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学校特集

千葉日本大学第一中学校・高等学校2023

調べる・学ぶ・発信する楽しさを生み出す、独自の探究学習
自分の居場所をしっかりと定め、多彩な選択肢の中から夢を掴み取る

掲載日:2023年5月1日(月)

80000平方メートル超という広大な敷地に2017年に竣工した学び舎、450名収容の多目的ホール、蔵書約7万冊の図書室、芸術棟や野球場などを有し、日本大学理工学部近接という開放的かつアカデミックな環境を誇る千葉日本大学第一中学校・高等学校。その中で大きく力を伸ばす生徒たちの様子を細谷晃人先生、富沢拓馬先生に伺いました。

3年間の総合学習で得られるもの

千葉日大_活発に行われている「総合学習」の授業
活発に行われている「総合学習」の授業

 全国の中学、高校で推進されている探究学習。千葉日本大学第一中学校・高等学校(以下、千葉日大)では「総合学習」として、2021年度から同校独自のカリキュラムで授業が行われています。その目標は、以下の3本。

1.自分の興味関心を探究しながら、自分の進路を定めていく
2.総合型選抜に活かす
3.3つの能力を磨く【リサーチする能力・論文を書く能力・発表する能力】

 中1から高3まで6つの課題を経て、上記の力を磨きます。

 ここでは千葉日大の中学3年間の「総合学習」の授業について触れてみましょう。
 生徒たちは週に1時間、約1年をかけて1つの探究課題を行います。

●中1のテーマ「自分を知る」
自分の興味関心を分析し、クラスの小グループ内で発表。マインドマップやロイロノート、Googleスライドなどを多用し、プレゼン資料作りを学びます。

●中2のテーマ「職業を知る」
親の職業やその他の様々な職業を調べ、自分との職業適性を考えて、クラス内で発表や講評を行います。リサーチやグループでのプレゼンを経て、論文へとまとめ上げます。

千葉日大_細谷晃人先生
細谷晃人先生

●中3のテーマ「海外ツアーを計画する」
自分の興味関心を分析し、視点を海外へと広げ、マインドマップを作成して興味のある国を選びます。その後、調査とグループプレゼンを重ね、旅行のチラシとしてまとめます。最終的に、1クラスに1名の代表者を選んで発表を行い、外部の方からの評価を受けます。

 このように、中学3年間の「総合学習」の授業は、自分の内面を見つめ直し、主義、志向、将来への志望を考える時間です。また、クラスメイトのアドバイスを受け入れ、協働する姿勢を学び、相手の思いを慮りながら自分の意思を効果的に伝える技術を磨く場でもあります。

「そのうえで、生徒たちが積極的に参加すること、彼らが内に持っているものを引き出して、達成感を感じられるようにすることを我々の目標として掲げています」と細谷晃人先生が教えてくれました。

同級生の熱意と活躍が起爆剤に

千葉日大_練習を重ね、堂々とプレゼンしました!
練習を重ね、堂々とプレゼンしました!

 中学生の「総合学習」の集大成は、3年生の2月に行われる最終発表会です。講堂で代表者6名によるプレゼンテーションが行われます。JTBの方をお招きし、講評をいただきます。6名の中から、優勝、準優勝、3位を決定、その他3名を学年優秀賞として表彰します。

「総合学習」での探究授業発足から2年間、中3の学年主任として生徒たちと関わってきた細谷先生に、2022年度の発表会の様子をうかがいました。

「今回、優秀者として発表する6名は、それぞれのクラスの生徒たちにより選ばれました。私たち教員が選ぶと、つい、人柄や、完成に至るまでの過程も評価してしまいます。純粋にプレゼンの内容の良さだけで、自分たちの代表にふさわしい生徒を選出してもらったのです」(細谷先生)

 代表者の旅行ツアーの行き先は、ドイツ、イギリス、ドバイ(アラブ首長国連邦)、フランス、アメリカが2名。
テーマは例えば、
・家庭や仕事で忙しい20〜40代の女性向け、可愛く美しいものを鑑賞して、心を癒やすドイツツアー
・英語が苦手な人でも安心して行けるイギリスツアー
・大谷翔平選手の出場する試合を見るためだけ、他に観光要素はゼロで行く弾丸アメリカツアー
など。

 事前にJTBの方から、「主人公は旅行に行く参加者である。その立場に立って、相手に興味を持ってもらえる計画を策定すること」と評価基準を知らされており、それを主眼に5分間のプレゼンを行いました。

 ただし、この中で異色なのは、大谷選手の試合観戦ツアーを企画した生徒です。彼の提示する内容は評価基準からは離れていましたが、それでも代表として選ばれたのは、「自分が大好きでどうしてもやりたいことがあり、魅力を皆に伝えたい、それに賛同してくれる人を連れて行きたい」という熱意がみんなに伝わったからです。

千葉日大_発表を終え、清々しい表情の生徒たち
発表を終え、清々しい表情の生徒たち

 細谷先生は彼のリハーサルを見て、「もう好き放題やってきなさい」と助言したそうです。そして彼は、冗談を交えつつ熱弁し、上位入賞は逃したものの、その情熱はJTBの方にも高く評価されました。

