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学校特集

東京成徳大学中学・高等学校2020

個を重んじる教育と全員留学で自律的な学びを育む
中3時の「全員留学」体験や最新鋭のICT教育を軸に、一人ひとりを多角的に育てる

掲載日:2020年7月6日(月)

2025年に創立100周年を迎える東京成徳大学中学・高等学校。「創造性と自律」を教育目標とし、基礎学力の定着はもちろん、教科を横断したカリキュラムやプレゼンを重視した授業を実践しています。オリジナリティのある教育体系を組めるのは、完全中高一貫校ならではの強みです。独創性が光る東京成徳の教育について、教務部長を担当する数学科の廣重 求先生、国際交流部長を担当する英語科の茂原輝光先生、生徒代表として高校1年生の大橋 紡さんにお話を伺いました。

10代の多感な6年間をきめ細やかに見つめる

東京成徳大学_教務部長の廣重 求先生
教務部長の廣重 求先生

東京成徳大学中学・高等学校では、生徒たちが世界で活躍できることを目指したカリキュラムを展開。すべての教育が密接に連動し合い、「学力」「グローバル力」「人間力」を育んでいます。
中高一貫の強みを生かし、中学は面倒見良く基礎力の構築を目標に、各授業での学習習慣の確立や情報リテラシーなどを学びます。基礎をしっかりと定着させることで応用力を身につけています。
中3の3学期に実施されるニュージーランドでの「全員留学」をはさみ、高校からは個々の意向や特性に沿って進路や将来に向けて伸ばす指導を行っています。

さらに今年度から高1で週2時間のゼミ形式の授業が開始。自然関連、プログラミング、小説執筆、SDGsについてなど多彩な6テーマが揃います。実地調査や実技を伴ったもので、さらにはゼミから生まれた成果物をコンテストなどで学外に発表し、自分の学びを社会と着実に結びつける経験を積み重ねます。

東京成徳大学_お昼休みのひとコマ。生徒たちの明るい笑顔と笑い声が校内に広がります。
お昼休みのひとコマ。生徒たちの明るい笑顔と笑い声が校内に広がります。

「今年度から実施される大学入試改革や学習指導要領の改訂により、数年前から授業体系は大きく変化しました。社会構造の変換点を迎えている現在、生徒たちの卒業後の社会が明確に見えなくても、私たちは真剣に教育の根幹を話し合い、考えて、カリキュラムをブラッシュアップしながら反映させています。生徒たちには臆さずに自分のすべきことを見つけ、目標に向かって努力し、グローバルに活躍できる『人間力』を習得してほしいのです」(廣重先生)

いかなる状況でも学びを止めない! 東京成徳式オンライン学習

東京成徳大学_HRはオンラインで実施。クラスメイトと顔を合わせてホッとする時間です。
HRはオンラインで実施。クラスメイトと顔を合わせてホッとする時間です。

2020年の初頭から世界中に広がった新型コロナウイルス感染症。東京成徳も3月初旬から臨時休校となり、生徒にも大きな影響を与えましたが、4月13日からオンラインにより、学校生活を再開しました。

同校は、Apple社の最新鋭のテクノロジーを教育に活用していると公式に認められた、都内でも数少ない「Apple Distinguished School」認定校です。生徒たちはiPadを一人1台所有、先生方もICT機器を利用した指導に精通。通常授業時から、アプリを利用した課題の作成や提出などに慣れていたため、生徒たちはオンラインでの学習に大きな抵抗はなかったようです。

休校中は各教科からの課題学習の他、毎日〜週2回のHR、月に一度の学年集会を催しました。家庭でも無理なく学習を続けられる生活リズム作りを心がけ、「生徒の家庭学習において、まずは双方向型ではなく課題型を意識しました」と廣重先生。

先生方も生徒たちもiPadの扱いに長けているため、オンライン上でやりとりしながら授業を行うこともできます。しかし、独立した自室があるか、両親の勤務状況は、幼い弟妹がいるか、何時間も静かに授業を聞き続けられる環境ではない状況もある、などの可能性を考慮しての決断です。

