学校特集
江戸川学園取手中学校・高等学校2022
掲載日:2022年11月23日(水)
すべては生徒のために。創立から45年間、江戸取は「規律ある進学校」として「心豊かなリーダーの育成」に向けて邁進しています。「心の教育」を太い幹に据えてアカデミックスキルを育む同校は、「医科(中学は医科ジュニア)コース」「東大(ジュニア)コース」「難関大(ジュニア)コース」の志望別3コース制を敷いていますが、その体制から勉強中心の学校というイメージが強いかもしれません。そこで、各コースの高1生7名に登場していただき、学校生活全般について伺ってみました。さて、その実態は?
※前列左から丸岡小倖さん、田中琴音さん、明石彩歩さん、大熊桜美さん。後列左から望月優作くん、岡本頼樹くん、上浦嘉彰くん
●明石彩歩(さほ)さん
「私が小2の時に江戸取小ができたのですが、もともと通っていた小学校が6学年で100名くらいという小さな小学校だったので、もっと友達を作りたいと思って編入しました」
●上浦嘉彰くん
「小5・6の時に塾に通う途中、電車の中で江戸取生を見ていました。モスグリーンの制服がカッコ良く、立ち居振る舞いも落ち着いていて大人に見え、その中で自分も成長したいと思ったので志望しました」
●丸岡小倖(こゆき)さん
「小3の時に同級生が江戸取小に編入したのですが、中学受験をすることになった時に友達から江戸取について聞いたり、学校説明会に行ったりしました。そして、本が好きなので充実した図書館があるところや、東大コースという心ゆくまで勉強できる環境に惹かれて志望しました」
●望月優作くん
「小6の頃から医師を目指すようになったのですが、医科コースがある学校はそんなにないので江戸取に行きたいと思いました」
●田中琴音さん
「関西から引っ越してきて、茨城の学校を調べ始めたのは小6からでしたが、江戸取は英語に力を入れたり、さまざまな方の講演会も行っていることを知り、興味深い学校だなと思って志望しました」
●岡本頼樹くん
「僕は小学校の時はあまり目立たないタイプで、自分を変えたいと思ったんです。あと、この辺りでは偏差値が一番上の学校だったことと、いろんな地域からたくさんの個性豊かな人が集まっていて切磋琢磨できる環境なので、目指そうと思いました」
●大熊桜美(ゆうみ)さん
「塾で江戸取を勧められたのですが、成績が伸び悩んでいたのでストレスを感じていました。でも、オープンスクールで『生徒の夢は学校の目標』という教育スローガンを見て心が救われ、この学校なら自分の夢を叶えることができるかもしれないと思いました」
〜夢は変わるもの。だから、コース変更も可能〜
田中さん(医):「私は難関大ジュニアコースで入学し、中2・3は東大コース、そして高1で医科コースというように、何度もコースを変えましたが、それは夢が変わったから。それぞれの夢に向かって頑張ることができるので、このコース制はいいなと思います」
上浦くん(東):「僕も難関大ジュニアコースで入学して、中2から東大コースに変更しました。難関大コースでは広い視野でものを見ることができるし、東大コースには一つの大きな目標をみんなで追い求める一体感があります。一人で勉強していると辛いこともありますが、団体戦で戦えることは励みになります」
大熊さん(難):「私はずっと難関大コースですが、難関大コースは進路のバリエーションが多様なので、自分の夢や葛藤と向き合うコースだと思っています。そして、模索しながら自分の夢に近づける感じですね」
〜1学年300名強の生徒たちは「江戸取生」として融合していく〜
大熊さん(難):「最初は、一貫生って『オーラが違う、エリートだ!』と思っていました(笑)。馴染めるか不安でしたが、学年のテーマソングでもある『We Are The World』をみんなで歌ったあたりから慣れたというか、みんないい人だし、刺激にもなりました」
※みなさんは、一貫生と中入生が混ざる初めての学年でした。そこで、入学後まもなく行われる研修旅行の帰りのバスの中で、みんなで英語の歌を歌おうと、学年部長であった遠藤実由喜先生が『We Are The World』を選曲。その後、文化祭や説明会のオープニングでも有志で歌うようになったのだそうです。
望月くん(医):「入学して驚いたのが、一貫生の英語力でした。当たり前のように英検3級とか2級を取っていたり、発音がすごく良かったりして。僕はまったくやっていなかったので、尊敬すると同時に危機感を感じて英語をちゃんと勉強するようになりました」
