学校特集
目黒日本大学中学校・高等学校2019
掲載日:2019年7月6日(土)
日出中学校・高等学校が脈々と息づく115年の歴史のもと、今年4月から日本大学の準付属校「目黒日本大学中学校・高等学校」へと生まれ変わり、新たなステージを迎えました。教育理念「しなやかな強さを持った 自立できる人間を育てる」はそのままに、「進路実現力」「問題解決力」「相互理解力」を育むため、強みである「英語教育」と、次代を生き抜く力を培う「探究学習」を中軸に据えた教育を展開しています。中学部長の片岡康二先生と広報部長の天野正貴先生にお話を伺いました。
高校「国際コース」の内容を中1から実践。
"生きた英語"を身につけるためのプログラムが充実
英語教育に力を入れている同校では、高校で展開してきた「国際コース」でのさまざまなノウハウを中学に落とし込み、中1から実践しはじめました。中1の段階から授業内外で「話す」機会を数多く設け、"生きた英語"を身につけています。
「生徒の英語力を見極め、準備を進めて6月からスタートします。本校にはネイティブの教員が5人在籍しているので英会話の授業にも力を入れていますが、1対39だとどうしても発言できる量は限られてしまいます。早い段階から発声やヒアリングの機会を数多くつくりたいと、授業でのオンライン英会話導入に踏み切りました」(片岡先生)
「継続することで耳が慣れていきますし、また、他教科を英語で学ぶことで語彙が増え、視野も広がります」と、片岡先生。最初はゼスチャーを交えながら理解に努めますが、自然と英語を聞き取れるようになり、正しい発音を覚えていきます。
「授業だけでなく、学校生活の中で日常的に英語に触れる機会を持つことで、英語に親しみ、コミュニケーションの大切さを感じてもらいたいと思っています」(片岡先生)
この取り組みによって、教室には朝から活気があふれ、その後の授業に臨む姿勢にも変化が表れるという効果も出ています。
視野を広げる
充実した海外語学研修プログラム
全員参加のオーストラリアへの短期留学
これまで日本で培ってきた英語力を実際に使ってみる最大の機会が、オーストラリアへの短期留学です。期間は1カ月間、一人ずつ別々の家庭にホームステイをします。
「英語が伝わっても伝わらなかったとしても、得られる結果は大きいと思います。伝われば小さな成功体験として次のステップにつながり、伝わらなければ今後の英語の授業への取り組みが熱心になるでしょう。勉強したことは決してそのままにせずに、アウトプットできる環境を大切にしています」(片岡先生)
このように、高校「国際コース」のノウハウを受け継ぐさまざまな取り組みによって、生徒たちは"生きた英語"を習得し、中学卒業までに英検2級取得を目指していきます。
ニュージーランドへの中・長期プログラムを用意
さらに英語力を高めるために、高校では豊富な留学プログラムが用意されています。
「高校進学後は大学入試の準備もあるため留学は希望制になりますが、高1・2で3カ月・6カ月・1年と、中・長期留学プログラムを展開します。そして最終的に大学受験する際には、CEFR(セファール/外国語を学習している人の言語運用能力を客観的に示すための国際標準規格)のB1レベル(英検2級〜準1級相当)の英語力を目指します」(片岡先生)
「探究学習×国際教育」で
日本を知ろう、世界を知ろう、社会を知ろう!
そして、「探究学習」にも10年ほど前から力を入れている同校では、探究の学びを通して日本を知り、英語の強みを生かしながらさらに海外を知って、グローバル社会で活躍する人材を育成しています。
中1から「探究」の授業が週に1時間あり、自国の文化を他国の人にしっかりと説明できるようになるために、日本の文化や環境についてグループごとに学びます。
大テーマとして、中1で「日本の伝統文化」、中2では「日本の環境」(おもに自然環境)が掲げられます。そして中3では世界に目を向け、国連が定める「SDGs(エス・ディー・ジーズ/持続可能な開発目標)」が大テーマに。グループごとにSDGsの17の目標の中から一つを選んで探究し、最終的に2月の発表コンクールでプレゼンテーションを行います。
「校外学習なども単なる学校行事に終わらせずに、探究学習に結びつけていきます。たとえば、中1は6月に浅草に出かけたのですが、職人さんにレクチャーを受けながら物づくりを体験しました。9月には「食」をテーマに、八芳園で和食のテーブルマナーを学びますが、食べ方だけではなく、和食を通して伝統文化についても学びます。また、12月には落語家の方を学校にお招きし、鑑賞するだけではなく、実際に生徒が体験して講評をいただきます。いずれも、最終的には2月の発表コンクールで、さまざまな体験を通して得た自分の意見をプレゼンするという形で完結させます」(片岡先生)
