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学校特集

国学院大学久我山中学高等学校2020

日本文化を理解し、世界に発信できる力を育む「女子CCクラス」
世界中の人々と交流を深め、相互理解できる独自カリキュラムが、将来を生き抜く力を育成

掲載日:2020年9月18日(金)

1944年に創立した国学院大学久我山中学高等学校は、1985年に女子部を発足。都内では珍しい男女別学校として、「きちんと青春」をキャッチフレーズに文武両道の学校生活を送っています。校舎は男子部と女子部とに分かれており、授業は男女の特性に合わせて実施。一方、体育祭や文化祭などのイベントや生徒会活動、一部の部活動は男女共同で行います。勉学を含む学校生活は異性の目を気にせず打ち込み、行事では男女が力を合わせ、協働して高め合う姿勢を育んでいます。細やかな指導と面倒見の良さに定評のある同校ですが、2018年度から「女子CCクラス」が設置され、今春中学3学年が揃いました。生徒たちの成長の様子や今後の展望を、国際教育推進委員会主任であり、英語科主任、CCクラス1期生の担任も兼任する、川本ゆり子先生に伺いました。

日本の伝統文化を学び、伝える力を育む「女子CCクラス」

国学院久我山_男女の特性に特化した授業で、充実した学校生活により、生徒たちは礼節を持ちつつ、のびやかに成長しています。
男女の特性に特化した授業で、充実した学校生活により、生徒たちは礼節を持ちつつ、のびやかに成長しています。

国学院大学久我山中学高等学校女子部は、従来、難関大学受験を目標とする一般クラスと最難関大学や医学部の現役合格を目指すSTクラスという、進路に合わせたクラス編成を展開していました。中2からキャリア教育を行い、卒業後にどう働いていくのか生徒が考えるきっかけを与えるなど、時代の要請に応じて、生徒が自身の希望する未来を実現するための教育を推進し続けています。

その上で、これからの世界を生きる生徒たちは国境を超えて働くことが常識となると捉え、どのような環境でも相互理解を深めながら協働できる人間形成を目指した教育を行うべきと、一般クラスを進化させて2018年度に発足したのが「女子CCクラス」です。

このCCとは、カルチュラル・コミュニケーションの頭文字。「日本を学び、世界に貢献できる人材育成」をコンセプトとしています。日本の文化や伝統をきちんと発信できる女性の育成を目指すもので、国内はもちろん、海外大学への進学も視野に入れています。

国学院久我山_2020年度は、男女全体で354名の生徒が入学しました。クラスは違っても部活などで様々な触れ合いがあります。
2020年度は、男女全体で354名の生徒が入学しました。クラスは違っても部活などで様々な触れ合いがあります。

初年度・2年目は40名を超える生徒が、3年目にあたる今年度は66名が入学。年々入学者数が増え、同校の教育の中核を担う存在として注目が集まっています。

川本先生は女子CCクラスについて、「まったく新しい取り組みというわけではありません。これまで本校が伝えてきた教育をベースに、特色を強く打ち出したものが『女子CCクラス』です」と話します。

女子CCクラスでは、どのような教育が行われているのか、次章から見ていきましょう。

独自の英語教育で、円滑な国際交流の礎を築く

国学院久我山_高2では、集大成となるニュージーランド修学旅行を予定しています。写真はこれまでの語学研修の様子。
高2では、集大成となるニュージーランド修学旅行を予定しています。写真はこれまでの語学研修の様子。

「女子CCクラス」の教育の柱が、「英語」と「Global Studies」です。

まずは英語教育について。

「英語は4技能に加えて、文法・語彙というカテゴリーを追加し、バランス良く学習しています。基礎をきちんと身につけ、その上で使える英語を習得できるよう指導しています」(川本先生)