明石さん(東):「後々話を聞くと『最初、一貫生は怖かったよ』と言われるのですが(笑)、私たち一貫生もすごく緊張していました。中学受験で入学した人より勉強していなかったので、中学に上がった段階で『勉強も頑張らなくちゃ』というふうに気持ちをシフトできたと思います」
〜そこにあったのは、教え合い、励まし合い〜
明石さん(東):「ホームルーム委員長をさせてもらったり、生徒会の活動をしたことは自分の中で大きかったですね。生徒会では使い捨てカイロの回収をしたり、文化祭では毎年、全校生徒が書いた小さな『一文字』を一つにつなぎ合わせて大きな『一文字』を先輩や後輩と一緒に作ったりと、リーダーシップを持っていろいろな挑戦ができたことが、今の私に繋がっていると思います」
田中さん(医):「江戸取に入ってチャレンジ精神が大切だと学んだことで、中学の時には英語のディベートに参加しました。そこでチャレンジすることの楽しさや、そこから得られるものがたくさんあることを実感したので、高校生になってからも、それまではやってみようと思わなかったことに挑戦するようになりました」
丸岡さん(東):「私も中学の時に英語のディベートに参加したのですが、みんなで一生懸命準備したり、大会に出て、いろいろな人とディベートをしたりすることが楽しかったので、高校になってから英語ディベート同好会に入りました。それから、国内やフィリピンの同世代の人とICTについて英語で話し合う『ICTカンファレンス』にも参加したのですが、中学時代の英語のディベートの経験があったからこそだと思います」
大熊さん(難):「私は中学時代に特別なことをしたわけではありませんが、今の私があるのは、江戸取で出会った友達のおかげだと思っています。友達と接していくなかでは小さなケンカをしたこともありましたが、その後には良いところやダメなところを言い合えるようになって。お互いに補い合い、高め合うことの大切さ、そして気配りすることの大切さを学べました。すべて、友達との関わりがあったからです」
〜学習モットーは「授業が一番」〜
丸岡さん(東):「英語では日本人の先生とALTの先生の授業があります。日本人の先生の授業では、中学の時から大学受験に出やすい語句や文法を教えてくださるので、今ではかなり身につきました。また、ALTの先生の授業は全部英語で行われるので、英語力が向上します」
岡本くん(難):「僕も英語についてですが、難しいけれど、楽しいですね。文法問題とかでも先生がダジャレを交えたり工夫してくださるので記憶に残りやすいし、話がおもしろいので授業に集中することができます」
大熊(難)さん:「中学時代は数学の点数が思うように取れず、『もっとやらないと、本当にマズイ!』と思っていましたが、高校に入って点数が30点くらい上がりました。自分で努力したこともありますが、話し合いながら問題を解決していく『教え合い』の授業を先生が行ってくださったからです。この『教え合い』は、他の教科でも行われています」
上浦くん(東):「国語の授業が好きなのですが、文章の表面だけではなく、そこで扱われている社会問題などについてみんなで話し合い、深めていきます。先生は生徒のために全力でやってくださるし、生徒は自分の力をつけるために全力でやる。一生懸命同士だから、より良い授業が作られているのだと思います」
〜部活があるから、勉強も頑張れる!〜
望月くん(医):「僕は小1の時から書道を習っているのですが、今も書道部に所属しています。中学の頃は、家でも毎日1〜2時間書いていました。江戸取では『授業が一番』というスローガンが各教室に掲げられているんですけど、集中して授業内で完結させる習慣がつけられれば、好きなことにも時間を充てられます。僕にとっては、書道も勉強も、どちらかが欠けたらダメだったと思うので、どっちも全力でやっています」
上浦くん(東):「サッカー部で週5日活動していますが、良い点は、長い時間部活動ができること、問題点は疲れがたまること。文武両道は、なかなか簡単ではありません。そこで大事になるのは、バスや電車に乗っている時などに単語帳を開いたり友達と学び合ったり、隙間時間をいかに活用できるかで、両立できるかどうかが決まると思います」
明石さん(東):「私が入っているハンドボール部も活動日が多く、県大会出場を目指してやっているのでキツイですが、テスト前には帰宅後にビデオ通話をしながら、友達と一緒に勉強してわからないところを教え合ったりしています。部活の仲間がいるからこそ、勉強を頑張れるところもあります」
