学校特集
三田国際学園中学校・高等学校2021
掲載日:2021年7月1日(木)
もっともエキサイティングな学校として注目を集め続ける三田国際学園。先生、生徒を問わずネイティブスピーカーの割合が圧倒的に高く、日常的に英語が飛び交っています。
育った環境が異なる仲間と触れ合う毎日は刺激的で、自分らしさとは何かを自ずと考えさせられます。問題を解決するために欠かせない、思考を深める仕掛けがすべての授業に組み込まれているため、自分のやりたいことを見つけた生徒たちは自発的に活動しています。
生徒や先生とインスパイアし合える環境が同校最大の魅力であり、日常的に研究活動に取り組むメディカルサイエンステクノロジーコース(以下、MSTC)にかぎらず、「基礎ゼミナール」やクラブ活動、あるいは有志団体など、さまざまな場で活動する生徒が次々と大会やコンテストに挑戦し、賞に輝いています。2020年度はeスポーツの全国大会で頂点に立ちました。
こうした学園文化の醸成に寄与してきた一期生が、この春、同校を巣立ちました。英語力はもとより、6年間の学びを十二分に生かして自分らしい進路を実現した生徒が多く、一期生とともに学校づくりに邁進してきた楢島知哉教頭(英語科)、辻 敏之先生(理科)は、「多くの生徒が高い達成感をもって卒業してくれたことが嬉しい」「後輩たちに道筋を示してくれた」と、喜びを口にします。学校生活のあらゆるシーンにおいて、学びの姿勢(Contribution・貢献)と、グローバル社会で必要とされる12のコンピテンシー(能力・行動・特性)を、教師はもとより生徒自身も意識して身につけ高める風土ができ、6年前に大橋清貫学園長が思い描いた「世界標準」の教育が格段に進歩していることから、2022年度よりクラス・コースのリニューアルを行います。そこで大橋学園長、インターナショナル指導部長の楢島教頭、MST部長の辻先生に、同校の現状と第2ステージの構想について伺いました。
プロジェクト型の学習が理数分野への興味を引き出す
一期生の大学合格実績に注目すると、三田国際学園の「今」が見えてきます。国公立大の合格者の多くは理系。国立大医学部にも1名現役合格を果たしました。私立大を合わせると87名が理系分野の学部(医療系を含む)に合格しています。
・国公立大学 11名(医学部も含む)
・海外大学 12名
・早慶上理ICU 28名
・GMARCH 57名
大橋学園長:皆さんは「三田国際って英語の学校じゃないの?」とおっしゃいますが、実は理系の学校でもあると私は考えています。一期生が中2の年に研究活動の入り口となる「基礎ゼミナール」(以下、基礎ゼミ)を立ち上げました。講座の半数以上は自然科学分野です。彼らが高校に上がるタイミングで、理数分野に特化した自分だけの研究活動に取り組めるMSTCをスタートさせましたが、その生徒に限らず、課題解決型のプロジェクトに取り組み、理科分野で興味を深めていた子が多かったということです。
辻先生:「基礎ゼミ」を立ち上げた当初、生徒たちは「研究とは何か」もわからない状態でした。そのため、生徒たちのマインドセットから取り組みましたが、目の色が変わったのは学園祭で自分たちの研究をポスター発表してからです。最初はその難しさに悩むことも多かったのですが、途中で投げ出す生徒はいませんでしたし、次第に学外で高い評価(賞や助成)をいただく研究も出るようになりました。本校は総合型選抜で挑む生徒が多いので受賞実績は大きな力になりましたが、それ以上に成長を感じたのはアウトプットのスキル向上です。自分が取り組んできたことや、自分がその大学に入ってやりたいこと、自負などを、志望動機書や面接などで堂々と伝えることができたことで、合格することができたと思っています。
大橋学園長:GMARCHを中心に一般入試で合格している生徒もいますが、本校の生徒は総合型選抜に強いと自負しています。問題を発見する力、解決する力やクリエイティビリティを問われる試験であればあるほどハイスコアを出します。特に應応義塾大学環境情報学部・総合政策学部や上智大学などは本校の教育と親和性が高いと感じています。
2021年度よりDDPが始まり、海外大学がますます身近に!
