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学校特集

国本女子中学校・高等学校2021

英語・教養・文化…本物に触れ社会を変えていく女性を育てる
―日本とカナダの高校卒業資格を取得できるコースと
個性を育むコースで新時代の女子教育を実践

掲載日:2021年8月2日(日)

国本女子中学校・高等学校は1942(昭和17)年の創立以来、心の教育を重んじながら、常に新しい時代を見据えた女子教育を実践してきました。小田急線喜多見駅から徒歩2分という至便な場所にあるため、生徒が安心して通える点も大きな魅力です。2020年度からはカナダの教育省と提携したコースを含め、新たに2コース制を導入しました。新コース制2年目となる今年度は、名門・駒場東邦中学・高等学校で英語を教えていた坂東修三先生を校長に迎えました。さらに20年前から英語早期教育に関わり、カナダ・トロント大で英語教育の研究に従事していた豊田ひろ子先生も加わり、強力な布陣を敷いています。

カナダ・アルバータ州認定海外校 KAISを開校

国本_今年度就任した校長・坂東修三先生
今年度就任した校長・坂東修三先生

 国本女子中学校・高等学校(以下、国本)は2020年4月にカナダ・アルバータ州教育省と提携し、KAIS(カイス・KUNIMOTO ALBERTA INTERNATIONAL SCHOOL)を開校しました。このKAISの開校により、国本で学びながら アルバータ州の高校と同じ授業を受けて単位を取ることで、高校卒業時には日本とカナダの両方の高校卒業資格を取得できるのが、DD(ダブルディプロマ)コースです。同時に始動したもう1つのコースがLA(リベラルアーツ)コース。Liberal(リベラル=自由)とArts(アーツ=文理の隔てのない人に必要な素養としての技術、学問、芸術)の融合で、自由な発想で人間らしく生きていく礎となる教養を身につけます。
 

国本_英語教育のエキスパート・豊田ひろ子先生
英語教育のエキスパート・豊田ひろ子先生

 国本の創立者・有木春来先生は、「眞心の発揮」「自然に対する素直さの涵養」「恩を知り恩に報ゆる心の育成」を校訓に掲げ、しなやかで強い女性を育ててきました。「有木先生は津田英学塾(現・津田塾大学)出身で、英語教育だけでなく日本的な情操教育を重視した開明的なスピリットを備えていました。その思いは現在まで引き継がれ、国本の特色や強みとして息づいています。一方で、日本は2020年のジェンダー指数ランキングが世界156か国中120位、G7の中では最下位という不名誉な記録を持っています。アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が根付く日本の中で、ジェンダーギャップを乗り越えてグローバルで活躍する女性を育成したい。女子校という枠組の中で、時代の先端をゆく英語教育やICT教育と、伝統に根付いた情操教育の両輪で日本社会を変えていく人材を育てたいと考えています」と坂東先生は力強く話します。

日本とカナダの高校卒業資格を取得できるDDコース

国本_窓が大きく明るい雰囲気のEnglish lab.
窓が大きく明るい雰囲気のEnglish lab.

 日本でもダブルディプロマを導入する学校が増えていますが、海外留学が必要なタイプと国内で完結するタイプがあり、国本の場合は国内型です。国本のDDコースは、国本女子とKAISの両校のカリキュラムが国本女子のキャンパスに共存しているイメージです。

【中2からは数学や理科も英語で授業】
国本_カナダから赴任したネイティブ教員
カナダから赴任したネイティブ教員

 昨年からスタートしたプログラムなので、現在このコースに在籍しているのは中1と中2です。中1の英語は週12時間で、アルバータ州の認定教員がELA(English Language Arts=カナダの中学生が学ぶ国語)を週5時間、担当しています。英文を読み、英語で考えて表現する、いわば「英語で学ぶ国語」です。残り7時間はバイリンガルの日本人教員が、習熟度別に英語の語彙や文法、背景知識を学ぶESL(English as a Second Language)の授業を行います。
 さらに中2からはELAだけでなく数学、社会、理科も英語による授業となり、中3では全ての授業の半分を英語で行います。英語を教えるのではなく、英語を使って勉強することで副次的に英語の力も伸ばすイメージです。

