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学校特集

獨協埼玉中学高等学校2018

教育理念「自ら考え、判断する力」が示す、能動的な学びとは?
自らの学びを深める、高大連携「獨協コース」に注目!

掲載日:2018年10月1日(月)

ドイツを主としたヨーロッパの文化と学問を学ぶ目的で設立された独協学園。その一員である同校では約80,000㎡の広大で緑豊かな敷地のなかで一人ひとりの潜在能力を引き出しながら、主体的に考え、行動する生徒を育てています。
今、同校で注目を集めているのが、高大連携の「獨協コース」です。自分が興味のあるテーマを設定し、高校の先生と二人三脚で研究を進め、独協大学の先生から定期的に指導を受けながら、「自ら学ぶ力」を育みます。では、主体的に考える生徒はどのように育つのか。「獨協コース」を中心に、副校長の村岡健二先生と獨協コース運営委員長の田口淳先生にお話を伺いました。

独自のメソッドで展開する
高大連携の「獨協コース」

大学の先生による個別指導も

高大連携のあるべき姿を追究している「独協コース」は、今年で11年目を迎えます。
同校では高3時に、志望する学部・学科に応じて5コースに分かれ、一人ひとりの進路実現に向けた授業が展開されます。その一つである「獨協コース」は、獨協大学への推薦入学を保証されつつ、大学より指定された図書のなかから30冊を読破し、大学教授の指導のもと16,000字以上の論文提出を経て大学入学に至るコースです。

獨協埼玉_お話を伺った副校長の村岡健二先生
お話を伺った副校長の村岡健二先生

「授業も国語研究、地歴研究と、各教科ともに自分で調べて発表するスタイルが中心です。論文については、高校の教員が生徒一人ひとりの研究を一対一で導き、章立てやテーマ設定などについては大学の先生から定期的に指導が行われます」と、村岡副校長。

「ある生徒が水俣病に関心をもち、『水俣病はどうしたら解決するのか』というテーマをあげました。論文は、『この社会をいかによくしていくのかを書く』ことが前提なので、高校教員なら着眼点を褒めていたかもしれません。ですが、大学の先生からは『どう解決するのかではなく、今までなぜこの問題が60年間解決しなかったのか。それを調べるのがテーマだよ』と、アドバイスがありました。納得した生徒は、水俣市の現地調査をしたり、研究を深めていくうちに、『国と企業の癒着の問題、地域の差別問題、自治体との問題、科学的な問題と、あらゆる問題をはらんでいる』ことを認識したのです。最後には『福島原発の問題と根っこは一緒じゃないか』と。18歳でそのようなことに気づいていく姿を見ていて、11年間継続してきて良かったと思いました」と、村岡校長はうれしそうに話します。

論文を書くと、問題意識が生まれてくる

研究は、テーマを自分自身でしっかり選ぶところから始まります。
「ある生徒はドイツへの短期留学のあと、ドイツという国に興味をもち、ドイツのサッカークラブチームをテーマに選択しました。でも、テーマが曖昧だったため教員に考え直すように言われ(笑)、今度は背伸びしたのか、ドイツの哲学に変更。ところが、難しすぎて本を1冊読むのに何日もかかったらしく、最終的にはドイツの移民政策を選択しました。始まりはそんな感じなのですが、文献を読み進めていくうちに、どんどん変わっていくんですね。『卒論を書くことの大切さは、問題意識が生まれてくることにある』と気づきはじめ、『いろいろな本を読むことで、問題意識のレベルが上がっていく』と言うまでに、本を読みこむ大切さを強く感じていました」(村岡副校長)

●論文の力作の数々(2017年度/抜粋)
進学先学科 タイトル
ドイツ語学科 ●フェリックス・メンデルスゾーンはどのように評価されてきたか
●なぜドイツの「統合コース」は機能しなかったのか
経済学科 ●イスラーム復興運動はなぜおこるのか
●日本に難民を多く受け入れるためにできることは何か
●近代の性別役割分業はどのように根付き、論争されてきたのか
経営学科 ●低所得者が安心して暮らすための住宅政策とは
●男性の育児休業取得率の上昇を目指すためには
 ~新たな管理職の在り方、イクボスから目指す~
●若者たちを実質卒業に転落させないためには
 ~若年の大卒者が正規就職に向かうための提案~
国際環境経済学科 ●イラク戦争から見えるネオコンとは
● 日本の母子家庭はなぜ貧困になるのか
 ~フランスの家族政策から解決策を考える~
●サンゴ礁保全が国民レベルで行われるためには
法律学科 ●登録文化財制度は近代建造物保存に有用か
総合政策学科 ●日本の公共放送に問題点はあるか
 ~BBCとの比較~
●日本に積極的安楽死法は必要か
 ~世界から見る日本における死ぬ権利についての考察~
30冊の文献読破で"読む体力"をつける
獨協埼玉_本を読むことが習慣になっていく生徒たち
本を読むことが習慣になっていく生徒たち

