学校特集
西武台新座中学校2022
西武台新座の人間教育の魅力
掲載日:2022年5月13日(金)
西武台新座中学校第5期となる2021年度卒業生から、ついに医学部への合格者が出ました!この4月から埼玉医科大学に通うKさんです。
西武台新座といえば、発音を重視することを通して聞き取る力を伸ばすオーラルコミュニケーションツールとしての英語教育と、ICTを駆使しながら論理的な思考力とプレゼン能力を高める教育が知られています。しかしKさんからお話を伺うと、先生と生徒の距離の近さや、愛情にあふれた人間力を伸ばす教育という、教育の原点ともいえる部分が西武台新座の魅力として大きくクローズアップされてきます。2022年中学で副校長だった小林正高先生、そして高校で国語を教えていた熊倉京子先生にも同席いただきながら、Kさんのお話を通して西武台新座の教育の魅力に迫ってみました。
先生と生徒の距離と手厚い指導への期待から
まだ進学実績のない西武台新座に進学
地元の埼玉医科大学に、学校推薦選抜で見事合格を果たしたKさん。驚いたことに、両親や親せきに医療関係者がいるわけでもないのに、中学校に入学する前から医師になって地域医療に貢献するという明確な目標を持っていたと言います。
「医師になろうと思ったきっかけは、小さいころによく診察していただいた女医さんです。子供から見てもすごくてきぱきと仕事をしていて、私のような子供に対してもいつもしっかりと目を見て丁寧に話を聞いてくださる姿にあこがれました。そして先生が診察したとおりに病気が治っていく経験を通して、私もお医者さんになりたいと思うようになりました。
地域医療については、同居していた祖母の介護が家族の大きな負担になっていたことがきっかけです。医師として患者さんだけでなくその家族もケアしてあげられるような、地域に根付いた活動ができたらよいなと考えていました。(Kさん)」
Kさんは西武台新座中学校が開設して5期目に入学した生徒。つまり中学入学生の進学実績が全く出ていない状態でこの学校を選びました。最初から医師になりたいという目標を持っていたのなら、医学部合格実績が高い学校を選んでもおかしくないと思うのですが、彼女は西武台新座のフレンドリーな雰囲気と少人数教育を魅力に感じたと話します。
「最初の学校説明会で、既に他校と比べて圧倒的な先生と生徒の距離の近さを感じました。この少人数の環境でなら先生方が一人ひとりを手厚く指導してくださるに違いないと思いました。確かに進学実績も大事ですけど、西武台新座への期待のほうが大きかったです。(Kさん)」
アットホームな雰囲気と豊かな人間教育の中で
夢がぶれることなく、順調に学力を伸ばした中学時代
ほんわかとした優しい雰囲気の中にも、高い目標を実現するために努力する強い意志を感じさせるKさん。実際に入学すると西武台新座での学校生活は期待以上だったと話してくれました。
「先生と生徒の距離は本当に近かったです。担任の先生はもちろんですが、副校長の小林先生までもが下の名前で声をかけ、話を聞いてくださいました。高校の校舎に移ってからも折に触れて中学棟に行ってお話させていただきました。成績が思うように伸びず悩んでいた時は泣きながら話をして、じっと聞いていただいたこともあります。(Kさん)」
ディスカッションやプレゼンテーションなど、コミュニケーションを重視する西武台新座の教育。Kさんも総合の時間に行われるプレゼンテーションを通して、資料やスライドの作り方を学びました。またグループでの話し合いを通して多くの人の様々な意見を吸い上げながら一つの意見を作り上げるというプロセスが、大変だったけれどとても楽しかったと話してくれました。授業も先生方の工夫がいっぱいでても楽しかったと当時を懐かしみます。
「教科書を決められた通りにやるのではなく、何か楽しい要素を入れてくださいます。ただ一方に聞くのではなく、たとえば英語なら状況を自分に置き換えて話してみるなど、何かしら共感しやすいようにしてくださいました。(Kさん)」
その一方で、西武台新座での学びで一番自分を成長させてくれたと感じているのは人間教育の面だと話します。
「少人数なので同じ友達と6年間過ごすことになります。すると同じ人でも中1のときのイメージと高3のときのイメージが全くと言っていいほど違っていることがありました。人は見かけによらないというか、第一印象だけで判断してはいけないということを学びました。また担任の先生はもちろんですが、副校長先生のようなお立場の方とお話するときの態度なども学ばせていただきました。部活動では茶道部にいたのですが、思いやりの気持ちや、目上の人や後輩への接し方なども身につきました。(Kさん)」