岡本くん(難):「僕は弓道部です。優しい先輩が多 いですし、あと一歩のところで県大会には行けなかったんですけど、大会にもたくさん出させていただいて、やりがいがありますね。あと、書道部にも入ったばかりです。書道は小学校の時からやっていましたが、望月くんの作品を見て同世代にこんなにうまい人がいるのかと心が震えたんです。それで、もっとうまくなりたいと努力しているところです」
〜みんなの努力で、修学旅行を実現!〜
上浦くん(東):「中3の修学旅行はいったん延期になりましたが、昨年の12月に関西・中国地方に行きました。もし誰かがコロナに感染したら、その人を責めることはできないけれど、みんなで行くことができなくなるので、一致団結して最大限の感染対策をしました。神戸では京都大学や大阪大学、関西外語大学などで学んでいる外国人留学生と一緒に異文化交流(異人館めぐり)を行ったのですが、8人グループに留学生一人がついて、先生は帯同せずに、三宮から新神戸まで一緒に行動しました。文法が少しくらい違っていても、コミュニケーションがとれたことで、これからも頑張れると自信がつきました」
岡本くん(難):「この状況のなか、修学旅行に行けたことは本当に楽しい思い出になりました。いつ、誰がコロナに感染してもおかしくないなか、研修旅行や修学旅行ができたのは、先生方が綿密に計画を練ってくださったことと、生徒自身が『規律を守る』大切さを自覚していたからだと思います」
※みなさんが「もうすぐ中1が終わる」という時に、コロナの感染拡大が始まりました。行事にもさまざまな制限が加わりましたが、反面、延期して実施された修学旅行では、旅館の方が300足のスリッパを消毒してくれる姿を目の当たりにするなど、改めて感謝の気持ちを持つきっかけにもなったそうです。
〜そこには、刺激に満ちた種がある〜
上浦くん(東):「イベント教育では、各界の第一人者の方が来校して講演してくださいます。江戸取には座学が苦ではない生徒が多いと思いますが、学問以外のことを学べるのがイベント教育です。あと一歩の勇気が出せないことはよくあると思いますが、その一歩を踏み出した方々のお話をお聴きできるので勇気をもらえますし、視野が広がり、物事を俯瞰する目を持つきっかけにもなると思います」
丸岡さん(東):「アフタースクールでは、東京理科大学の先生が担当する無学年のプログラムに参加したのですが、宇宙の探査機とはどういうものかという説明を3回くらいお聴きした後、4回目からは自分たちで探査機を実際に作りました。講義は大学レベルだし、器具も大学から持ってきてくださるので本格的だし、プログラミングも全部自分たちで行ったので、探査機について理解が深まりました」
※「イベント教育」とは、世界の第一線で活躍する著名人の講演会や、音楽家の演奏、古典芸能鑑賞など、最高水準の学問や文化に触れるプログラム。ものの見方や考え方に広がりと深みを持たせ、豊かな情操を育んでいます。
※「アフタースクール」とは、生徒が学びたいことを主体的に選ぶ放課後講座で、講座数は100を超えます。学習系、英語4技能、実験系、合教科系、芸術系、アクティビティー系、イベント系、プレゼン系、PBL系(企業と連携)、講演会・出前授業など、じつに多種多彩です。
〜スローガンは「生徒の夢は学校の目標」〜
岡本くん(難):「中3の時に医科ジュニアコースで学びましたが、そこで脳の仕組みに興味を持ち、目標は医師から脳科学者に変わりました。脳の謎を解明できたら、世界中のたくさんの患者さんを救えると思い、勉強に励んでいます」
明石さん(東):「職業とか、明確な目標は考えている途中ですが、今すぐに決めなくても、東大に入れば1・2年生の時に教養を学ぶことができるので、その2年間で見極めたいです。私は人と話すことが好きなので、コミュニケーションをとる過程のなかで、一人でも多くの人を笑顔にする仕事に就きたいと思っています」
大熊さん(難):「夢は起業家です。両親が英語教室を経営しているのですが、たまに手伝いに行った時に見る両親の姿に憧れています。経済にも興味があるので、お客さんを大事にしつつ、満足してもらえるような仕事をしたいです」
田中さん(医):「私は眼科医になりたいです。祖母が白内障の手術を受けて、すごく見えるようになったと喜んでいた姿を見たのと、角膜の病気で治療法がまだ解明されていないものがあることを知ったので、目の病気にかかってしまった人を治せればと思っています」
