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学校特集

東京家政学院中学校・高等学校2022

少人数制・コース制教育で、生徒の個性を開花させる
生徒一人ひとりに合わせた「学びの場」がある。高校では、多彩な6コース制を採用

掲載日:2022年7月20日(水)

 1923年に創立され、約100年の歴史と伝統がある東京家政学院。知識(Knowledge)を高め、技術(Art)を磨き、徳性(Virtue)を養う「K.V.A」を建学の精神とし、時代を見据えながら「社会で活躍する女性」の育成に向けた教育システムを更新し続けています。次代のキャリアデザインに合わせたコース制を整備し、少人数制教育だからこそできる「顔が見える進路指導」で生徒一人ひとりをサポートする同校ですが、今回は、今年度から新カリキュラムが導入される高校の各コースの魅力に焦点を絞ってご紹介します。「管理栄養進学コース」を髙橋祥乃先生(理科)、「家政・児童進学コース」を中野実香先生(家庭科)、「リベラルアーツコース/文系・理系」を関口大介先生(保健体育科)、「アドバンストコース/文系・理系」を佐藤恵理子先生(社会科)に伺いました。

徹底した少人数制教育で、一人ひとりの望む進路を実現!

■各自の進路プランに合わせた6コース制

 今春、同校ではコース改編後初めての卒業生を送り出しました。「この学年を中1から見守ってきた立場としては、感慨深いものがあります」と、入試広報係を兼務する髙橋祥乃先生は話します。
 2019年度から導入された高校での6コース制が定着し、徹底した少人数制教育で生徒に寄り添った変化を続ける同校の魅力が高まっています。

■東京家政学院への入学理由ベスト3
(2022年度入学生保護者を対象にしたアンケートより)

❶少人数制による学習環境が充実しているから
❷先生や在校生の雰囲気に好感をもてたから
❸進路指導が充実しているから


東京家政学院_少人数制だから意見も活発に飛び交う。上は中学の授業の様子
少人数制だから意見も活発に飛び交う。上は中学の授業の様子

 同校では、1クラスの人数を約20〜25名にした少人数制教育で、一人ひとりの個性に向き合った学習指導を行っています。
 中1・2は共通授業と習熟度別授業を設け、中3・高1は「リベラルアーツコース」と「アドバンストコース」の2コース制に。生徒は中3と高2の進級時に2回、自らの希望や適性を再確認します。
 そして、高2・3では先の2コースを文系・理系に分け、さらに「家政・児童進学コース」と「管理栄養進学コース」を加えた6コース制をとっています。
「家政・児童進学コース」と「管理栄養進学コース」には併設する東京家政学院大学への推薦優先権がありますが、加えて指定校推薦枠も全体で100大学以上・500名分以上あることが、生徒の安心度を高めているようです。

■併設大学があるメリットと、自由度の高い進路選択

「リベラルアーツコース」は、幅広い分野の知識と基礎学力を習得し、クラブ活動や委員会など学校生活にも主体的に取り組みます。「アドバンストコース」は、「一般選抜」を含めた多様な大学入試の形態に対応できる応用力を育成します。「家政・児童進学コース」と「管理栄養進学コース」は、東京家政学院大学との連携もあり、内部推薦及び同系統の他大学への進学を目指す生徒に向いているコースです。
 こうした多彩な選択肢を提案することによって、現役での進路決定率は97%、大学進学率は93%に達しています。

東京家政学院_理科担当の髙橋祥乃先生
理科担当の髙橋祥乃先生

髙橋先生:「内部推薦で進学できる併設大学があることは、生徒にとって大きな安心感につながっています。併設大学の合格の権利を保持したまま、他大学への受験にチャレンジできる併願制度もあり、選択自由度が高いことも特徴です」

 資格取得が必要な保育士・幼稚園教諭・管理栄養士は、女子に人気の仕事です。なかでも、国家試験が必要な管理栄養士は難関ですが、2021年度の東京家政学院大学の管理栄養養成課程の卒業生の合格率は96.7%。全国平均65.1%を大幅に上回っています。
 とはいえ、「併設大学があることに甘んじることなく、自分の意思で大学を選ぶことが大事」と、入試広報係の中野実香先生は言います。

