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学校特集

品川翔英中学校・高等学校2024

模試を軸にした学校カリキュラムで生徒の大学進学を後押し

掲載日:2024年9月1日(日)

 1920年に貿易商を営んでいた小野安之助氏と妻・進子氏が私塾を立ち上げたことをきっかけに設立された品川翔英。2020年度からは性別の垣根なく幅広い教育を遂げるため男女共学化しました。学校名も「品川から世界へ、未来へ、英知が飛翔する」という意味を込めた「品川翔英」へ改め、校訓には「自主・創造・貢献」を掲げました。
 2023年には設立90周年を記念して新校舎を新設。廊下側に壁のない教室や本の展示数を絞った図書室などが作られました。これらはすべて、子どもたちが将来を生き抜く力を培うために完成したものです。
 同校の教育観と生徒が主体的に作り上げる行事、そして新校舎の活用法について広報副部長の本川颯介先生に訊きました。

目指す生徒像は「学び続けるLEARNER」

品川翔英_広報副部長の本川颯介先生
広報副部長の本川颯介先生

 品川翔英は1920年に貿易商を営んでいた小野安之助氏と妻・進子氏が私塾を始めたことをきっかけに設立されました。当時は女子教育が軽んじられる中、女子を集め英語や数学を教えていたといいます。

「本校は新しいことに挑戦する伝統を引き継いでいます。現在、我々はコロナ禍によるパンデミックを経験し、子どもたちの未来がより一層見通しの効かない時代になることを実感しています。生き抜くには、子どもたちの力を最大限まで引き出さなければなりません。重要になるのは、自分で考えて活動でき、何度転んでも立ち上がれる力を持つことです。この力を共に育んで生きるよう、生徒たちと日々向き合っています」

 目指す生徒像は「学び続けるLEARNER」。世界で起きるあらゆる物事を自分事として捉え、自分を律しながら行動できる人物。同時に、相手の意見に耳を傾け、協働しながら新たな価値を創出し、社会に貢献できる力を持つことです。

「そのためには、愉しむ力、主体性、自律性、協働性、批判的思考力、創造力、貢献する力の7つの素養を身につけたいと思っています。中でも、本校では愉しむ力を大切にしています。学校は愉しい場所でなくてはなりません。たくさんのことを学び、自分が成長する過程を愉しむ。その体験があれば、どんな困難な場面に出会ったとしても乗り越えられるエネルギーにできるでしょう」

模試を中心とした学校カリキュラム

品川翔英_模試を軸にした学校カリキュラムを展開
模試を軸にした学校カリキュラムを展開

 学び続けるLEARNERの育成を基に、2024年度は「生きる力≒学ぶ力」を教育方針として掲げています。

「人生100年時代と言われる中で、学生時代はほんのわずかなひとときです。しかし16~18歳に学んだことは、その後の人生を決める大切な基盤になるでしょう。我々は大学進学を控えたこの期間を重視しています」

 品川翔英では「模試範囲と連動した学校カリキュラム」「学校カリキュラムをやり切るための成績評価」「教員とラーニングセンターの連動」の3つの柱を中心に据えて、生徒たちが卒業までに国公立大学・難関私立大学へ合格できる学力を身につけることを目指します。

「大学入試と連動する模試を中心に学校カリキュラムを組んでいます。また、定期テストは設けず、スタディサプリと連動した小テストや到達度テスト、教員が作成した年10回の確認テストを実施。定期テストで知識を詰め込むのではなく、スモールステップで日々勉強に打ち込むことで、生徒たちは知識を定着させています」

 定期テストという概念がない学習方法のため、テスト前になっても部活動は休みになりません。

「学校生活を続けながら試験に取り組むことで、自分のやりたいことと同時進行で目標を遂げる体験をしてほしいと願っています」

エンカレッジタイムで生徒のやる気を引き出す

品川翔英_生徒の思いを大切にする品川翔英
生徒の思いを大切にする品川翔英

 とはいえ、中1からこの学び方を身につけるのは難しいでしょう。品川翔英では、「なぜ勉強するか」「勉強することで、社会でどのように知識が役立つのか」を教員から話すエンカレッジタイムを朝と放課後に10分間設けて、勉強への動機づけを行っています。