 細谷先生は、
「近年、生徒たちは、うまくいきそうなことはするけれども、難しそうだと思うとすぐ諦めたり、手を出さなかったりという傾向があります。そのような気持ちに傾きがちだった生徒たちに、自分が面白いと思ったことをひたすら語る彼の姿は、『とにかく熱かった、すごかった』『自分の好きなことに向かって突き進む。これでもいいんだ』と印象に残ったはずです。次年度以降の起爆剤になってくれると確信しています」
と話します。

探究の積み重ねにより、内気な生徒が自ら殻を破った

千葉日大_クラスメイトの発表からも多くの学びがあります
クラスメイトの発表からも多くの学びがあります

 時には熱く、時には笑いも取りながら、巧みに自分のプレゼンを進めていく生徒たち。彼らはもともとプレゼンに長けた素質があったのか。そのようなことはありません。

「総合学習」の授業では、初期は仲の良い者同士でグループを組みますが、途中でグループを組み替えます。

 仲の良い者同士だと、どうしても共通言語のようなものができてしまい、説明不足でも伝わったり、笑いの要素を入れる時も内輪にだけ通じるものになってしまったりします。また、友人とプレゼン内容が似通ってくることに安心もしてしまう。このときにメンバーを変更すると、良い刺激になるのです。

 この内容では足りない、この表現では伝わらない、思うように笑いが取れなかった。ではアプローチを変えてみようと、試行錯誤を重ねるようになります。

 そして、何度も講評を聞き、それを反映させることで生徒たちは技術や意識をブラッシュアップしていきます。

 細谷先生がある女子生徒について教えてくれました。
「大変引っ込み思案で、中1のときは、英語の授業で暗唱するためにみんなの前に出てきただけで泣き出してしまうような子でした。授業中に指名されても、答えがわかっているのに顔を真っ赤にして発言できなかったり......」

千葉日大_聴衆である生徒たちも熱心に耳を傾けます
聴衆である生徒たちも熱心に耳を傾けます

 彼女にとって、人前で自分の思いを発表していく「総合学習」の授業は苦難の連続であったに違いありません。しかし、調べて発表という反復練習をするうちに、話したいこと、みんなに伝えたいことがあふれだし、制限時間の5分を超えるほど、自分の意見を発表する姿が見られるようになりました。そしてついに、中3の最終発表会では、司会として立候補したそうです。

「司会は1名と考えていましたが、4名も立候補してくれたので、前半後半に分けてペアで司会をしてもらいました。引っ込み思案だった彼女は代表としてプレゼンを行うという役目はできませんでしたが、司会をすることで、自分は人前で話すことを楽しんでできるのだという、達成感を持ってもらうことができたと思います」(細谷先生)

 優秀な生徒をそのまま伸ばしていくのはもちろん、過程やチャレンジする姿を評価していくのも同校の教育です。

生徒たちの隠れた力を引き出すために

千葉日大_体育祭は学校全体が熱く燃える一大イベント
体育祭は学校全体が熱く燃える一大イベント

 千葉日大の生徒たちがなぜこんなにも学校行事に情熱を傾けるのか。それは、行事が生徒たちにとって、目標となる魅力的なイベントになるべく先生方が尽力しているからです。

 例えば、中3の海外ツアープレゼンに先立ち、各クラスの担任の先生方が、同じように旅行を企画して生徒たちの前でプレゼンをしました。

 細谷先生がプレゼンしたのは「卒業旅行」。アメリカのディズニーワールドに行き、フォー シーズンズ リゾート オルランド アット ウォルト ディズニー ワールドに宿泊、クルーズ船で地元の高校生と共にドレスアップをして卒業パーティーをする。動画も写真もふんだん使って紹介しました。豪華客船で3ヶ月かけて世界一周するというプランを出した先生もいます。

 それに沸き立った生徒たちに「次は君たちの番です、自分の行きたいシチュエーションやターゲットを定めて旅行プランを練りましょう」と投げかけたそうです。

千葉日大_先生たちのプライドがぶつかり合う「教員リレー」
先生たちのプライドがぶつかり合う「教員リレー」

 また、体育祭では教員リレーを行いました。生徒たちの応援の中、渾身の力を振り絞って走り、肉離れという名誉の負傷を負った教員もいたそうです。

「生徒たちは、面白いと感じたらやる気を出します。反面、少しでもつまらなそうだったら、能力や興味を持っていても力を出してくれない。彼らは自分の好きなものの世界では、ものすごい力を発揮できるのです。生徒たちの隠れた力を可能な限り引き出していきたいと常々思っています」(細谷先生)

