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学校特集

東京成徳大学中学・高等学校2022

自在なICTスキルを携え、未来の可能性を拡張する
夢を夢で終わらせない、発想力や実行力、社会的スキルを身につける6年間

掲載日:2022年6月1日(水)

「徳を成す人間の育成」を建学の精神とし、「人間力・グローバル力を伸ばす」ことを目指す東京成徳大学中学・高等学校。「未来を見据え、世界を知る、自分を拓く」をスローガンとし、様々な教育に取り組んでいます。その一助として大いに活用されているのがICTです。「Apple Distinguished School認定校」であり、ICT先進校として全国の中高から多くの先生方が視察に訪れる同校。しかし、ICT活用推進部課長の福島祥雅先生は、「我が校でのICTの役割は、刺身におけるワサビのようなもの」と喩えます。この言葉の真意を探ってみましょう。

自らの意見を展開させ、発信するツールとしてICT機器を活用する

東京成徳_ICT活用推進部課長の福島祥雅先生
ICT活用推進部課長の福島祥雅先生

 東京成徳大学中学・高等学校は、世界36カ国で689校、日本国内では11校のみの「Apple Distinguished School(以下ADS)」の認定を2018年より受けています。

 ADSとは、iPadを活用した指導を行い、その教育効果の高さをAppleによって認定されている学校の証です。「Apple Distinguished Educator(ADE)」と呼ばれる、エキスパートとして認定された教員がICT活用推進部課長の福島祥雅先生をはじめ4人在籍。他の教員も多数、Apple Teacherの認定を受けています。同校ではクリエイティビティに満ちた授業を展開しており、全国から見学者が訪れます。

 そう言われると、東京成徳の先生方が最先端の技術を駆使した特別な教育を施していると思われるのではないでしょうか。しかし福島先生は、同校でのデバイスの使い方はごくオーソドックスなものであると言います。それが先述の「刺身におけるワサビのようなもの」という表現です。

 決してメインではない、なくても大きな問題はないが、あると格段にレベルを上げてくれるもの。ふんだんに使うのも控えめに使うのも自由。それが同校でのICT機器の位置づけです。

「iPadを使って特殊なことをするのではなく、将来、生徒が自分の望む道で活躍するための力をつけることを目標にしています。基礎学力の上に思考力や表現力や社会的スキルを幅広く、厚く積み重ねていくツールとしてICTをうまく活用する。その結果、生徒一人ひとりの未来への到達点が高まると考えています」と福島先生は語ります。

 一体、東京成徳のICT教育とはどのようなものなのでしょうか。

東京成徳_iPadは生徒たちの日常に溶け込んでいます
iPadは生徒たちの日常に溶け込んでいます

 生徒たちの学校生活を垣間見ると、自分のiPadを授業中はもちろん、休み時間にみんなで集まって動画やゲームを楽しむなど娯楽にも活用しています。

「iPad使用に関して、基本的には自由にしており、厳密なルールは設けていません。ただし、自由には責任が伴うことや自分でモラルをわきまえ、自立心をもって使うことの大切さを伝えたいと考えています。もちろんあまりに逸脱したときは、きちんと指導していきますが、見守りつつ気づきを促すことが基本姿勢です」(福島先生)

 授業中も生徒たちは手慣れた様子でiPadを使います。さぞかし様々なアプリに精通しているはずと思いきや、実は授業で利用するものは、そう多くはありません。

「授業では、基本的に、Apple、Google、Adobeなどの純正アプリをひと通り使います。特化型のアプリをいろいろ探して入れるよりも、純正の機能を組み合わせることで、個々の機能の習熟度を上げ、汎用性のバリエーションを増やして創造的に活用することを目指しています」と福島先生。

 生徒たちは東京成徳での授業を受けるための使い方のベースを中1の1ヶ月間で習得します。まず実施されるのは、iPadを利用しての自己紹介から始まります。

 1週目は、テキストによる自己紹介。月曜日に1時間、学年集会で先生によるデモンストレーションを見て、火曜日以降は朝のHRの10分間でiPadを操作し、学習していきます。

 Appleの文書作成アプリ「Pages」を利用して氏名や趣味などを入力すること、顔写真の撮影やテキストと写真を組み合わせて見やすく整えること、その体裁を崩さないためにPDFに変換してから提出することなど、テクニックとスキルを段階を踏みながら習得します。

東京成徳_2021年度の文化祭はオンラインで実施。現在も学校HPから生徒たちの作品が見られます
2021年度の文化祭はオンラインで実施。現在も学校HPから生徒たちの作品が見られます

 2週目は動画による自己紹介です。撮影した動画を編集し、YouTubeの限定公開でUPするのがゴールです。動画のカットやつなげ方、テロップ入力などの編集作業を学び、発声や目線など客観的に自分の姿を捉えるきっかけにもなります。

