学校特集
横浜富士見丘学園中学校・高等学校2018
掲載日:2018年10月10日(水)
2019年より共学化し、2023年の創立100周年に向けて生まれ変わる横浜富士見丘学園中学校・高等学校。
校訓の「敬愛・誠実・自主」をベースに、「22世紀を積極的に創造し、たくましくしなやかに幸せに生きる、未来社会に貢献する人材の育成」を目指しており、それを叶えるための堅実な教育を実践しています。それらが奏功し、入学時から見た卒業時の伸び率では首都圏屈指を誇ります。
今年度より校長に就任した駒嵜 健先生は「人間として魅力のある生徒に育ってほしい」、「神奈川で『英語教育と理数系教育なら横浜富士見丘』と選ばれる学校になりたい」と熱く語ります。駒嵜先生にそれらを実現すべく行われている教育内容とこれからの横浜富士見丘学園の基本方針、共学化について伺いました。
別学校の"良いところ取り"
2019年入試での注目校の一つ、横浜富士見丘学園。実直で温かな校風のもと行われてきた定評ある女子教育を土台として、今後ますます進む社会構造の複雑化や多様化を見据え、2019年より男女共学化へと大きく舵を切ります。
同校の共学化は、以下の特徴があります。
1.中1では、1クラス20〜25名の少人数制を敷き、面倒見の良い教育を堅持
2.高1までは男女別クラス編成で、それぞれの特性に合わせた授業を実施
3.男子クラスは、医学部や国公立・難関私立理系大学進学を目指す「理数特進」クラス
4.女子クラスは、徹底した基礎学力の育成と多彩な体験型英語教育プログラムを展開
駒嵜先生は男女別クラス編成にする理由をこう話します。
「心も体も大きく変化する思春期では、興味・関心の持ち方や学習の取り組み方には男女差があります。女子は真面目な子が多く、学習進度に力点をおくよりは、深度を重視すること、繰り返しの学習で習得させることが大切です。中学段階でしっかりと基礎・基本を徹底し、自ら学ぶ姿勢を培うことにより、高校生になった時にグンと伸びるということは、これまでの女子教育の経験上理解しています。
一方、男子の学び方についても様々な研究を重ねてきました。特に低学年のうちは、状況に応じてスピードの緩急を図ったり、ちょっと競わせたりと、飽きがこないような学びを進めたほうが効果的です」
男女別にイマージョン授業で行います。
男女別に学ぶ利点について、駒嵜先生はさらに続けます。
「例えば理科実験の授業では、ガスバーナーをつけることからスタートします。しかし、男女がいると男子が実験を率先して行い、特におとなしい女子は見ているだけで、マッチも擦らずに終わってしまうことが考えられます。
逆に家庭科の調理実習では、女子が得意な場合が多いので、男子は遊んでいて女子だけが取り組むといったことにはさせたくありません。
男性も家庭人として、家事や育児をやるべき時代です。男女ともにせっかく学べるチャンスがあるのに学ばないというのは、非常にもったいないことです」
男子「理数特進」では、中学3年間は基礎力の徹底と実力養成のため、女子より1時間多い週6時間の数学の授業を行い、高校数学(Ⅰ・A)まで先取りします。英語でも基礎学力を徹底するため、女子クラスと同様に週7時間を確保して、充実した英語教育とともに、理数教育の強化を推進します。さらに科学技術が急激に進んでいる現在に不可欠なプログラミング講座や理数科目横断型の授業を行うことで、最先端の情報と知識や考え方に加え、正しい倫理観や価値観を育みます。
「プログラミングは中学段階ではまず簡単なことからスタートしますが、高校では最終的に社会に出て通じるレベルにまで育てたいと、現在は在校生と一緒に挑戦しています」(駒嵜先生)
なお今年の文化祭では、中2・3年の生徒たちがプログラミングを行い、拡張現実(AR)アプリを用いて来場者たちをおもてなししました。
進路を自分で考えられる機会を中学段階から豊富に用意している同校。高1までカリキュラムは男女別に進行しますが、総合学習や道徳などの一部の授業、行事、クラブ活動などは一緒に行う予定です。高2からの『理数特進』では男女混合クラスになり、希望進路の実現を目指します。男女がともに学ぶことにより先生方が期待しているのが、「それぞれが各自の得手不得手を認め合い、互いに教え合い、かつ切磋琢磨できる関係性を築くこと」です。
なお、男子クラスは男子教育に精通している先生や私立中高一貫の男子校出身の先生が担当団となる予定で、男子がのびのびと学校生活を送れること間違いありません。これらの学校改革に向かうなかで、横浜富士見丘学園の教職員はより一枚岩となっており、ますます充実した教育が望めることでしょう。
生徒が生き抜く22世紀をも見据える
「生徒一人ひとりが自らを活かし、主体的に未来を切り拓き、たくましくしなやかに幸せに未来を生きる資質・能力を育成し、その能力を社会に活かすことができる教育」を追求している横浜富士見丘学園。
