聖学院の「思考力ものづくり入試」とは?(2/3)
整理した考えを文章にして表現する。
今春2017年の首都圏中学入試の話題として、マスコミ(新聞・TVなど)各社がスポットを当てた「思考力入試」。その中学入試における思考力入試のなかでも、先進的かつユニークな形式として注目されているのが、聖学院中学校〈東京・北区。男子校〉の思考力入試です。
レゴと記述を行ったり来たり
自分が作った作品は、2つ並べられた右側の机に置けるようになっていて、問題用紙上部に問題文があり、その問題の下に広い四角の囲みがあり、この上にレゴ作品を置くよう指定されています。それでも、なかには問題に取り組んでいる最中には、記述の解答用紙の上に自分の作品を置いて眺めながら文章を書き進める受験生もいて、そのスタイルもさまざまです。
何か書いては、また作品にブロックを足したり修正したり、手を加えている受験生もいます。
論理的、創造的な思考力
2番目の問いは、問題資料を読んで理解する必要がありますので、レゴ作品作りに取り掛かる前に、もう一度ゆっくり問題を読み直す姿が目立ちました。
そして、2番目の問題は、与えられた資料から状況や問題点を読み取り、その解決策をレゴで表現したうえで、150字程度で説明を書くというものです。ここでは、自由に作品を作るだけではなく、情報を読み取る力や論理的、創造的な思考力が求められます。
計9名の先生が立ち会い、取り組みの過程なども評価
ちなみに、この80分間の試験時間を通して、この「思考力ものづくり入試」には計9名の先生が、別室の「思考力+計算力入試」には6人の先生方が担当の評価・採点官として終始立ち会っていて、聖学院の先生方が独自に作成した「ルーブリック評価」表を手元のバインダーに持ち、それぞれの受験生の取り組みの様子や過程、作品と記述解答の評価を付けていきます。
慎重な評価
そして試験終了後に、すべての先生の採点を集約したところで、再度このルーブリック評価と、必要に応じて作品、記述解答を見直しながら、採点した先生によって著しく差異があった評価については、慎重に必要な調整が行われ、最終的には、合否決定のための会議で、すべての受験生の得点、評価とともに、それらの微調整の経緯も参考にされるといいます。
試験終了間際まで崩れない集中力
やがて2番目の作品ができると、受験生は3番目の記述に取り掛かります。
レゴ作品作りに熱中し過ぎると、つい楽しくなってしまい、記述が後回しになって時間が足りなくなるケースもあるのでしょうか。内田先生から「作品づくりに時間をかけ過ぎて、記述する時間が足りなくならないよう注意してください」という声かけもあり、終了時刻が近づいてくると、「そろそろ作品作りを終えて、記述を仕上げるようにしてください」という意味の促しもありました。
そして80分の試験時間が過ぎ、終了の合図で受験生の手が止まると、それまで80分間、張り詰めていた受験生の集中力がふっと緩み、教室の空気が和らいだようにも感じました。
ひとときの休息
そして、各自の机の上に置かれた問題(解答)が先生の手で集められますが、右側の机に置かれた2つのレゴ作品はそのまま机上に残されます。20名近い受験生が80分の間、真剣に作った作品が一列に並んだ様子は壮観でもあります。
これで試験は終了しましたが、その後に10分程度の「振り返り」が行われるため、まだ受験生は着席したまま、先生の指示を待ちます。
「振り返り」の時間
その後、先生の指示により、4人(3人)ずつに分けられたグループに先生も加わり、メンバーそれぞれの作品を前に、制作者の受験生からの説明を聞き、自分が感じたこと(気づいたことや、自分の考えの修正点)を用紙に書き込むことをして、「振り返り」の時間は終了しました。
聖学院の「思考力ものづくり入試」とは?(1/3)
聖学院の「思考力ものづくり入試」とは?(3/3)