当時の彼女について、副校長の小林正高先生はこう話します。
「きちんと相手の目を見て話ができる生徒だなというのが第一印象です。入学時に提出された作文に『地域医療に携わりたい』と書かれていたのを見て、ものすごい生徒だなと思いました。本当に真面目で勉強に一切手を抜くことはなく、3年間で順調に成績を伸ばしてきました。中3の進路面接の時にも目標は変わっておらず、強い意志を持った、とてもしっかりした生徒だと思いを新たにしました。(小林先生)」
みんなのポジティブな応援に後押しされ
人間味あふれる指導で医学部合格へ
中学入学前からの目標を持ち続けたまま高校課程に進んだKさん。小林先生のアドバイスもあり、高1の3学期から学校での勉強に加えて医学部予備校にも通い始めました。いよいよ医学部受験に向けて本格的に始動したわけですが、中学のころと比べると思うように成績が伸びず、苦しい時期だったと話します。そんなときに精神的な支えになったのは先生や友人、そして家族といった周囲の人間味あふれる応援でした。
「成績が思うように伸びず、自分に自身が持てない時期もありました。でも先生方は常にポジティブに応援してくださり、今の成績じゃ合格は難しいなどの否定的なことは一切言われませんでした。家族や友達もみんな応援してくれました。こんなに応援してくださる方々がいるのだから、絶対にあきらめたくない!と強く思うことができました。(Kさん)」
高校時代の学校での学びの中で、特に印象に残っているのは国語科の熊倉京子先生の授業だったといいます。熊倉先生の授業は単なる受験対策にとどまらない、人としての生き方までも学ぶことができるものだったと振り返ります。
「理系志望の生徒5人で受けた高2の現代文は、国立志望の生徒が多かったので古文の内容を多めに指導していただきました。その中でも、季節のことや、人が生きていく部分で大切な部分を多く取り上げていただきました。例えば台風を題材にした『野分』は、本当に台風の時期に学び、風の道ができて野が分かれるという状況を体験しながら学ぶことができました。またコミュニケーションにも重きが置かれていて、とても楽しかったです。文法など覚えなくてはいけないことも、暗記するというよりも授業の中で自然に自分の中に定着しました。理系・文系を問わず熊倉先生の国語はみんなに人気があり、みんな先生の授業を楽しみにしていました。(Kさん)」
Kさんの言葉を受けて、熊倉先生は自身の授業についてこう話してくださいました。
「授業では評論文だけを読むとか、受験テクニックとしての文法的な部分に注力するといったお決まりのパターンではなく、季節のことや、人が生きていくうえで大切なことに意識をつなげるような学習を展開しています。学びを常に今の生活や時期と結びつけて理解を深めたり、扱っている題材を通して『人はこういうふうに考え、生きていくんだよね』と共感してもらったりすることを重視しています。また語り掛けることからスタートして、それに対する生徒からの返しという形でコミュニケーションをとりながら授業を進めました。
単純に受験対策的な知識を暗記したり、その単元で完結させたりするのではなく、現代の生活と結びつけながら学ぶほうが、理解が深まります。教えている私自身が驚くほどみんな感性が豊かになり、知ることの喜びを分かち合えるようになりました。(熊倉先生)」
熊倉先生から見たKさんは非常に素直で、『知る』ことにたいしてとても謙虚な姿勢があったと言います。
「彼女は本当に見栄を張ることがなく、わからないと素直に言うことができる人です。中学・高校時代はわからない自分をさらけ出すことを怖がる生徒も多いのですが、彼女は自分が知らないことを他の人が知っていると『悔しい』と思うのではなく、『あ、私まだそれを知らなかった。だから教えてほしい。』と素直に言うことができました。だから周りも彼女の力になりたいと自然に思えるのだと思います。(熊倉先生)」
受験直前の数か月間、熊倉先生は小論文も指導していました。志望する埼玉医科大学の小論文の傾向がわからなかったので、他大学の医学部が課している小論文のテーマもカバーしながら、どんなテーマが出てもよいように対策していたそうです。