東京成徳大学_国際交流部長の茂原輝光先生
国際交流部長の茂原輝光先生

「生徒たちがオンライン学習によって、何かを学んだ、つかんだという実感を得られるためには、授業よりも課題型にすべきだと考え、一日に2〜3教科分の課題を出して、〆切時刻は設定するけれど取り組む時間や自主学習は生徒に任せる、というスタイルにしました」(茂原先生)

その課題も、4月中はオンラインのスタイルに慣れてもらうこと、生徒が学習から離れないことを目的とし、5月からは生徒たちの様子を見ながら新単元にも進みました。

「オンライン学習は急遽始まった取り組みです。教師間でオンライン会議を繰り返し、他校との情報収集に努めて練りに練ったため、かなりの手応えを感じました。一人ひとりの生徒とのやりとりが密にできますし、記録もしっかり残せます。日頃は引っ込み思案な生徒も臆さず発言できるという利点もありました」(廣重先生)

廣重先生の担当する数学科では、例えば出題方法を4コマ漫画形式にするなど、数学が苦手な生徒でも取り組みやすくなるよう心がけたそうです。なかでも同校らしい特長が見えたのが「コロナと数学」というレポートです。

東京成徳大学_生徒たちの様々な視点が詰まった興味深いレポート集。他学年でも共有された力作揃いです。
生徒たちの様々な視点が詰まった興味深いレポート集。他学年でも共有された力作揃いです。

「課題内容を具体的に指定せずに、3種類ほどのグラフの見方を解説し、それぞれの考えや意見を送るよう指示しました。グラフの在り方そのものについて考察する者、新型コロナウイルス関連のグラフについて論じる者、情報を集めて比較し、手書きでデータをまとめてグラフを作成する者、メディアリテラシーを論じる者......。着眼点も表現方法も多彩でした」と廣重先生。

課題への意見を共有することにより、生徒同士も刺激を受け、家庭においても学習への意欲を深めました。このままオンライン学習を続けても生徒たちの学力は落ちないという確信に至るなか、6月1日に学校を再開。6月8日からは教室での授業を開始しました。

学校と生徒の信頼関係が実り豊かな学校生活をつくる

東京成徳大学_中1から水泳部でも活動する大橋 紡さん。休校期間中にはICTを活用して国内外の友だちと交流を深めました。
中1から水泳部でも活動する大橋 紡さん。休校期間中にはICTを活用して国内外の友だちと交流を深めました。

同じ教育を受けるにしても、生徒により受け取り方も異なるものです。両先生の話の随所には、「個々を見て」「一人ひとりを受け止めて」といった言葉が頻出します。

各生徒に様々な刺激となる学びを与え、点と点がつながって線になるように、いつかその子の礎になればというのが、東京成徳の先生方の思いです。
「適切な情報を取得でき、その上で自分が得た情報の意味を考え、それを正しいと認めたり批判したりして判断し、その上で行動に移せる。これが私たちの理想とする生徒像です」(廣重先生)

現在、高校1年の大橋 紡さんは同校の教育のもと、自身の力を遺憾なく発揮している一人。入学時から成績優秀者として奨学金を受け、学内外での活動も盛んに行っています。中3時の生徒会長選挙の際には、以下の3つの公約を掲げて当選しました。

1.授業中の水分摂取許可
2.校内自動販売機の拡充
3.女子制服におけるスラックスの導入

それから約1年、彼はこの公約をすべて実現しています。

東京成徳大学_早速導入された、パンの自販機。育ち盛りの生徒たちの活動を支えます。
早速導入された、パンの自販機。育ち盛りの生徒たちの活動を支えます。

自動販売機は飲料だけではなく、食べられる物があると学食の混雑時や部活の前に栄養補給ができますし、女子のスラックスは「冬は寒い」という生徒たちの声を受けて挙げたもの。
女子用スラックスは、今年度の秋冬には導入予定です。防寒対策だけではなく、LGBTQといった性的マイノリティにも対応できます。

