2018年11月3日私立中コラボフェスタレポート②
◎適性検査型入試
①京華 校長・町田英幸先生
・教科の学習に集中する生徒は教科型入試、教科横断型でものを考える生徒は適性検査型入試合格者に多い。双方が影響しあう環境にある。
・自分がやりたいことを見つけてほしいし、自分がこれになりたいから学ぶという生徒を育てている
②京華女子 校長・塩谷耕先生
・適性検査型特別選抜入試では、都立白鷗中等と似た形式の問題を出題。
・適性検査型の入学者は答えまでの過程をよく考える。入学者はよく伸びる印象。そして、上位者は適性検査型。話し合い、自分の考えを述べるのが得意なのは適性検査型の受験生。
③白梅学園清修 副校長・鈴木邦夫先生
・適性検査型入試では、都立立川国際に寄せた問題を出題。英語教育に力を入れており、都立立川国際と教育内容が近い。
・自分の考えをわかりやすく表現する生徒、ゼロから1を生み出そうとする生徒に来てほしい。お互いに足りないものを補う人であってほしい。
④東京家政学院中 校長・長尾宏先生
・適性検査型入試では都立の類似問題を出題。九段、小石川、大泉の問題を参考にしている。日常生活・社会問題をもとに課題設定している。
・情報と論理的思考力をもとに、自信をもって取り組んでほしい。本校は自己肯定感を育む自信がある。
⑤西武学園文理中 加藤潤先生
・適性検査型入試は都立準拠。自分の強みを表現できる生徒に来てほしい。
・資料を使い、自分のことばで表現していく場面で適性試験型の合格者が光る。教室の中でこうした生徒が混ざると、化学反応が起こる。数少ない適性検査型合格者がクラス全体を引っ張っている。
⑥日本工業大学駒場中 藤森啓先生
・適性試験型1は国語、2は算数・理科・社会。考える力、表現力をみる標準的な入試。1では独創性を見る、2では自由に論述してもらう。
・都立型に似せているが、難易度は都立より解きやすい。
・適性検査型の入学者は知識・技能が高い傾向にある。
適性検査型入試は、論理的思考力や創造的思考力を試す問題がよく出題されます。知識の暗記だけでなく、それを応用したり、筋道だてて答えたりする訓練が欠かせません。コーディネーターである首都圏模試センターの山下一氏が適性検査型入試で入学した生徒さんの特徴を先生方に尋ねていましたが、どの先生方も「自分のことばで意見を発信する力に長けている」ことを挙げていました。学内の学びの活性化を促す意味もあり、そうした受験生にはぜひチャレンジしてほしい入試形態です。
◎総合型入試
①共立女子 広報部主任・金井圭太郎先生
・教科の枠を取り払って考えていく思考を持っている子を欲しいゆえに、合科型入試を実施。
・色々な価値観に触れあって、自分を磨いてほしい。特に発表、文章表現の部分で自分をアピールできるようにしておくとよい。
②光塩女子学院 学校企画室長・佐野摩美先生
・総合型入試では、本当に必要な知識を得て、つなげて、自分で判断する。いままで得た基礎知識をもとに考えて論理的に表現する力を見たい。身近な事柄をテーマにしているので、問題を見つけ、考える訓練をしてほしい。
・総合型の子は主体的な生徒が多く、学内に化学反応が生まれる。
③聖ドミニコ学園 広報入試・田畑朝先生
・アクティブラーニング入試を実施。課題に取り組み、解決していく姿を見る入試。物事を自分事にして考えて表現する力を見たい。
・本校ではPBL(課題解決型学習)を実施。課題に正面から向き合い、将来どう貢献できるか、思いっきり表現できる受験生に来てほしい。
科目の枠にとらわれず、総合的な視点で問題や課題を捉えらえるような受験生を得たいという意図から行われる総合型入試。社会に潜む課題は一つの専門領域のみで解決できるわけではありません。そうした変化を見据え、問題・課題を解決できる生徒を育むことを旨とした学校が総合型入試に取り組んでいます。普段の生活の中で、どういう問題が社会に潜んでいるのか、自分ならどう解決するのかを考え、文章等で表現できるように準備しておきたいところです。
◎英語入試②
①東京女子学園 教頭・落合裕子先生
・リスニングとスピーキング。イラストを見て答えるもの、自分の身の周りについて述べるもの。その理由を説明する。決して難易度は高くない。
