受験生マイページ ログイン
コラム

【受験生のための食べる処方箋 2】 受験の天王山といわれる夏。結果を左右する食事って?

オーソモレキュラー .jp認定栄養カウンセラー・栄養士 吉川圭美

毎日がんばるお子さんへ食事でサポートしませんか?
難しく考えなくても、日々の栄養バランスに少し気をつけるだけで、見違えるほど変わります。
お子さんだけでなく、ご家族皆様の美容と健康にもうれしい情報を、栄養士である筆者がわかりやすく伝授いたします。

                   

 汗ばむ陽気の日も多くなってきました。夏期講習の申し込み受付もはじまり、本格的に夏休みの学習計画を立てる時期ではないでしょうか。
受験の天王山ともいわれる夏。学力アップの大逆転ができるのも夏休みだからこそ。自由に使える長い時間を、子どもが大きく成長できるようサポートしたいですね。

 塾や自宅で勉強に励む子どものために親ができることのひとつは、食卓から子どもを応援すること。特に学習の合間の食事は、集中力がアップするもの、学びがはかどるものをチョイスしてあげたいものです。

 実はこのとき、何を食べるかで学習のはかどり方が変わってくる、と言ったら大げさに聞こえるかもしれません。食事のチョイスを誤ったばかりにまったく勉強がすすまない、なんていうこともあるから気になります。

糖の多い食事に注意。後に強烈な眠気に襲われることも

 そのカギを握るのは血糖値。子どもにはあまり縁がないと思いがちですが、そんなことはありません。

 ご飯やパスタ、スイーツなどに多く含まれる糖質。走ったり、笑ったり、考えたり……といろいろな活動をするために、私たちの細胞はエネルギーを作っています。糖質はその材料の一つ。細胞が素早くエネルギーを作ることができるように、材料となる糖は血液中につねに流れています。この、血液のなかの糖の量を測ったのが、血糖値といわれるものです。

 糖が多いものを食べると血糖値がぐんと跳ね上がります。しかし、血液中の糖は一定の量になるよう厳密にコントロールされているため、体で使われず余った糖は、インスリンというホルモンにより、脂肪に変えられ脂肪組織に蓄えられたり、肝臓や筋肉にストックされたりします。

 このときインスリンの量が多すぎたりするなど、適切な量でなかった場合、さらに適切なタイミングで出てこなかった場合、血糖値の調整がうまくいかず、必要以上に血糖値を下げてしまうことがあリます。すると脳にも必要なエネルギーが回らず、強烈な眠気に襲われてしまう場合も。
学生時代、前日しっかり眠ったはずなのに昼休み後の授業になるとなぜか眠くて仕方がなかった、という経験のある人もいるでしょう。

 夜食にアイスクリームや菓子パンを出している、お昼は糖質の多いそうめんのみ、勉強中に甘いスポーツドリンクやジュースを飲ませている、といった場合はちょっと心配です。子ども部屋をのぞいたら机でウトウト。脳が十分にはたらかず、集中力も途切れ、何も頭に入っていなかった、なんてことになりかねません。

卵でキレの良い頭脳を手に入れよう

 受験勉強のサポーターとして私がおすすめしたい食材といえば、レシチンをたっぷり含む「卵」。
レシチンは記憶力に関係するホルモン、アセチルコリンの材料としてはたらくだけでなく、脳細胞にあるミエリン鞘(ミエリンしょう)の主成分となって脳の活性化に貢献してくれます。糖質を減らした食事にすれば、脳も活発になり、学習もキレよくはかどること間違いなしです。

 特に夏休み中は温泉卵やゆで卵を冷蔵庫にスタンバイしておき、夜食やおやつに活用したいところ。塾のお弁当もご飯を控えめにして糖分を減らし、その分、卵や肉、魚などボリュームのあるおかずをたっぷり入れてあげましょう。貴重な授業の時間を冴えた頭脳で過ごすことができますよ。

 もしそうめんを食べるなら、麺を少なめにし、温泉卵やしらす、納豆など具材をたっぷりトッピングしましょう。ご飯を食べるときも卵かけご飯に。ただし、ご飯の量に気をつけて。

 レシチンは大豆にも多いので、納豆や豆腐などを取り入れるのもいいですね。味噌汁に入れたり、納豆に卵を落として食卓に添えても。

 ちなみに、おかずの多い食事は摂取する栄養を増やすことにもなるので、夏バテ予防にも貢献してくれるのも嬉しいところ。逆に糖質の多い食事は脳の活動を妨げるだけでなくビタミン不足を引き起こすことにもなり、夏バテに陥りやすいので食べ過ぎには要注意です。

 夏を制するものは受験を制する、とも言われます。有意義な時間になるよう、食卓から応援していきましょう!

吉川圭美 [オーソモレキュラー栄養カウンセラー・栄養士]

栄養士資格を取得後、健康・食にまつわる編集者・ライターとして活動。200人以上のドクターや健康法の提唱者にインタビューを行う。その際出会ったオーソモレキュラー栄養医学に魅了され、ひとりでも多くの人に伝えたいと資格を取得。現在は保育園にてオーソモレキュラー理論を応用した給食にたずさわるほか、クリニックにて栄養カウンセリングを担当。一人ひとりの不調と向き合い、身体に合った食べ方を提案している。記事執筆や監修、レシピ提案なども行う。


MYLOHAS連載「ポジティブ栄養学」http://www.mylohas.net/2016/11/058248nutrition.html