学校特集
二松学舎大学附属柏中学校・高等学校2019
掲載日:2019年9月1日(日)
「6年間で力が大きく伸びる学校」として注目を集める二松学舎柏。「学力の向上」と「人間力の向上」を教育目標の2本柱に掲げ、自ら課題を見つけ、考え、解決し、発信するという取り組みを6年かけて積み重ねています。その成果を、中高一貫1期生・2期生が結果に結びつけたことで、学校説明会の参加者や受験者が増加しています。「特に最近は3、4、5年の低学年層が増えている」と語るのは副校長の島田達彦先生。卒業生やその保護者に行ったアンケートでも満足度が非常に高く、支持層は確かな広がりをみせています。
中学入学時から選抜、特進、グローバルの3コースに分かれて、学力や英語力をしっかり積み重ねるだけでなく、教科の枠を超えた学びに取り組む「自問自答プログラム」で、自ら課題を見つけ、考え、解決し、発信する力に磨きをかける......、それが二松学舎柏の教育です。
「昨年の大河ドラマ『西郷どん』の主人公、西郷隆盛は1828年生まれ。ニ松学舎柏の創立者、三島中洲は1830年生まれ。紛争が続くあの激動の時代に『これからは海外に目を向けなければいけない。そのためにはまず、自国の文化を正しく理解し、母国語を正しく表現できる人材を育てなければいけない』と考え、本校を創設したのが三島中州です。(西郷と同じように)志を持って生きた人物と思うと感慨深いですね」と話す副校長の島田達彦先生と、自問自答プログラムリーダーの森寿直先生に、建学の精神に則って進化を続ける、二松学舎柏の教育について伺いました。
一貫生の進路は自問自答力を養う日々の取り組みの賜物
ニ松学舎柏の教育の大きな特色は、自問自答をキーワードに、「学力の向上」「人間力の向上」という教育目標の2本柱を中1から並行して進めることで、相乗効果を生み、大きな成果をあげていることです。その力は、中高一貫1期生の東大2名合格をはじめとした大学合格実績が物語っています。グローバルコースといえども創立者の思いを反映し、「学力」×「人間力」の向上をベースに英語教育や異文化教育を積み重ねているのです。
■国公立大学......東京大学、東京外国語大学、筑波大学、千葉大学など
■私立大学.........早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学など
■海外大学.........ロンドン大学(2017年世界ランキング16位/東大は46位)
ニ松学舎柏では、中学入学時からアクティブに学ぶ「グローバルコース」、手厚い指導で進路を開拓する「特選コース」、学ぶ習慣が身につく「選抜コース」に分かれて、学力に応じて学習できる環境を整えることにより高い成果をあげています。また他コースへの編入の道が拓けていることも、学習のモチベーションにつながっています。中学3年間は、自問自答力(調べる力、論理的に考える力、問題を見つける力、問題を解決する力、考察する力、表現する力、伝える力など)を養う日々の取り組みを大切にしており、そのプログラムも充実しています。
毎日やるから力がつく!自問自答力を養う独自プログラム
■モーニングレッスン
毎朝8時15分から25分間、英語、数学、論語に取り組みます。
「グローバルコース生が高1になると『オンライン英会話』を、モーニングレッスンの時間を使って、週2回、取り組みます。生徒は自分のタブレットを使って、フィリピンの英会話学校の先生と1対1で英会話をしています。最初は緊張していますが、すぐに慣れて、よく話しています」(島田副校長)
■365(さんろくご)ノート
自分で何を勉強するかを考えて、1日1ページ以上家庭学習として取り組むノート。毎日勉強する習慣をつけることを目的に行っています。
■新聞コラム
毎日、天声人語など、三大新聞のコラムを全員に配布し、中学生でもわかるように、かみ砕いて解説し、発展させています。
■1分間スピーチ
テーマに関することを、クラスメートの前で発表します。発表する力を養うと同時に、聞く力(コミュニケーション力)も養うために、発表が終わると、隣の友達と話す時間を作って、発表に対する感想や意見を聞きます。
昨年度より中3がシンガポール・マレーシアへ
ニ松学舎柏では、「~の教室」という名のさまざまな体験教室で、教科の枠を超えた学びに取り組む「自問自答プログラム」を通して「人間力」の磨きをかけています。1年次は「田んぼの教室」(田植え・稲刈り体験)「沼の教室」(手賀沼の環境学習)「雪の教室」(スキー研修)に、2年次は「古都の教室」(奈良・京都研修旅行)に取り組むほか、「都市の教室」(東京の歴史・文化体験)にも出かけています。昨年度より「世界の教室」(シンガポール、マレーシア修学旅行/3年次11月に実施)が加わり、よりグローバルな学びを体験できるようになりました。
