学校特集
文化学園大学杉並中学校・高等学校2024
日本とカナダの教育で飛躍的に成長
掲載日:2024年4月10日(水)
JR中央・総武線の阿佐ヶ谷駅・荻窪駅から徒歩10分に位置する文化学園大学杉並中学・高等学校は、2015年に日本で初めてカナダのブリティッシュコロンビア州と提携して「高校ダブルディプロマ(DD)コース」を創設しました。日本とカナダのカリキュラムを学び、2つの高校卒業資格を取得できるDDコースは年々人気が高まっています。努力や能力次第で中学からもカナダのカリキュラムを学べる環境が整っており、英検や大学進学などで目覚ましい成果を上げています。入試広報部長・西田真志先生に、英語初心者も大きく力を伸ばす同校の教育について伺いました。
日本とカナダの高校卒業資格が取得可能
日本の学校で学びながら、海外現地校のカリキュラムを学べる「ダブルディプロマ」は、高校3年間で日本と海外校の2校の卒業資格を取得できるプログラムです。最近は人気が高まり、いろいろな国の学校と提携する高校が増えていますが、日本で初めてカナダのブリティッシュコロンビア州と提携して高校ダブルディプロマ(DD)コースを設置したのが文化学園大学杉並(以下、文杉)です。
DDコースの生徒は文杉と同時にカナダの「Bunka Suginami Canadian International School」に在籍することになり、3年間で全ての単位を取得すると文杉とカナダ・ブリティッシュコロンビア州の高校の卒業資格を取得できる仕組みです。
「DDコースではブリティッシュコロンビア州の教育省と提携し、カナダの教員免許を持つ先生が文杉で現地と同じ授業を行っています。DDコースは人気の高まりとともに希望者が増えているため、24年度はカナダから新たに2名の教員を迎え、カナダ教員17名という充実した体制になりました」(西田先生)。
DDコースは高校のプログラムとしてスタートしましたが、カナダの教育を受ける先輩たちを間近で見て「高校からDDコースに進みたい」と希望する中学生が年々増えています。そのため中学でも英語上級者は1年生から、英語初心者も条件を満たせば2年生からカナダのカリキュラムを学べるようになっています。
高校DDコースは高1から順に10年生、11年生、12年生というグレード(学年)になるため、中1は7年生、中2は8年生、中3は9年生と称します。中学生は、各学年ともに英語のレベルや希望に合わせて図のような3つの英語クラスに分かれています。
*白い四角の中の数字は2024年度の各英語クラスの在籍人数
今年度の中1は、英語初心者のStarter7が110名、Advanced7(英検上級者)が15名、DD7(英語上級者)が33名です。DD7は理科と数学も英語による授業を行うハイレベルなコースですが、昨年度の25名より8名増えて新年度のスタートを切りました。
「3つのコースのうちDD7とAdvanced7はカナダの教育を受けられるプログラムですが、DD7は中1の時点からカナダ・ブリティッシュコロンビア州の海外校の生徒として登録されることになりました」と西田先生は語ります。中学もブリティッシュコロンビア州から海外校として認められたのは、9年の間に着実に実績を積み重ねてきた成果といえるでしょう。
英語初心者も中2からカナダの授業を志望
英語初心者の生徒も条件を満たして希望すれば、中2や中3からDD準備8や高校DDコースに進むことができます。実際、今年度の中2は、中1時にStarter7だった94名のうち60名がDD準備8に進みました。生徒同士が切磋琢磨し、「自分もカナダのプログラムを学びたい」という強い意志で学びを進めているのです。
その結果、カナダのカリキュラムを学ぶ生徒は年々増加しています。今年度は中学生3学年合計428名のうち231名がカナダのカリキュラムを学んでいます。「一定の英語上級者も入学しますが、一般的な2科4科の入試で入ってきた英語ゼロベースの生徒が、みるみる英語力を伸ばしてレベルアップしています。こんなに多くの生徒がこれほど頑張るとは思わなかったので驚いています」と西田先生は笑顔で話します。
