分で、途中STEMⅠとSTEMⅡの間に10分間の休憩を挟みます。
アルゴリズムを作る力と計算力が問われる「STEMⅠ」
STEM入試の試験会場は、写真のように筆記試験用の机とプログラミング 用の机が二つ並んだ配置となっています。STEMⅠは筆記試験なので左の机を、STEMⅡはプログラミング 試験なので右の机を使っていきます。
STEMⅠの試験で問われる力は、アルゴリズムを作る力と四則演算の計算力です。アルゴリズムとは、「何かをするときの手順、順序ややり方」のことで、「アルゴリズムを作る力」=「プログラムを設計・デザインする力」と言い換えることもできます。アルゴリズムを作る力は、これからのAI社会・ロボット社会において非常に重要なスキルだと考えられています。
午後2時、STEMⅠの試験が始まると、生徒たちは一斉に問題に取り組みました。
STEMⅠの試験問題を拝見して印象的だったのが、「〜について答えなさい。また理由も述べなさい。」「〜。ただし、図や地図を使わず、言葉のみで説明するものとします。」といったタイプの問題です。
駒込のSTEM入試では、「自分の考えを説明できる力」が重視されていることがわかります。
プログラミングが出題される「STEMⅡ」
試験開始から50分が経過し、STEMⅠの試験が終了しました。10分間の休憩を挟むと、いよいよプログラミング が出題されるSTEMⅡの試験がスタートします。
STEMⅡの試験で問われる力は、「創造力」「アイディアを形にする力」「やりぬく力」「トライ&エラーから学ぶ力」などです。試験ではSCRATCH(スクラッチ)をベースにした簡単なビジュアルプログラミング言語を使用して、課題を解いていきます。
最初のプログラミング の課題は、「三角形の周りを猫が3周するプログラムを考える」でした。教室前方のスクリーンには、実際に猫が三角形の周りを動く様子がお手本として映し出されます。受験生たちはその様子を観察して、どのようにプログラミング をするか考えていきます。
試験が始まると、すぐに手を動かしてプログラミングを始める受験生、ヒントにあるプログラムの分析に取り組む受験生、紙と鉛筆を使ってロジックを書いてみる受験生。各々の好きな方法で、受験生たちは課題に取り組んでいきました。
プログラミングに関するグループ討論も実施
STEMⅡの試験開始から30分ほど経つと、グループ討論の時間になります。グループ討論では、今まで取り組んでいたプログラミングの課題をテーマに話し合いを行います。
受験生たちは自己紹介のあと、①自分が作ったプログラムの説明、②工夫した点や気づいたこと、などについて討論します。グループ討論中は先生がファシリテーターとしてサポートに入るため、どのグループも順調に討論が進んでいきます。
最初は緊張した面持ちで話し合っていた受験生たちでしたが、さすがはプログラミングが大好きな子供たちです。話し合いが進むにつれてどんどん前のめりになり、最後には時間が足りなくなるほどでした。
グループ討論が終わった後は、話し合った内容を参考にして、自分のプログラムを手直しする時間が与えられます。受験生全員が自分のプログラムの改良に精を出していました。
改良したプログラムの提出が済んだら、短い休憩を挟んで、STEMⅡの最後のプログラミング課題に受験生は取り組みます。
4時20分を過ぎたら、完成したプログラムを提出して試験会場を途中退室することもできるのですが、どの受験生も最後まで残ってプログラミングの改良を続けていました。4時50分、最後のプログラムを全員が提出して、STEM入試は無事に終わりました。受験生のみなさん、お疲れ様でした!
同日同時刻に自己表現入試も実施
ここまでSTEM入試の様子をお届けしてきましたが、実は同日同時刻に駒込は自己表現入試も実施しています。
こちらの入試も少しだけ取材することができましたので、その様子は、追って別記事にてご紹介予定です。
入試対策には学校説明会と入試体験会がお勧め
駒込のSTEM入試と自己表現入試は、従来の入試では測りきれない様々な力が求められる試験となっています。ご家庭や既存の塾だけでは、なかなか入試対策も大変だと思います。
そんな受験生のために、駒込は年間を通して学校説明会・入試体験会を開催しています。学校説明会では、試験の評価のポイントや採点基準などを分かりやすく丁寧に説明してくれます。またSTEM入試体験会では、アルゴリズムやプログラミング未経験のお子さんでも楽しみながら体験できるように配慮されています。去年の体験会では、未経験のお子さんが開始わずか20分程度でプログラミングができるようになり、ご両親が大変驚かれたというエピソードもあるそうです。
もし駒込の先進的なSTEM教育に興味を持たれましたら、この機会に学校説明会や入試体験会に参加されてみてはいかがでしょうか。(ご参加には同校Webサイトからの予約が必要です)