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学校特集

西武台新座中学校2021

第1期卒業生が語るそれぞれの6年間と成長

掲載日:2021年11月16日(火)

 西武台新座中学校の1期生は現在大学4年生。今年の春には2名の一期生が教育実習生として母校に帰り、西武台新座の卒業生らしさはそのままに大きく成長した姿を見せてくれました。教育実習生でなくても、卒業生たちは折に触れて母校に戻り、当時教わった先生方と今も変わらぬ交流をしているといいます。
 誰に対しても素直に自分の考えを話すことができるのが西武台新座の生徒の特徴。大人に対しても自然体で自分の考えを主張し、また相手の話に真剣に耳を傾け理解しようとする姿勢はとても好感が持てます。社会人になる直前の1期生たちは、西武台新座でどのように成長し、それが今の人生の土台としてどのように役立っているのでしょうか。3人の卒業生に母校に集まってもらい話を聞いてみました。

西武台新座_

手前向かって左から
 齋藤大地さん(帝京大学経済学部)
 永瀬夏鈴さん(明治大学総合数理学部)
 井上晃希さん(亜細亜大学都市創造学部)

奥向かって左から
 司会:仲丸裕康先生
 副校長:小林正高先生
 当時の担任:河野芳人先生

「中学時代から世界に目を向け、自分で行動することを学んだ」
中2にして自分でアメリカ留学に挑戦した井上晃希さんの場合

西武台新座_井上晃希さん
井上晃希さん

仲丸先生:お久しぶり。就職も決まったとのことでおめでとう。

井上さん:ありがとうございます。おかげさまで都心で不動産運営を通して街づくりに貢献する会社に就職が決まりました。大学では都市創造学部で建物や街づくりについて学んでいたので、関連のある仕事ができることを嬉しく思っています。

仲丸先生:晃希といえば、すごく好奇心が旺盛で、どんどん自分で行動していくイメージがあるけれど、担任当時河野先生はどのような印象を持っていましたか?

河野先生:おっしゃるとおり好奇心もチャレンジ精神もとても旺盛な生徒でした。彼がいたクラスは比較的賢いけれど無茶をしない無難なタイプの生徒が多くいたので、もっとチャレンジする雰囲気を作るために、1年かけて様々なイベントを仕掛けていました。するとクリスマスの時に生徒たちから「クリスマスのイベントを企画して後輩たちに伝統を残したい」と言ってきたのですが、その中心人物が晃希でした。自分たちで企画書を用意して小林副校長にプレゼンし、許可を得た後に実施しました。今では西武台新座の伝統行事として定着しています(現在はコロナ禍で休止中)。自分から動く姿勢、思い立ったらすぐに行動できる姿勢が彼の素晴らしさだと思います。

仲丸先生:チャレンジ精神と言えば、中学の時に自分で留学先を見つけてアメリカ留学したよね。そこで得られたものは何?

西武台新座_中2の時に自分で留学先を見つけてアメリカへ。写真はホームステイ先のホストファミリーと。
中2の時に自分で留学先を見つけてアメリカへ。写真はホームステイ先のホストファミリーと。

井上さん:中2の時ですね。公益財団法人ラボ国際交流センターの留学プログラムを自分で見つけて、アメリカに1ヶ月ホームステイしました。その団体の先輩からのおすすめもあり、一度はアメリカに行きたいと思っていたので、チャンスだと思って挑戦しました。アメリカでは自分から動くことが大切だと学びました。日本では食事も洗濯も何も言わなくてもやってもらっていたけれど、アメリカでは自分から要求しないと誰も何もしてくれません。逆に自分から動けば周りが助けてくれることも学びました。中2レベルの拙い英語でも、こちらが伝えようとすることを一生懸命理解しようとしてくれたので、ちゃんとコミュニケーションが成立しました。

仲丸先生:大学生活を通して得られたものは何ですか?

井上さん:時間の使い方を学べたと思います。一年の前期は授業を詰め込むだけ詰め込んで大変な思いをしたので、後期以降は計画的に空き時間を作って勉強時間を確保しました。留学を希望する成績優秀者を対象とする奨学金をいただくこともできました。また韓国留学を通して報道を鵜呑みにせず自分の目で確認することの大切さも知りました。ちょうど出発直前に日本が韓国をホワイト国から除外して日韓関係が急速に悪化したときでした。日本製品不買運動や反日デモが発生していると報道されていたのですが、実際に行ってみると全然反日感情を感じることはありませんでした。報道は目立つものばかり取り上げるけれど実際は氷山の一角にすぎず、自分の肌でちゃんと感じることが大切だと学びました。

仲丸先生: 西武台新座で得られたものはありますか?