東京家政学院_家庭科担当の中野実香先生
家庭科担当の中野実香先生

中野先生:「指定校推薦・内部推薦で提出する志望理由書を書く際にも、どういう学びをしたいの? なぜその大学のその学科に進みたいの? と理由を細かく聞いて、いろいろな進路があることを提示しています」

 それでは、各コースでどのような魅力や違いがあるのでしょうか? 

高校の各コースの魅力と特徴

■多様な進路を目指す「リベラルアーツコース/文系・理系」

東京家政学院_委員会活動が活発な同校。上は体育祭実行委員会の皆さん
委員会活動が活発な同校。上は生徒会執行部の皆さん

 昨年度の「リベラルアーツコース」からは94%が学校推薦・指定校推薦で進学しました。将来像が多種多様なコースであるため選択科目が多く設定されています。基礎学力の定着を図るとともに、クラブ活動や委員会活動などにも積極的に参加して、両立させている生徒が多いことも、同コースならでは。

 5月の高1のオリエンテーション(1泊2日)では、旅行委員会の生徒が旅行中の工程を担い、夜はホームルーム委員会の生徒がコミュニケーションツールとなるゲームや出し物を考えて実行しました。生徒会役員も、例年ならば中学時代に役員経験のある生徒が務めることが多いのですが、今年度は未経験者3人が立候補して立会演説会が行われました。運動部のクラブ特待生も多く、活発にスポーツに打ち込む姿勢が周りに伝播して、好影響を与えています。

東京家政学院_保健体育科担当の関口大介先生
保健体育科担当の関口大介先生

関口先生:「生徒一人ひとりが積極的に役割を発揮していますね。教員はできるだけ生徒の裁量に任せて、責任感を発揮させるように仕向けます。大学の学校推薦型選抜では成績だけでなく、どのように活動してきたかを語ることが重要ですから、『いかに自己実現をしてきたか、語れる自分を作りなさい』と、部活動や委員会活動なども奨励しています」

 社交的な生徒も内向的な生徒も、一人ひとりが活躍できるフィールドがあることも、同校の大きな魅力です。進路選択時には指定校推薦が選べるほか、「総合型選抜」「学校推薦型選抜(公募制)」など多様な大学入試に対応して、一人ひとりに合わせた進路指導を行います。

■一般入試を見据えた「アドバンストコース/文系・理系」

東京家政学院_高1のオリエンテーション旅行にて
高1のオリエンテーション旅行にて

「アドバンストコース」では大学入試の一般選抜を見据え、基礎学力の強化と実践力・応用力を磨く演習形式の授業が中心です。英語の時間は最大で週に9時間あり、一般選抜の突破を視野に入れたカリキュラムを組んでいます。授業では入試問題の演習に時間を多く割き、放課後や長期休み中の特別講習を科目ごとに多数設定しています。それだけに生徒の向上心も高く、英検2級取得を目標とするほか、漢検などの資格取得にも積極的です。

東京家政学院_社会科担当の佐藤恵理子先生
社会科担当の佐藤恵理子先生

佐藤先生:「大学入試改革の影響で、『一般選抜』でも『大学で何を学びたいのか』『学んだことを社会でどう活かしたいのか』を、自分の言葉で伝える力が求められるようになり、活動報告書や志望理由書の提出を求める大学が増えています。昨年度は、高3の3学期にスキルアップ対策として、週2〜3回の入試対策質問時間を設けました。過去問対策から苦手科目の克服など、生徒それぞれに合わせてアドバイスや指導を行いました」

 進路指導も受け持つ佐藤先生は、きめ細かな「顔が見える進路指導」が同校の大きな利点と話します。細かな面談を繰り返し、希望する指定校推薦を獲得できずに心が折れそうになっている生徒や保護者への対応も疎かにできません。1クラス約20〜25名程度の生徒数だからこそ、生徒の「できない」部分を「見える化」しやすく、生徒一人ひとりに寄り添った実践的な対応ができるのです。