「中2は、林間学校で行く長野の菅平でも探究活動を行います。事前に学校付近の目黒川の水質調査を行うのですが、菅平で水質の違いを調べるなど、身近なものに目を注ぐことから環境問題への興味を深めていきます。また、森林に入って土壌調査するなどフィールドワークも行います。そして中3では、国連が定めるSDGsの国際目標についてグループで考察するのですが、このように、オーストラリアへ留学した際に、自分たちの考えを持って現地の人と意見交換ができるように、段階を踏んで視野を広げ、探究を深めていくのです」(片岡先生)
高校ではさらに世界に目を向けていきますが、その代表例が、高2で行く探究型選択制の修学旅行です。生徒自身が訪問国を選び、主体的に「事前学習→フィールド学習→事後学習」を行う、探究学習と英語学習の集大成と位置づけられるものです。
「行き先は、ドイツ、ポーランド、ハワイ島、カナダ、オーストラリア、シンガポール・マレーシアです。高校に入ると各自が学びを深めたい国を選択します。先頃、結団式を行ったばかりなのですが、行き先ごとにグループに分かれて代表者を決め、代表者を中心に、実際のプランを生徒たちと旅行会社で組んでいく形になります。現地でどういう学習をしたいのか、どこに行けばどういう情報が得られるのかなどを盛り込んだ企画書を作成し、1年半をかけて、一から自分たちで探究していくのです」と、片岡先生。そして、「その学びはポートフォリオに記録します。自分がグループの中でどういう役割を担っていたのか、他者とどのように協働できたのかなどを振り返り、自己評価をしながら論文を作成し、最終的に発表へと結びつけます」
さらに高校では、「IP」という学校設定科目があります。これは、「企業インターンワーク」という、いくつかの企業から出された指令に沿って、チームごとに企画を提案していくプログラムです。
「たとえば、去年はJALから『10年後の未来、若者が世界を飛び回る世の中において、新しい航空サービスを提案しなさい』という課題が出されました。答えのない課題について、我々教員もファシリテーターとして生徒と一緒に考えます。生徒の着眼点やおもしろい発想に、感心することもしばしばありますね。評価が高ければ全国大会に出場できるとあって生徒たちも積極的に取り組み、『調べたいことがあるので、今から羽田に行ってきます』とフットワークよく飛び出していきます」と、天野先生は言います。
放課後の学習支援センターで
「自学自習」の習慣を身につける
また、生徒たちの自主学習を強力にサポートするのが放課後の「学習支援センター」です。生徒自身がプランを立てて学習を進めるのですが、一人ひとりの学習状況はファイルで管理され、常駐する先生がサポート。
「まだ慣れていない中1は学校のシラバスに則ったカリキュラムを学ぶことからスタートし、自学自習の習慣を身につけます」と、片岡先生。
宿題や苦手な科目の勉強など、わからないことは大学生のチューターに質問できるので、その場で解決でき、家に持ち帰らなくて済むそうです。「部活動を終えてから塾通いをするのは、時間的にも体力的にも厳しいですよね。文武両道を推奨しても、学習面のサポートがシステムとして機能していないと部活との両立は難しいと思います。その点、本校の学習支援センターは、『部活の前後の時間を使って、学校内で学習を完結できる』と生徒たちにも好評で、うまく活用している生徒が増えています」
この学習支援センターの利用にあたっては、入退室の際に受付けで生徒が自分のIDカードをスキャンするため、日々の学習時間を記録することができるほか、退出時には保護者の方に通知するシステムになっているので安全面でも安心です。
合宿してレッスンに励むダンス部
フラタヒチアンダンス部
都内で、日大初の準付属校の誕生。
好調な船出に期待が高まる!
「準付属校といっても、日大への進学システムはほかの付属校とまったく一緒で、日本大学と国公立大学との併願も可能です」と、天野先生。
付属校になったことで、付属校生の選抜メンバーによる英国ケンブリッジ大学への留学の機会や、「付属校サミット」と呼ばれる他校とのつながりも生まれて、大きな刺激になっているそうです。
中学入試の倍率も高まり、「電話での問い合わせも増え、説明会にも400名を超える多くの方に参加いただき、みなさんの期待度の表れを感じています」と、先生方は強い手応えを感じています。
「本校の建学の精神は、『質実剛健・優美高雅』です。これは女子校の時代から変わらず、これからの社会を強くたくましく生き抜き、それでいて立ち振る舞いは品良く美しくあることを意味しています。目黒日大になってもこの思いは変わることはありません」と、片岡先生。
天野先生も、こう語ります。「ぜひ実際に本校に足を運ばれ、説明会を聞いて、校舎を見て、生徒に会って、学校を肌で感じてください。保護者の方はもちろんですが、実際に6年間学ぶ受験生自身に選択してほしいと思います」と。
JR目黒駅から徒歩5分という恵まれた環境のなかで、建学の精神・教育理念を115間年受け継ぎながら、つねに時代のニーズに合った教育で次代をリードする生徒を育てている目黒日大。英語力育成と探究学習をさらに深化させるために、2022年にはSGHとSSHのダブル申請も予定しています。日大の付属校になったことで進学面での強みも生まれ、生徒たちの活躍の場はさらに大きく広がっています。