(文/スタディエクステンション代表・鈴木裕之)
GLICC(グリック)代表の鈴木裕之です。
慶應湘南藤沢中等部が2019年度入試英語試験のサンプルを同校ホームページに公開しています。英検2級から準1級レベルと書かれている通り、かなり難易度の高い問題で、帰国生もしくはそれに準じる英語力を持っている子どもを対象にした出題と言えます。
これまでSFCの帰国生入試は「4科型」と「国算+外国語作文」の2種類がありました。その後者のタイプが今年から国算英の3科型入試になり、帰国生以外も受験可能になったと考えればよいでしょう。帰国生入試の出願要件に合わない国内の国際校に通う生徒や、帰国後だいぶ年数が経過している生徒にチャンスが広がったと言えます。
昨年までのSFC帰国生入試における外国語作文では60分の試験時間で2つの課題が出されていましたが、今回の英語試験では、リスニング(約10分)、リーディング・文法・語彙(約30分)、ライティング(約20分)と、総合的な出題になっています。
リスニングは、短い会話文とショートトークという2つのパートがあります。サンプル問題のショートトークはウォルト・ディズニーの生涯を説明するもので、小学生でも理解しやすい内容であると言えます。ただし、ショートトークとは言っても5分近くに及ぶ上、内容は一度しか読まれないので、メモを取りながらポイントを押さえておかないと設問に答えることが難しいかもしれません。
リーディングは2題構成で、語彙力はそれなりに必要であるものの、内容的に抽象度が高くないものが選ばれているようです。英検準1級のリーディングよりは取り組みやすいと言えるでしょう。サンプル問題では、テクノロジーの進歩が脳にチップを埋め込む近未来の話と、文明化されていない村での異文化体験の物語が出題されていました。たしかに英検2級から準1級の英語力は必要ですが、テーマ的には小学生でもついていける内容だと言えます。
文法問題は、「空所補充」と「語の並べ替え」という2つのパートから構成されています。大学入試ではお馴染みとも言える典型的な文法事項が問われています。この文法セクションは、体系的に文法を習っていない小学生には厳しい問題となるでしょう。逆に、ふだんから体系的な文法を学習しているのであれば、ここで得点を稼ぐチャンスがあるとも言えます。そういう意味では塾が対策しやすいパートではありますが、小学生が嫌がる部分でもあるので、どこで折り合いをつけるかが対策のポイントとなりそうです。
語彙問題では、日常であまり馴染みのない単語も出題されており、帰国生で英語に慣れているとは言っても5割を取るのは難しいでしょう。
最後にライティングですが、サンプル問題の出題は次の通りです。
Write an essay on the following topic.
Think of a supernatural power. If you had that supernatural power for one day, what would you do?
SFCでは従来の帰国生入試の外国語作文でも、ストーリーを書かせたり、仮定をもとに考えを展開させたりするタイプのライティングを課していましたから、傾向は変わっていないと言えます。
賛成または反対の意見を書くエッセイでは書き方のフォーム(文章構成)を身につけることである程度の得点が見込めるのですが、このような「もし~だったら」タイプのライティングでは、より創造的な思考が要求されます。フォームだけでなく着眼・発想を意識しておくことが大切になってきます。
例えば、超能力を使って自分や仲間が幸せになるようするという願望を書こうとするにしても、どんな場面でどういう能力を発揮するのかを描写することで、具体的で説得力のあるものになっていくのです。
GLICCでは上記エッセイについて無料添削を実施します。GLICCホームページからお問い合わせください。