国本_英語で書かれた数学のプリント
英語で書かれた数学のプリント

 各教科の英語での授業も、自然体で無理なく日本語から英語に移行できるようにカリキュラムに工夫を凝らしています。たとえば、中1の数学の教科書は英語版のテキストが付いているものも使用し、文章題などは時々英語で問題を解くことで、「英語で数学を学ぶ」ことへのハードルを下げています。
 英語による教科学習は、英語の力を伸ばすだけでなく、スパイラルな学びにもつながっています。その相乗効果は、担当の先生たちが大きな手ごたえをもって実感しています。たとえば中1で数学を教えた先生は、中2で英語による数学になったときも授業を見学します。「中1で教えたことが、英語の専門用語でもう一度出てくると刺激を受けつつ復習にもなり、定着率も高い。とても面白い現象です!」という声も上がっています。

国本_理科の実験も英語で行われている
理科の実験も英語で行われている

 理科でも同様で、中1の理科で実験の注意事項を習っても、中2になると忘れてしまっていることもありますが、実験の冒頭で英語の専門用語も踏まえつつ説明を受けると「そうだ、中1で習ったことを思い出した!」「"××に注意"というのは英語ではこう表現するのね」など、いろいろな気づきが生まれます。1つの事柄を2言語で複眼的に学ぶことで、スパイラルな学びができるだけでなく理解も深まるのです。

【カナダと日本の教育の融合が相乗効果に】

 たとえば時制(現在・過去・未来・進行形・完了形)は中学3年間で学ぶのが一般的ですが、DDでは中1のスタートからわずか2週間で習ってしまいます。「英語の絵本を読んでその内容に沿って時制を学ぶので、先取りや詰め込みとは違います」と豊田先生は話します。文法として習っていない帰国生にとっては復習になり、初めて時制を習う生徒は新鮮な驚きや刺激を感じながら知識を身につけることができます。

「日本は知識重視、カナダは思考重視の教育なので、双方の良さをとり入れることでより楽しく、より深く学べるようにカリキュラムをコーディネートしています」(豊田先生)。たとえばテキストでImmigrationという言葉が出てきたとき、「移民」と訳すだけでは平面的な学びで終わってしまいます。しかし、カナダは移民の多い国なので、カナダ人の先生が移民の実態を掘り下げて話してくれるため、実体験に基づく厚みや重みを感じることができます。さらに、移民にまつわる話の中で「bias(偏見)」「discrimination(差別)」といった言葉の広がりも生まれ、生徒たちの心には事実と意味がともに刻まれるのです。

 現在、DDコースは中1、中2とも約半数が帰国生ですが、海外在住経験のない生徒や英語をほとんど勉強したことのない生徒も入学しています。英語が得意な生徒とその他の教科が得意な生徒が混在するクラスは社会の縮図でもあり、自然と心地いい雰囲気が醸成されています。「私もESL(English as a Second Language)の授業を担当していますが、帰国生が威張ったり、英語があまり話せない生徒が卑屈になったりすることはありません。むしろお互いの強みをたたえ合い、各教科ごとに得意な生徒が苦手な生徒に教え合う姿が見られ、とても和やかで雰囲気のいいクラスです」と豊田先生は笑顔で話します。

LAコースで新たに教養プログラムを導入

LAコースは多様化・複雑化するこれからの社会に必要とされる人材を育て、望むキャリアや夢の実現を支援する文理融合型のコースです。このコースも英語の授業を週8時間確保して「使える英語」の育成に力を入れていますが、今年度から新たに「教養プログラム」も導入しました。さらに「ICT教育についても、iPadやネット活用だけではなく一歩踏み込んだカリキュラムに取り組んでいきます」と坂東先生は話します。それぞれの具体的な内容をご紹介しましょう。

【各界の教養人から直接学ぶ"本物"体験】

 人間性や内面性を深める目的で導入したのが「教養プログラム」です。導入のきっかけや狙いを豊田先生は「1人1台iPadを持っているので情報は簡単に手に入りますが、心が動かずすぐに忘れてしまうのが気になっていました。感受性豊かな中高生の年代は、本物に触れ、人から学ぶことで心が動いて自分のものにできるはず。そこで各界の第一人者を招いて"本物"に触れる体験を提供したいと考えました」と話します。