「特にこのパターンで書かなければならないということにはこだわりませんでした。『知る』ということに喜びを感じる生徒でしたので、天声人語や編集手帳など、昔から言われているコラムの中から、彼女が知らないと思われる題材を準備しました。まずはコラムを読み、それを100字でまとめ、それに対して自分の意見や感想を書くということを繰り返しました。月並みなやり方ですが、ここで幅広い知識を得ることができましたし、自分の言葉で自分の考えをつづる経験を重ねることができました。(熊倉先生)」
熊倉先生の授業以外でも、担任や進路指導の先生はもちろん、どの先生も非常に協力的で彼女の夢を後押ししてくれたとKさんは話します。
「自分に夢があって本当に学ぼうという姿勢があれば、西武台新座の先生方は本当に全面的に協力してくださいます。私の場合は放課後講習を開いていただいたり、オンラインで質問対応していただいたりしました。生物では自分の苦手な分野を重点的に指導していただきましたし、苦手な数学についてはちょうど担任の先生が数学担当だったのでわからないことはすぐに質問して、丁寧に教えていただきました。面接対策は担任の先生から直接教わったことのない先生を紹介していただいたのですが、快く対応してくださいました。(Kさん)」
大きな目標を達成していく上では生徒・保護者・学校のコミュニケーションや信頼関係も大切になりますが、Kさんの保護者は西武台新座での学びを深く理解し、信頼してくださっていたと熊倉先生。面白いエピソードを紹介してくださいました。
「一度近くの100円ショップで偶然Kさんとお母様にバッタリ会ったことがありました。場所が場所ですから気づかないふりをして終わってしまってもおかしくないのですが、お二人は全くそんなことを気にせず『あー熊倉先生!』と声をかけてくださり、少しの間立ち話をしました。その時に、家族全体がKさんを信頼していることや、また学校にも厚い信頼を寄せてくださっているということを強く感じました。その中に担任でもない私も関わることができたのは、私の教員生活の中でもとても良い思い出として心に刻まれています。(熊倉先生)」
「学校で起こったことはいつも両親にお話していました。両親も医療関係ではないのでわからないことだらけで先生に頼りきりだったので両親も家族も本当に学校に感謝しています。(Kさん)」
西武台新座で学んだ人間力を土台に
謙虚で信頼される医師を目指す
ふんわりと優しそうな雰囲気のKさんですが、お話を伺うと、医師になりたいという強い思いと、何に対しても「知りたい」と思う素直で謙虚な好奇心が伝わってきました。一人ひとりに愛情をかけて人間力を伸ばす西武台新座で、学力面だけでなく医師に求められる生き方の姿勢も学んでこられたのだなと実感しました。
4月からいよいよ医学生として次の学びを始めるKさんに、これからの意気ごみを聞いてみました。
「昔も今も地域医療に興味があり、おそらくそれは変わらないと思います。でもこれから本当に自分のフィールドを決めていくということがとても楽しみです。最初にあこがれたのが小児科の先生ということもありますので、小児科にも興味があります。そしていつも謙虚で信頼される、話しやすい医師になりたいです。PCばかり見るのではなく、人を見る医師になりたいです。
例えば熊倉先生の授業で学んだ季節のことは、地域医療の場面で様々な年齢層の方とコミュニケーションをとるうえで役立つものですし、人の生き方に関することや、茶道で学んだ思いやりの精神はそのまま診察に生きてくると思います。そういった人間力という部分を西武台新座でたくさん学びましたので、それを医師としての土台としていきたいです。」
「Kさんの言葉を聞いて、私自身が励まされます。国語という科目を通して少しずつでも人が生きていく上での知恵を学ぶ機会を提供したいと思って教壇に立っているのですが、Kさんはそれをすごく素直に受け取ってくれました。患者の気持ちを知るためには素直であること、相手が心を開くような謙虚な心が大事になると思います。ぜひ今の 思いを大切にして、医療現場を支えていってほしいと願っています。(熊倉先生)」
「Kさんは誰のことも悪く言わないし、誰も彼女のことを悪く言わない、本当に良い人。見た目は穏やかだけどその中に強い芯がある人です。そんな彼女が合格してすぐに報告しに来てくれた時は、本当にうれしかったです。でも本当に大変なのはこれから。子供のころから持ち続けていた目標に向けて、自分の持ち味を大切にして頑張ってほしいです。(小林先生)」