学校特集
多摩大学目黒中学校・高等学校2020
掲載日:2020年1月1日(金)
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、4月前半にはZoom授業による授業を開始するなど素早い対応を見せた多摩大学目黒中学校。何よりもまず生徒の体と心の健康を守ることを第一目的に考えながら、教員がチームワークを発揮して柔軟にその時できることを積極的に取り入れたことにより、学びも通常の進度を保つことができました。
一方で、校外アクティブラーニング活動やクラブ活動については、感染リスクを最小限に抑える工夫をしながらしっかり継続。クラブ活動では全国大会出場や東京都大会での優勝など輝かしい成績を残しています。
コロナ禍にあって、どのように文武両道を高いレベルで実現し続けているのか、広報部長の井上卓三先生と、校外アクティブラーニング活動を統括する新教育研究部長の谷川貴信先生にお話を伺いました。
※本文中の写真は、一部を除きコロナ緊急事態宣言以前に撮影されたものを使用しています。
※【第1回】体と心の健康を守ることを第一にしつつ学びのペースを維持
【校外アクティブラーニング】
オンラインを積極的に取り入れながら、
今できることに柔軟に取り組む
多摩大学目黒の学びの大きな特徴の1つが、実業界とつながりの深い多摩大学との高大連携を軸とした、様々な校外アクティブラーニング活動です。韓国の済州島で行われる「アジアダイナミズムStudy Group」など、移動を伴う活動は中止となりましたが、「目黒イベントStudy Group」や、「投資戦略Study Group」「プログラミングStudy Group」などではオンラインを積極的に取り入れ、今できることに柔軟に取り組みました。
【目黒イベントStudy Group】
例年は増上寺のライトアップイベントや、東京ミッドタウン主催の和紙キャンドルガーデンイベントへの参加、洗足・学芸大学駅前のイベント開催などを行うのですが、今年はイベントへの参加は中止。その代わりに、関係各所とオンラインで打ち合わせを行い、今後の活動をより充実させていくためのプランニングをしました。増上寺ではできなかったライトアップイベントですが、生徒達が計画してきたことを形にするために、規模を変えて、12月に校内展示を行いました。また、学校のすぐ近くにある介護付き高齢者住宅に励ましの意味を込めて千羽鶴を届けるなど、無理のない範囲で近隣との交流を深めました。
【プログラミングStudy Group】
例年は東京ゲームショー主催のプログラミング大会出場を目標としたプログラミング学習を行いますが、今年は自分たちでアプリを開発することを目標として、様々なアプリ開発やシステム管理ツールとして使われているコンピュータ言語"Python"を基礎から集中的に学んでいます。
【投資戦略Study Group】
「日経STOCKリーグ」で昨年に続いての入選を目指して、日経電子版を熟読。株式市場の仕組みや株価の動きをリアルタイムで学びながら、投資戦略のセンスを磨いています。
谷川貴信先生
校外アクティブラーニングを統括する新教育研究部長の谷川先生は、例年通りの動きができなくても、その中から学校にとっても生徒にとってもたくさんの収穫があったと話します。
「もともと定められた正解にたどり着くことを目標としている従来の授業型の学習とは違い、校外アクティブラーニングは明確な正解がないところから、様々な条件を考えつつ、その時点での最適なソリューションを提案することが目標です。大局的に考えれば、今年はその中に『新型コロナウイルス』という新たな条件が加わったにすぎません。予期せぬトラブルが発生した中で、生徒たちの心身の健康を守るということを第一条件としながら、アクティブラーニングの部分で何ができるかということを全員で考え、生徒達も必要に応じてオンラインを活用しながら柔軟に対応してくれました。そのこと自体が、今年度の校外アクティブラーニング活動の大きな収穫の一つだったと思います。」
「総合的学習の時間」を用いた論文作成を通して
情報を集め、論理を展開する力を伸ばす