「生徒たちが社会に出た際、さらにその子どもたちがどんな発想で社会を構築し生きているのか。次世代への影響も見据えていかなければ、真の教育とは言えません」と語る駒嵜先生。
以下の4つのカリキュラムポリシーを掲げ、未来に向けた教育を実践しています。
1.基礎学力の徹底と自ら学ぶ姿勢を育む
2.国際的な視野を育成し、全員が英語でコミュニケーションが図れる環境づくりを行う
3.理数教育の充実
4.ジェネリックスキル〜生きる力〜の育成
生徒の成長段階に合わせて、上記が有機的につながり合うカリキュラムを展開している同校。駒嵜先生が最も大事にしているのは、1の「基礎学力の徹底と自ら学ぶ姿勢を育む」です。
日々の授業や放課後講習・補習、長期休暇中の講習などをはじめ、きめ細かで周到な学習指導を徹底している同校。例えば中学1・2年は毎日、学習記録ノート「あしあと」を担任の先生とやりとりします。生活と学習のリズムを整えられることで落ち着いて学習に向かう姿勢が培われます。日々、担任の先生と信頼関係を強固なものにすることで、学校生活を安心して送ることができ、その安心感は学習意欲のさらなる向上へとつながります。
特に中1から中2にかけての学びを重視しており、週3日は「勉強する日」と位置づけ、うち2日間は自学自習をサポートするために、チューター制度を導入。
「一番重要なのは、"しっかり学ばせること"と"本物の体験をさせること"だと確信しています。従来型の学習で基礎学力をきちんとつけることがすべての学びの原点です。
そのなかで大切なのは、"嫌いにさせないこと"と"失敗を恐れずに挑戦する心を育むこと"です。まずは嫌いにさせないことが肝要で、"苦手"は努力してできるようになれば、"好き"に変えることができます。
何度でも失敗していいのです。我々が全力で応援します。将来に向けて、大きな夢を描いて、常に向上心を持って欲しいと思っています。自分で何事にもトライしてみることです。失敗して学ぶことのほうが多いでしょう。どんどんチャレンジして失敗して、時にはぶつかってもいいのです。女子はもちろん、特に男子は小さくまとまらないでほしいですね。子どもたちの可能性は無限大なのです」(駒嵜先生)
こうした先生の言葉を裏付ける卒業生たちが多くいるのが同校の特徴の一つです。
「偏差値30台で入学してきたある生徒は、明確な進路希望を見出し、高校で猛勉強して早稲田大学に現役合格しました。また『セブ島英語研修』で見たフィリピンの実情に衝撃を受け、人生観に大きな変化をもたらし、『アジアの子どもたちの役に立ちたい』と進路を決めた生徒たちもいます。彼女たちは慶應義塾大学、東京外国語大学へとそれぞれ進学しました」と駒嵜先生は話します。
教育のなかに様々な種蒔きを行っている横浜富士見丘学園。毎年東京外国語大学への進学者を輩出するなど、先にも触れたとおり高い進学実績を誇っており、自分のためだけでなく他者のためにも目標を持って努力を惜しまない人材を育成しています。
多彩な展開の理数教育
男子の入学に先駆けすでに取り組まれているのが、理数教育の強化です。2016年に東京理科大学とインターンシップ制度を結び、2017年から教育連携を行うことで、理数系への興味・関心が湧き上がるような多彩なプログラムが用意されています。
現在も中1の理科の授業を担当する駒嵜先生。理数教育の重要性について「生徒たちが将来過ごすのは、文理を超えた総合的な知識と思考力、創造力を持ち、諸問題に取り組んでいかなければならない世界です。先端的な科学技術のあり方を理解すると同時に、情報分析力や数理能力を養うことで、イノベーションを起こす発想力や判断力を育みたい」と話します。
理数系への学習支援を図るために主に展開されているのが、
1.理系の学び講座
2.理系分野説明会
3.大学キャンパスツアー
4.理数フェロー制度
です。
例えば、中3と高1で年3回実施される「理系の学び講座」は、最先端の研究現場で活躍する研究者やそれらを学ぶ大学生や大学院生の講演を聴き、直接触れ合えるチャンス。この講座では研究への理解が深まるだけでなく、何がきっかけでその方が道を目指したのか、どんな人生を送っているのかなども伺うことができ、生徒一人ひとりが自分自身の将来を考える刺激的な場にもなっています。
「大学キャンパスツアー」は高2の6月に実施。実験体験を行ったり、現役大学生・大学院生たちとのトークセッションを通じて、より専門性の高い研究を直接目にできる有意義な機会です。
写真は全国大会上位入賞常連である「地理研究部」。