海外大学では名門マンチェスター大学(University of Manchester)やカリフォルニア大学デービス校(University of California, Davis )をはじめ、延べ12名の現役合格者を輩出しています。
大橋学園長:本校ではコースを問わず、多くの生徒が海外大学を目指しています。たとえ英語がゼロベースの生徒でも、本校のグローバルな環境の中でブレイクスルーすることで海外大学に合格しています。当然、二期生以降はさらに増えると考えています。
楢島教頭:既卒生ですが世界でトップ10に入るカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)に編入した生徒もいます。その生徒の英語力は入学時はゼロベースでしたが、高校卒業後現地のコミュニティカレッジに行き、勉強はもちろん課外活動などにも積極的に関わり、最終的にオールAの成績で卒業、名門大学への編入を果たしました。成果が世界の一流大学に認められたのです。少し大げさですが、アメリカンドリームを掴み取ったようなものだと思っています(笑)。ゼロベースからでも本校で学べば世界トップ10の大学に行けることを実証してくれました。この結果は、後輩たちにも大きな刺激を与えてくれました。
インターナショナルコースでは、2021年度よりデュアルディプロマプログラム(DDP)を導入しています。西オーストラリア州と教育提携を結び、在学中に同州のカリキュラムに則った授業を履修するため、卒業時に三田国際学園の卒業資格と、西オーストラリア州の高校卒業資格を取得できます。これにより海外大学進学がこれまで以上に身近になります。
大橋学園長:1期生が多様な進路を実現した背景には、ハイスペックな教員の存在があります。本校にはInternational Teacher(通称:IT/ネイティブスピーカー)が27名います。インターナショナルコースはもちろん、他コースも英語のレベルは相当高く、旧センター試験レベルであれば苦労はしないでしょう。理科も同様に、博士号をもっている研究型の先生を積極的に採用しています。彼らの研究者としてのマインドや取り組む姿勢に生徒たちがインスパイアされるのではないかと思ったからです。実際にその目論見は狙い通りでした。辻教諭もその一人ですが、自由闊達な校風と相まって、生徒たちは予想以上に影響を受けてくれています。このような正のピア効果を生み出す環境こそ、生徒の成長を促すための鍵になっているのではないでしょうか。
グローバルな環境を全学へ広げる準備が整い、
2022年度より「インターナショナルサイエンス」が始動
三田国際学園が始動してから7年目。国際社会に通じるための教育環境が浸透し、コロナ禍で行われた2021年度入試でも延べ2850名の出願がありました。年々受験難度も上昇していますが、特に目立つのが最難関校との併願生の増加です。また国際生入試のレベルは非常に高難度で「英検準1級レベルでも合格が難しくなっている」と大橋学園長は言います。
大橋学園長:国際生入試では英語力だけでなく、数理的思考力を問う問題も出題しています。そのため英検1級レベルでも不合格になる場合があります。また合格者の入学率も年々上昇していて、今年は約70名が入学しました。その生徒たちは現在インターナショナルクラスに所属することになっているので、インターナショナルクラスでは日常的に英語が飛び交っています。
このグローバルな環境を全校に浸透させたいと考え、2022年度より、新たに「インターナショナルサイエンスクラス」を新設することになりました。つまり中学1年次は「インターナショナルクラス」と「インターナショナルサイエンスクラス」の2クラス編成となり、全クラスに国際生を配属します。中2からは「メディカルサイエンステクノロジークラス」がスタートし、3クラス編成となります。