 3週目は、プレゼンテーション作成アプリ「Keynote」を利用。通販番組のプレゼンターになったつもりで、自分自身が好きなものを紹介する取り組みを行います。

「スライドを作る実作業のほか、効果的なスライドの見せ方、魅力を伝えられる話し方など、プレゼンテーションについても意識します」(福島先生)

 合間合間に、データの形式や、作成したデータの整理方法など、基本的な操作と考え方を身につけ、楽しみながら、ICT技術と自分の意見を発信するテクニックを無理なく養うことができます。

 入学後、自分専用のiPadを持ってワクワクしている生徒たちに、グラフ作成など四角四面に教えるよりは、遊び感覚で学んでいってもらいたい。そのような先生方の思いに導かれ、GW明けには、生徒たちはICTを利用した授業にスムーズに入っていくことができるのです。

 では次章では、実際にどのような授業が行われているのかを見てみましょう。

iPadを名脇役とし、理解度・習熟度を上げる巧みな授業運営

東京成徳_毎週1時間、新聞を1冊通読します。最も気になった記事の要約や感想をまとめる際にiPadが役立ちます
毎週1時間、新聞を1冊通読します。最も気になった記事の要約や感想をまとめる際にiPadが役立ちます

 東京成徳では、基本的に全教科でiPadが使われていますが、その関わり方は多種多様。担当の先生方に委ねられていますが、共通しているのは、生徒たちの学びを深めるための補助であるということ。

「教員同士で学期ごとに勉強会をして、意見や考えを共有します。各々の授業内でのiPadの活用法を発表し合うことで、自分の授業を見直し、アップデートを図っています」(福島先生)

 社会科教諭でもある福島先生の授業を中心に実例をご紹介します。

<中1 歴史>
 歴史上の出来事を、その時代に生きた人物の目線で、SNSの投稿形式で紹介します。先生が「聖徳太子について」など共通の課題を提示し、少人数のグループ分けをします。生徒たちは自宅で調べた結果を教え合い、まとめ、発表します。

「聖徳太子という課題から、遣隋使船の画像を使い、ハッシュタグで『#頼むぞ小野妹子!』というユーモアを見せてくれたりしますね。織田信長がテーマだったときは、本能寺の変をクローズアップしたり、楽市楽座という経済活動を取り上げたりと、切り口も様々です」(福島先生)

 同様に動画版も作成します。例えば「国民的トーク番組に織田信長が来たら、司会者になったあなたは何が聞きたい?」というお題です。

 通常、日本史の授業で織田信長を扱うと、板書の授業では約4時間費やします。それを同校の授業では、4時間を班決めと予習、シナリオ作成、撮影、放映(動画編集は自宅学習)で割り振ります。

 これらの授業では、それぞれの生徒の感性で取り上げた織田信長像を集結させることで、その生涯や同時代に何が起きていたかなど、基礎的な歴史の知識が得られます。その上、同級生との意見交換もでき、まとめ方、画像や動画編集のテクニックも学べるのです。

東京成徳_「合成用のグリーンバックは、すぐに購入しました」と福島先生は笑います
生徒の創造性を伸ばすべく、備品購入も即座に対応しました

「編集に凝るために協働したり、背景合成のために布を購入してほしいと交渉してきたり、生徒の意欲を感じられる授業になりました」と福島先生。

 そうして完成した作品に、担当教員が最新の論文の情報を補足し、間違った情報があれば解説してフォローします。この過程を経て、情報が確かな知識として生徒たちの中に蓄積していくのです。

<中3 公民>
 同校の公民の授業では、教科書の順番通りに教えていません。テキスト通りに解説していくよりも、実社会で起きていることと結びつけることで、生徒たちの関心を引き、深い理解を促すことができるからです。

「公民の教科書に出てくるような出来事は、一年間の社会の動きの中にあるものです。『先日、衆院選と都議会選挙があったから、今日は国政選挙と地方選挙について勉強しよう』というように授業を展開します。『マニフェストで謳われている経済政策を調べてみよう』など、最新の情報をすぐに検索できるのも、ICT活用の強みですね」(福島先生)

 また、模擬国連や模擬投票など、これまで行われていた学習プログラムでもZoomやQRコードを使うなどICTを導入することで、より実生活に寄り添った取り組みとしています。

東京成徳_理解できるまで確認できるのが反転授業の魅力です
理解できるまで確認できるのが反転授業の魅力です

 他教科の例も見てみましょう。
 中3の数学の授業では、黒板で先生が解説しているなか、iPadでYouTubeを見ている風景も見られます。生徒は遊んでいるのではありません。その先生が講義する動画をYouTubeで見ているのです。