なお、男子は中3で「アメリカ西海岸研修」を行います。世界最高水準のカリフォルニア工科大学、スタンフォード大学、カルフォルニア大学バークレー校でのキャンパスツアーや講演聴講、シリコンバレーのGoogleやHP Garageといった企業見学などを実施する予定です。さらにアメリカで活躍する日本人研究者に体験談を伺う時間は、世界の大きさを吸収できるとともに、将来の夢を具体的に描き、キャリアへの憧れを現実のものへと変える引き金となるでしょう。机上では得られない本物の感動体験が興味・関心を増幅させ、世界へ目を向ける大きなきっかけになり、より学習へも前向きになれるはず。
この研修は今年から先行実施され、女子も高校生以上の希望者は参加できます。
定評ある英語教育
横浜富士見丘学園の英語教育は、先に触れた進学実績からも見えるように、評価が確立されています。
生徒一人ひとりが英語でのコミュニケーション力が実感できる多様な体験型学習プログラムを用意し、全員がCEFRでB2レベル以上の英語力をつけることを目標としています。
そのため学校生活のなかの各場面で、生徒の英語力向上に努めています。
例えば中1と中2では「ネイティブ副担任制」を敷き、毎日朝夕のホームルームやランチタイム、学校行事などをネイティブの先生と一緒に過ごしています。日常的に触れ合える環境下で「聞く」「話す」機会を豊富に持つことで自然と使える活きた英語を身につけることができます。
数多くの英語プログラムが用意されていますが、中3で実施されている「グローバルアイ」は、約10カ国から来日・滞在中の留学生とコミュニケーションを図れるプログラムです。他国と日本の文化を相互理解する機会であるとともに、4人一組となって一緒に横浜を散策するなど生徒たちにとって国内で多様性を経験できる異文化体験です。
「こうした実体験を用意することで、英語を聞き、話すことへの抵抗感がなくなりますし、むしろコミュニケーションツールである英語の重要性にも気づきます。使えるようになりたいという意欲も沸き上るでしょう。多国籍国家であるオーストラリアへの海外研修を体験した高1の生徒たちから『グローバルアイを受けていてよかった!』という声がたくさんありました」と駒嵜先生はこの取り組みへ自信を見せます。
この「グローバルアイ」は、多くの国の方々とコミュニケーションを取って、多様な文化や考え方を知り刺激を受け、最終的にはパワーポイントでのプレゼンを英語で行います。そして1月に行われる「オーストラリア海外研修」やひき続き希望者対象に実施している短期留学などを通じて異文化の中へ飛び込む体験をし、高1で実施している「クエストエデュケーションプログラム」という企業と連携した課題解決型学習へとつなげています。
このプログラムは、企業の商品開発体験を題材とした実践型の学びです。社会や経済について、働くことの意義や意味などをグループでの活動を通して考え、議論していきます。表現力やコミュニケーション能力が養われるだけでなく、豊かな創造性も育んでいます。
「最終的に『クエストエデュケーションプログラム』で、全グループが英語で発表できることを目標としています。校内プレゼンテーションは下級生の前で披露するので、発表を見た後輩たちも、『私たちも英語でプレゼンしたい!』、『自分たちでいいものを作りたい!』という気概で取り組んでくれることでしょう。後輩たちも自ずと互いの背中を見ながら頑張っており、その気持ちを大切に伸ばしてあげたいですし、実際に年々レベルアップしています。中1からの英語の学びが高1のクエストまでつながり、そして難関大学合格力の養成にも直結しています」(駒嵜先生)
横浜富士見丘学園では、こうした様々な好循環が校内で生まれています。手厚いサポートから始まり、徹底して基礎学力を身につけ土台を築いた上で、次第に自ら学ぶ主体性と自立心や課題解決能力などを養っています。世界や日本を知り、そして自分の周りにも感謝できる生徒たちが「ジェネリックスキル〜生きる力〜の育成」により、自己実現を果たしているのです。
受験生の皆さん、毎日勉強を頑張っていることでしょう。私たちは皆さんを応援しています。
中学受験を始めた時期やきっかけ、成績などはそれぞれだと思いますが、頑張った結果、もしも希望の学校に入れなくても次のステップがあります。中学受験までに勉強が間に合う子と間に合わない子がいます。
本校に入学した生徒の中には、"間に合わなかった子"もいます。
でも6年経てば逆転する子がたくさんいます。私はそれを実際に見てきました。
中高一貫校には、自分がどうしたいかをじっくり考え、なりたいものを見つけてそのために勉強して、自分の将来を切り拓ける時間が十分にあります。
皆さんの可能性は無限に広がっています。目標に向かって努力をすれば未来は必ず開けます。
本校には自分自身の未来を自分の手で切り拓くことができる生徒たちが育っています。
皆さん一人ひとりを大切に育てることをお約束します。皆さんと一緒に学べる日を楽しみにしています。