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学校特集

成蹊中学・高等学校2021

「人を創る」成蹊がめざす「0 to 1」(ゼロ トゥ ワン)の発想力

掲載日:2021年11月1日(月)

 創立から100年の時を超える成蹊学園ですが、学園正門から中高門へと続く欅並木では、今も昔と変わらず四季折々の表情を楽しむことができます。小学校から大学までがワンキャンパスで学ぶ、ゆとりある学園には、創立者である中村春二先生の「知育偏重では無く、人格、学問、心身にバランスが取れた人間教育を実践したい」という思いや情熱が受け継がれ、時代に即した人創りが行われています。
「個性の尊重」「品性の陶冶(とうや)」「勤労の実践」という建学の精神に基づき、物事が複雑化、多様化するグローバル社会の中で知性や品性をバランス良く備え、社会人として責任を果たすことのできる主体性と社会性に富んだ人格育成が行われる中で、「現在のような解答のない社会において、新たなものを創造する『0 to 1』の発想を持つ人材の育成をめざしていく」と話す新校長の仙田直人先生に、今、取り組むべき成蹊らしい教育の実践について伺いました。

自分で新たなものを生み出すことができる、
『0 to 1』の発想をもつ人創りが必要な理由

成蹊_創立者の中村春二
創立者の中村春二

 成蹊学園は、中村春二先生によって大正期の自由教育運動の中、創立されました。官僚的な教師中心主義の教育ではなく、子どもの個性と多様性を尊重し、フレキシブルに、柔軟な発想をもって伸び伸びと育てるという考えが、成蹊の「人を創る」という言葉に表れています。
 2021年度より中学・高校の校長となった仙田直人先生も、小学校から高校までの12年間を成蹊学園で過ごしました。
「卒業してから半世紀近く離れていて、久しぶりに母校に帰ってきましたが、変わっていないところがたくさんあり、昔を思い出させてくれる学園の雰囲気に非常に親しみを感じました。私学の良さは先生方が変わらず、いつでも戻って来られるところだと思います。自分が育った学び舎や自然環境が変わらずに存在し、そこへ後輩である生徒たちが入っていく喜びを力に変えて、先生方とともに成蹊学園で学びたいと思っていただける学校づくりを行いたいと考えています」
 創立期の大正から令和へ時代は移り変わっても、「個性の尊重」「品性の陶冶」「勤労の実践」という建学の精神に基づいた教育を行うことに変わりはありません。その上で、目覚ましい進歩を遂げるAI(人工知能)が生活のあちこちに活かされる時代に必要な教育とは何かを考えて、仙田校長は「『0 to 1』の発想をもつ人創り」をビジョンとして掲げました。

成蹊_ワンキャンパス内で学べる環境も魅力
ワンキャンパス内で学べる環境も魅力

「将棋の世界でもプロとAIが勝負して、どちらが勝つか、というようなことをやっています。AIと良い勝負になっていますが、将棋を作る、ゲームを作る、ということはAIにはできません。それは人間が作るものだと、私は考えています。これまでにないものを生み出すことができる『0 to 1』の発想をもつ人間になれば、例えAIに仕事を凌駕されようとも、自分で仕事を創ることができます。これから入学する小学生は、そういう力をもつことが大切だと思います。そうでなければ60歳で退職したあとに『何をすればいいの?』ということになりかねません。AIは、私たちが想像する以上に急速な進歩を遂げていますから、『0 to 1』の発想を自分のものにして、それを自分で磨ける人になってほしいと思っています」

企業と連携し、「探究学習」を深めることにより、
『0 to 1』の発想力を身につける

成蹊_校内には「本物に触れる」ための仕掛けが
豊富に用意!(写真は理科館)
校内には「本物に触れる」ための仕掛けが 豊富に用意!(写真は理科館)

 では、何をすれば『0 to 1』の発想力を身につけることができるのでしょうか。「成蹊の良いところはそのまま活かしつつ、必要に応じて新たなノウハウを投入していく」と話す仙田先生。校長に就任してすぐに目をつけたのが、来年度から高校で始まる新学習指導要領の柱、「探究学習」です。成蹊では、すでに幅広い教養を身につけるリベラルアーツや、本物に触れることを重視しており、生徒一人ひとりが琴線に触れる学びを実践していることから、その土壌を活かして探究活動を推進していきます。
「生徒には『チコちゃんになって欲しい』と言っています(笑)。探究活動の基本は問いを立てることにあるからです。ご存知のようにチコちゃんは出演者に対して『なんで?』『なんでそうなるの?』と問いかけますが、問いは『なんで?』がないと立てられません。逆に言えば、『なんで?』があれば問いが立ち、探究活動に入っていけるのです」
 探究活動は、①疑問を解き明かすために自分で考える、調べる、現地に足を運ぶ。②それを一人ではなく、できれば人を巻き込んで、協働作業の中で意見を出し合いながら最適解をプロトタイプしていく。③自分たちのプランをプレゼンテーションする。①〜③のような、知的好奇心を満たす活動です。
「普段の授業でも探究活動は行っていますが、授業内にとどまらず、道徳など特別な取り組みの時間、 あるいは放課後の特別な活動など、学校生活のいろいろな場面で、生徒自ら問いを立て、もっと究めてほしいと思っています」(仙田校長)

成蹊_成蹊大学教員による講演会や模擬授業の機会も多い!
成蹊大学教員による講演会や模擬授業の機会も多い!