「この授業スタイルですと、生徒が理解できるまで、何度も解説を見ることができます。何度見てもわからなかったり、もっと深く学びたければ先生に聞けばいいのです。習熟度別対応の授業の一つと捉えています。同様の授業を、英語や社会など様々な教科で取り入れています」(福島先生)

 2022年度から高校家庭科に取り入れられる金融教育では、実際の株価で模擬取引ができる、日本証券業協会のオンラインゲームを活用。班ごとに1000万円を運用し合計額を競い合うので、チャートや「四季報」を読み込む生徒も現れます。この授業により、国内・国外の社会の動きが株価にどう影響しているのかを体感でき、世界情勢への関心も深まります。

 さらに、道徳の授業においても、iPadを利用することにより完全な匿名状態で意見を発信することができるので、人前での発言が苦手な生徒の意見も汲み取ることができます。

 東京成徳の授業では、特段複雑なICT技術を駆使しているわけではありません。生徒の創造性を広げる、意見発表などコミュニケーション能力の向上や他者への理解に役立つ名脇役として機器を活用するのが、同校のICT教育なのです。

東京成徳_行事にも部活にも勉強にも全力で取り組めます
行事にも部活にも勉強にも全力で取り組めます

 こうした授業は、従来の板書型授業に比べると、基礎学力をつけるためには不足があるように感じられるかもしれません。そのため同校では、授業の成果を知るために、6年前から東京学芸大学大学院の研究所と連携して学力のエビデンスを取っています。

「その結果、基礎的な学力を担保しつつ思考力や表現力が伸びていることがわかりました。高2で英検準一級合格者が3人出るという快挙もあって、やはり自由な時間や遊びをもたせることが学びへの意欲につながり、基礎学力の向上にも貢献するということを確信できました」(福島先生)

 ところで、こうした授業を行い、ADEである福島先生は、どれだけICTに精通しているのかを伺うと、「元々は得意ではなかった」という意外な返答。
「入学する生徒たちのICTスキルは年々上昇していますし、それぞれ得意分野があります。生徒たちには、例えば『●組の◯◯は動画博士だから聞いてごらん』と伝えています。
 また最新の技術にすぐに追いつけないということは、生徒たちも理解してくれています。だからわからないことは生徒たちと一緒に悩んだり考えればいいのではないでしょうか」

 このように東京成徳には、学年も、先生と生徒の垣根を超えて協働し、教え合い、成長していける場所があります。様々な非認知能力を伸ばす仕掛けが、こうした日々の営みの中にごく自然と組み込まれているのです。

6年間の学校生活で、人生を切り拓く力を身につける

東京成徳_「第9回SAGE JAPAN CUP」では、フードロスをテーマに参加し、見事優勝を手にしました。今夏は世界大会に挑戦します
「Diversity seminar」の活動の一環で、社会貢献プロジェクトの大会に参加し、優勝。今夏は世界大会に挑戦します

 学力、思考力、発信力など様々な力を身につけた生徒たちにどう成長してほしいのか、それが今年度のスローガン「夢が目標に変わり、未来につながる。」という言葉であると福島先生は語ります。

「私たちは、生徒たちが6年間の学校生活の中で視野を広げ、なるべく多くの選択肢を見出してほしいと思い、様々なカリキュラムを提供しています。探究型の「実地踏査型研修旅行」・「Diversityseminar」や「自分を深める学習」、「NZ 学期留学」と「国内グローバル教育プログラム」などを経験し、その中から自分の好きなものを選び取ってほしい。そして、夢を実際に実現できるものと捉える=目標に変えてほしいと考えています。変化する時代のなか、そのためには一体どうすればいいかを一緒に模索しながら、自分自身の力を発揮し、未来を切り拓ける力を培っています」(福島先生)

東京成徳_2022年度の高1はドバイで語学研修が行われました。留学プランは今年度から新プランが発進
NZ学期留学の代替プランとして、ドバイ語学研修が行われました

 なお2023年度からより門戸を広げるため、通常入試に加えて中学版のAO型入試を開始します。面接と論述での選抜となり、創造性、探求心、好奇心、協働性などを独自のルーブリック評価で判定するものです。知識量よりも同校での学びに対して強い興味をもつ受験生、同級生たちと影響を与え合いながら成長してくれる資質をもつ受験生を見出すことが狙いです。(※詳細は6月ごろ発表される入試要項をご参照ください)

 東京成徳でどんな生活を送り、自分の夢を実現できるのかーー。それを知るには、在校生を見るのがいちばんです。同校の生徒たちは、他校の有志の現役中高生と協働するオンライン学校説明会『学校PR部』や学校説明会内での『ミニ文化祭』として、生徒主導のイベントが開催される予定です。ぜひ、同校の空気を感じ取っていただければと思います。

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