佐藤先生:「一般選抜には『覚悟』が必要ですので、覚悟を決めさせるのが担任の大きな仕事の一つでした。私たち教員の仕事は、生徒と一緒に、一人ひとりのキャリア・未来を作っていくことだと思っています」

■幼児教育の指導者を育成する「家政・児童進学コース」

東京家政学院_調理実習は中学から経験を重ねるので、高校生にもなると手際がとてもいい!
調理実習は中学から経験を重ねるので、高校生にもなると手際がとてもいい!

「家政・児童進学コース」は、幼児教育の指導者として必要な知識を体験的に学べるカリキュラムを組んでいます。「保育基礎」では近隣幼稚園で保育実習、「器楽・声楽」では「弾き歌い」で年間7曲ほどの課題曲を課すなど、実践的で多様なプログラムが揃っています。同じ科目を一律に学ぶのではなく、得意不得意に合わせて選択できることも特徴です。

 また、「食物実習」ではテーマ性を重視。2人1組で季節を表す「二十四節気」や「五節供」にちなんだ料理を作ります。節気は四季に応じた変化を表す言葉で、節供は季節の変わり目に無病息災や豊作、子孫繁栄などを願う行事です。そうした和食ならではの伝統も学んでいきます。

中野先生:「体験重視のプログラムですが、『二十四節気』は高齢者向けのメニュー作りにも役立つなど、実践的であることも意識しています。最近は『子どもの日』や『雛祭り』という言い方が主流で、『五節供』の言葉を知らない生徒も多いですが、今すぐに役立たなくても、いつか学校の授業で習ったなと思い出してもらえれば良いと思っています」

 保育実習で出かけた近隣保育園では、幼児への声がけの仕方や接し方などを間近に見て学びます。実習を受け入れてくれたお礼にと、生徒は手作りのおもちゃやクリスマスオーナメントを作って届けたのだとか。実践的なスキルを身につけると同時に、座学では少子化対策や児童虐待問題など、現代社会で話題になっているテーマについても学び、「社会の中で子どもの現状を見る」視点を養っていきます。
 同コースには、併設大学現代生活学部のほか、家政系・児童系学科の指定校推薦の優先権があります。

■食のスペシャリストを育成する「管理栄養進学コース」

東京家政学院_食は健康に関わるもの。だからこそ理科実験も重視
食は健康に関わるもの。だからこそ理科実験も重視

「管理栄養進学コース」といえば調理をイメージしやすいですが、「理科系科目を強化するコース」でもあります。同コースでは、大学や社会で役立つスキルを養い、理科・家庭科の実験や実習を質・量ともに重視した授業を行っています。

 中学の段階では、「できるだけ噛み砕いた、わかりやすい例題で生徒の関心を惹きつけ、理数系が苦手でも、『コレなら私にもできそう』と思わせるアプローチ法を工夫しています」と、髙橋先生。
 例えば、そのままでは吸収できないタンパク質が分解されて、アミノ酸となって吸収される仕組みについても、「例え話で説明してみよう」と考えさせ、ジグソーパズルやブロックなどがバラバラになっても実体の物量に変化がないことに気づかせるのです。議論が発展しそうなチームには、数字を加えると証明しやすいなどとヒントを与えます。中学生のうちから、教科授業の中でも探究することの楽しさを感じてもらい、「科学的根拠を理解する」重要性に気づくよう導いています。

 高校では、実験をする時にも教科書に書かれているからではなく、なぜこの順番で薬品を混ぜるのか、実験の目的は何かと、さらに「理科的な理解」を深めていきます。

髙橋先生:「授業では、『生きる力』という言葉をよく使います。管理栄養学は食を扱う、人間の健康を扱う分野です。そうした職業を目指そうという生徒が何も考えずに実験したり、なんとなくわかる、ではいけません」

