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学校特集

武南中学校2023

グローバル教育と探究学習
STEMでさらなる躍進を

掲載日:2023年9月6日(水)

グローバルリーダーの育成に向けて

武南_入試広報担当 鷲田雅幸先生
入試広報担当 鷲田雅幸先生
武南_中学英語科 神殿朋宏先生
中学英語科 神殿朋宏先生

 武南中学・高等学校(以下、武南)は、併設校である武南高等学校が掲げる建学の精神「自主・自立・自学・協同」を受け継ぎ、2012年に誕生しました。
 開校10年目を迎えた昨年、武南は新たな10年に向けて「グローバル教育」「SDGsを踏まえた探究学習」「STEM教育」の3つを柱にしたカリキュラムを作成。今年から開校以来培ってきたグローバル教育を大きく前進させた異文化理解プログラム「BUNAN INNOVATION」と、自律的なアクティブラーナーを育てるための「B‐STEM」を始動させました。同校の教育目標である「社会をより良く変革しようという志をもったグローバルリーダーの育成」にこれまで以上に力を注ぐためです。
 こうした最先端の教育と同校の躍進について入試広報担当の鷲田雅幸先生と中学校英語科の神殿朋宏接に聞きました。なお、神殿先生は併設校である武南高校の卒業生です。

「BUNAN INNOVATION」がスタート!

武南_英会話の授業風景
英会話の授業風景


武南_2名のNET英会話
2名のNET英会話

神殿先生:『BUNAN INNOVATION』の目的のひとつは、社会問題に対して自分の考えや意見をしっかりと持った上で、それらを海外の人たちに向けて伝えられる英語力を身につけることです。そのために、物事をひとつの側面から見たり、一定数の意見だけに耳を傾けたりするのではなく、多面的に捉えることのできる力を英語の4技能とともに培っていきます。そこで、中1と中2で英語の土台とコミュニケーションの基礎となる表現力を築き、中3と高1で思考力の、高2と高3で応用力の強化をそれぞれ図っていきます。
 本校には専任の英語ネイティブ教員が2名います。1名はアメリカ出身で、日本で英語の教員免許を取得しています。もう1名はトリニダード・トバゴ出身で、TESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)の資格を持っています。TESOLは英語を母国語としない人に英語を教えるための資格です。
 中学ではこの2名が主導する英会話の授業を、10人程度の少人数制で展開しています。目標は英語で雑談ができるレベルのコミュニケーション力を身につけることです。雑談をするには、話題が必要となります。そこで行事などで体験したり感動したりしたことを、英語で表現できるようにトレーニングを重ねていきます。
 一方、高校では日本人の英語教員とネイティブの教員とのチームティーチングによる授業となります。日本人の教員が授業を主導し、英字新聞やTEDTalksなどのプレゼンスピーチなど様々なトピックスを取り出して、日本人と外国人の視点の違いを知ります。たとえば、同じ出来事における日本のメディア報道と海外のメディア報道のしかたを比較して違いを確かめ、その背景にはどのような習慣や文化があるのかを考えます。こうして論理的な思考力を培うと同時に、相手の立場を理解した上で、自分の考えや意見を英語で発信する力も鍛えていくのです。
 英検対策にも力を注ぎ、高校卒業までに準1級の取得をめざします。英検準1級以上に合格していれば、難関大学を受験する際に優遇されたり、英語が免除されたりして有利になるからです」

アジア研修やアメリカ研修を再開

武南_アジア研修 カンボジア世界寺子屋運動
アジア研修 カンボジア世界寺子屋運動

武南_アジア研修 カンボジア世界寺子屋運動
アジア研修 カンボジア世界寺子屋運動

武南_アンコール遺跡修復作業体験
アンコール遺跡修復作業体験

「BUNAN INNOVATION」の大きな特色は、各種フィールドワークや「アジア研修」「アメリカ研修」「古都研修」といった海外研修とリンクしている点です。
 武南では、本物にふれることで、グローバルリーダーに不可欠な高い教養を育んでいます。そのひとつが多彩なフィールドワークです。理科では、日本地質学発祥の地である長瀞や、埼玉県立自然の博物館を訪問。社会科では中1で鎌倉を散策し、中2でJICAやUNICEFを、中3で民間企業を見学します。また、日本文化への造形を深めるための古典芸能鑑賞教室も用意。歌舞伎や能、狂言、文楽など日本の伝統文化を体験します。こうしたフィールドワークでは講演を聞くなどして事前学習を行った上で、現地で調査した成果をiPadにまとめ、その成果をプレゼンテーション。より確かな知識として定着させるとともに、物事を多面的に捉える視点を養っていくのです。これにより、英語の雑談力も向上していきます。話題が豊富になるからです。
 一方、海外研修として中2でベトナムとカンボジアを訪れる「アジア研修旅行」を実施。ベトナムでは現地の中学校の生徒と英語で交流します。同じ授業を受けたり、給食をともに食べたり、プレゼンテーションをしてお互いの文化を紹介しあったりするのです。
 さらに高1ではボストンを訪れる「アメリカ研修」を、高2では京都や奈良を巡る「古都研修」を用意。アジアやアメリカを肌で感じた後、「古都研修」で日本の伝統文化の素晴らしさを改めて認識して、海外に向けて発信する力を養うことを目的としています。
 しかし、創立以来実施されてきたこれらの研修は、コロナ禍によって2020年から休止を強いられていました。