辻先生:この改革の狙いは、6年間にわたり醸成された本校のグローバルな環境を最大限に生かすことにあります。生徒の将来を考えると、いずれインプット、アウトプットを英語で行うことになりますので、その壁が低くなることは素晴らしいことです。新設される「インターナショナルサイエンスクラス」というクラス名は、従来の本科クラスと同様に幅広く学びつつも、どのような進路を選択しても基盤となる語学力と、サイエンスという価値観を芽生えさせる、という意図を表現しています。将来、社会科学や人文科学などを専攻する生徒にも役立つ、教養としての"サイエンス"を身につける「サイエンスリテラシー」という授業を中1で行い、中2・中3の「基礎ゼミ」につなげます。インターナショナルサイエンスクラスに入った国際生も、理科に興味を持ち、理科分野で海外大学を当たり前に選択できるクラス・コースを用意しています。
楢島教頭:「インターナショナルクラス」についてはさらなる「進化」という点に注目していただければと思います。現在のインターナショナルクラスの構成は、クラスの約3分の1は英語が堪能で多様なバックグラウンドを持つ国際生で、約3分の2は4教科入試で入ってきた生徒です。現在も非常に多様性のあるクラスですが、次年度からはその特色をより色濃くするために、国際生の割合と一般入試の生徒の割合を入れ替えます。さらにITが主体、日本人教員がサポートする形となることで、日常の朝礼や終礼がすべて英語で運営されます。つまり英語がゼロベースで入学しても、6年間かけて海外大学に合格できる力をつけることができる。それが今回の改革の大きな核となっています。
また、ゼロベースから英語力を飛躍的に伸ばすための仕掛けとして、Immersionグループでは中学生から国語を除く主要教科で段階的に英語による授業を取り入れます。教科の基礎と英語力を同時に上げられるように、日本人の先生とITが共同でカリキュラムを作成します。
他にも、国際生とのバディシステムを導入。ペアまたは3人1組で言語や文化を共有し合ったり、週に2、3回放課後に集まって、4、5人のグループにITが入るような形でアクティビティをしたり...。日常的に楽しみながら英語に慣れ親しんでいける仕掛けも考えています。私たちは日常的にそういう仕掛けを作ることを大事にしています。夏休みの英語合宿はもとより、中学での海外留学も新たに導入しますが、いろいろな仕掛けが点ではなく線でつながらなければ成長は見込めません。最終的には海外大学へ行けるくらいの英語力をつけてもらい、進路の選択肢が広がればと考えています。
入試は自分の「得意」を生かしてチャレンジを!
三田国際学園では現在、「国際生入試」「4科目入試」「英語入試」「算数入試」「MST入試」を実施しています。多様な価値観が学校生活、活動、研究を通して影響し合う環境づくりを意図しており、次年度からは従来よりもクラスの選択肢の幅が広がります。例えば、国際生は2022年度以降はインターナショナルサイエンスクラスを経てMSTC(学内選考あり)に入ることが可能になります。
楢島教頭:入学前に、受けたい教育の内容や進路などを吟味していただくとスムーズかと思います。入学後も、自分が専門的に学びたい分野や、将来なりたい人物像などをイメージできるキャリア教育を中1から行っていきますので、生徒は自分に必要な資質や能力を次第に見極められるようになっていきます。それいかんで、将来進むべき道や進路が見えてくると思います。
楢島教頭は、一期生を「共に学校を創ってきた『同志』」と表現します。彼らの成長を支えるために、専門分野を指導できるネイティブスピーカーの先生や研究者としての経験をもつ先生を増やし、日常的に異文化交流や研究活動ができる環境を整えてきました。その中で一期生が自発的に考え、行動できる人に育った実績が力となって、三田国際学園は第2ステージへ舵を切ります。
「グローバルマインドとサイエンスリテラシーをしっかり身につけることのできる、日本で唯一の学校」(大橋学園長)とはどのようなものなのか。同校ではさまざまな形で情報提供を行っていますので、ぜひ触れてみてください。