入学時点で英検3級を取得している中堅レベルの生徒にとっても、文杉は好環境です。帰国生レベルと英語初級者の間の中間層に照準を合わせた英語教育を受け、着実に力を伸ばして高校DDコースを目指せるからです。
ワークショップや発表など能動的な学びで力を伸ばす
カナダのプログラムは高い英語力を有していることが前提なので、「英語の授業」ではなく「他の学問を英語で学ぶ」スタンスです。「たとえば中1のDD7でアイデンティティについて学ぶ授業では、まず自分の内面と外面を絵にかき、そのあとフローチャートを作りながら最終的に文章を作成していきます。クリエイティブなアウトプットが多いのは、カナダのカリキュラムの特徴でしょう」(西田先生)。日本の大学入試はペーパー主体ですが、カナダは高校時代の成績で大学が決まっていくので、「こういう考え方を養いたい」というコアコンピテンシーを軸に、教員たちがさまざまなアプローチを工夫して生徒に力をつけさせる授業を行っています。そのためグループワークや課題探求型の授業を行い、アウトプットさせることに重点を置いているのがカナダのカリキュラムの特徴であり、最大の魅力です。
高校生の発表を中学生が見学したり、ブースで行う発表を数人が聞き、ギャラリーがどんどん移動していく「ギャラリーウォーク」という発表手法を取ることもあります。1人の発表を全員で聞くより、限られた時間で多くの人の発表を聴くことができて効率的なやり方です。こうしたフレキシブルな方法も、カナダの教育ならではでしょう。
「私が印象に残っているのは高3のバイオロジーの中で腎臓について学ぶ授業でした。日本の生物の授業であれば腎臓の機能を勉強して終わりですが、カナダでは学んだことを社会課題探究に置き換えて発展的に考える時間があります。ある生徒は"腎臓は体液をろ過する場所なので、この仕組みを使って海をきれいにしよう"と考えました。海の中にあるマイクロチップなどの小さいゴミを腎臓のような仕組みでろ過すれば海水がきれいになる、と1歩踏み込んで考えたのです。日本のカリキュラムは教科ごとに独立しているので、こうした授業ができるのがカナダのカリキュラムの素晴らしいところです」(西田先生)。
初心者でもネイティブの授業が週7時間
一般的な私立中学では英語の授業のうちネイティブ教員担当が2時間程度だとすると、年間の英語授業時間は210時間で、ネイティブによる授業は70時間ほどです。しかし、文杉では英語初心者のStarter7クラスでも英語授業は週9時間で、そのうち7時間をネイティブが担当しています。中1の英語初心者でもネイティブによる授業が年245時間と、一般的な中学の3倍以上にのぼるのです。
さらにDD7では数学5時間、理科2時間を含めて週17時間がネイティブ(カナダ教員)による授業になります。年間600時間ほどの授業が、全てネイティブ主導の英語を使った授業になります。
また、中1のStarter7クラスでも、中2からDD準備8を希望する生徒は週2回、Communication English(早朝レッスン)を実施しています。本人の能力と希望に合わせて、さまざまなコースと機会が設定されているのです。
中1で半数が英検3級を取得
生徒たちの努力は英検の結果に顕著に表れています。昨年度は英語初心者として入学したStarter7の94名のうち半分以上の48名が3月時点で4級に合格しており、3級合格15名、準2級合格7名、2級合格1名と素晴らしい結果となりました。さらに中1の50%が3級、中2の59%が準2級、中3では47%が2級を取得し、準1級以上の取得者は中2終了時で12%、中3終了時で18%にも上ります(いずれも2024年3月時点)。"中学卒業時に3級、高校卒業時に2級"が一般的だと考えると、驚異的な数字と言えます。
校内をネイティブ教員が当たり前に行き交い、同じフロアでカナダの授業が行われているため、生徒たちにとって英語で話したり学ぶことはごく自然なことになっているようです。そしてレベルの高い授業を受けている生徒たちを見て「自分たちもカナダのカリキュラムを学びたい」という思いが高まり、モチベーションにつながっているのでしょう。
