2018年12月私立中コラボフェスタレポート②
⑤英語入試
共立女子第二 入試広報部主任 戸口義也先生
・英語入試は英検4級~3級レベル。
・日本語作文もあるが、採点の対象にはならない。
・スピーキングは英検2次試験と類似。スペルミスを減点しない。
・4技能の統合型授業。洋書の多読やペアワークなど、多種多様。学力推移調査では英語が嫌いな生徒がゼロ。英語が好きになる教育を展開している。
聖ドミニコ学園 広報入試部 田畑朝先生
・英語入試のレベルは3級~準2級程度。
・文法よりもライティング重視。
・来年度から2つのコース制を敷く。アカデミックコース(今までのものをアップデート)、インターナショナルコース(英語だけでなく数学・理科も英語で)。後者は本気でやる気で来ないと難しい。また、ネイティブが理科を教えるが、日本人教員もいる。ただ、英語漬けになる。
聖和学院 入試広報ご担当 栢本さゆり先生
・英語入試では日本語の作文と英語のスピーチ、ライティングを実施。
・英検4級レベルの問題。特待生は英検3級レベル。
・インタラクティブテスト。積極性が大事。
・神奈川の高校で唯一英語科を持っている。補習の形で英検準備講座を行なっている。
関東学院六浦 校長 黒畑勝男先生
・CLIL、内容と言語との統合を図る英語教育を行なっている。
・リスニング、リーディング、ライティングが出題。自由作文はスペリングを問わず、発想力・表現力をみる。面接は面接官2:受験生1。
・レベルは英検3級が中心、4級・準2級レベルのものもある。
・我が校は4か国7名のネイティブがいる。
・中1から取り出し授業を行う。英検3~2級レベルの生徒で1クラス。高校1年生はGLEクラス設置。海外を目指す子たちのプログラム。ハワイのコミュニティカレッジで学べる。
工学院大学附属 英語科主任 中川千穂先生
・日本初のケンブリッジイングリッシュスクール。
・コンテクスト重視の入試。入試では英語ができる受験生のほうがいい。
・英語で英単語文法だけでなく、世界の文化を学ぶ。
・インターナショナルクラスでは英語の授業が7時間+理科と数学は英語。
・英語の小説制作を通したクリエイティビティを高める授業など、英語教育が充実している。
私立中高一貫校の英語教育は常にバージョンアップしています。CEFR(ヨーロッパ言語共通枠参照枠)を基準にすると、C1レベルを目指す学校も出現しています。一方で、自校の英語教育の強みを成熟させてきた私学が注目されつつあります。英語教育が強いといっても、特色はさまざまです。初心者レベルから育て上げることが得意な学校もあれば、英語に慣れた受験生をさらなる高みに引き上げる学校もあります。いずれにしても、英語教育が強い学校は世界に開かれた私学です。国際色豊かな私学で、グローバルの世界で活躍してほしいと願う保護者の方は、英語入試を実施する私学に注目してみるとよさそうです。
⑥個性派オリジナル入試
北鎌倉女子学園 日本語4技能入試 入試委員長 中山雄一先生
・日本語の聞く・読む・書く・話す力を測る入試。人はコミュニケーションをとるなかで、自分のことを大事にし、他者や家族を尊重すると考える。言語で思考する。
・聞く力と読む力は集団で実施。問題文は放送で流す。書く力は300字作文。
・個別試験で朗読と口頭試問、自分の考えを述べる。
共立女子第二 サイエンス入試 入試広報部主任 戸口義也先生
・最初の理科の授業は散歩。ファームで野菜をつくって、給食で出て、残飯が堆肥になる。学校自体がサイエンスの場である。
・サイエンス入試では理科的な発想を見ようとしている。
・入試で実験をやる。その結果をレポートを書き、プレゼンする。正解は一つではない。
・言葉をつかって思考する。そして科学的思考をみる。
・学校を多様な生徒が居場所が持てる空間にしたい。
相模女子大学中学部 プログラミング入試 小学部副校長 川原田康文先生
・日本ではプログラミングは「好きな子がやるもの」とみなされるが、東南アジアは国を挙げてやっており、そのなかで技術が生まれている。
・21世紀型、STEM教育を行っている。
・教科中心の授業が主だが、人工知能と脳がつながったときどうなるのか
・プログラミング入試は答えが一つしかない問題に取り組む。楽しいけど難しい入試
・プログラム、センサー、アクチュエーターの試行錯誤がないと解けない。最後に発表 子どもたちの姿が手に取るようにわかる。
・ロボット大会は日本では男子だが、海外では女子が台頭。
聖セシリア女子 グループワーク型入試 入試広報部長 大橋貴之先生
・30分の筆記、8人程度の話し合い。人の話を聞くのも読解力。
・自分の考えを論理的に組み立て、自分の考えを相手に伝える様子をみている。
・相模原中等の「グループ活動」と類似した入試。
・「グループとして一つの案を作る」過程のなかで、相手のことを理解する。
・明るくて素直な子どもが多い学校。
湘南学園 湘南学園ESD入試 教頭 伊藤眞哉先生
・ESD(Education for Sustainable Development)とは「持続可能な開発のための教育」。エネルギー問題、貧困・格差・紛争・テロなど、21世紀で課題となる問題解決に努める。
・事前提出課題を90秒動画でつくる。小学校時代に頑張ってきたこと(これまで)、中高で頑張りたいことをアピール(これから)。
・記述・論述問題は、SDGsに関係する資料の読み取り、自分に引き付ける視点、課題解決へのアイデアを示すもの。
・難しく考えず、しかし世界の痛みを引き受け、理解しあえる小学生に来てほしい。
入試というものは、緊張させ、抑圧するものだと捉えられがちです。しかし、個性派オリジナル入試は、安心して自己を開示し、才能を受け止めてくれるものだと理解しました。
経団連は文系も数学を、理系はリベラルアーツを学ぶべきだ、といいます。早稲田大学の政治経済学部では2021年には数学必修となります。新しい基軸を備えた私学では、そうした動きを見据え、STEAM、リベラルアーツ、英語教育に力を入れています。こうした希望の私学はこうした個性派の入試を次々と生み出して、才能を引き受けようとしています。
受験生をどの学校に入学させたいかを考えるさい、21世紀の展開を見据え、どういう才能を育みたいかを考えることが欠かせません。2科4科で受験することもさることながら、受験生のもつ才能を活かす入試にチャレンジするのは、本人の自己肯定感を育むためにも、非常に有用に思います。