2016年入試は86校が「適性検査型入試」実施!
本日12月24日(木)はクリスマス・イブ。2015年の師走も残すところ8日となりました。来春2016年の中学入試に挑む受験生は、いまそれぞれの志望校に向けてラストスパートに励んでいることと思います。
千葉県立東葛飾中学校と千葉県立千葉中学校の新設
そして、2016年入試の大きな話題のひとつである、来春から開校する千葉県立東葛飾中学校と、千葉県立千葉中学校の「入学者決定一次検査」が、すでに12月5日に実施され、来年1月30日の「入学者決定二次検査」に進める受検生が発表されています。
ちなみに、一次検査受検者数は、千葉中学校が785名(男子424名・女子361名)、東葛飾中が1,147名(男子579名・女子568名)で、そのうち二次検査受検候補者数は、千葉中学校が320名(男子160名・女子160名)、東葛飾中が324名(男子161名・女子163名)と、千葉県教育委員会のWebサイトに公表されています。
まだまだ時間は十分にある!
首都圏の公立中高一貫校の適性検査は、2月3日に実施される都内の各校や神奈川の各校よりも、千葉、埼玉、茨城などでは早く実施されるため、すでにそのエリアの公立中高一貫校の志望者は入試本番に挑んでいることになります。
それでも、東京都内や神奈川の公立中高一貫校を志望する受検生には、まだ約40日も時間が残されています。各校の「適性検査」で求められる力を培うための学習に、全力を尽くしていただくとよいでしょう。
依然として人気の高い公立中高一貫校
2015年から2014年にかけて、首都圏には計22校(東京11校、神奈川4校、千葉2校、埼玉2校、茨城3校)の公立中高一貫校が開校しました。そして来春2016年には千葉の県立東葛飾高校に、再来年2017年には神奈川に横浜市立サイエンスフロンティア高校の付属中学校が開校します。
そして、それらの公立中高一貫校には、約1万8千名~約2万名の志願者が集中します。ここ数年の「公立中高一貫校新設ブーム」による志願者の激増はやや落ち着いた感がありますが、依然として各校とも高い人気であることには変わりありません。
しかし、そうした公立中高一貫校の受検生のなかでの合格者数は、これまでの22校を合計しても、わずか2千850名。1万4千名以上が不合格になるという厳しい現実も一方には存在します。
急速に増える適性検査(思考力・PISA・総合・基礎)型入試
そうした公立中高一貫校の志望者(受検生)にとっての「適性検査対策」や「力試し」になるのと同時に、この機会に私立の中高一貫校の魅力を伝え、私学からも受け入れの門戸を開くために導入されてきたのが、この数年で増加している私学の「適性検査型入試」です。
あるいは「適性検査型」という表現を使わずに、「思考力型」「PISA型」「総合型」「統合型」「基礎学力型」など、各私学の入試コンセプトに合った名称の新たな入試を実施し、公立中高一貫校の志望者や、受験準備を始めたのが遅かった(進学塾に通うよりも習い事などに打ち込んできた)小学生を迎え入れようとする私立中高一貫校も増えてきました。
いずれにしても、こうした「適性検査(思考力・PISA・総合・基礎)型入試」を実施する私立中学校が急速に増え、それらの入試に応募する小学生も、2013年から2015年にかけての3年間で「約1,000名→約2,000名→約3,000名」と増加してきました。
86校が「適性検査(思考力・PISA)型入試」を実施!
そして来春2016年の首都圏中学入試では、86校がそうした「適性検査(思考力・PISA・総合・基礎)型入試」を実施(のべ126回)することが判明しました(※実施校の一覧PDFはこちら→2016年入試_適性検査型入試実施校一覧.pdf)。2015年入試では(数え方にもよりますが)53校でしたので、翌年に向けて33校増加したことになります。
こうした私立中の「適性検査(思考力・PISA・総合・統合・基礎)型入試」で求められる力は、公立中高一貫校の「適性検査」と同様に、「(与えられた)知識を柔軟に使い、その場で考え、自分の言葉で表現する力」ということができるでしょう。そこでは「覚えた知識を正確にアウトプットする力」だけではなく、「知識の運用力」と「思考力・応用力・表現力」が求められるということです。
アドミッション・ポリシー。2020年大学入試改革を見据えて
この出題コンセプト(=アドミッション・ポリシー)は、最近の教育をめぐる話題の焦点となっている「2020年大学入試改革」の方向性として文部科学省から示されている「思考力・判断力・表現力」ともほとんど重なります。つまり「2020年大学入試改革(=日本の教育改革)で求められている学力観と、中学受験における公立中高一貫校の「適性検査」で求められる力、そして私立中の「適性検査(思考力・PISA・総合・統合)型入試」で求められる力の、出題のコンセプトはほとんど一致するということもできるでしょう。
もっともこれは、中学入試の世界では、麻布や栄光学園などをはじめとした難関校では、すでに自校の入試問題の一部で実現してきたことでもありますし、この20数年の間に中学入試の出題には「記述式」の問題が目立って増加してきたことにもその傾向が現れています。
そして、それならば、「わが子が将来の大学入試や社会で求められる力」を育てるための契機として、こうした私立中の「適性検査(思考力・PISA・総合・統合・統合・基礎学力)型入試」を受けてみることは、すべての小学生と保護者にとって意味のあることだと思います。
新たな入試の導入。発信された重要なメッセージをキャッチしよう
たとえば、公立中高一貫校の志望者を迎え入れなくても十分に高い人気を集めてきた共立女子中、品川女子学院中、光塩女子学院中などが、来春2016年入試ではあえて、これに類する新たな入試を導入することなども、この先の「変わる大学入試と日本の教育」に向けて、先進的な私立中高一貫校の先生方が小学生と保護者に向けて発信してくれた重要なメッセージです。その意図をこの期に、しっかりとキャッチしてみてはいかがでしょうか。
とくに公立中高一貫校を第一志望にしてきた小学生と保護者にとっては、先の「適性検査対策」や「力試し」という意味に加えて、もし志望する公立中高一貫校の合格が得られなかったときに、わが子の進路をもう一度真剣に考え「もうひとつの進路」として私立中高一貫校を検討するための良いきっかけになることと思います。
「適性検査」の抜粋と紹介
以下にご紹介したのは、ほとんどの私立中高一貫校では複数回行われる入試のなかで「適性検査(思考力・PISA・総合・統合・基礎学力)型入試」を実施している私立中の、それに該当する入試回を抜き出したものです。
大学入試と日本の教育が変わろうとする大きな節目に、多様な受験準備と小学校生活のスタイル(個別指導・英才教育・習い事・英会話・スポーツ・音楽・芸術など、それぞれの家庭の価値観にあった学習と活動に打ち込んできた)を経てきた小学生が受験していけるような、「多様な入試形態」が生まれてきてきたのが、来春2016年入試の大きな特徴でもあります。
小学生のご家庭では、年末から年始にかけて、親子でこうした「新たな受験機会」にも目を向けて、わが子の進路と受験(併願)する学校をもう一度考えてみていただいてはいかがでしょうか。
2016年首都圏中「適性検査型入試」実施校
■2016年首都圏中学入試での「適性検査(思考力・PISA・総合)型入試」実施校は上記の「資料はこちら」よりPDFファイルをご参照下さい