 また、家政学と連携した授業で「調理実験」も行います。

中野先生:「テーマは『食品の調理性』。例えば、蒸しパンを作る時に、粉をさっくり混ぜると言いますが、その理由を実験で確かめていきます。具体的には、粉を50回と200回それぞれ混ぜたものを作り、50回のほうはふっくらしているけれど、200回のほうは生地の目が詰まりすぎて固くなっていることを試食して体感するのです」

 ほかにも、ポテトサラダを作る際に、じゃがいもが熱々の時と冷ました時の両方でマヨネーズを和えて味の違いを体感するなど、さまざまな実験を数多く行うことで食品の調理性を学んでいきます。

髙橋先生:「こうした実例を具体的に話せるようになれば自信につながりますから、生徒が学びの楽しさに触れる授業を行っていきたいと思っています」

 好奇心を刺激する実験・実習授業のほか、教科書や授業で得た知識をどう使う(活用する)かを意識した授業を行い、食のスペシャリストへの素地を作っていきます。
 同コースには、併設大学人間栄養学部のほか、管理栄養系学部の指定校推薦の優先権があります。

「家政学」で培う豊かな心をベースに、「社会で活躍する女性」を育む

東京家政学院_正門側には花壇があり、四季ごとに綺麗な花を咲かせる
正門側には花壇があり、四季ごとに綺麗な花を咲かせる

「家政学」をスクールアイデンティティとする同校は、「基本的に素直で真面目な」生徒が多いそうです。共感力も高く、得意な科目を教えあったり苦手な科目をサポートしあったりと、豊かな心をベースとした温かな校風が育まれています。

 また、将来に対する目的意識を明確にしていくプロセスの中で、中1から高2まで5年間を通して学ぶ「探究活動」(以下のコラム参照)で得た気づきは各コースの学び方に通じるものがあり、人間的な成長にも大きく影響を与えているそうです。

髙橋先生:「5年間の探究活動の最中は、『難しいなぁ』『大変だなぁ』などとこぼす生徒もいますが(笑)、協働作業を核とする探究活動は視野を広げるだけでなく、答えのない問いを突き詰めるレポートを作り上げるためにチーム内の人間関係で学ぶことも多く、自分のアピールポイントや考える材料を見つけることもできます。先に『人間的な成長』があって、そこから進路につながる学びに導かれる。探究学習は本校にとって、とても大事なものとなっています」

 2022年度から高校の学習指導要領が変わり、同校でも4月から新カリキュラムを導入。「素直で真面目な」生徒一人ひとりが、主役になれる学校生活の経験は心の豊かさとなって蓄積されています。「社会で活躍する女性」として成長していくことは間違いありません。

■SDGsをテーマに、「探究活動」を5年間継続する

■中1・2:「ポスタビ」
 学年縦割りチームを作り、千代田区内の企業や社会人に取材し、働く思いや地域への愛着を掘り起こしてポスターを制作する。
■中3:「SDGsクリエイティブプロジェクト」
 SDGsローカルアクションに取り組んでいる企業や人にスポットを当てて取材。取材後には人物に焦点を当てた記事作り、プレゼン発表を行う。

東京家政学院_コロナ禍のため、オンラインで行われたGPAで発表する生徒
コロナ禍のため、オンラインで行われたGPAで発表する生徒

■高1:「SDGsエキスパート探究」
 中学時代の「体験的」な活動をもとに、SDGsの17の目標を家政学(衣・食・住)と関連づけて専門的に掘り下げる。
■高1:「CAS(Career Axis Support)プログラム」
 働く社会人を学校に招いて意見交換を行う。
■高2:「SDGsジグソー探究」
 グループごとに、高1での「エキスパート探究」活動で得られた専門的な成果をそれぞれが持ち寄って自由にテーマを設定し、約2万字の論文を制作。
■「全校プレゼン大会(Global Presentation Award)」
 5学年が参加して1年間の探究活動の成果を報告。優れたプレゼンテーションにはGPA賞が贈られる。

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