「授業中の水分摂取については、iPadで生徒間アンケートを採って要望人数や意見をまとめ、熱中症の予防やウイルス感染防止の利点が見られるという科学的根拠を提示しました。先生方へ意見とデータをきちんと示したら、僕たちの要望が学校を変えていくことができるのです」と大橋さん。

こうした日々は生徒たちの学校生活への愛着を深め、先生方との信頼関係を強固にします。

異文化の中での円滑なコミュニケーションを体得する「全員留学」

東京成徳大学_生徒一人ひとりが大きく成長する「全員留学」。帰国後の学校生活は、より積極性が高まるのだそう。
生徒一人ひとりが大きく成長する「全員留学」。帰国後の学校生活は、より積極性が高まるのだそう。

東京成徳の教育の柱の一つが、中3時にニュージーランド(以下NZ)で実施される「全員留学」です。
同校では、17年前から1月上旬〜4月上旬のまるまる1学期間、希望者によるNZ学期留学を行っており、毎年3〜4割程度の生徒が参加。その成果を鑑みて、2017年度の入学生から全員必修となりました。さらに今年度の中1生からは、NZ留学の期間を3ヵ月間か1ヵ月間とするかの選択が可能になりました。

「理想としては、3ヵ月間のほうが多くの経験ができるとは思いますが、たとえ1ヵ月であっても本人が手応えをつかめるプログラムとなっています」(茂原先生)

オークランド、またはウェリントンの家庭にホームステイしながら現地校に通うNZ留学。同校では、この機会を単なる英会話学習だけの体験に終わらせないように、現地での生活に徹底的にこだわります。

・現地校1校につき、東京成徳の生徒は2〜3人まで、1クラスに1人限定
・現地で起こったことは、現地の常識に照らし合わせて、現地で解決

東京成徳大学_15歳という多感な時期に留学経験ができるのも、中高一貫校としてのメリットです。
15歳という多感な時期に留学経験ができるのも、中高一貫校としてのメリットです。

英語を使わざるを得ない状況下で、かつ、日本とは異なり自分の気持ちを察して理解してくれる人はいません。自分の希望をはっきり伝えるように働きかけなければ、何事も動かないという環境に身を置きます。

もちろん、生徒たちの通う現地校は、長年東京成徳の生徒を受け入れている理解のある学校であり、現地の生活を相談できるNZ在住の日本人スタッフがいたりとバックアップ体制も万全です。

しかし、幼い頃から自由な授業スタイルで自主的に学んできた外国の学生たちに、同校の生徒たちはカルチャーショックを受けるそうです。

東京成徳大学_例年5月に実施される体育祭は、生徒の自主性が生きる行事。今年度は秋に実施される予定です。
例年5月に実施される体育祭は、生徒の自主性が生きる行事。今年度は秋に実施される予定です。

「NZの学生たちは将来何になりたいか、そのために何を学ぶかを徹底的に考えながら学校生活を送ります。また、現地の授業は正解を問われるのではなく、自分はどう思うのか、なぜその考えに至ったのかを何度も聞かれます。毎年、最初は戸惑う生徒が多いようです」と茂原先生は語ります。

また、NZと日本とでは、生徒たちに対する心構えも大きく異なります。
「日本の教育は主に、足りないところを見つけて、それを上手にフォローするもの。しかし、NZでは個人のプラスである点を見つけ、そこを伸ばすことにフォーカスしてくれます。生徒たちにも同様に接してくれるため、彼らは『自分が認められた』と自己肯定感の高まった状態で帰国してきます」(茂原先生)

トラブルを乗り越えられる精神力をも培うカリキュラム

日本と海外では、言語だけではなく学習への姿勢も何もかも違う環境であるということを、生徒たちは留学初期に身をもって実感します。それを越えてコミュニケーションを取り、自分なりの成果をしっかりとつかんでこられるよう、入学直後から2年半かけて入念に準備します。

東京成徳大学_4人いるネイティブの先生は全員正規教員。学校生活全般で触れ合い、「使える英語力」を培います。
4人いるネイティブの先生は全員正規教員。学校生活全般で触れ合い、「使える英語力」を培います。