 仙田校長が朝礼など、生徒に直接話ができる場面でその思いを伝えていると、早速、7月末に高2の女子生徒が校長室を訪ねて来たそうです。
「ゴミ問題に取り組んでいる生徒たちですが、『ご家庭でペットボトルを捨てる時、どのように捨てていますか』と聞かれたので、『もちろんボトルを洗って、ラベルを剥がして、スーパーのリサイクルごみの集積場に持って行って捨てているよ』と答えました。すると、『学校ではどのように捨てていますか』と聞かれてドキッとしました。学校では、ボトルを洗わずに、ペットボトルを回収するボックスに入れていたからです。生徒は、その答えを待っていたかのように反応して、『その問題をぜひ解決したい』と言いました。生徒とのやりとりの中で、環境問題を考える上での新しい視点を持っていることに気づき、生徒が解決方法を突き詰めていけるよう学校として手助けしたいと思いました。そこで、商品のパッケージなどに関してSDGsに積極的に取り組んでいる企業と連携し、8月末から9月初めにかけて、複数回のオンライン会議を行いました。企業の方々から直接SDGsの活動について話を聞いたり、質問したり、話し合ったりして知識を深めた経験は、生徒にとって大変貴重なものになりました。『解決の方法が見つからない』と話していた生徒たちですが、2学期に入ってから具現化し始めています」

 こうした活動が契機となって、生徒が仲間とともに活動する場で探究活動に取り組む動きが出てきました。
「実は今日もアポ無しで高2と高1の男子生徒が訪ねてきて、考えていることを話してくれました。まだ完全ではなかったので『もう少し考えてみようか』と言いましたが、きっとまた、新しいアイデアを持って校長室を訪ねてくれるでしょう。そういう実践を積み上げていき、何か一つの形にできるといいなと考えています」

成蹊の魅力①

伝統校ならではのネットワーク
学外との連携により"大海"で勝負する人創りを

成蹊_協力企業とのコラボで探究する力を深める
協力企業とのコラボで探究する力を深める

 社会との連携がスムーズに行える背景には、伝統校ならではのネットワークがあります。進路指導部と連携して、建築関係に興味を持っている生徒がいれば、企業の協力を得て、東京・常盤橋に開かれる新しい街、TOKYO TORCHを見学。「成蹊の卒業生がその責任者で、建築だけでなく、都市開発の魅力についても学ぶことができた」と言います。
「企業にも本校と連携するメリットがあります。例えば本校には1学年約320人の生徒が在籍しています。アンケートを行えば100、200の回答がすぐに集まります。社会貢献をしようとしている企業にとって、中高生の視点を知ることができるのは大きいと思います。私は長く公立高校にかかわってきましたが、そういう連携がしやすいのは私学の魅力だと思います」と仙田校長。
 成蹊には生徒の知的好奇心を刺激する自由参加の講座が数多くあります。製薬会社のロゴを作る講座など協力企業との共同ワークで主体的な学びや表現する力、協働する力を高めていますが、学内で完結している講座が多いため、これからはさらに広げて、学びの成果を学外でプレゼンテーションする機会を求めていきます。
「井の中にいるのではなく、大海で勝負する生徒を育てていきたいと思っています。エストニアで起業した卒業生が開くアントレプレナーシップを養成する「スタートアップ講座」、まさに『0 to 1』を体現するこの取組には、興味をもった約20名の中高生が自ら手をあげて参加しています。この講座は、自分が立てた問いに対して、どのように自分なりの解決策を生んで行動していくか、ということを考えます。年間10回の予定ですが、10回目が終わった後にプレゼンテーションする機会を設けて、外部のコンテストにつなげていきたいと考えています。そこまで取り組むと、社会とのつながりを実感し、参加した生徒の自信になると思うからです。内容次第では企業から声がかかるかもしれません。それがエビデンスになって、総合選抜型の大学入試で志望校を突破できる可能性もあります。先述のゴミ問題も自分たちの課題として受けとめるようになりました。その活動の成果から新たな進路を拓くことなどにつながることを期待しています」(仙田校長)

成蹊の魅力②

ワンキャンパスで学ぶ環境
大学だけでなく小学校との連携に向けて走り出した

成蹊_成蹊大学のゼミが体験できるのもワンキャンパスならでは!
成蹊大学のゼミが体験できるのもワンキャンパスならでは!

