学校特集
多摩大学目黒中学校・高等学校2018
掲載日:2018年9月4日(火)
多摩大学目黒の校外AL(=アクティブラーニング)活動は、他校にはないスケールの大きなものです。系列の大学を通して官公庁や企業と連携して、国際経済の最前線や多文化共生、観光プロモーションなど大小さまざまなプロジェクトの最前線の現場に出て、プロジェクトの一員として共に考え、働く経験を重ねます。中高時代から社会と積極的に関わりを持つことで視野を広げ、より具体的な目標を持って次のステージへと進んでほしい。そんな願いから展開される多摩大学目黒の校外AL活動について、担当の越前泰子先生と、入試広報部長の井上卓三先生にお話を伺いました。
系列大学との連携を軸に、企業や官公庁とも連携
「多摩大学目黒が目指すのは、生徒たちが自ら考え、行動できる姿勢を確立することです。校外AL活動では本校教員と、系列の多摩大学による十分なサポートのもと、安心して多様なプログラムを体験できます。(越前先生)」
多摩大学は実学志向の高い大学として知られています。実業界出身の教員が多く在籍しているため、企業や官公庁と連携したプロジェクトが数多く展開されています。多摩大学目黒の生徒はそれらのプロジェクトを主催している研究室やゼミの一員として参加します。
系列校といっても組織的に上下関係があるわけではありません。多摩大学目黒の田村嘉浩理事長・校長が多摩大学の理事長を兼務しているため、あくまでも多摩大学目黒の生徒のために、大学の研究室やゼミ、企業や官公庁とのつながりを活用させてもらうことができるのです。
多くのプロジェクトの中でも、生徒たちに好評だったのは、韓国・済州島で行われる国際経済フォーラムに参加する「アジアダイナミズム研修」、様々な国籍の人が居住し、多様な文化が混在する中でいかに共生していくかという問題に現場に密着して取り組む「いちょう団地プロジェクト」、そして多摩大学の村山ゼミと協力しながら増上寺の夜を美しく演出する「目黒イベントプロジェクト」の3つです。
韓国の済州島で行われる国際経済フォーラムに参加します。今年は高校2年生2人,高校1年生3人が参加。チェジュハンラ大学と多摩大学との国際交流会に参加したほか、福田康夫元日本国総理、パン・キムン前国連事務総長、元カナダ総理ブライアン・マルルーニー、チェジュ島知事などが参加する平和フォーラムに同席。世界のリーダーたちがアジアの経済発展と平和維持のために真剣に議論し、スピーチする白熱の舞台を目の当たりにしました。
多国籍の人が混在して居住する神奈川県の「いちょう団地」。そこで発生している諸問題に目を向けて、多文化共生を実現するために何ができるのか。今後の日本社会が直面する社会問題の解決に挑みます。
目黒区内の商店街連合会と協力しながら商店街の活性化に向けて会議をしたり、イベントの企画・運営を行います。また多摩大学の村山ゼミと連携しながら、港区の増上寺で、自分たちで手作りした和紙を使って夜を美しく演出するキャンドルナイトイベント実施しています。和紙に包まれた光が参道を美しく飾る風景は外国人観光客を含む大勢の人の目を楽しませることができました。
日本政策金融公庫からの起業セミナーに始まり、企業訪問や新商品の研究・開発などを通して起業を体験します。
現場を体験することで意識と視点が変わり
授業への取り組みも変化
参加した生徒たちにとって、これらのプロジェクトはどれも非常に新鮮で興味深かったとの感想が聞かれました。それぞれのプロジェクトを成功させるために自分たちに何ができるのか、様々な視点から考え、実行することを通して意識も視点も変わってきたことを教員も実感しているといいます。
「アジアダイナミズム研修では、済州島での国際経済フォーラムに参加し、多くの専門家の方々のお話を直接聞くことができます。生徒は多くの刺激を受けるようで、『もっと広い視野を持って世界を見たい!』と、これまで以上に授業にも意欲的になっていきます。
いちょう団地プロジェクトでは、様々な背景を持つ多国籍の人々が共に暮らす現場に足を運び、直面する諸問題の解決に向けて、高校生の自分たちに何ができるのかを考え、行動していきます。昨年度は、実際に日本語教室やイベントスタッフのボランティアとして活動しました。
目黒イベントプロジェクトでは、生徒は大学生や地域の人々との交流やイベントの企画・運営を通して、協力することの大切さや状況を判断して行動する力を学びます。生徒が活動の振り返りアンケートの中で書いていた「高校生の自分でも意外とできることはたくさんあると感じた」という言葉からも、生徒が自分に自信を持つきっかけにもなっているようです。
起業体験プロジェクトでは、日本政策金融公庫と、多摩大学の経営情報学部の先生のご協力のもと、進めていきます。グループでアイディアを出し合いながら、具体的な商品やサービス、販売方法、売り上げや宣伝費なども想定する収支計画までを完成させていきます。最終的には日本政策金融公庫主催の「高校生ビジネスプランコンテスト」に応募し、プレゼン発表をします。(越前先生)」
プロジェクトを体験した生徒たちは、普段の授業への取り組み方も変わってきたといいます。
「ビジネスやプロジェクトの最前線を目の当たりにして、生徒たちは土台となる基礎知識の大切さに気付いたようです。学校の中で学ぶだけではテストで良い点を取ることや、大学入試に合格することだけが目標になりがちでしたが、その先にある社会を見据え、目標をもった学びへと変わり、真剣に取り組むようになりました。(越前先生)」
より具体的な目標を持った生徒たちが
難関大学に続々と現役合格!
校外AL活動が学びの意欲を刺激する大きな引き金となり、より具体的な未来を見据えて真剣に学ぶようになった生徒たち。その結果として難関大学への合格者数が飛躍的に向上していると入試広報部長の井上先生は話します。
「9年前と比較すると国公立は3.5倍、早慶上理は3.8倍、GMARCHは3.2倍の合格者が出ました。校外AL活動を通して、社会で働く自分を想像できるようになったことや、社会で活躍するためには、今の学びをしっかりやっておかなくてはならないということに気づき、将来への具体的な目標をもって学習に取り組むようになったことが実を結んでいると言えます。
校外AL活動はJAPAN e-Portfolioにも蓄積されます。生徒一人ひとりが自分の活動成果をまとめることができるため、これまでの活動を踏まえて今後どのように学びや活動を進めていくかの大きな参考になります。また、このデータは今年度から大学入試においても入学者選抜における評価等の目的で利用されるため、大学進学の面でも非常に有利になります。(井上先生)」
今後は校外AL活動の幅をさらに広げるべく、直接企業や系列以外の大学にもコンタクトを続けているという多摩大学目黒。今回は触れませんでしたが6年間で最大5ヶ国を訪問できるなど長期留学を含めた海外で学ぶ制度も充実しています。今後多摩大学目黒に入学する生徒はどのような体験を重ね、どのように成長していくのか、とても楽しみです。