学校特集
目黒日本大学中学校高等学校2022
掲載日:2022年6月1日(水)
2019(令和元)年に日本大学の準付属校となり、4年目を迎えた目黒日本大学中学校高等学校。年を経るごとに出願者数・実受験者数ともに増え続けている、首都圏屈指の注目校です。「算理入試」を実施しており、算数と理科を得意とする受験生からも熱い視線を浴びています。広報部主任で数学科を担当する天野正貴先生と、同じく広報部で数学科主任の堀 敬矢先生に、学校生活で身につく能力や教育方針についてお話を伺いました。
探究学習や行事は生徒の意見を尊重
着実に培われる自主性
「次世代に必要なのは、知識重視型の勉強だけでなく、自ら問題・課題を見つけてそれを解決していく力である」という考えのもと、生徒を育成している目黒日本大学中学校高等学校。そのため、年間を通して行われる各行事やイベント、探究活動などは生徒たちが主体的に取り組む内容が多いことが特長です。
例えば、毎年6月に行われる受験生親子向けの学校説明会。受付、誘導、案内、司会、校舎見学ツアーなど、ほぼすべてを生徒たちが熱意をもって運営しています。
「我々教員は、生徒たちに『説明会では、どんな話をしたい?』と問いかけるだけです。特に細かい指示は出さなくても、生徒たちが自ら原稿やスライド資料を作成してくれます。その出来映えは大変素晴らしく、教員が修正することはほとんどありません。本校の学校説明会では、ご参加いただいた方々に生徒たちの様子や学校の雰囲気をよく見ていただけると思います」と、天野正貴先生は胸を張ります。
天野先生と同じく数学科の教員で、1期生から担任を持ち続けてきた堀 敬矢先生は、「学習面では、探究活動の存在が大きい」と言います。
同校の探究活動は、中学3年間を通して週1回のペースで実施されます。大テーマは「日本を知る」で、中1は「日本と伝統文化」、中2は「日本の環境」、中3は「SDGs」というように、学年ごとにさらにテーマが設定されています。「全体で学んだ知識をどのように使うか」に重点が置かれており、生徒たちはクラスの垣根を越えた少人数グループに分かれて、基礎学習・課題発見→個人学習・フィールドワーク→グループワーク・ディベート→発表をループして行います。
「生徒は、テーマに沿って自分の興味関心のあるものについて調べ、取材対象に電話をしたり、関係場所を訪れたり......とフィールドワークや調べ学習を進めていきます。細かい指示は出しませんし、それが間違っている、正しいとも言いません。こちらが行うのはアドバイスのみで、生徒たちの自主性に任せています」(堀先生)
そのほかにも、生徒が保護者と教員に向けてこれまでの振り返りと今後の目標についてプレゼン形式で発表する「三者面談」、探究学習の成果を皆の前で披露する「発表コンクール」など、生徒一人ひとりが主体性をもって参加する場面が豊富に用意されています。
特に「三者面談」のプレゼンでは、家ではあまり話し合わないような子どもの考えや学習目標を知ることができ、子どもの成長を目の当たりにできる機会でもあるため、保護者にとても好評です。今後も続けていきたい取り組みだとか。
こういった発表やプレゼンの機会を多く設けていることは、それだけ「成功」や「失敗」を経験できる場が多いという利点もあります。普段の授業はもちろん、このような発表の場では、「安心して失敗できる場でありたい、その経験が成長に繋がります」と天野先生は言います。
たくさんの成功体験、失敗体験を通して、生徒たちは少しずつ主体的な姿勢や行動力を学び、身につけ、磨きをかけていくのです。
実際の生徒たちの成長ぶりを問うと、天野先生も堀先生も、口を揃えて力強くこう言います。
「生徒たちは皆、中学の3年間で目覚ましい成長を見せてくれます。それは自信をもって言えることですね。お子さんの成長ぶりに驚く保護者の方も大勢います。例えば、中2の頃は引っ込み思案だった子が他の生徒の影響でしょうか、中3になったら説明会で堂々とアナウンスしているんです。そんな例をこれまでたくさん見てきました。本当に自慢の生徒たちです」
続けて、天野先生はこのようにも話してくれました。
「本校の特徴は何かとよく聞かれますが、特殊な授業や教育は行っていないんです。しいて言うのであれば、『生徒が自ら頑張れる環境づくりに特化した学校』ということでしょうか」
「自主性」や「自ら頑張れる力」は、一朝一夕では身につけられないもの。3年間の中学校生活の中で少しずつ培っていけることは、着実かつ理想的といえるでしょう。
入試と数学の取り組みに込められた、
「数学的思考力を高めたい」という想い
同校では2019年度に「2教科型入試」・「4教科型入試」・「適性検査型入試」に加え、「算数1科入試」を実施。2020年度からは「算数1科入試」をさらに深化させた「算理入試」を導入しています。普段より「答えに至るまでのプロセスを重視する数学的思考力」を強化しており、それを入試にも反映させたいという想いの表れです。
天野先生は、「これからの時代は、物事を論理的に考え、解決していく力、まとめあげる力を養うことが生徒たちにとって必須の課題です。単に計算力を測るような内容だけではなく、長文問題を取り入れることで、読解力も同時に見られる出題にしています」と話します。
また入試では、受験生に『この問題、おもしろい』、『こんな問題を出す学校に入ってみたい』と感じてもらえるような作問も心がけているのだとか。
