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学校特集

明星中学校・高等学校2024

国際的視野をもち、共創できる人を輩出
100年受け継いだ学びと現代的な視点を取り入れた教育を実践

掲載日:2024年8月1日(木)

JR中央線の国分寺駅・京王線の府中駅からバスで7分ほどの場所にある明星中学校・高等学校。樹々に囲まれた約71,564㎡の広大なキャンパス内には、系列の幼稚園や小学校のほか、テニスコート4面、グラウンド、屋内プール、アリーナを構える総合体育館があり、生徒たちは充実した環境下でのびのびと学校生活を送っています。2023年、100周年という大きな節目を迎えた同校。体験に重きを置いたグローバル教育や体験教育、また長年受け継いできた伝統の教えなどについて、校長・水野次郎先生と入学広報室室長・藤井泉浩先生にお話しいただきました。

経験値を高め、視野を広げるグローバル教育

明星_校長の水野次郎先生
校長の水野次郎先生

「和の精神のもと、世界に貢献する人を育成する」を建学の精神に掲げる明星中学校・高等学校。昨年度は副校長を務め、今年度から校長に就任した水野次郎先生は次のように話します。

水野先生:「昔と違い、今は先が見通せない時代です。生徒たちには、そんな時代をたくましく生き抜き、社会で活躍する人間になってもらいたい。中学・高校の6年間では、そのために必要な知識やスキルを身につけられるような学び、機会をたくさん用意しています。生徒たちにはさまざまな経験を通し、視野を広げてほしいと強く思っています」

 そんな想いが表れている教育のひとつが、グローバル教育です。単に語学力を磨くだけではなく、海外研修やユニークな発表プログラムといった体験的な学習を通じ、異文化への理解や広い視野を養うことを目指しています。

明星_異文化交流できる場が豊富に設けられています
異文化交流できる場が豊富に設けられています

水野先生:「本校では学年全員で体験するものから、希望した生徒が体験するものまで、さまざまな海外研修プログラムを用意しています。研修先もアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、台湾、ベトナム、ジョージアなどバリエーションに富んでいます。
 例えば、今年3月に実施した高1の『ボストンリーダーシッププログラム』(希望制)では、ハーバード大学の学生たちとトークセッションを行いました。その他、さまざまな大学を訪れて情報を見聞きしたり、レクチャーを受けたり、研修内容が充実していることも特徴です。学校生活の一番の思い出として、海外留学体験を挙げる生徒も非常に多いですね。留学体験をきっかけに、大学でさらに語学力を伸ばしたい、と考える生徒も少なくありません。それだけ生徒の心に大きく響く体験であり、心の成長や変化に繋がる貴重な機会となっています」

 ほかに、日本にいながら生徒の国際感覚を養うプログラムとして「ハート・グローバル」があります。中2と系列の小5を対象に毎年実施していて、40人以上のアメリカ人ダンサーやシンガーと共に3日間にわたりミュージカルをつくり上げ、発表するというものです。

藤井先生:「一緒にミュージカルを行うアメリカ人は、日本語がまったく話せない、しかも普段は交流のない大人の方々なので、最初はとまどう生徒やうまく交流を図れない生徒もいます。しかし、そういった生徒もだんだんとコミュニケーションが取れるようになり、最後は講堂のステージで堂々と発表を行えるようになります。生徒たちはとても楽しみながら参加していますし、英語が得意な子だけでなく、ダンスや歌の得意な子が活躍できます。そういう意味では、国際感覚を磨くと同時に成功体験の場にもなっていますね。3日間という短い期間ですが、生徒たちにとっては大きな達成感を感じられる機会となっています」

 同校の生徒たちは、海外語学研修やミュージカルプログラムなど、世界を肌で感じるような教育プログラムを通じて、異文化理解を高めていきます。

感性や非認知能力を育成するための体験教育

 同校の体験的な学びは、グローバル教育だけにとどまりません。SDGs推進校としてユネスコスクールにも登録(キャンディデート校)されており、SDGsを絡めた体験教育(探究学習)に力を入れています。 いまでは珍しくない探究学習ですが、同校では創設時から実施。創設者の児玉九十先生が「体験教育」として始めて以来、100年にわたって脈々と受け継いできたといいます。