 成蹊は小学校から大学までがワンキャンパスで学んでいます。その環境を活かして、すでに中3が大学と連携してゼミ活動に取り組む「中3×大学ゼミ体験」(昨年度は中止)が定着しています。
「各分野の最先端の学問に触れる大学の学びを中学生のうちに体験できる機会というのは、ワンキャンパスならではだと思います」と仙田先生。
 他にも大学教員による講演会や模擬授業など、進路指導の一貫として大学との連携を行ってきましたが、昨年度まで中高の校長を務めていた跡部清先生が小学校の校長に就任し、小学校との連携も進みつつあります。
「跡部前校長がこれまでに築いてきたものを受けて、活動の成果を学外へ出していきたいという話をしたことがきっかけでした。『そうした中高生の姿を小学生に見せたい』という話も、すでに検討しています。中高での良い実践を小学生に見せることができる、これがワンキャンパスの成蹊の良さだと思います」(仙田校長)

成蹊_夏の学校
夏の学校

 自然観察や仲間づくりを行う「夏の学校」という中学生(1・2年)の移動教室にも例年高校生が参加します。そうした縦のつながりが、部活動ではもちろんのこと、行事などでも築けていることがワンキャンパスの魅力です。
「小学校の夏の学校(臨海学校)には大学生や高校生が手伝いに行きます。これは私が小学校に通っていた頃からある伝統です。『本番は絶対に泳げるから』と言って励ましてくれた中高のお兄さん、お姉さんたちの言葉が、小学生の私を支えてくれたと思っています。部活動などでも活動を継続している部員が多く、それも、つながりを大切にしている成果だと思っています」(仙田校長)

成蹊の魅力③

国際理解教育の充実
目的に応じて選べる多彩なプログラムが魅力

成蹊_セントポールズ校との交流
セントポールズ校との交流

 成蹊の国際理解教育の特徴は4つあります。①戦前から続く伝統と豊富なプログラム群 ②国境を超えた人々との交流から学ぶ「ほんもの」の国際理解教育 ③進路・志望を限定することなく、深い国際経験をつむことが可能 ④海外で学ぶための手厚い学習支援環境 です。(詳細は学校HPをご覧ください)
 アメリカのセントポールズ校とは70年以上、オーストラリアのカウラ高校とは50年以上も前から交換留学制度を実施。成蹊独自の長期・短期プログラムが充実しています。

成蹊_今年はオンラインで行われた留学報告会
今年はオンラインで行われた留学報告会

「海外交流はまだまだ例年通りにはできませんが、保護者や生徒の希望により、この8月、9月に5名の生徒がセントポールズ校、チョート・ローズマリー・ホール校(共にアメリカ)を含む海外の学校に留学しました。しかし、海外に行かずとも、国際学級入試により異なる文化をもつ帰国生や海外からの留学生を受け入れていれているため、学校生活の中でも異文化を知ることができ、通学型の校内留学『エンパワーメント・プログラム』なども実施しています。在学していた生徒が保護者の事情で海外へ渡ることになり、退学しても、一定期間に帰国した場合に再受け入れをする制度もあります。今秋も4名の生徒が戻ってきました。そうした多様性が、本校の国際理解教育の根本だと思っています」

 成蹊には、100年以上の年月をかけて醸成してきた土壌があります。それは本物に触れる授業や講座、行事などを通して、幅広い教養を身につけ、刺激を受けて成長できる養分で満ちています。国際理解教育にも力を入れていて、帰国生の受け入れには80年以上の歴史があります。
 個性と多様性を尊重する校風のもと、時間をかけて築いてきた本物の教育環境が、同校の価値であり、新たなものを創造する『0 to 1』の発想を持つ人材の育成を目標に、有形無形のネットワークを活用した探究活動がどのように花開くのか楽しみです。

<<仙田直人校長から受験生の皆さんへメッセージ>>

成蹊_校長の仙田直人先生
校長の仙田直人先生

 コロナウイルスの感染状況がいまだに続く中ですが、本校に一度足を運んでいただければ有難いと思っています。本校の校風が合う人もいれば合わない人もいると思います。このような状況下ですが説明会はオンラインで行っていても、できるかぎりキャンパスツアーを実施いたします。本校に足を運んでいただき、実際に見たり感じたりしていただいた上で、6年間通える学校かどうかを判断していただきたいのです。受験する学校に実際に行ってみた中で、お子様自身がここで学んでみたいと本校を選んでいただければ嬉しい限りです。成蹊は、充実した環境の中で、幅広く教養を学び、自分が「なぜ?」と感じる瞬間も多くあり、そのうえ琴線に触れる機会にきっと出会えると思います。成蹊は自分が探していたものに出会え、それを一生懸命やることができる学校です。皆さんとお会いできることを楽しみにしています。

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