数学は、個人の得意・不得意の差で習熟度にバラつきが出やすい教科。得意とする生徒が退屈しないために、そしてさらに意欲を高められるようにと、昨年から中2・中3を対象に月におよそ1回のペースで「挑戦状」という取り組みを実施しています。
「教室の外に、難関高校の入試問題で出るような良問や難問をアレンジし、『挑戦状』として置いておくんです。それまでに習った数学的知識を応用して解くような問題です。例えば、二次方程式が解ける段階だったら、二次方程式の中でもちょっと複雑なもの。考えて試行錯誤したらできそうなものを選んで出しています。友達同士で教え合うことも良しとしていて、興味のある生徒が自由に取り組んでおり、解けたら多くの生徒が見せにきてくれます。強制していることではありませんが、30~40人ほどの生徒たちが休み時間や隙間時間などに楽しみながらチャレンジしています」(天野先生)
さらに年3回、学期ごとに実施しているのが「計算コンテスト」です。
全学年を対象に同じ日時で行われるもので、全学年共通の問題+学年ごとの問題で構成されています。共通の問題部分では、全学年のランキング結果を出し、掲示されます。
「ランキングで上位になった生徒は、モチベーションがぐんと上がります。それは、きっと他教科へも良い効果をもたらしてくれます」と堀先生は言います。
天野先生は、「文系であっても、"数学的思考力"は将来社会に出たときに必要になります。そういう意味で、もはや文系・理系と区別することに対し、私自身は抵抗を感じています。だから中学で数学嫌いになってしまってはもったいない。そうならないように丁寧に教えていきたいですね」と話します。
天野先生と堀先生の熱意あふれる日々の授業をはじめ、挑戦状、そして計算コンテスト。数学が好きな生徒、チャレンジ精神が旺盛な生徒たちにとって、力を伸ばせるやりがいに満ちた環境が整っています。
良い雰囲気づくりのポイントは、「褒める」。
先生同士のチームワークの良さも相乗効果に
探究活動や各行事などではクラスの垣根を越えたグループ活動も多く設け、同学年の生徒同士の交流が盛んに行われている同校。今年度は、中1~高1までの4学年を集めたプロジェクトアドベンチャー活動(※)も初めて実施され、今後は、学年の枠を超えたタテの繋がりもますます強まっていきそうです。生徒同士の仲の良さや過ごしやすさが重視され、心理的安全性が確保された環境にあります。
※与えられた課題に対して、グループでコミュニケーションを取りながら解決していく体験学習のこと。学校教育や企業で多く取り入れられている。
「例えば、何か良い結果を出した生徒がいたとします。そういう場面で、周りのみんなが『すごい』、『おめでとう』というリスペクトの感情を表すことができるんです。生徒同士が素直に喜び合ったり、尊敬し合ったりが自然にできる雰囲気がありますね」(堀先生)
そういったムードづくりは、先生たちが意識的に行っている行動が功を奏しているのかもしれません。
「日頃から、積極的に生徒を褒めるようにしています。本校では、褒める、笑顔、うなずき、拍手......といった好意的で前向きなしぐさや態度できちんと示すことを大切にしています。今では、生徒に対し怒ることもなくなりましたね」(天野先生)
教師のそういった態度や行動が、自然と生徒たちにも良い効果をもたらしているのでしょう。
さらに、先生同士の信頼関係の強さは、生徒たちからは「先生たち、楽しそうだよね」と言われることも多いのだそう。
「新年度が始まる前には、教員陣でプロジェクトアドベンチャーに取り組み、意見交換や考え方の共有をしっかりと行います。教員同士のチームワークはかなり良いと思います。我々自身が楽しんでいる姿が、生徒たちにも良い影響を与えていたらうれしいですね」と堀先生。
「毎日生徒と接していて感じるのは、ワクワク感や楽しさばかり。驚きの連続で、逆にこちらが学ばせてもらっています。中学の教師をやっていて良かったと心から感じています」(天野先生)
こういった友好的な雰囲気は自然と保護者にも伝わるのか、保護者のイベント参加率は非常に高く、学校側も保護者と連携が取りやすいと言います。
生徒・教師・保護者という3者同士の良好な関係性が相乗効果となり、学校全体に良い雰囲気をもたらしているのでしょう。生徒が毎日落ち着いて勉学に励み、友情を育んでいく場として、とても大切なことです。
在籍生徒の弟・妹も多数入学。
個別の学校見学にも対応
今年、令和元年に同校に入学した1期生が高校へと進学。同校の教員陣は、1期生と過ごした3年間から得られたこと、見えてきたことを共有し、教育内容をブラッシュアップしています。
今春入学した4期生の中には、兄・姉がすでに在籍している生徒も多いそう。それは、学校側の生徒に対する姿勢、想いがしっかりと保護者に伝わり、共感されている何よりの証です。
天野先生は、「自宅からの通学時間、環境、校風、教育内容、進学実績......、さまざまな視点から本校を見ていただきたいと思います。事前に電話でお申し込みくだされば、個別に学校見学もできます」と教えてくれました。
学校見学は、ホームページや資料だけではわからない魅力を知るチャンスであると同時に、入学後のミスマッチを防ぐための手段でもあります。目黒日本大学中学校高等学校の人気の理由を探りに、ぜひ実際に訪れてみませんか。