学校特集
多摩大学目黒中学校・高等学校2019
掲載日:2019年9月11日(水)
「先の見えない時代。40歳になった時に社会の状況がどのようになっていたとしても自分の力で人生を切り開ける人になって欲しい。そのために、学び続けること、成長し続けることを楽しむことができる人を育てたいのです。」
おおらかな校風と高いレベルの文武両道で知られる多摩大学目黒の広報部長を務める井上卓三先生はこのように語ります。
多摩大学との高大連携を軸にした独自の校外アクティブラーニング活動や、6年間で最大5ヶ国を訪問できる国際性の高さでも注目を集めている同校。校内・校外、また国際教育の場面で多種多様な人々と関わり、その経験を通して多様性を受け入れるとともに、自分自身への理解も深め、将来のライフワークとして自分が何をしていきたいのか考えることができるのが多摩大学目黒の最大の特色です。
早速井上先生に、校内、校外、国際教育のそれぞれでどのような経験をし、それが生徒たちの成長にどのように結びつくのか、詳しく伺ってみました。
【校内での学び】
先輩と後輩の関係も非常にフレンドリーな多摩大学目黒。部活動や様々な学校行事では学年をまたいだ交流する機会が多く、自分が中1の時の高3、自分が高3の時の中1まで、上下11学年分の生徒と交流します。自分の上下11学年となると、幼少期のバックグラウンドも異なってきます。また中1の立場で交流する高3と、高3の立場で交流する中1とでは、自分に与えられた役割も変わってきます。また高校から入学してくる生徒がいることも大きなメリット。高校受験というバックグラウンドを持つ人たちとも共に学び、学校生活を過ごします。高校からの入学生と接することで、同年代でありながら異なる経験をしてきた人たちと過ごすことができます。
「同じ学校の生徒同士であっても、多くの人と交流してみると、様々な違いがあることに気づくことができます。人はそれぞれ違う個性や得意を持っていて、それぞれ尊重されるべきものだと気づくこと。そして自分も多様性の中のかけがえのない一人であることを理解して肯定的に受け止めることが、生徒一人ひとりがこれからの自分の進路や生き方を考える土台として重要なのです。(井上先生)」
もちろん生徒同士の交流だけではありません。校内の学びの中心である授業は、しっかり理解できていれば予備校に通わなくても難関大学に現役合格できるほどの質が高いもの。前半は基礎基本を固め、後半は豊富な選択科目から一人ひとりの入試に直結した科目を集中的に学習することで、妥協のない進学を実現しています。また文武両道を実現するためのサポート体制も万全。毎日の勉強を全て学校内で完結できる学習支援システムに加えて、Webテストの配信など、ICTを積極的に導入して日々の授業の定着度合いを上げる工夫をしています。時間を効率的に使えるため、部活に忙しい生徒も安心です。
教科の枠にとらわれない
AL基礎力の習得
教科ごとに学ぶ知識を土台として生かしながら、教科の枠にとらわれないAL活動を積極的に展開します。ICT機器を活用しながら、相手の話を正しく理解する力や、情報収集力、伝える力を伸ばすとともに、自ら疑問を持ち主体的に学ぶ力を伸ばします。
興味がわく!もっと知りたい!
自然に学力が伸びる授業
一人ひとりの学習に対する興味と、「知りたい!」という意欲を引き出すために、経験豊かな教師が工夫に工夫を重ねた授業を展開。生徒たちはいつの間にか学びに夢中になり、自然に学力が伸びていきます。
1人1台iPadを活用
考える力・伝える力を伸ばす!
生徒と教員、また生徒同士をつなぐコミュニケーションツールとして1人1台iPadを活用。教員は学習面の到達度や指導経過を随時確認しながら一人ひとりに最善の指導ができます。また調べたり考えたりした内容をiPadでまとめながら考える力や伝える力を伸ばします。
文武両道を実現する
学習支援システム
毎日の勉強を全て学校内で完結させる学習支援システムに加えて、「Webテストの配信」や「連絡ツール」などICTを積極的に導入して日々の授業の定着度合を上げる工夫をしています。時間を効率的に使えるため、部活に忙しい生徒も文武両道を実現できます。
【学外での学び】
自分が何に向いているか、何をしたいかしっかり自覚する
実業界とのつながりが強く実学志向の強い多摩大学との連携を軸にした校外での学びは、他校にはない非常にユニークなものです。国際交流、地域振興など様々な社会活動の最前線を体験し、そこで出会う人々と協力しながら問題解決を図り、プロジェクトを進行していきます。
「多摩大学との連携を通して様々なプロジェクトに参加することには大きな意味があります。生徒たちは事前に多摩大学のゼミなどに参加して、事前に十分に知識を得てから現場に臨むことができます。そのため、社会活動の最前線でただ指示された通りに動くのではなく、きちんとした問題解決意識をもって働くことができるのです。(井上先生)」
現場では、当然それを生業とする社会人の方々と共に働くこととなります。異なる世代、異なる学歴、異なる職業、学校内の人間関係よりもはるかに多様な方々と真剣に関わり合うことは、生徒の意識向上に非常に良い効果をもたらします。
