(文/スタディエクステンション代表・鈴木裕之)
GLICC(グリック)の鈴木裕之です。今回の記事では、渋谷幕張の帰国生入試問題について分析します。
英語の筆記は、5つのセクションに50分、さらに英語エッセイに30分の試験時間が与えられています。事前に提出するプリエッセイと面接も重視していると考えられます。これまでの傾向を見てみると、次の5つのセクションはそれぞれ表のような時間配分で解答していく必要があると考えられます。
セクション | 予想される時間配分 (全体で50分) |
---|---|
Part 1 - Listening | 10分 |
Part 2 - Grammar | 5分 |
Part 3 - Vocabulary | 5分 |
Part 4 - Reading Comprehension | 15分 |
Part 5 - Reading Comprehension | 15分 |
2020年、2021年のテストでは、Readingの文章が、2018年、2019年の300語から400語に比べ、400語から500語とやや長くなっています。読解力をより重視している可能性があります。
リスニングセクションのパッセージはノンフィクションであることがほとんどです。ここ数年のトピックは、考古学的な原住民のゴミ捨て場(2021年)、ホオジロザメ対シャチ(2020年)、太平洋諸島への移住の歴史(2019年)、永久凍土から発見されたウイルス(2018年)となっています。
リスニングが始まる前に、質問を読む時間が2分あります。リスニングを流すのは1度だけですが、受験生は聞いている間メモを取ることができます。
文が10個与えられ、それぞれの文の誤りを一つ指摘します。ただし、それぞれの文には、誤りがない場合もあり、「NO ERROR」という選択肢を含め5つの選択肢から選ぶようになっています。
日本の大学受験でも出てこないような難しい単語がたくさん出てきます。このタイプの語彙問題は、いわゆるフラッシュカードで日本語と対応させて覚えるようなやり方よりも、多くの文章を読む中で培った語彙力がないと歯が立ちません。英検1級レベルの語彙力が求められていると言えます。
2018年から2021年までの過去4年間、このセクションのリーディングパッセージは、主に北米の現代短編小説から出題されています。パッセージの長さは約400〜500語です。テーマは、アメリカのポップカルチャーやSFなど。イディオムに関する設問がいくつかあります。文学上のテクニックなどに関する設問はほとんどなく、アメリカの慣用句の理解や一般的な読解力を問う問題が大半を占めます。前後から推測できるスキルを身に着けておくとよいでしょう。
2つ目読解パッセージはノンフィクションの記事です。長さはPart4の読解パッセージと同様、約500語です。過去4年間のトピックは、観光(観光地)、歴史(女性爆撃機)、ニュース(小さな町の事件)、伝記(アインシュタイン)です。設問はPart 4と同様に、一般的な理解力が重視されます。ムードやトーン、慣用表現に関連する英単語を知っておくと役立つと思われます。
過去のエッセイでは、物語型または説明型のエッセイを要求しています。以下は、過去4年間のプロンプトです。
- How would you describe the year 2020 to your grandchildren? (2021)
- What is something adults often tell you that you think is untrue? Explain why you think it is untrue. (2020)
- Which day of the year is the most important to you? Why is it significant? (2019)
- What animal best represents you and why? (2018)
受験生の英語レベルが皆かなり高いことを頭に入れれば、ただ文法的に合っているというレベルでは到底高いスコアにはならないでしょう。ユニークな視点や説得力のある論拠、効果的な具体例・経験などが高い評価につながるはずです。
2022年度の入試分析は、またいずれ記事に書いていきます。今回の記事ではひとまず全体的な傾向を知ってもらえれば幸いです。