藤井先生:「児玉先生は、『吾人(私)の主張する体験教育は、頭脳の研磨に力を尽くすと同時に頭脳の動きそのものを吾々の全身に表現し実行する様に導く教育である。頭だけ出来ても実行に現れなければ目的の半分しか達せぬものと見るのである』とおっしゃったそうです。この思考と実践を繰り返していく教育は、100年前はまだ珍しいものだったと思います」

明星_伸びやかな校風も自慢の一つです
伸びやかな校風も自慢の一つです

 歴史と伝統に裏打ちされた同校の体験学習は、「農業・民泊体験」「行政連携・GX(グリーントランスフォーメーション)学習」「政治経済・DX(デジタルトランスフォーメーション)学習・学校交流」など多様な視点で行われています。

 例えば、日本各地の里山を訪れ、日本の農村や農業について触れる「農業・民泊体験」は、SDGsの大きな課題である自然環境問題を考える上で多くのヒントを得られる学びです。昨年度は、中1が北海道・浦幌町にある「十勝うらほろ樂舎」を訪問。「十勝うらほろ樂舎」は、浦幌町を舞台に持続可能な地域づくりに必要な課題解決や事業創出に取り組む組織です。生徒たちは、地域課題や社会課題について現地で学んだほか、施設を運営するスタッフとの交流を通して貴重な体験を得たといいます。

 水野先生はこうした体験教育の意義について、次のように話します。

水野先生:「現代は、社会課題や環境課題が山積みとなっています。机上の学習も大事ですが、それだけでは見えてこない部分がたくさんあり、本質的に深く理解するのは難しいと考えています。事前に知識を入れたら、それを現地で確認すること、直接体験することが何より重要です。体験学習は、人としての感性や非認知能力を育てる教育。将来社会に出たときに、必ず役に立つ学びです。そのために、中学生のうちからそのような力を身につけ、磨いてほしいと考えています」

 同校のSDGs×体験教育は、高校進学後も続きます。高校では、企業との協働プロジェクトやワークショップを行うなど、より実践的な内容に進化。生徒たちの成長を支えていく大事な学びとなっています。

充実したクラス編成で、自分に合った学びを深める

明星_充実した学舎の4階には図書館、屋上にはスタードーム(天体観測ドーム)などがあります
充実した学舎の4階には図書館、屋上にはスタードーム(天体観測ドーム)などがあります

 中高6か年の一貫教育を「なりたい自分を見つける4年間」と「なりたい自分を実現する2年間」とし、生徒に合わせて細分化したクラス・コース編成を行っているのも同校の特色です。

 中学入学時には、「特別選抜クラス」と「総合クラス」の2クラスでスタートしますが、中3時にはクラス移動が行われます。「総合クラス」から「特別選抜クラス」(あるいはその逆)へ、また昨年度に新設された「英語クラス」への移動が可能になります。多感な10代半ばの時期、生徒たちはそのときの自身の興味や考え、学習習熟度に合わせた学びを得ることができるのです。

 そして、本格的に大学進学を見据える高2時には、最難関大学合格をめざす「SMGS(スーパー明星グローバルサイエンス)クラス」、難関私立大学や海外の大学をめざす「MG(明星グローバル)クラス」&「MS(明星サイエンス)クラス」、自分の可能性を伸ばす「本科クラス」に分かれます。生徒にとっては、自分の能力を効果的に、かつ最大限に発揮できるような環境に身を置き、大学進学を目指せるのです。

 英語クラス新設の経緯について、水野先生は次のように話します。

水野先生:「英語が好きな生徒、英語スキルをさらに伸ばしたい生徒に向けて設置しました。英語のイマージョン教育を実施するクラスで、ネイティブ教員が日本人教員とともに担当します。中3・高1へ進級時に一定の条件(英検のレベル、英語の成績)を満たしていれば入ることができます。実践的な英語力を身につける『MGクラス』へもスムーズに繋がります」

 中高の6年間で、生徒たちはそれぞれ自分の未来を見つめ、自分らしい学びを深めていくことができるのです。

100年続く「凝念教育」で集中する大切さを伝える

明星_授業中はもちろん、大学受験や卒業後にも役立つ集中力を発揮できる術が日々の中で培われます
授業中はもちろん、大学受験や卒業後にも役立つ集中力を発揮できる術が日々の中で培われます

