(文/スタディエクステンション代表・鈴木裕之)
こんにちは。GLICC(グリック)の鈴木裕之です。海外塾に勤務して帰国生指導を始めたのが今から20年前。以来、小学生から高校生までずっと海外帰国生を中心に指導してきました。赴任にまつわる相談から、現地での学習、さらに帰国生入試に至るまで、海外帰国生教育研究家として広く情報提供を行っています。
当コラムでは、帰国生の中学入試問題を中心にお話をしています。帰国生入試問題というのは、書店では購入できないうえ、学校によっては、受験生が少ないということからか公表していないこともあります。
そんな中で、帰国生入試の問題を積極的に公開している学校もあります。今回ご紹介する大妻中野もそのような学校の一つです。
大妻中野では、ホームページ上に直近2年分のすべての過去問題が掲載されています。
ホームページをご覧いただければ分かりますが、これだけの入試問題を学校の先生方が毎年作成しているということに改めて驚かされます。一般入試の算数の問題には、数学科の先生による解説ビデオまでついているという充実ぶりです。
こういった情報公開を地道に行っているのは、受験生に対する配慮の表れであり、大妻中野の人気の一因になっていると言って間違いないでしょう。
大妻中野 英語入試問題
さて、今回も英語の問題を見ていくことにします。
大妻中野の出題は、どの回もほぼ同じ形式で出題されています。リスニング、語彙文法問題、グラフや図表の読み取り、リーディングと大きく4つのセクションで出題され、試験時間は50分です(ただし2017年のシンガポール会場入試ではリスニングセクションはなく、その分試験時間が40分)。
大問1のリスニングは、試験開始直後に始まります。英文は2度読まれますから、気持ちを落ち着かせて集中できるかどうかが鍵を握りそうです。
大問2の語彙文法問題では、英検2級程度の実力が必要でしょう。文法事項としては、関係代名詞なども含まれてきますが、仕組みとして理解しているかどうかということよりも、語をあてはめてみて、しっくり来るかどうかという感覚が問われていると考えられます。
大問3のグラフや図表の読み取りは、英語力に加えて論理的思考力を見る問題となっています。
例えば2017年度の第1回帰国生入試の問題では、年齢層別のニュースの情報源の変化を示したグラフを提示し、グラフが示している傾向を問うています。このタイプの出題に対しては、グラフ特有の表現などを知っておくことが必要です。riseとかdecreaseなどの単語は、折れ線グラフを読み取る上では必須でしょう。fluctuateやsoar upなどもよく目にする単語です。その他にも円グラフではshareやaccount forなど、使われる場面とともに身につけておくとグラフ問題の対策になります。
リーディングセクションでは、日本語で英文の内容を説明させたり、自分の考えを日本語で答えさせたりする問題が特徴的です。2017年度第1回では、次のような問題が出されています。
この問題文の内容をふまえて、Globalizationが「和食」に与える影響について、あなたが考えたことを日本語50字以上で書きなさい。
大妻中野は、新思考力入試を行うなど、批判的/創造的思考力を重視していますから、このように意見を書くタイプの問題は今後も出題が予想されます。
さて、ここまで見てきてライティングの出題がないことに気づきます。ところが、グローバル入試の方ではしっかり出題されています。
右の図のように、絵の場面を英文で説明させる問題がそれです(2017年グローバル入試第1回 大問6)。20語程度の英文ですから、それほど複雑な説明は要りませんが、簡潔にまとめなければいけない分、表現の工夫が必要になりそうです。
帰国生入試でもグローバル入試でも、入学後はグローバルリーダーズコースで学ぶことが想定されていますから、両方の入試問題に目を通しておいた方がよいでしょう。
上のライティングを書いてみたいという方は、グリックに答案を送っていただければ、講師が添削してご返却します。詳しくはこちらからお問い合わせください。