島田副校長:「世界の教室」にはグローバルコース、特選コース、選抜コースの生徒全員が参加します。現地校と異文化交流をしたり、平和学習として戦争記念館を訪れたりするほか、中1で学習する「沼の教室」の一環としてシンガポールの水事情を学んだりもします。
森先生:シンガポールは小さな島なので、海水を蒸留して生活水として利用しています。時期によってはマレーシアからの供給を受けたり、向こうが足りない時は送ったりと協力し合って生活しています。日本では当たり前のことが当たり前でないという現実に目を向けて、水事情における日本との違いや、英語での理科教育、水教育に取り組みます。昨年は、事前学習プログラムとして芝浦工業大学の奥田先生に、英語による理科教育、水教育を行っていただきました。
島田副校長:「世界の教室」では、ガイドをつけて日本語で説明してもらうこともできますが、できれば英語で学ぶ体験をさせたいという考えがありました。
森先生:科学的な内容を英語で聞いて理解することは難しいと思いますので、例えば「日本ではシャワーを出しっ放しにしているけれど、シンガポールではどうなのか」「お風呂の水はどのくらい貯めるのか」「手を洗う時や食器を洗う時に工夫をしていることは?」など、生活の中での素朴な疑問を英語で質問し、シンガポールの人たちがどのくらい水を大切にしているかを実感してもらおうと考えています。
島田副校長:学校で習った英語を使って水について学べた、海外でやりとりができた、海外の人と水とのかかわりを知ることができたなど、そういう経験が1つでもあると、これから子どもたちが成長していく上でなにかのきっかけになると思います。
森先生:自問自答プログラムは、教科はつながっているということ、たった1つのモノ・コトでもいろいろな視点から深く知ることができるということに気づいてほしいという思いで取り組んでいます。中1の「沼の教室」は数国理社ですが、中3の「世界の教室」ではそこに英語が加わり、スケールが広がることに意味があると思っています。
昨年は、米朝首脳会談がシンガポールで行われました。セントーサ島には「まさにここで首脳会談が行われた」と実感させられました。生徒たちもその場に立って、歴史が動いた醍醐味を味わっていました。
自問自答プログラムの集大成は8000字の卒業論文
■探究論文 自問自答
「自問自答プログラム」の締めくくりは、中学3年間の集大成として、一人ひとりが自分の好きなテーマについて探究し、論文にまとめて、プレゼンテーションを行う「探究論文・自問自答」です。
「テーマを決めるところから始まり、今、世界が抱える問題点を自分で探して、その上でどのような解決策があるかを探していく。1年間かけての探究活動は大変ですが、それだけにやり遂げた自信は、高校に進学してからのモチベーションにもつながっています」(森先生)
グローバルコースも自問自答がベース。だから表現力が違う
「グローバルコース」は単なる英語力の向上を目指すコースではありません。英語を日本語と同じように使いこなし、国内外でリーダーシップを発揮できる人材を「学力」と「人間力」の両面から育成するコースです。異文化を理解し、多様な価値観を認めること、さまざまな局面を乗り越えるコミュニケーション力を養うことを目標としています。
島田副校長:海外で活躍することを視野に入れているグローバルコースの生徒たちこそ、自分の意見をしっかり持つこと、相手に伝える力を磨くことが欠かせません。そこに重点を置き、まずは母国語で自問自答プログラムに取り組み、プレゼンテーション力に磨きをかけるのが、本校のグローバルコースの特色です。
森先生:週2回実施している7時間目の授業に英語を入れるのは高校1年生からです。高校1年生は英語で新聞を作ります。
島田副校長:中学生はその時間を活用し、昨年度よりSDGs(持続可能な17の開発目標)を組み込み、アクティブラーニングで国際理解を深めるとともに、プレゼンテーションの練習を重ねています。
森先生:例えば17の開発目標をわかりやすく理解するために、17のアイコンをマグネットで貼付けられるようにし、ホワイトボード上でつながりのあるアイコンを考え、グループ分けした上で、解決方法を模索しました。例えば経済はよくなるが、それを行うと環境が破壊されていくというように、どちらかを良くするとどちらかが悪くなるという方法ではいけません。100%の解決方法はありませんが、みんながそれなりに納得できるバランスの良い答えとはどういうものかを考えさせながら、全員にプレゼンテーションさせています。
本校の生徒たちは「17のテーマを30分でつなぎ合わせて、自分なりのストーリーを考えて」と言うと、パッパッパッと手を動かして、すぐに思考する体勢に入るので、すごいなと感心させられます。私が中学生の時に、こうした漠然としたテーマを与えられて「考えなさい」と言われたら相当苦戦したのではないでしょうか(笑)
