聖学院の「思考力ものづくり入試」とは?(3/3)
整理した考えを文章にして表現する。
今春2017年の首都圏中学入試の話題として、マスコミ(新聞・TVなど)各社がスポットを当てた「思考力入試」。その中学入試における思考力入試のなかでも、先進的かつユニークな形式として注目されているのが、聖学院中学校〈東京・北区。男子校〉の思考力入試です。
試験終了、いざ採点へ
そして試験はすべて終了。「これで終了です。お疲れ様でした。それでは荷物をすべて持って、机の作品を壊さないよう気をつけて廊下に出てください」という先生の注意を聞きながら、受験生はホッとした様子で退室し、保護者の待つ講堂に向かっていきます。
受験生が全員退室すると、先ほど回収された問題(解答)用紙がもう一度、それぞれの受験生の席に戻され、立ち会った先生方がすべて集まり、この後の採点・評価の手順を確認したうえで、各自すべての作品を見返しながら、記述解答を読んで回り、採点をしていきます。
独自に作成した「ルーブリック」表
そして採点が済んだ順に、あらかじめ用意されたノートPCの採点表に個々の評価が入力され、すべての受験生の評価の入力が済んだ後で、評価の総得点が先生方で共有され、微妙な評価(得点)の差異があった作品と解答が再度確認されます。
この評価・採点のカギになるのは、やはり聖学院の先生方が独自に作成した「ルーブリック」表です。この評価基準すべては公開されていませんが、学校説明会や、この思考力入試の体験会ともいえる「思考力セミナー」では、評価の観点のひとつである「言語表現」、「レゴ表現」、「情報の読み取り」などでどういう力が求められるかについて、保護者には概要が説明されているということです。
レゴⓅシリアスプレイⓅ
この「思考力ものづくり入試」の責任者である内田先生と、もう一人の児浦先生は、レゴを使ったこの思考力入試や、聖学院でのレゴを使った授業のベースとなっている「レゴⓅシリアスプレイⓅ」というメソッドの(日本国内には数少ない)ファシリテータ資格を持つ先生でもあり、今後さらに資格取得予定の先生方もいるといいます。
「思考力入試ガイド」
多くのマスコミ(新聞やTVなど)が、この中学入試シーズンに一斉に注目し、連日報道された「思考力入試」と「英語入試」。「2020年大学入試改革」後の新たな大学入試のあり方にも対応でき、今後の世の中で求められる力にもつながる「思考力」を、独自の入試スタイルのなかで図ろうと導入された聖学院の思考力入試は、今年ですでに5年目を迎えました。
そして、この2~3年の間に増加しつつある私立中の思考力入試のなかでも、際立ってユニークな入試形態でもある、聖学院中の「思考力(思考力ものづくり&思考力+計算力)入試」は、いま多くの教育関係者にも注目される存在となっています。昨年からは、同校のWebサイトでも、この「思考力入試ガイド」が紹介されています。
イメージ整理と文章起こし
この「思考力ものづくり入試」では、“第二の脳”といわれる手を動かし、レゴで作品を作ることによって、自分のイメージや考えを整理できて、それを自分の言葉で文章にすることがしやすくなるといいます。「自分も(わが子も)こんなに書けるんだ!」ということに、初めて気づき、自信を得た受験生も多いといいます。
新しい中学入試のスタイル
このユニークな入試と、その前段階で体験できる同校の「思考力セミナー」によって、「こんな入試もあったのか?」とか、「こんな作品や自分(わが子)の考えを評価してもらえるのか」ということに気づき、あるいは「こういう楽しい授業がある学校ならば受験してみたい」と感じた小学生と保護者にとって、この聖学院の「思考力入試」が“希望の入試”であったことは確かでしょう。
筆者自身も、事前に話には聞いて概要は理解しているつもりでしたが、あらためて実際の入試の様子を取材させていただくと、「これが新しい中学入試のスタイルか!」と、目を見張らされる思いでした。
学校説明会や思考力セミナーへ!
来年2018年の中学入試でも、さらに注目されることが予想される、この聖学院の「思考力ものづくり入試」と、もうひとつの「思考力+計算力入試」。関心のある小学生と保護者は、ぜひ今後の聖学院の学校説明会や、「思考力セミナー」などに足を運んでいただくことをお勧めします。
なお、下記にご紹介した、21stCEO(21世紀型教育機構)主催の「新中学入試セミナー」には、聖学院の児浦先生も登壇します。関心のある方はぜひご参加ください。
聖学院の「思考力ものづくり入試」とは?(2/3)