もともと朝読書の時間なども設けて読書を習慣化している同校ですが、「獨協コース」では自分の研究テーマ以外の専門書を30冊読む課題があり、視野を広げるきっかけになっています。

「本を読むのが苦手な生徒もいますので、まずは"本を読む体力"をつけさせるところから始めます」と言うのは田口先生です。「本を読む習慣がついて、いろいろなことがわかってくると、さらに関心が広がっていきます。そこからグッと一点に絞ると、その点からいろんなものが見えてくる。論文を書く意味も、そこにあると思うのです。そのポイントの専門家になるという意味ではなく、深めていくと世界の問題も絡み合っていることに気づき、実際に毎日の授業がいかに重要かが理解できるようになります」

さらに、田口先生は、「多くの高校生は、本来自分で学ぶ力をもっているのに、今までいかに"完成したもの"を受け取ってきたのかと痛感します。本当は、答えのない問いに対する仮説を立て、それを砕きながら突き進んでいくのが学びのおもしろさです。自分の興味関心を伸ばし、誤魔化さずに追究することを覚えれば、いろいろなことが見えてきて、本来の学びの形をしっかり身につけて卒業できると思います」と言います。

全員でギリシャ悲劇を演じる
獨協埼玉_ギリシャ悲劇の一場面。堂々たる役者ぶり
ギリシャ悲劇の一場面。堂々たる役者ぶり

さらに、論文と向き合う一方で、ギリシャ悲劇を舞台で演じることが必修というのも同コースの特徴の一つ。
「ギリシャ悲劇の作品が書かれたのは2400年前ですから、歴史との生の対話です。古代の人間の苦しみや悲しみ、社会が問題を抱えていたことなどは、現代の我々と同じです。歴史を振り返らないと、今のことも学べません」と、田口先生。

また、「論文もそうですが、劇でも第三者に伝えて心を動かさないといけません。堂々と舞台に立てるということは、筆者として堂々と立てることと同じです。ギリシャ神話は循環していきます。問題があって、その先に答えが出る。でも、またその先に新しい問題を生みます。それは、学問を追究する人のスタイルそのもの。ギリシャ悲劇を演じることは、論文を書くということがどんなものなのか、体で理解する勉強になるのです」と言います。

このような高大連携の質の高い学びは、生徒たちを成長させ、毎年、大学教授をも驚くほどのハイレベルな論文発表へとつながっています。

主体的な学びの姿勢は、
中学でのさまざまな体験で培われていく

図書館がみんなの学びの場
獨協埼玉_資料をあたって、レポートを作成
資料をあたって、レポートを作成

登下校時に生徒たちが必ず前を通るのが、校舎入口のそばにある「よりみち図書館」です。
蔵書数は6万冊。2名の専任の司書の先生が常駐しています。「絵本や雑誌なども置いてあり、生徒は気軽に"よりみち"しています。本の紹介はもちろん、文字を入れるだけのネット検索ではない調べ方、レポートの書き方、百科事典の使いこなし方から、インターネットでどんなふうに正しい情報を選んでいくのかまで、『獨協コース』での学びをはじめ、各教科の学習面で大きな役割を果たしています」と、村岡副校長。

獨協埼玉_新入生でも気軽に相談できるように、「司書」の先生の役割をキャッチーに掲示する工夫も
新入生でも気軽に相談できるように、「司書」の先生の役割をキャッチーに掲示する工夫も

授業を図書館で行うことも多く、たとえば、国語の「文章表現」ではテーマの作り方・章立ての仕方、英語では世界の国調べ、日本史では日本史新聞作りなど、司書の先生の指導も受けながら学んでいきます。

また、獨協コースの論文制作の際も、文献を探す生徒一人に先生が一人つくなど、司書の先生からの提案も数多く生かされているそうですが、生徒に寄り添いながら、強力な後押しをする体制は同校の大きな特長です。

生徒が自発的に考える機会が豊富
獨協埼玉_稲作体験で「苦手だった虫が怖くなくなった」という声も
稲作体験で
「苦手だった虫が怖くなくなった」という声も

同校では体験学習から中3の卒論まで自分の関心を掘り下げる機会が数多く設けられています。
「中1では学校前に広がる田んぼで『稲作体験』をし、中2ではさまざまな職業にふれる『キャリア教育』、中3では自ら参加するボランティアの『福祉体験』などを行いますが、これらのさまざまな体験のあとには、必ずレポートに仕上げて学校祭など人前で発表します。自分なりに考えたことをまとめていく力をつけるのが狙いです」と、村岡副校長。