ネイティブスピーカーの先生による高水準の英会話授業はもちろん、普段の授業の中でも学んだことをしっかりと英語で表現する取り組みが行われています。

日本に滞在中の留学生と英語で交流する「Friendship Meeting」、国学院大学の留学生を迎えて学校周辺の寺院や史跡を英語で案内する「英語で地域探訪」、日常生活もすべて英語で行う「English Summer Camp」、Tokyo Global Gatewayの英語プログラムへの参加など、国際交流と英会話両方の実践を叶える豊富な機会が用意されています。

「コロナ禍でなかなか直接の交流はできませんが、オンラインなどを通じて、生徒たちの国際交流の機会を絶やさないようにするつもりです」(川本先生)

英語力を確認するために、中学卒業時に英検準2級以上またはGTECグレード4、高校卒業時にGTECグレード6以上という目標を掲げています。とはいうものの、中2で英検2級に合格する生徒も出ており、生徒たちは楽しみながら実力を身につけ、それが結果に結びついていることがわかります。

国学院久我山_日本の伝統文化にまつわる、ひととおりの経験ができることも女子CCクラスの魅力です。
日本の伝統文化にまつわる、ひととおりの経験ができることも女子CCクラスの魅力です。

またCCクラスの特徴ともいえる学びが、日本文化と英語を関連づける試みです。

久我山女子部では日本文化を知る機会として、『女子特別講座』という講座に取り組んできました。話し言葉、華道、茶道、能楽、日本舞踊などを6年間で体験し、CCクラスではそれを英語で伝えることを目標としています。

「日本文化を実体験するのは、外国の方と交流する際に、自国の歴史や文化をきちんと知り、伝えられる必要があると考えるからです」(川本先生)

国学院久我山_お茶の淹れ方だけでなく、種類や文化的背景なども学べる実り多い講座となりました。
お茶の淹れ方だけでなく、種類や文化的背景なども学べる実り多い講座となりました。

一例としては、日本茶の作法を学び、それを英語で解説するというもの。
「最近は、家庭でも急須でお茶を淹れる機会が少なくなってきています。外部講師を招いて改めて作法を学んで英語で表現します。アウトプットの段階になって、『まだ理解が足りなかった』と自覚し、『もっと知りたい』と刺激になることも多いようです」

また、「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」クリル(CLIL=Content and Language Integrated Learning/他教科との統合言語学習)の考え方も取り入れており、年3回「Math in English」を特別講座として開講しています。

国学院久我山_数学のおもしろさに目覚める生徒も多い、人気の講座です。
数学のおもしろさに目覚める生徒も多い、人気の講座です。

昨年度の「Math in English」はネイティブ講師を迎え、夏休み中に3日間連続で開催されました。女子部CCクラスの中1、中2生と中学男子部を含む他クラスの希望者、合計140名が参加。英語で出題される四則計算やMath Unoゲームを導入したカリキュラムで、グループ・アクティビティにも取り組みました。

「講習後の振り返りでは、『普段は難しいと感じていた数学が、英語だと理解が進んだ』という感想があり、手応えをつかんでもらえたようです。数学も英語も論理的なもので、親和性が高かったのかもしれません。将来的には、通常の数学の授業でも英語で学ぶ機会を作っていきたいですね」(川本先生)

さらに川本先生は「英語で数学を学ぶと、数学の背景にある文化も学ぶことになります。このような経験は、点数には直接表れにくいものですが、重厚な学びにつながるはずです」と話してくれました。

実際に基礎を学ぶ機会でありながら、現在注目されている「非認知能力」を養う場にもなっているのです。

国際問題を身近なものとして捉える幅広い視野を培う

国学院久我山_学びと実社会を結びつける活動により、生徒一人ひとりの主体性が涵養されています。
学びと実社会を結びつける活動により、生徒一人ひとりの主体性が涵養されています。

もう1つの柱である「Global Studies」は、CCクラスのエッセンスともいえる授業です。週1回2時間実施(高校では週1回1時間を予定)。1つのテーマを4~6週かけて扱い、調べ学習・プレゼンテーション・ディスカッションなどの探究活動を行います。