「総合的学習の時間」を用いた論文作成も、コロナ禍の状況だからこそ、例年よりじっくりと取り組むことができたものの1つです。高校で既に実施されている「総合的探究の時間」に先駆けて中学から取り組んでいるもので、中1から各自が興味あるテーマについて様々な情報を集め、それらの情報を整理しながら多角的に理解を広げ、自ら課題を見出し、それを中3の時に論文にまとめて提出します。
「論文作成は、1つのテーマからどのように枝葉を広げて構成していく力、また得ることができた様々な情報を集約して1つの結論を導き出す力を伸ばすのに最適な訓練です。今年はコロナ禍の中で集中的に取り組むことができたおかげで、今年は例年になく読み応えのあるレベルの高い論文が多く提出されました(谷川先生)。」
● 薬剤師の仕事はAIに奪われてしまうのか
● なぜ今の時代はテレビよりYouTubeなのか
● 何故ディズニーランドに何度も足を運びたくなるのか
● 物事を絶対に忘れない方法
● ポケモンが子供達に人気があるのには子供達を虜にする何かしらの法則性があるのではないか
● 日本で飼うのに適してる動物は何か
● 数学力をより身につけられるのは「教える側」か、「教わる側」か
● 音環境の違いは記憶に影響するのか
● スマホは何歳から持つべきか
● 矯正技術を用いずに裸眼で快適に過ごす方法は無いのか
● 人間と恐竜は共存できるのか
【クラブ活動】
感染予防に細心の注意を払いながらも
全国大会出場を決めるなど文武両道で活躍!
多摩大学目黒の大きな特徴の1つが高いレベルでの文武両道。好きなことに夢中になり、高い目標に向かって仲間と力を合わせて成長できるクラブ活動をとても大切にしています。今年はコロナの影響で、クラブ活動が本格始動したのは9月に入ってからですが、どのクラブも部員たちの高い目標と意欲にこたえるために、感染予防対策を十分にしながら、無理をせずできるメニューを考えながら一生懸命取り組んでいます。全国大会常連の高校ダンス部が今年度も全国大会出場を決めました。また中学サッカー部は東京都サッカー新人大会で強豪修徳中学校をPK戦で破り、見事優勝を果たしてくれました。
広報部長の井上卓三先生は、こうしたクラブ活動での活躍が学校に活気をもたらしていると話します。
「多摩大学目黒にはもともと向上心に満ち溢れ、常に成長し続けようとするエネルギーが学校全体にみなぎっています。生徒たちの健康を第一に考え、感染予防を最優先する中でのクラブ活動でどれだけの成果が出せるか不安でしたが、生徒たちの向上心は想像以上でした。彼らの頑張りと成果を見て、私たち教員も大いに刺激を受け、励まされています。」
明日の自分が
今日より成長するために・・・
コロナ禍にあっても、感染リスクを最小限に抑えながら校外アクティブラーニング活動やクラブ活動にしっかり取り組み、結果を出してきた多摩大学目黒。状況が目まぐるしく変わる中でも柔軟に対応し、無理なくやれることをやり続けてこられた背景には、『常に進化し続ける』という学校の基本姿勢があると井上先生は話します。
「変化が激しく先の見えない時代。昨日までの常識が通用しなくなるような予期せぬことがいつ起こってもおかしくありません。今回のコロナ禍もこれからの時代を生きていく我々が柔軟かつ迅速に対処すべき問題の一つと言えるでしょう。緊急事態宣言を受けてのリモート授業、登校再開後の感染予防対策、そのような状況下での校外アクティブラーニング活動やクラブ活動など、今までの常識では対処しきれないことがたくさんありましたが、その中で柔軟に対応できたのは、高い目標を持ち、『常に進化し続ける』という多摩大学目黒の基本姿勢が教員にも生徒にも浸透していたからです。
学びにおいてもその姿勢は同じ。日進月歩の現代において、中高や大学で学ぶ知識そのものはすぐに風化してしまうかもしれません。しかし、常に目標を持ち、学ぶことや成長することを楽しめる人であれば、社会がどのように変化しようとも柔軟に対応し、常に世の中の必要に応えることができます。今日よりも明日、自分自身が一歩ずつでも常に成長し続け、今できることに一生懸命取り組むという基本姿勢を、私たちはこれからも大切にしていきます。」