「勉強に意味を見出し、生徒のやる気を引き出す。そうすると、1日をどう過ごすか、そして1週間、1年間をどうスケジュールすべきかが自ずと見えてきます。思春期になると勉強だけでなく、人間関係に悩みを抱えることもあるでしょう。その励ましとフォローもエンカレッジタイムで行います。時には生徒たちが失敗することもありますが、失敗から立ち直る経験を繰り返すことで、回復する力『レジリエンス』を身につけてほしいと思っています」

 加えて、同校では生徒がメンターとなる教員を選ぶメンター制も導入しています。

「メンター制は、生徒の眠っている能力を引き出す教員と出会うための制度です。現在は『理科が好きだから理科の先生』『波長が合う優しい先生』という理由でメンターを選ぶ傾向があります。もちろん自分の興味・関心を深めることは、学校を愉しむために必要な要素でしょう。しかし、同じコミュニティで固まっていては、突き抜ける挑戦力が育めません。今年からはクラス担当が生徒とメインに交流を深め、メンターの教員がフォローしていくことにしました」

 メンターには、ネイティブ教員も指名できます。英語が好きな生徒たちは、ネイティブ教員と関わりを増やし、海外に視野を広げていくようです。2023年度の卒業生の中には、海外にある北京大学を受験し、合格した生徒もいました。

中学校の「LEARNER'S TIME」と高校の「ADVANCED SEMINAR」

「学校は勉強をするためだけの場所ではない」とも語る本川先生。中学校で行う「LEARNER'S TIME」と高校で選択する「ADVANCED SEMINAR」は、生徒が自分の興味・関心を見つけ、深める時間となっています。

「LEARNER'S TIMEは、いわゆる探究学習に近い時間です。勉強したことが社会でどう役立つか、最先端の技術に触れ、社会問題に関わる外部の方々と知り合う中で学び、自分の興味・関心を発見していきます」

 中2のフィールドワークでは『自分たちの住む地を知る』をテーマに、田町駅と大井町駅周辺で街頭インタビューをしました。

「思春期に入ると大人と話すのを嫌がりますが、生徒たちは積極的に話しかけていました。本校は、まっすぐで明るい性格の生徒が多いんです。『外国人に話しかけるには、英語をもっと学ぶ必要がある』といったことを発見し、理解を深めたようです」

 高校では、生徒が自分で受けたい授業を選択する「ADVANCED SEMINAR」を実施。大学受験に必要な講座だけでなく、金融や韓国語など生徒が学びたい内容をアンケートで集計して開講。LEARNER'S TIMEで見つけた自分の興味・関心を深める時間として役立っています。

 また、ADVANCED SEMINARは生徒たちの希望する分野への進路をフォローする時間としても一役買っています。同校の卒業生は2023年度実績で、分野別進学状況が人文・教育・学際系=20%、国際外国語系=14%、社会系=27%、理・工・農系=16%、医療・健康・福祉系=11%、生活系=4%、芸術・スポーツ系など=8%と広範囲にわたります。

「特に今年は国際系への進学が多かった印象ですね。本校にはネイティブ教員が12名と多く在籍しているため刺激を受けたのかもしれません。生徒によって必要な勉強科目は異なりますから、ADVANCED SEMINARを使って柔軟に対応できるよう配慮しています」

 品川翔英が校舎を構える品川区は、大手企業のほかスタートアップ企業、商店街などが集う地域です。LEARNER'S TIMEでは地元企業とタイアップして生徒が刺激を受ける場を作る場面が多くみられるほか、2023年度には特別講座として希望制で中3、高1を対象に品川区にあるソニーシティ大崎を訪れる機会にも恵まれました。ロボット・プログラミング学習キット・KOOV(クーブ)でモノづくりを体験し、社員に同社で働く理由を尋ねるなど、未来へ向けた情報収集を行う機会になったようです。

生徒の熱意で、新しい行事にも積極的にチャレンジ

 先進的な取り組みは、模試を中心とした学校カリキュラムやメンター制だけではありません。生徒主体の行事運営も特徴的です。例えば3泊4日の研修旅行では生徒が研修旅行委員会を発足し、テーマと行き先を選定。予算などを踏まえながら、希望する行き先を複数の旅行業者へプレゼンし、旅程のすり合わせを行います。その後、具体的なコースが決まったら委員会以外の全生徒と保護者にプレゼン。どのコースで研修旅行に行きたいか、希望を募ります。