カナダ教員による、考えさせる時間や発展的な授業は、日本人の教員やカリキュラムにも好影響を及ぼしています。ワークショップや教科をまたがる学びを工夫し、発表の機会を増やすことで、生徒たちの学力やクリエイティブな力を伸ばしています。
新たなプログラム導入や希望制留学で選択肢が広がる
新たな取り組みとして、23年度から高校のDDコースでAP(アドバンスト・プレイスメント)を導入しています。「DDの規模が拡大し、海外大学に進学する生徒が増えたため、導入を決めました」と西田先生は話します。「難度の高い教育プログラムを受講することでアドミッション(大学入試判定)が有利になったり、受講した授業時数が海外大学で単位認定されるなどのメリットがあります。現在は高2必修のAP Pre-Calculus 11、高3選択科目ののAP Calculus 12で導入しています」。
また、これまでは単位取得の目的で1か月の留学が必修でしたが、高2の必修科目に単位が移行したため、カナダ留学が必修ではなくなりました。「今年度からは希望制にて3週間のカナダ留学に参加することができます」(西田先生)。
さまざまなコースや選択肢が広がっているものの、高校のDDコースは日本の教育課程とカナダのカリキュラムの両方を学ぶため授業数も多くなります。2校の授業をうまく振り替えあっていますが、それでも両国のカリキュラムをこなすために日本の学校の1.5倍ほどの授業を受ける必要があります。大変な部分もありますが、DDコース1~7期生198名は1人も欠けることなく全員が文杉とブリティッシュコロンビア州の高校の2校の卒業証書を手に巣立っていきました。
また、DDコースには大学入試でも大きなメリットがあります。カナダの高校の卒業資格を取得できるので、海外大学受験はもちろんのこと、早稲田大学や上智大学、ICUなどの国内大学も帰国枠、海外生枠でも受験できるのです。カナダで進路指導を担当していた教員も来日しているため、海外大学進学もスムーズです。帰国生入試で不合格だった場合でも、高い英語力を活かして学校型選抜や総合型選抜、一般入試と何度も挑戦する機会があり、大学入試のチャンスも広がります。
日本の生徒は基本的に真面目で意識が高いため、課題や発表、提出物にきちんと取り組むこともプラスに働いています。現地の公立高校の生徒と比べて成績評定が高くなるため、海外大学を受験する時も優位になるのです。
43名の7期生で33名の海外大学の合格が出ました。このように年々大きな成果が出ており(*)、後に続く生徒たちの希望や選択肢もますます広がっています。
新たなプログラム導入や留学不要で選択肢が広がる
中高6年一貫校は、高校受験がないため部活や習い事などに打ち込めますが、中だるみが出てしまう可能性もあります。「でも、わが校は"中2からDD準備コースに行きたい""高校でDDコースに入りたいから中学のうちに英検2級を取ろう""高校で特進コースに行くために偏差値いくつ以上を目指そう"など、小さな目標を刻むことで中だるみを防げます。スモールステップを一つずつ上がることで、結果的に着実に大きく力を伸ばすことができます」(西田先生)。
英語を始めとするレベルの高い授業内容や生徒たちの実績を見て、「自分には敷居が高いかも」と感じる受験生や保護者もいるでしょう。でも、西田先生は「高学年になって受験勉強を始めると、入試の範囲が終わらなかったり偏差値50ぐらいで止まったりするケースも多い。でも、まだ伸びしろのある原石のような子どもたちにこそ来てほしい」と話します。「英語初心者や、受験勉強を始めたのが遅くて基礎だけ固めている子こそ、ぜひわが校に来てほしい。持っている力を大きく伸ばして、勉強が好きになったり英語にはまってくれる姿を見ていると、本当に嬉しくなるんです」と西田先生は笑顔で話してくれました。
文杉の生徒たちの生き生きとした学校生活やカナダの授業などに少しでも興味がある方は、ぜひ学校説明会などの機会に足を運んでみてください!