鷲田先生:「コロナが以前と比較し、やや落ち着きを見せてきたため、今年度から『アジア研修』も『アメリカ研修』も再開する予定で、現在その準備を進めています。今年度の『アジア研修』は、中2生だけでなく、昨年にコロナ禍でこの研修に行けなかった中3生と合同で実施する予定です。

武南_研修旅行 APUの留学生とのディスカッション
研修旅行 APUの留学生とのディスカッション

 今年の2月には同じく『アジア研修』に参加できなかった現在の高1生に向けて、大分・熊本・長崎の3県を巡る3泊4日の研修旅行を行いました。1日目は大分県別府市にあるAPU(立命館アジア太平洋大学)の留学生と『私たち一人ひとりが、世界が抱える課題の解決に対して何ができるか』をテーマにグループを組んで英語でディスカッションしたり、その成果をプレゼンテーションしたりしました。2日目は、この留学生といっしょに別府温泉や由布院などを巡る英語による「持続可能な街づくりを考える」フィールドワークを楽しみました。

武南_研修旅行 海の環境探究学習
研修旅行 海の環境探究学習

 3日目は熊本から長崎までフェリーで移動し、長崎総合科学大学の『海洋生物と海の環境をSDGsの観点から考える』をテーマにしたワークショップに取り組みました。大学の先生の講義を受けた後、『海の底に沈んでいるプラスチックゴミをどうやってあなたは回収しますか?』という課題にグループで挑戦するワークショップです。各グループに水中モーターやプロペラなどの器具や様々な工具を手渡され、それらをみんなで話し合いながら工夫を凝らして組み立てます。そして、水槽の中に沈んでいるゴミに見立てた物を拾い上げるのです。
 最終日は長崎平和記念公園と長崎原爆資料館を見学して、平和の尊さを実感しました。生徒にとって本校に入学してから初めての宿泊行事であり、貴重な体験となりました。この生徒たちは来年の2月に『アメリカ研修』へと旅立つ予定です。

神殿先生:「ボストンではMIT(マサチューセッツ工科大学)やハーバード大学といった世界のトップ大学を訪問します。また、こうした名門大学の学生とともに市内を巡りながら英語で交流を図ります。留学生と有意義なひとときを過ごすための英語力を磨くのも『BUNAN INNOVATION』の目的です。発音とスペルの規則性を学ぶフォニックス、オールイングリッシュの4技能統合型授業や、論理的思考力を養うアカデミックライティング、模擬国連への参加などで英語の力を磨いていきます。そして、フィールドワークや『アジア研修』などで貴重な体験を積ませ、教養も身につけていくのです。同時に将来、世界に羽ばたけるように、異文化を理解する心も養っていきます」

鷲田先生:「併設の武南高校の卒業生が現在、NASAで働くという志を胸に抱いてMITの大学院で学んでいます。彼はサッカー部の活動と勉強とを両立させ、現役で九州大学工学部機械航空工学科に進学しました。この大学で学ぶうち、宇宙に興味を抱くようになり、卒業後にミシガン大学に留学した後、MITの大学院に進んだのです。ミシガン大学を選んだ理由は、月面着陸したアポロ15号の乗組員たちがこの大学の出身だったからだと述べています。  この卒業生が今年の夏に帰国したので、本校で講演をしてもらいました。特に『アメリカ研修』でMITの大学生と交流する予定の高1生たちは目を輝かせて彼の話を聞いていました。『BUNAN INNOVATION』で英語を学ぶ意欲もますます高まっています」

問題解決力を育む「B‐STEM」

武南_プログラミング学習
プログラミング学習

 ChatGPTを始めとするAIとともに生き、将来を担っていく生徒には、蓄積された情報を分析して効果的に活用できる力が求められています。そのために、自分で学び、自分で考え、行動できなければなりません。生涯にわたって学び続けていく姿勢も必要です。
 そこで、武南はSTEM 教育を導入。STEMとはScience(科学)、 Technology(技術)、Engineering (工学)、 Mathematics(数学)の総称であり、これらを統合的に学ぶのがSTEM 教育です。武南ではこの教育に同校独自の教育を組み合わせた「B‐STEM」を始動させました。
「B‐STEM」の「B」は「武南」のイニシャルであると同時に「文化」や「美的感覚」の「美」も表しています。この「B‐STEM」は、日本の文化や世界の文化の多様性を知り、グローバルに考えられる力を身につけながら、言語や歴史、科学や数学、プログラミングなどを総合的に学ぶプログラム。異文化を理解する心や多面的な視野を養う『BUNAN INNOVATION』との相乗効果で、主体的な問題解決力や新しい価値を生み出す力を育みます。