・自分の思いを伝えたいという意欲を見ている。英検4級~3級程度。声を出すとリスニングの訓練になる。「楽しくなければ英語じゃない!」
②和洋国府台女子 英語科・直井一馬先生
・英語が好きで、前向きで英語に取り組んでいる生徒を求めている。日本のことを英語で発信できるような生徒に成長してほしい。
・推薦「英語リスニング型」はリスニング100%+グループワークを実施。英検4級程度。英語+2科目型はリスニング80%。
③工学院大学附属 英語科主任・中川千穂先生
・日本初のケンブリッジイングリッシュスクールであり、世界標準の授業を行っている。ゆえに、中学入試では4技能を見る。
・スピーキングは面接。PBL・PIL・学習者中心の授業を行うさいに必要な思考力を見ている。何を考え、どういうプロセスを経ているのかを評価する。
④武蔵野東 英語科・岩田英明先生
・入学後は英語を使う機会が多くなる。ディベートや海外研修等もあるが、コミュニケーション活動として楽しみながら英語を学んでいく。
・イングリッシュエキスパート入試の対策としては、英検4~5級レベルの英語の実力とともに、失敗を恐れず勇気をもって発話することが大事。
国際標準の英語を運用していくためには、英語を使う意欲や思考力を持ち合わせることが大事です。英語入試を実施する学校は、英語に触れる機会がふんだんにあり、国際的な舞台で活躍するためのコミュニケーション能力を育成しようと尽力なさっています。スタディエクステンションの鈴木裕之氏がこうした英語入試実施校に注目するのも、そうした中高生が世界に羽ばたく姿を数多く見ているからにほかなりません。
◎個性派オリジナル入試
①聖学院 21教育企画部長・児浦良裕先生
・3種類の思考力入試(ものづくり思考力、M型思考力、難関思考力)を実施。ものづくり思考力入試はレゴ+作文+プレゼンテーション。M型思考力入試はクリティカルに情報を読み取る力を見る。難関思考力は両方尋ねる。
・身近な問題に目を向けて、言葉や文字だけでなくレゴや絵で表現しよう。
②中村 入学対策部部長・江藤健先生
・ポテンシャル入試を実施。小学校の活動での成長を文字化する。
・「やばい」で済まさない。何がやばいのか、何がすごいのかを表現してほしい。家庭で言葉のキャッチボールしたり、6年間でどんなことをやってきたのかを保護者が伝えてあげて、どう学んだかを書き留めてほしい。
③和洋九段女子 主幹教諭・本多ゆき先生
・PBL型入試を実施。グループワークの様子を評価する。良いところを誉め、受け入れ、グループに貢献できるかを見たい。
・失敗を恐れず、自分はこう考えたといえるようにしたい。また、他者の考えを聞くようにしてほしい。自分にはない視点を見ることが大事。
④駒込 企画広報室・五反田寿美子先生
・思考力STEM入試を実施。知識は大切だが、アルゴリズムで論理力、プログラミングで想像力、算数で知識力を問う。
・シンギュラリティ(技術的特異点)がやってきたとき、今の小学生はその局面に遭遇する。志と倫理観を育てる教育を展開するわが校に来てほしい。
⑤宝仙学園理数インター 入試広報部長・中野望先生
・入試「理数インター」という9種類の入試を実施。受験生が持つ光るものを見つけるためのもの。たくさんの入試で、さまざまな受験生を見たい。
・今やっていることを一生懸命頑張って、ぜひそのままの自分を見せに入試に来てほしい。
⑥目白研心 校長・松下秀房先生
・今年から次世代スキル入試を実施。思考力、推理力、計算力を見る。「読む算数」。MECE(漏れなくダブりなく全体を見渡す)を意識してほしい。
・グループワーク、個人ワークもある。いままでの成功体験や感動したものを表現する。表現力・思考力を見ようとしている。
個性派オリジナル入試を見渡すと、未来に向けてどういう学校像を見出していきたいのかが見えてきます。その中心に据えているのは、「子どもたちが活躍する未来に向けて、どういう教育を行うのか」。中学入試はそうした学校のありかたが透けて見えます。こうした学校は、個性的な受験生が自己の才能を育む環境を整えようとしていたり、個性を発揮できる校風があったりします。本間教育研究所の本間勇人氏が述べるように、子どもたちの才能を掬いあげ、未来をつくる担い手を育む「希望の私学」に皆様方が出会えることを期待しています。