 時代や社会の動きに合わせた教育やクラス編成を実践していますが、創立以来100年に渡って続く、伝統的な教えも大事にしています。先述した体験教育に加え、もうひとつが「凝念(ぎょうねん)」です。

水野先生:「『凝念教育』は、本校の教育方針(下記)のひとつにも掲げています。『凝念』とは、心を一点に集中させる、精神統一のことです。生徒たちは『凝念!』の掛け声とともに、姿勢正しく腰掛け、両手を下腹部に合わせて瞑目して臍下丹田(せいかたんでん)に力を入れるとともに、心を集中させます。物事へ集中する習慣や心の成長につながる教えです」

<同校の教育方針>
・人格接触による手塩にかける教育
・凝念教育を通じて心の力を鍛える教育
・実践躬行(きゅうこう)の体験教育

 また同校では、月に一度、全員が講堂に集まり、「こころの力」を鍛えるとして創立以来受け継がれてきた「心力歌」を唱和したのち、校長講話を聞く時間があるそうです。

明星_時事問題なども考えるきっかけとなる「校長講話」
時事問題なども考えるきっかけとなる「校長講話」

水野先生:「校長講話では、生徒の心に響くようなさまざまな話をするように心がけています。先日は、中学生に向けて『スマホ認知症』に関する動画を見せ、スマホやSNSが及ぼすリスクについて話をしました。いま日本には、スマホ・SNSに心や脳を支配されている子ども、大人がたくさんいますよね。便利なツールとして有効活用するのはもちろん良いのですが、必要以上に縛られてしまうのは心配です。学校として、生徒をスマホやSNSの支配からどう切り離すかを真剣に考えていかなければなりません。このように、授業ではなかなか伝える機会がない話題やテーマについてもどんどん取り上げて生徒たちに伝えていけたら、と考えています」

 生徒とのコミュニケーションにとても熱心な水野先生。一方的なコミュニケーションではなく、双方向コミュニケーションを行うため、生徒たちにアンケートを実施することもあるそうです。

水野先生:「一方的に話を聞くよりも、アンケートに答えるほうが、生徒たちが自分ごととして捉えやすいのでは、という考えから実施しています。そのアンケート結果に対して、こちらの考えや解決策を提案しますが、その際はさまざまな情報やデータ、写真やイラストなどを用いながら論理的にわかりやすく説明するようにしています」

 これまで幼児向け教育雑誌の編集長、千葉県の県立高校の民間校長、島根県の私立中学高校の校長など、数々の要職に就いてきたキャリア経験をもつ水野先生。幅広い知識や知見に基づく言葉は、きっと多くの生徒の心に届いていることでしょう。

「共創していける人」を目指す

明星_仲間との多様な学びの機会が豊富にあります
仲間との多様な学びの機会が豊富にあります

 同校は、系列の幼稚園・小学校が同じ敷地に位置し、場所は異なりますが、系列の大学もあります。そんな背景から、中学と高校、あるいは高校と大学などが連携した取り組みも増やしています。

 最近は、明星大学の先生から、系列の小学生・中学生・高校生(希望者)がプログラミングを教わるという機会を設けたそうです。こうした学年や学校の枠を飛び越えた学びの時間をもてることも、同校の大きな強みです。

水野先生:「今はひとりで何かを行うというより、皆で力を合わせて取り組むこと=『共創』が求められている時代です。共創していくためには、高いコミュニケーションスキル、なかでも『交渉する力、意見交換する力』が必要となるでしょう。どうしたら生徒たちがそういう力を身につけられるか。今後は、実際に社会で起こっている話を交えながら、そういった部分にも焦点をあてていきたいと考えています」

 伝統を重んじながら、時代に合った教育プログラムや充実した環境で生徒を受け入れる明星中学校・高等学校。次の100年に向けて、力強く歩み始めています。ご興味のある受験生親子は、ぜひ学校HPから水野先生のブログ「校長室だより」もご覧ください。同校の方針や魅力、水野先生の教育への熱い想いを垣間見ることができます。

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