「研修旅行委員会には生徒1人当たりの予算を伝え、1コース何人以上が集まれば実行できるかを考えてもらいます。ある程度固まったら、旅行業者の方々に来校いただき、生徒たちが希望する研修旅行の行き先をプレゼン。それに見合う工程表を作っていただいています。今年は10社に来校いただきました。まだ中学生なので無茶なことも言いますが、温かな対応をしてもらっています」

 今年の研修旅行は4コースで実施予定。「法律を学ぶ」などのテーマがあり、過去には沖縄や関西などのほか、韓国や台湾へ行ったそう。

「研修旅行先は、あくまでテーマありきの設定です。時には、『USJへ行きたい』という声も上がりますが、『なぜUSJに行きたいの?』と教員の立場から問うようにしています。その時は経済を学ぶことがテーマだったので、『USJは一度経営難に陥り、見事持ち直した。その様子を見てみたい』と提案してきました。教員としても、生徒たちが一生懸命に調べ、考える場面を作るよう、ひと工夫しています」

品川翔英_生徒自らの手で実現させた合唱コンクール
生徒自らの手で実現させた合唱コンクール

 生徒の自主性が見られる行事は、研修旅行だけではありません。昨年は中高一貫部が合唱コンクールを新規で立ち上げ、品川区立総合区民会館のきゅりあんを貸し切って開催しました。

「今の生徒たちは、コロナ禍で合唱コンクールを体験してこなかった世代なんですよね。自分たちで会場の下見や業者との打合せを行うなど、熱意を感じました。最近は学校説明会も生徒が主導しています。今年は30名もの中学生が手を上げてくれて、質疑応答などの企画を提案したんですよ」

 生徒主体の行事運営では失敗することももちろんあります。高校の1期生、2期生が体育祭を開催した時は、大雨で進行がうまくいかず、途中で中止する事態になりました。しかし翌年も同じメンバーで実行委員会を作り、天候に左右されないよう屋根がついた東京体育館を貸切、しながわ中央公園多目的広場を借りて予行練習を入念に行って、成功へ導きました。

「生徒たちが話し合う姿を見ると、大人の立場から『もっとこうしたらいいのに』と思うこともありますが、教員はぐっとこらえて、失敗から学ぶ経験をしてほしいと願っています」

 10代のうちに、やりたいことを実行に移せる経験はなかなか得られないもの。品川翔英には、生徒の熱意と理由に耳を傾け、成長を見守る環境が整っているようです。

壁のない教室や本の展示数を絞った図書室のある新校舎

 そんな生徒たちが過ごす学び舎は、2023年4月に完成した新校舎です。鉄筋コンクリート造の7階建てで、図書室やカフェテリア、屋上には運動スペースなどが配置されています。中でも、特徴的なのは教室です。廊下側に壁と扉がなく、クラスを仕切る壁も可動式のパーテーションとなっているため、自由に教室の配置を変更して使うことができるのです。

「これからの未来は、どのような世界になっているかはわかりません。現在は一斉授業を行っていますが、AI教材によって教員の教え方にも変化が生じるかもしれません。生徒1人ひとりに合わせた学びが行えるよう、自由に使える環境を十分に確保することにしました。新校舎の教室は壁が可動して2つの教室を1つにするなど、使い方の発想は無限に広がります」

品川翔英_本との出会いを演出する図書室
本との出会いを演出する図書室

 蔵書数2万冊を誇る図書室も特徴的です。月に1度司書がテーマごとに本を選び、本棚に表紙が見えるように面出し展示。図書室に置く本の数を絞ることで、生徒が手に取りやすい仕掛けづくりを行っています。

「本を読む子どもが減っている中、どうすれば読書してくれるかを考えて図書室が作られています。必要な本は、スマートフォンやタブレット端末から検索して、希望を出すと閉架書庫から取り出せます」

 図書室内にはホワイトボードが設置されているため探究学習などで活用できるほか、一人掛けの椅子も並び、静かに本を楽しめることもできます。

「品川区立図書館や新宿にある紀伊國屋書店で生徒がセレクトした本を本棚に置く取り組みも始まりました。本に親しむきっかけづくりを多く取り入れています」

 生徒の興味・関心を深めるきっかけづくりを様々な場面で取り入れている品川翔英。失敗しても再挑戦できる生徒たちの学び舎で、その名の通り品川から世界へ翔ける生徒たちが育っています。

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