私たちの世代は、問題に対する解き方や答えを教えられ、例題にトライする。土台があって初めて手を動かせる教育でしたが、今は違います。「この中からあなたが考える問題点を探し出して」と言えば、一人ひとりが違う答えを持ってきます。当然、共通する部分はありますが、中にはオリジナリティあふれるプロセスを考える子もいます。自分の答えを探し出し、プレゼンテーションできる力は、今の生徒たちのほうがはるかに優れていると思います。
島田副校長:本校では意識してそのような生徒たちを集めているわけではありませんから、「育っている」という表現が正しいと思います。
森先生:そうですね。入学当初は全員が全員、そういう子ではありませんでした。前に出ることを苦手としている子もいましたが、日々の中で1分間スピーチに取り組んだり、新聞のコラムからネタを探したり......。1年生の時から自問自答を繰り返し、7時間目の授業でプレゼンテーションの練習を積み重ねることによって、テーマを与えられると瞬時に考えられるようになりました。グローバルコースを始めて5年目になりますが、人前に立って緊張することもなく、自分の考えたことを発表できる力は、ここに来て育っているという印象を受けています。
島田副校長:英語学習も、実はものすごくやっているのです。「英語でクッキング」「英語でフォトグラフィ」などのイマージョンプログラムをはじめ、本校は英語のイベントが盛りだくさんで、ネイティブの教員と交流する機会もたくさんあります。オーストラリアやカナダ研修、さらにセブ島語学研修なども経験しますので、グローバルコースの生徒たちはまさに英語漬けの生活を送っていると言っても過言ではありません。
森先生:研修に向けての保護者会を行うと、そこでも「後輩のためになるのなら」とグローバルコース1期生の高2生が手を挙げて、自分の経験をベースに気づいたことを話してくれました。その場でコミュニケーションを取りながら、自然と話を進める姿は頼もしかったです。
島田副校長:生徒が育ち、自分の思考ができて、まとめる力がついてきています。今までは1+2は3でしかなかったのですが、これからは1+2は3にならないケースを考える力が必要になります。今までがジグゾーパズル型学習ならば、これからはレゴ型学習です。
森先生:私が中学の時に、道徳の授業で取り上げられて今でもハッキリと覚えているのが、甲子園での松井秀喜選手の敬遠策です。「答えのない問い」ですごくインパクトがありました。授業は本当に大切なものです。本校でも生きる力になれる授業をこれからも行っていきたいと考えています。
ICTが充実!図書室の本をタブレットで読める
二松学舎柏では、全教室にプロジェクターを完備し、電子教科書、動画、スライドなど、さまざまなデジタルコンテンツを活用した授業を行っています。生徒も教員も全員が学習システム入りのタブレットを持ち、教育活動の場を広げています。
島田副校長:例えば、図書室で購入した本を自動的に電子ブック化することにより、生徒は読みたい時に読みたい本を借りてタブレットで読むことができます。
森先生:アプリを開くと、おすすめランキングや今月の推薦図書などを紹介しています。図書室で行っていた貸出・返却の手続きもタブレット上でできるのでたいへん便利です。
島田副校長:電車の中でも自宅でも、読みたい時に本を読めるので、中学校の「読書マラソン」にもいい影響があるのではないかと期待しています。
3年間で42195ページ読むことが目標!
■読書マラソン
各クラスで工夫し、読書が苦手な生徒も、友だちの言動に感化されながら、次第に本を読む習慣をつけていくプログラムです。3年間で42195ページ読むことを目標に、読書ノートを月に1度、提出させて、読書量をグラフにして掲示。誰が何ページ読んだかを公表したり、ホームルームの時間に、読んだ本の内容を教え合ったりしながら、読書量を増やしています。
島田副校長:タブレットには、出欠や学習状況などの個人情報を積み重ねていけるサービスも導入しています。大学受験でポートフォリオの提出を求められても問題ありません。生徒にはタブレットを上手に活用して、主体的な学びがこれまで以上に進むことを期待しています。
緑豊かな自然に囲まれたニ松学舎柏は施設・設備も充実。グランドは東京ドーム3個分の広さがあり、校舎は高台の立地を生かし、自然光を採り入れられるようにガラス面が多い設計となっています。
また2011年に完成した「新体育館」は走路コース170M、バレーコート6面ある驚きの広さ。体育の授業や実践練習を必要とする部活動を強力にアシストします。他にも日本の伝統を凝縮した茶道室や情報教育コンピュータールーム、英会話のLL教室まで、生徒の学園生活と環境に配慮されたキャンパスは必見です。
ニ松学舎柏までスクールバスは「柏ルート」「新柏ルート」「我孫子ルート」「北総ルート」の全部で4ルート。中でも「北総線ルート」は印旛日本医大駅、印西牧の原駅、千葉NT駅、小室駅の4駅に停車するなど、通学サポートは万全です。運賃は全てが無料。生徒を送り出す保護者にとってもうれしい情報と言えるのではないでしょうか。