中1は「自分を表現する」ことから始まり、「障がいのある方との出会い」へとつづきます。中2は「日本とは何か」を模索し、日本文化を深く探求しました。中3は「グローバルとは何か」を、感染症、貧困、企業、自然環境、海外ボランティアなどの観点から考察しています。

「折々に生徒の満足度調査を行っていますが、『Global Studies』の授業は特に高評価でした。自ら学んでいるという感覚があり、それを楽しいものだと認識しているようです。自主性を持って学びを広げていく。これからの学びの1つの形につながると良いと考えています」(川本先生)

国学院久我山_考えるだけでなく、実際に行動に移すことも大切にしています。
考えるだけでなく、実際に行動に移すことも大切にしています。

3学期は各学年とも「Global Issues」とテーマとして、難民や教育格差、環境問題など人類が直面する様々な問題を考えます。
「現中3生たちは昨年、インドネシアの中学生と共にプラスチック問題について話し合い、ポスターを共同作成しました。日本でも今年からレジ袋が廃止になったことで、その学びを振り返り、より理解が深まったことでしょう」(川本先生)

将来、国境を越えて仕事をするにあたり、国内外の問題を知っていること、それについて思考し、討論したという経験は、様々なものの見方や考え方を与え、多様性を尊重することにつながります。こうした学びの連なりが相互理解の大きな土台となるのです。

女子CCクラスの一員として、世界へ羽ばたく素地を磨くには

国学院久我山_英語を使う機会を豊富に設けていることも大きな特長です。
英語を使う機会を豊富に設けていることも大きな特長です。

女子CCクラスの教育がいかに刺激的で充実した学びをもたらすか、ほんの一端ではありますがご理解いただけたのではないでしょうか。この一員となりたいと考えた際、入試段階から英語力がかなり必要とされるように感じられますが、入試科目は国算社理の4教科です。

「英語の基礎からしっかりと、英語になじみのない生徒でも抵抗なく、英語のできる生徒にも飽きさせることのないように授業を進めていきます」(川本先生)

また、受験生や保護者にとってCCクラスとSTクラスのどちらを志望すべきかは悩ましいポイントです。文系ならCC、理系ならばSTと捉えがちですが、「今後は文系理系問わず、どの分野においても英語でコミュニケーションを取れることは必須です。CCクラスでも高2時より文系・理系のコース選択があり、理系学部への合格を十分狙えます」と川本先生。

では、どのような思いでCCクラスを志望すべきか、川本先生に改めて質問してみました。

「文系・理系にこだわらず、日本の文化や伝統を学び世界に発信できる、他国の文化や伝統を相互に尊重し合える、英語を学びフレンドシップを深める。これら女子CCクラスの目標に興味があり、意欲的に勉強に取り組みたいとお考えの方に、ぜひ入学していただき、一緒に学んでいけたらいいですね」(川本先生)

国学院久我山_全国レベルで活躍する部活動が多数あることも魅力です。写真は都のコンテストで3年連続「1位・金賞」を受賞した女声合唱部。
全国レベルで活躍する部活動が多数あることも魅力です。写真は都のコンテストで3年連続「1位・金賞」を受賞した女声合唱部。

国学院久我山の在校生を見ると、礼儀正しいあいさつ、5分前行動などと規律正しい学校生活を送りながらも、青春を謳歌しています。川本先生は生徒たちを、人を気遣える心を持った、心優しい生徒たちが多いと評します。その快活さ、高い人間性が同校の独自の教育を通してますます広がり、国籍や文化を越えたところにも発揮され、共に成長し続けられる力となるはず。そうして協働して明るい未来を作り出せる、社会を変えていける人材であれ、それが同校の目指す道です。

伝統を生かしながらも新進気鋭のカリキュラムを生み出す、国学院大学久我山の女子CCクラス。ぜひこのクラスのメンバーとなり、輝かしい未来を自らの手で切り拓いてください。

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