国本_金田一先生の講演に聴き入る生徒たち
金田一先生の講演に聴き入る生徒たち

 今年度から始まった教養プログラムは、総合的学習の枠を使って教養人を招き、講演会や体験授業を行うもの。事前準備として文献を読んだり動画を視聴してからグループで話し合い、アカデミックな体験を積んだうえで授業に臨みます。
「7月には金田一春彦氏を父にもつ日本語研究の第一人者・金田一秀穂先生を招いて、<日本語の世界>と題する講演を実施しました。事前に金田一先生の著書を読んだり先生が出演しているNHK高校国語講座の動画も視聴。さらに金田一先生が審査員を務める『伊藤園おーいお茶俳句大賞』入賞作品を鑑賞したうえで、俳句作りにも挑戦しました。こうした事前準備を経て参加した講演会に生徒たちは熱心に耳を傾け、言葉の持つ力について深く考えることができました。講演会終了後は生徒が作った俳句を講評してもらい、その体験がより深く心に刻まれたと思います」(豊田先生)。

国本_コロナ禍で注目を集めている草木染
コロナ禍で注目を集めている草木染

 2学期は産婦人科医師を招いて「女性の健康」について講演してもらい、スポーツでケガしたときの対処法やヨガなどの体験も行う予定です。また、創立者・有木先生が自然との共生を大切にしていたことを受け、草木染の体験も企画しています。人間国宝・志村ふくみ氏の孫で染織家として活躍している志村昌司氏の講演を聴き、実際に草木染の体験も行います。

 さらに3学期にはサステナブルな生活をイメージしながらメッセージ性のある廃物アート制作に挑戦します。そしてこれらのプログラムの集大成として、1年間の体験をSDGs(持続可能な開発目標)にあてはめながら振り返ります。そのゴールに向けて、1学期にSDGsのスペシャリスト・高塚苑美氏の講演を聴き、すでに準備をスタートしています。地球環境についての基礎知識を頭の片隅に置きながら、1年かけて深い学びにつなげていくのです。

【YouTubeの動画制作を通してICTリテラシーを磨く】

 現代社会はスマホやタブレットが普及し、誰でも手軽に情報を入手したり発信したりすることができるようになりましたが、手軽で便利なぶん、大きな危険も内在しています。そこでICTリテラシーを磨くために、今年度は動画(YouTube)制作にも取り組んでいます。すでに広告代理店のクリエイターからICTの正しい活用法の講義を受けており、3学期はクリエイターの指導を受けながら動画を作成します。講義を聴くだけでなく実際に手を動かして動画作りを経験することで、それまでとは異なる視点を踏まえてネット社会を生き抜く力を身につけます。

創立者の志を受け継ぐ茶道・華道の授業

国本_両コースとも茶道と華道は必修
両コースとも茶道と華道は必修

 創立者・有木先生が大切にしていた日本的情操教育は、今に至るまで脈々と受け継がれています。茶道・華道を課外活動ではなく必修科目の中で行っているのも、国本ならではでしょう。音楽教育にも力を入れており、高3まで音楽の授業も必修です。DDコースに入学した帰国生の保護者からは「今まで日本の文化に触れてこなかったから、素晴らしい文化を体験できると思って国本を選んだ」という声も寄せられています。

 2つのコースでそれぞれが多彩な学びを実践している国本。LAコースは10年後の未来をイメージして国内外で活躍できる人材を育て、DDコースは英語を武器にキャリアを目指せる人材を育成します。DDコースは海外の大学進学も視野に入っていますが、海外に点在するカナダ・アルバータ州の認定校の情報網も活用していく予定です。1期生は中1の終わりに、DDコースでは全員が英検3級以上を取得しており、帰国生の中には中1で2級合格者もいます。こうした取り組みは国内の大学からも注目を集めており、すでに高大連携や推薦枠の打診などの声がかかっていると言います。校長先生を筆頭に先生方が一丸となって人間的な奥行きを備えて社会に羽ばたく女性を育てている国本は、今後ますます注目が高まりそうです。

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