武南_プログラミング学習
プログラミング学習

鷲田先生:「本校では3年前からSTEM教育の一環として、埼玉大学STEM教育センター准教授でロボット工学の専門家である野村泰朗先生を招き、中2生を対象にしたプログラミング特別授業を行っています。この授業の中で生徒はプログラミングを学び、ダンボールや車輪やモーターを組み合わせて製作した模型のクルマを自分が意図した通りに走らせています。しかし、クルマが思うように動かないこともあります。こうした困難にぶつかった時こそチャンスであると考えています。クラスメートと力を合わせ、問題を解決しようとする力を養うことができるからです。
 今年度から本校は、この埼玉大学STEM教育センターと共同研究の提携を結び、本格的にSTEM教育を普段の授業の中に取り入れ、教科横断型の『B‐STEM』をスタートさせました。来年度からはデータサイエンスの学びも取り入れていく予定です。こうした教育プログラムの中でSDGsに関連する探究活動も行っていきます。
 総合的な探究の時間の中でもJICA出張講座を行って、職員の方に発展途上国の現状についてSDGsにふれながら話していただきました。『アジア研修』で訪れるベトナムでも地雷が埋まっているなど戦禍の痕跡が残っていたり、貧富の差が激しかったりする現状を生徒は目にします。『B‐STEM』では、こうした答えがひとつでない問題について、自分がこの解決に向けて何ができるのかを考える探究活動に力を入れていきます。そして、生徒一人ひとりの進路に結びつけてきたいと考えています」

93.5%を誇る4年制大学進学率

 武南では一人ひとりに目が行き届く手厚い指導により、生徒の多くが6年間で学力を大きく伸ばしています。1期生が卒業した2018年度から5期生が卒業した今年の春までに武南が送り出した生徒は 124名。その内、9名が東京工業大学、東京農工大学、電気通信大学を始めとする国公立大学に、2名が北京大学などの海外大学に、287名が早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学、GMARCHクラスを始めとする私立大学に合格しました。この1期生から5期生までの4年制大学進学率は、93.5%を誇ります。

主要大学合格実績(1期生~5期生・私大はのべ人数)

【国公立大学】東京工業大学1・東京農工大学1・電気通信大学2・埼玉大学1・横浜国立大学1名・茨城大学1・宇都宮大学1・埼玉県立大学1
【海外大学】北京大学(中国)1・ペーチ大学(ハンガリー)1
【最難関私立大学】早稲田大学3・慶應義塾大学2・上智大学1・東京理科大学9
【GMARCH】学習院大学1・明治大学7・青山学院大学3・立教大学5・中央大学3・法政大学9
【有名私立大学】成城大学1・成蹊大学2・明治学院大学3・獨協大学8・國學院大学1・武蔵大学1・日本大学16・東洋大学23・津田塾大学2・東京女子大学1・日本女子大学4


鷲田先生:「本校では多くの生徒が自分の将来像を明確にした上で『行ける大学』ではなく『行きたい大学』に進学しています。そして大学のブランドにとらわれることなく、将来像に近づくための大学や学部・学科選びをしているのです。これからの10年に向け、『BUNAN INNOVATION』『B-STEM』によってグローバル社会に貢献したいと願う生徒たちを育て、その志望を叶える進学指導に全力を注いでいきたいと考えています」

今年の出願者数は、過去最高

 次代のニーズに応えるべく最先端の教育を実践する武南。開校から11年目を迎え、着実な歩みを続ける同校の認知度は年々高まっています。3年連続して志願者が増え、今年の出願者数は過去最高となりました。

鷲田先生:「本校は毎年、第1回から第5回までの中学入試を行っています。今年の入試の出願者を合計すると998名で、1000名に達する勢いでした。中でも入試解禁日の1月10日に実施した第1回入試の出願者が多く、中学校舎には収まり切れないので、武南高校の教室を試験会場に使用したほどです。毎年、この第1回入試の出願者が圧倒的に多く、その半数を都内から"お試し受験"で来た小学生が占めていました。そのため、この第1回と第2回の入試で本校に合格しても、都内の一貫校や他の一貫校に合格すれば、そちらに入学してしまう傾向にありました。その結果、本校に入学してくれる生徒は1月下旬の第4回と2月初旬の第5回の入試の合格者が多かったのです。しかし、今年は傾向が大きく変わりました。今年の入学者56名の大半が、第1回と第2回の合格者だったのです。第4回と第5回の合格者はほんのわずかでした。これは本校を第一志望にしてくれた受験生が急増したことを表していると私たちは自負しています。
 中学受験関係出版社の方がこんなことをおしゃっていました。『都内から多くの志願者が受けに来る状態が3年間続けば、必ず都内からの入学者が増えてきます』と。確かに今年の入学者のうち9名が都内に在住しています。例年に比べると大きく増えました。
 多くの受験生や保護者の方々に本校の学校説明会に来ていただき、本校の教育を知っていただきたいと思っています」

神殿先生: 私の母校でもある武南高校は教員と生徒との距離が近く、面倒見のよい学校でした。その伝統や校風は本校に受け継がれています。今後はさらに教育内容を充実させて、生徒や保護者の方々の期待に応えてまいります」

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