・週8時間の英語授業、そのうち3時間はオールイングリッシュ
・毎学期各1回行われる、英語漬けのイングリッシュキャンプで鍛える
・英語科以外の全教科でもグループディスカッションやプレゼンテーションを実施

などがその代表例です。

東京成徳が17年間留学生を送り続けて得てきたノウハウが端々に生かされています。このような授業を経て送り出された、現高1生たちは、「以前の生徒とまったく違う!」と長年東京成徳生を受け入れてきた現地校の先生方に驚かれたそうです。

「数学のテーマを英語でプレゼンするなど、私たちは全教科上げて、生徒たちの留学期間が充実したものになるようにカリキュラムを組んでいます。留学後には『やりきった』『できた』と自分の成長を実感する生徒がほとんどです」(廣重先生)

東京成徳大学_英語をはじめ、各教科でiPadを使用。最新鋭のICT技術をツールとして活用する力を育んでいます。
英語をはじめ、各教科でiPadを使用。最新鋭のICT技術をツールとして活用する力を育んでいます。

2019年度の全員留学ではハプニングがありました。留学期間中に起こった新型コロナウイルスの流行。NZでも例外ではなく、国境封鎖により生徒たちの帰国が2週間早まることとなったのです。

茂原先生は「本来は、生徒の帰国引率のために、教員が渡航するはずでしたが、入国後2週間の自主隔離を要請されることにより、仮に渡航しても生徒と一緒に帰国することができなくなってしまいました。そのため、日本の教員と現地スタッフでタッグを組み、オンラインで生徒たちに指示を出しながら、生徒たちだけでの出国をサポートしていきました」と教えてくれました。

先に紹介した大橋さんは、生徒たちのリーダーとして、オークランド組約60人をまとめながら帰国しました。

「だんだん緊迫した状況になってきたとは感じましたが、先生方から的確な指示や情報提供がありました。皆をまとめるときには協力してくれそうな人にお願いをするなど、それほど混乱せず準備を整えて帰国できたと思います」(大橋さん)

「留学の切り上げは残念でしたが、どんな状況にあっても情報を取得し、その正誤を判断できる、協働しながら行動できることが証明できました。2年半の準備期間での頑張りが身についていたと、生徒たちの自信にもつながったのではないかと思います」(茂原先生)

100年近い歴史の中、OB、OGを惹きつけ続ける

東京成徳大学_実験を主体として理科に関心を持つ生徒を育てる「TSP(Tokyo seitoku Science Program)」を行っています。
実験を主体として理科に関心を持つ生徒を育てる「TSP(Tokyo seitoku Science Program)」を行っています。

東京成徳大学中学校・高等学校は現在95周年。親子2代にわたり、または兄弟姉妹と共に東京成徳に通う生徒も多数在籍、PTA活動も和やかな雰囲気で毎年行われています。また、教師として戻ってくる卒業生もおり、在学中に早くも「東京成徳で先生になりたい」という生徒もいます。先に登場した大橋さんもその一人です。

入試前の学校見学時から、充実した教育環境と明るく清潔感のある校舎に惹かれていたと言う大橋さん。入学前、将来は宇宙関連事業に従事したいと考えていたそうですが、中1の夏には同校の教師になりたいという夢も加わったそうです。

「僕たち生徒に、先生方はいろいろな可能性を示してくれます。それに、先生方を見ていると、先生同士の交流も楽しそうで......。今は大学卒業後すぐに教師になるか、他業種を経てから加わるか迷っている段階です」と大橋さんが語ってくれました。

東京成徳独自の教育プログラムを経て、なぜ学ぶのかという目的意識と、自分で課題を探せる探究心が育つ教育を受け、それが自然に身につけられること。生徒たちの意向を受け入れサポートする体制がハード面、ソフト面と共に整っていることが同校の魅力です。
その環境で切磋琢磨しながら学ぶことにより、創造力とチャレンジ精神を持ち、世界中のどんな場所でも、どのような状況に身を置かれても、自ら学ぶことを見つけ、推進できる力を持つ人物を育む。そのようなビジョンがまざまざと見えるのが、東京成徳大学中学・高等学校の教育なのです。

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