「何かに一生懸命に取り組み始めると、『気付き』の感性が研ぎ澄まされてきます。すると、どのような仕事でも適当にやっていて成り立つようなものは何一つなく、誰もがその置かれた立場において真剣に仕事に取り組んでいることが理解できるようになります。進路選択や職業選択においてこの気づきは極めて重要です。他人の価値観に踊らされるのではなく、自分が何に向いているのか、何をしたいのかをしっかり自覚することや、それぞれの働きの場においてプロ意識を持って、常に学び続け、成長し続けることこそ、何よりも尊いことだからです。(井上先生)」
起業体験Study Group
ビジネスプランを自分たちで作り上げる
日本政策金融公庫からの起業セミナーに始まり、企業を訪問したり、新商品(昨年度例:南スーダンチャリティハンドクリーム、サイダー水素アメ)を考えたりして、ビジネスプランを作ることを体験します。
アジアダイナミズムStudy Group
国際関係と経営経済の最前線に触れる
韓国の済州島で行われる国際経済フォーラムに参加します。朝鮮半島をめぐる国際情勢は目を離せない局面であり、国際関係と経営経済の最前線の議論に触れることができます。
プログラミングStudy Group
ゲーム作りを通して基礎から学ぶ
東京ゲームショー主催のプログラミング大会出場を目標に、unityなどのソフトを使い、実際にゲーム作りをしていくことを通してプログラミングを基礎から学んでいきます。またVRなどの最先端の技術にも触れることができます。
投資戦略Study Group
数学の知識を用いて分析を行う
「日経STOCKリーグ」という株式投資学習プログラムに取りくみます。チームで議論して自分たちなりの投資テーマを決め、レポートを完成させます。金融の仕組みや景気について学べるほか、数学の知識を用いて企業の業績・株価の推移などを分析します。
【海外での学び】
自分への理解を深める
多摩大学目黒の学びの舞台は国内にはとどまりません。6年間で最大5ヶ国を訪問し、英語圏でも異なる文化を体験することができます。希望すれば中1からイギリスに2週間の語学研修に行くことができ、中3のオーストラリア修学旅行では一人ひとり別の家庭にホームステイしながら、約2週間現地の学校で語学研修を行います。経験豊富な2名のネイティブ教員による3年間の英会話授業の集大成として、日本語が一切通用しない中で過ごす2週間。最初は苦労することもありますが、すぐに適応して自分の考えを英語で伝えられるまでに成長します。
高校課程では、アメリカ・カナダ・ニュージーランドの提携校との間に卒業年次を遅らせることなく1年間の長期留学ができる制度を用意。ホームステイしながら現地の留学提携校に通い、現地の生徒と同じプログラムで学びます。またニュージーランドの提携校とは短期交換留学制度もあり、ニュージーランドの高校生を多摩大学目黒に迎えて、共に学ぶという経験もできます。
「学びの扉を世界に開いているのは、英語を習得することだけが目的ではありません。それ以上に、言葉も文化も異なる多くの人々と交流することを通して、多様性を理解するとともに自分への理解を深め、これからの人生の土台となるアイデンティティーを確立させることが大切なのです。(井上先生)」
【明日の自分が、今日より成長するために】
40歳で自分の力で人生を切り開ける人間力を育てる
校内では同級生や上下11学年分の世代、また高校から入ってくる生徒と交流する中で、同じ学校に所属している生徒同士でも様々な個性があることを知ります。校外での学びでは異なる世代、異なる学歴、異なる職業という様々な立場の人々と交流して多様性の幅が広がるとともに、真剣に仕事に取り組む意識が芽生えます。国際教育では交流の幅が世界にまで広がります。
性格や志向、得意分野が異なる多種多様な人々と交流することを通して、自分自身がどのような志向を持っているのか、またどのような適性があるのかを客観的に理解できるようになり、他の誰でもない自分自身ならではの目標を定めることができるようになります。そしてその目標に向かって学び続けることを楽しみ、日々成長し続けることができる人材を育てることが、多摩大学目黒の教育の真髄なのです。
「多種多様な人々と出会い、交流し、理解し合う経験を通して、世の中には多種多様な文化や考え方があり、それぞれが尊重されるべきものであること、自分自身もその中の1人として大切な存在であることを自覚してもらいたいのです。そのうえで、自分がどのように社会に貢献できるかということを常に考え、目標を持って常に学び続けられる人を育てていきます。(井上先生)」
このような姿勢を身につけることは、変化が激しく先の見えない時代だからこそ、何よりも重要だと井上先生は結びました。
「中高や大学で学ぶ知識そのものはすぐに風化してしまうかもしれません。しかし、常に目標を持ち、学ぶことを楽しみながら日々成長できる人であれば、社会がどのように変化しようと柔軟に対応し、常に必要とされる人材であり続けられます。多摩大学目黒では難関大学現役合格に向けた学習面での対策は十分にしつつ、40歳になった時に自分の力で人生を切り開くことができる人間力を育てます。(井上先生)」