上浦くん(東):「今まで、サッカー選手とか、教育に携わりたいとか、いろいろな夢を抱いてきましたが、江戸取で道徳の授業を受けているうちに、自分は何になりたいんだろうと将来について考えることが多くなりました。まだはっきりとは決めていませんが、東大に入って最初の2年間で教養を学ぶことは、夢を探す時間をもらえる大きなポイントだと思っています。いつか、自分も大きな一歩を踏み出して、自分の意志を持って誰かのため、社会全体のためになる職業を見つけたいと思っています」
※「心力・学力・体力」を育成する三位一体の教育を展開する同校が、最も大切に考えるのは「心の教育」です。「心の教育」には偉人たちの生き方から学ぶ「校長講話」や道徳の授業、「ロングホームルーム」など各種ありますが、6年間にわたって継続して実施。思考と発表と実践が一体となって身につくモラル、礼節、判断力を育成しています。
丸岡さん(東):「前はアナウンサーを夢見ていました。いろいろな情報を伝えることで人の役に立ったり、テレビ番組の司会であれば、人を笑顔にできる職業だからです。でも、江戸取でいろいろな経験をしていくうちに、アナウンサー以外でも人を笑顔にできる職業があることがわかりました。例えば、コロナ禍でステイホームが呼びかけられるなかドラマを見て笑顔になったり、マスク着用のためにメイクも変わってきたのでコスメに携わる仕事もおもしろそうだと思っています。今はまだ決まっていませんが、東大に入って、自分の夢をしっかり見定めたいです」
望月くん(医):「姉と兄も医学部に進学し、親も医師です。医師になるのも、なってからも大変だということは身を以て感じていますが、医師じゃないと救えない人がいます。そういう人を一人でも多く幸せにして、その周りにいる人まで幸せにする役割の一端を担えればと思っています」
〜頑張ってください。江戸取で待っています!〜
明石さん(東):「私は中学受験の大変さはわかっていませんが、志望校合格という強い信念を持ってしっかり勉強していることを尊敬します。辛いこともあるとは思いますが、それは確実に成長するための力になっていると思うので、頑張ってください」
上浦くん(東):「僕は、勝負事から多くのことを学べると思っているんです。受験の世界では、受かる人もいれば落ちる人もいる。失敗することのほうが多いです。でも、その経験はいつか成功の原動力になる。だから、勝負から逃げずに向き合い続けてほしいです」
丸岡さん(東):「今は『第1志望校に受からなかったらどうしよう』と不安になるかもしれません。でも、江戸取ではいろいろな人と関わることができるし、お互い高め合っていけるので、きっと入学すれば『江戸取に入ってよかった』と思えると思います。頑張って受験を乗り越えてください」
望月くん(医):「考えてみると、小学生が受験すること自体、スゴいことだと思うので、誇りを持ってください。中学に入ったら何をしたいとか、何を頑張りたいとかイメージしながら、前向きに取り組んでください」
田中さん(医):「何事においても、自分を信じることが一番大事だと思います。自分のできる最大限のことをやって、そのうえで自分を信じて、ライバルたちからも刺激をもらいながら頑張ってください」
岡本くん(難):「成績が思うように上がらなかったり、メンタルが不安定になったり体調を崩してしまうなど、受験にはイレギュラーなことがつきものですが、あまり根を詰めすぎないようにしてください。でも、努力は裏切らないと思います」
大熊さん(難):「この時期、本当に葛藤があると思いますが、今までしてきた自分の努力を全部試験にぶつけてください。『辛』という字に1本線を足すと『幸』になります。江戸取は素晴らしい学校です。私たちも応援していますので、頑張ってください」
いかがでしたでしょうか。高1生のみなさんは、とても丁寧に語ってくれました。
いわゆる勉強は、「学び」の一つにすぎません。みな置かれた環境からさまざまな影響を受けて、自分が本当に望むこと、進みたい道を見出していくものです。中1から高3まで全60クラス、全校生徒約2200名。以前、ある卒業生が「これだけ選択肢がたくさんあり、さまざまなタイプの仲間がいる学校だからこそ、自分に合ったものが見つけられる」と言っていましたが、生徒たちは江戸取という環境の中で刺激し合いながら、それぞれの夢に向かって前進しています。