成長の土台を作る、中学1年生の1年間

千葉日大_富沢拓馬先生
富沢拓馬先生

 頼もしい中学3年生の姿に対し、1年生はどのような生活を送っているのでしょうか。
 2022年度の中1を担当した富沢先生が教えてくれました。

 同校での中学1年生の1年間は、生活習慣を徹底し、学習に臨む姿勢を確立しながら、協働の姿勢と自分の考えを発信するための技術を学びます。

 同校は1クラス40人で男女比は3:1、付属小学校から中学校に入学してくる生徒は、そのうちの約15%です。

「付属小からくる生徒たちは仲が良く結束が固いですが、だからといって中学からの入学生を区別するわけではありません。クラスの中で上手に盛り上げ役になり、入学当初は緊張していた生徒たちも、いつしかクラスの輪に溶け込んでいます」(富沢先生)

 富沢先生は、中1の担任になるにあたり、あえて積極的に手助けをせず見守る方針を取りました。そのために、生徒のリーダーを立候補制で決定し、体育祭も文化祭も生徒たちの自主性を尊重する形で進めました。

「問題が起こったときは少し話をすることもありましたが、あくまでリーダーを中心にして解決するように導きました。その結果、男女分け隔てなく教え合ったりアドバイスをしたり、クラス全体で活発に協力し合える雰囲気を作ることができました」と富沢先生は目を細めます。

千葉日大_日大理工学部への見学は、学びのダイナミックさに触れました
日大理工学部への見学は、学びのダイナミックさに触れました

 並行して行っていた中1の「総合学習」授業では、1学期には日本大学理工学部を見学し、キャリア志向の礎にしました。2学期は、趣味など各自の好きなものを調査して発表。3学期はGoogleスライドを利用してプレゼン資料を作成、教室のモニターに投影しながら話します。

 プレゼン資料作成時も方法を指定せず自由に作らせることにより、得意な生徒が苦手なクラスメイトに教える姿も見られました。

 生徒たちは各々が完成させたプレゼンを見聞きすることで同級生の内面を知り、お互いへの尊重を深めます。そして、頑張る仲間を応援し、自分もそうなるべく努力しようという気風が醸成されたころには、すっかり千葉日大の一員となっているのです。

成長する機会を得るのに「ちょうどよい」環境

 実は、富沢先生は千葉日大のOB。日本大学文理学部体育学科を経て、母校の教壇に戻ってきたという人物です。千葉日大の魅力について尋ねたところ「いろいろな点がちょうどよい」という返答が。

千葉日大_ゴルフ部やアメフト部などの珍しい部活動もあります
ゴルフ部やアメフト部などの珍しい部活動もあります

 在校時はゴルフ部に所属。勉学にも励みながらゴルフに打ち込み、様々な大会に挑戦しました。千葉日大は自由が多く、自分に選択肢がちゃんと用意されている、それを実感しながら学校生活を送ることができたそうです。

「スポーツの強豪校の場合、その競技に専念するケースも見受けられます。その中でも自分は、部活も勉強も両立しているという自負がありました。自分は頑張ってきたと誇りを持てましたし、それを応援してくださる先生方もいらした。これが卒業後も様々なところで自分の自信につながったと思います」(富沢先生)

 現在、千葉日大では、6割の生徒が日本大学に進学し、4割の生徒が他大受験に挑戦します。一般的に、高校生は大学受験のために部活を途中引退する生徒もいますが、千葉日大では高3まで部活動に参加しながら、他大受験をすることもできます。

千葉日大_登校時、校長先生が温かく出迎えてくれています
登校時、校長先生が温かく出迎えてくれています

「勉強も大切ですが、伸びていくのは意欲がある生徒です。最近は、クラブなどの課外活動にも熱心な生徒が勉強もできるし、学校生活でも活躍するという一面も見られます」(細谷先生)

 部活に励んだことで、時間のマネジメントができるようになる。目標を定め、それに向けて隙間時間に着実に努力していく姿勢が育つのではと富沢先生は語ります。

 そのような成長過程を経るには、勉強一辺倒でも部活一辺倒でもない環境、生徒自身によっての「ちょうどよさ」を追求できる場所が必要です。それを実現できるのが千葉日大です。

 一方、「ちょうどよい」の感覚は、生徒の人間関係の内にも存在しています。

「基本的にみんな、素直で温かいのですが、学校生活を送っていれば、グループ内で気まずくこともあります。そのときにクラスで孤立するのではなく、また別のグループにすっと入っていける、いい意味でのゆるさ、『ちょうどよさ』がありますね」(富沢先生)

 また、不登校になりそうだった生徒の気持ちを支えたのは、ある一人の教員だったそうです。宝塚が大好きという共通点を知り、語り合い、生徒は学校に行くことを楽しく思えるようになったそうです。

「我が校には、非常勤を含め、約100名の教員がいます。気の合う生徒だけではなく、頼りになる先生も必ず見つかるはずです。学校の中には、必ずどこかに自分がいられる場所があります。そこを見つけ、自分の好きなものを見つめ、将来への足がかりとしてほしいですね」(細谷先生)

 多様な生徒が協働しながら成長し、それを真摯に支える多彩な教員がいる。その、ちょうどよく安心できる環境の中で自分の居場所を見出し、自分の夢を実現させるために切磋琢磨できる。それが千葉日本大学第一中学校・高等学校の学校生活なのです。

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