さらに、「問題意識をもち、それをどのように解決するのか。解決を導く道筋を考えさせるのが中学の3年間です。自分の興味のあることは何か、それをしっかり考えさせて卒論へとつなげます。もとになる知識がないと好き・嫌いでとどまってしまいますので、自分の意見の原動力の柱になるものを作らせていくことが大切です」と言います。
「生徒が自発的に考える機会をつくりたい」と、先生方が直接、近隣の農家の方や保護者へ協力をお願いして実現した体験学習は、生きた学びの機会になっています。

興味・関心が広がれば、学力は伸びる
獨協埼玉_生徒たちは、主体性をもって能動的に学ぶ姿勢を身につけていく
生徒たちは、主体性をもって
能動的に学ぶ姿勢を身につけていく

同校では特進クラスなどのコース制は設けていません。その理由について副校長はこう語ります。
「中1の入学時の力を測っても、逆転が起こる可能性が高いからです。ある生徒は、高校に行ってから数学の公式に興味をもちました。中学時の模試では偏差値30台だったのが、『数学の学者になりたい』という夢をもつようになると、偏差値は50、60と上がっていきました。そして、北海道大学の数学科に進学し、今は大学院の数学科で学んでいます。入口で決めてしまうのは、本校のやり方ではありません」

一部の特進クラスの生徒が残す進学実績ではない、すべての生徒の希望する進路実現を力強く後押ししたいという先生方の思いが、高い現役合格率とGMARCHをはじめとした難関大学への高い合格実績につながっています。また、併設大学へは、併願推薦を含む多様な推薦制度が整っているのも魅力です。

視野を広げ、実践力を養う
「語学の獨協」が行う英語教育

段階を踏んで、英語を好きに
獨協埼玉_楽しみながら、実際に使える英語を身につけていく
楽しみながら、実際に使える英語を身につけていく

「語学の獨協」として語学教育に定評のある同校。英語を好きにさせるために、学年ごとに英語をツールとしたさまざまなイベントを設定しています。
まず中1では英語の音声に親しむために「リスニングマラソン」を行います。物語やスキットを音声で聞き取り「英語耳」を育むことが目的です。

中2の「アメリカンサマーキャンプ」では、1グループ4~5人につき1人のアメリカ人の学生が入って、コミュニケーションを図ります。会話はもちろん、英語のみ。最終日には3分間ほどの英語の寸劇を行い、優秀グループを決定します。

また、中3の「多読」では、約900冊の英語の蔵書のなかから、数十冊を読み終えます。「多読の3原則」に基づいて読んでいくのだそうですが、それはどんなものなのでしょうか。
「①辞書をひかない②わからないとこは飛ばす③つまらなくなったらやめる、というルールなのですが、こうしていくと次第に長文にも慣れていって、受験対応にもなっています」と、村岡副校長が教えてくれました。

多彩なプログラムで、使える英語を身につける
獨協埼玉_中2の「アメリカンサマーキャンプ」での1コマ
中2の「アメリカンサマーキャンプ」での1コマ

ネイティブの先生も多数在籍し、英語では少人数クラスで「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能を高めるきめ細やかな授業が展開されています。また、高校ではドイツ語の授業が自由選択科目として履修することができ、専任の先生から教わっています。

さらに、国際交流の機会も多く、海外留学の機会も充実。中学生から参加できるニュージーランドへの姉妹校留学では、現地の授業にも参加します。高2対象のアメリカへの3週間の語学留学では、大学の英語研修に参加。現地の家庭にホームステイしながら、その国の文化にも触れ、世界中から集まる生徒たちと交流を広げます。

さらに昨年からは、中2から高2までの英検2級以上の生徒を集めて、英語をツールに経済学、環境学などを学ぶ「English for Academic Purposed(EAP)」というプログラムもスタートさせました。

獨協埼玉_部活も協調性や社会性を高め、人間性を深める場の一つ
部活も協調性や社会性を高め、人間性を深める場の一つ

ネイティブの先生と生徒、生徒同士が議論を重ね、発表するのですが、中高の壁を越えたこのプログラムは期待以上の成果を上げています。英検2級には届かなくても、英語の成績が優秀な中2・3生には「EAP Junior」という中学生向けのプログラムも用意されています。

このように獨協埼玉では、論文と1年余り"格闘"しながら自分の答えを見つけていく「獨協コース」をはじめ、すべての生徒が、授業や行事をとおして能動的な学び方を身につけていきます。"勉強だけ" "部活だけ"ではなく、勉強はもちろん、学校生活のさまざまな場面で頑張ることができる環境が整えられている同校では、生徒たちは自分らしさを大切にしながら、日々成長しています。

駅からバスで5分。学校生活に合わせたダイヤで運行!
獨協埼玉_

東京メトロ日比谷線・半蔵門線直通 東武スカイツリーライン「せんげん台」駅西口より朝日バス「獨協埼玉中学・高校」行きに乗って、5分で到着。アクセスが良いので、都内から通う生徒も少なくありません。

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