井上先生:中3の時に河野先生が「バカになれ」とおっしゃった言葉を今も大切にしています。なんでもそれなりに器用にこなせてしまう部分があったのですが、プライドを捨てて「バカになって真剣にやる」「バカにされるようなことでも真摯に取り組む」ことを教わりました。じっさいそのように頑張っているときこそ手ごたえがあり、一番楽しいと感じました。就職活動も良い意味で「バカになって」できたと思っています。他の先生方も本当に優しくて、自分の考えを一生懸命理解しようとしてくれました。だから自分の個性をさらけ出せるし、今でもなんでも相談できます。

河野先生:晃希は情に厚い性格。中学の卒業式では数日後に同じメンバーと会うにも関わらず号泣していたほど友達を大切にしていました。だから周りの友達も彼の周りに集まってきます。これからもその人たらし(笑)な部分を大切にして社会で活躍してほしいと願っています。

「先生との出会いを通して数学に目覚め、先生のようになりたいと思った」
教員になる夢を実現させた永瀬夏鈴さんの場合

西武台新座_永瀬夏鈴さん
永瀬夏鈴さん

仲丸先生:数学の教員になるという夢がかなっておめでとう。もともと数学は好きだったの?

永瀬さん:もともと特に好きではありませんでした。でも西武台新座で田山先生という先生の授業がとてもわかりやすくて、問題が解けるようになるとどんどん楽しくなってきました。

仲丸先生:田山先生の授業はどんなところが良かったの?

西武台新座_卒業式を終え、中学の職員室に来てくれた生徒たち。左上が永瀬さん。4年後には教育実習生として戻ってきてくれた。
卒業式を終え、中学の職員室に来てくれた生徒たち。左上が永瀬さん。4年後には教育実習生として戻ってきてくれた。

永瀬さん:これは自分が母校に帰って田山先生の指導のもとで教育自習をやって気づいたのですが、生徒がどう考え、どのように理解するかという流れを計算したうえで授業を展開していることです。在校生の頃も田山先生の授業は上手だとクラスメートの間で話題になっていたのですが、その理由がわかり、学ぶところが沢山ありました。

河野先生:もちろん数学で光っている部分はありましたが、永瀬さんはどの科目にも一生懸命取り組んでいました。また日々の学習を記録するノートをやり取りしていた時には、文章ではなく自分オリジナルの熊を描くなど、ユニークな表現力にも溢れていました。

永瀬さん:昔は絵本作家になりたいと思っていました。(笑)その後中高で西武台新座の先生方と関わっていく中で、教師という仕事に憧れました。小学校の頃は「先生とみんな」という関わり方でしたが、少人数で先生と共有する時間が多い西武台新座では、先生と一対一の関係が自然に構築されました。そこで先生方の人柄や一生懸命取り組んでおられる姿勢を見て、私もこのようになりたいと思いました。

仲丸先生:教え子の中から教員になる人が出てくるのは本当に嬉しいことです。ついこの前まで生徒だったのが同じ土俵に立てるなんて、本当にすごく成長したなあと思います。

河野先生:永瀬さんは大学の後輩でもあるので、教育実習で戻ってくれた時は本当に嬉しかったです。西武台新座で学んだことが、永瀬さんを介して別な学校の生徒にも広がっていくことを考えるととても素晴らしいことだと思います。来年4月からは同じ立場になるので、お互い頑張っていきましょう!

仲丸先生:最後に中学受験生に向けて西武台新座の良さを伝えてあげてください。

永瀬さん:第一に先生方の親しみやすさ、第二に少人数であることが西武台新座の良さであると思います。先生方ともクラスメートとも非常に濃い人間関係が生まれ、お互いの理解も深まり大きく成長できます。卒業後も進学先はバラバラでもこうして様々な関わりを持つことができます。

「明確な目標を持ち頑張った結果、夢を実現する道が開かれた」
日本サッカー協会傘下の団体に就職を決めた齋藤大地さんの場合

仲丸先生:スポーツに関わりたいという夢を実現できましたね。

齋藤さん:はい。昔からスポーツに関わる仕事をしたいという気持ちがあり、選手やコーチとしてではなく、ビジネスを展開する側として関わりたいと思っていたのですが、運よく道が開かれました。

仲丸先生:大地が就職した団体は毎年新卒を採用しているの?

西武台新座_齋藤大地さん
齋藤大地さん

齋藤さん:いいえ。定期採用はなく、職員募集自体あまりありません。もともと大学2年の時にその団体でアルバイトする機会があり、その時には将来もこのようにスポーツに関わる仕事をしていきたいという夢を話していました。その後アメリカに留学するために中断し、帰国後にアルバイトに戻るつもりだったのですが、コロナ禍でアルバイトスタッフは職場に入れなくなり、一度関係が途切れてしまいました。3年の冬に声をかけていただいて数日間臨時スタッフとして働いたのですが、その時もそれだけで終わり、自分も普通に就職活動をしていました。しかし既に他企業に内定をいただいていた4年の7月に、「新しく枠ができるので、もし他企業の内定をお断りしてでも来たい気持ちがあるなら、ぜひ来てほしい」と連絡をいただき、夢を実現する道が開かれました。

西武台新座_中学ではサッカー部を立ち上げ、初代キャプテンとしてチームを率いていた。
中学ではサッカー部を立ち上げ、初代キャプテンとしてチームを率いていた。

河野先生:中学の頃からサッカーが好きで、一期生なのでサッカー部の立ち上げからスタートしてキャプテンを務め、一生懸命チームを率いていた姿が印象に残っています。彼のそういうひたむきな姿があったからこそ、声をかけていただいたのかもしれませんね。

仲丸先生:大地が西武台新座にいた頃は体調不良を訴えることが多く、少し寝不足気味な印象があったけれど、今は顔色も良くなりものすごく明るくなった感じだね。

斎藤さん:ありがとうございます。まだまだ途中だけど目標が明確になって、今やっていることがその目標に直結しているからかもしれません。しっかり仕事ができるよう、健康面にも気を遣うようになりました。

河野先生:やはり明確な目標があるのが良いのでしょうね。昔から一生懸命頑張っていたけれど、当時は頑張った先の具体的な目標を見つけるまでには至っていませんでした。どちらかというと頑張っている自分に気づいて欲しいという気持ちもあり、そのような中で体調不良を起こすことも多かったのかもしれません。でも彼の頑張りがこうして実を結んだことを本当に嬉しく思います。

仲丸先生:西武台新座中学時代に印象に残っている先生からの言葉はある?

斎藤さん:いっぱいありますが、今の私が仕事をさせていただく中で大切にしているのが「メモをすること」「話を聞くこと」「一生懸命何事もやること」。これは全て西武台新座で学んだことです。メモをすることは小林先生から、話を聞くことは仲丸先生から、一生懸命何事もやることは河野先生から教わりました。この3つを大切にしていたからこそ、紆余曲折はあったけれども今の就職につながったと思いますし、これからも生きていくための力であると思っています。

生徒のもともと持っている良いものを引き出し
生徒の考えを理解することが教師の役割

 3人の卒業生のお話を伺ったうえで、小林副校長に西武台新座が大切にしている教育の源流について聞いてみました。

― 今卒業生がそれぞれの視点から西武台新座でどのような学校生活を送り、どう成長したか話してくれました。違う個性がそれぞれの輝きを放ち、大きく成長したその源流にある西武台新座の教育とは何でしょうか。

小林先生:「教育」と書きますが、私たち教員は生徒たちを「育てる」ことはできません。できるのは縁あってこの学校に来てくれた一人ひとりの子を大事にすることです。生徒をどう伸ばすかということを考えるとき、その子を変えようとするのではなく、もともと持っている良い部分をどう引き出すのかということを考えなくてはなりません。一人ひとりの持ち味を大切にしながら、本人のやる気を引き出し、外圧ではなく自分の力でまっすぐ伸びる手助けをすることが大切だと考えています。

― 3人とも話を聞いていると、先生と生徒の絆の強さを感じました。

小林先生:教員と生徒の距離の近さの背景にあるのは、実は職員室における教員同士の距離の近さです。職員室では若手もベテランも管理職も同じ目線に立ち、常に生徒の話題を共有しながら、一人ひとりの生徒をどのように伸ばせるか意見交換しています。もちろん今回の3人も在校時は毎日のように話題になっていました。教員同士が自由に発言し合い学び合う雰囲気がそのまま教室に持ち込まれることで、教室においても教員と生徒の良い関係が生まれます。教員として一番大事な役割は生徒の考えを聞くことです。一方的に教えることよりも、生徒の話を聞き、彼らの考えを理解することなのです。

― こうして社会に出る直前の卒業生を見て、どのように感じていらっしゃいますか?

小林先生:実に頼もしいです。大人になると人間関係に壁を作ることが多くなりますが、西武台新座の卒業生たちはそもそも壁がほとんどありません。自分から心を開くことができるから、相手の考えを無条件に受け入れる姿勢が自然にできているのではないでしょうか。この姿勢があればどこに行っても活躍できると思います。これからもおかれた立場で自ら心を開き、相手を理解する姿勢を大切にし続けてほしいと願っています。

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